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不死蝶
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不死蝶の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.68pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全25件 1~20 1/2ページ
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本書は表題作である「不死蝶」と「人面瘡」の2篇を収録した横溝正史の推理小説。いずれの作品も名探偵・金田一耕助が活躍する。“あたしは妹を二度殺しました”という台詞が印象的な「人面瘡」は、すでに短編集「人面瘡」の方で感想を書いたので、ここでは「不死蝶」について述べることにしたい。 ●不死蝶 「不死蝶」は昭和28年6月から11月まで雑誌「平凡」に連載され、昭和33年に加筆・長編化して単行本が刊行された。なお、本作品の舞台となる信州の射水は架空の地名で、富山県射水市とは無関係である。実家が富山県にあるので、この点は少々残念であった。 湖畔の町・射水で両大関といわれるのが矢部家と玉造家。先祖代々にわたる仇敵の間柄だけに、矢部慎一郎と玉造朋子のロミオとジュリエットのような関係も悲劇的な結末をむかえたのだが、朋子を捕まえようとした矢部英二が鐘乳洞で殺されるという事件が発生してしまう。23年前の夏に起きたこの出来事が、すべての始まりだった。 矢部杢衛からの依頼で金田一が射水の町を訪れたころ、ブラジルでコーヒー王の養女となり、莫大な財産を手にしたことで新シンデレラ姫と新聞に書き立てられている鮎川マリも玉造家に逗留していた。表向きは静養のためということだったが、真の目的は矢部英二殺害の容疑者とされている玉造朋子の無実を明かすことにあった。 本当に玉造朋子は底なし井戸へとびこんで亡くなったのか。鮎川君江と玉造朋子は同一人物なのか。井戸のそばに残された書置きはいったいどういう意味なのか。いくつかの思惑が交差するなか、鐘乳洞の中でふたたび殺人が起きてしまう。しかも、鍾乳石を使った刺殺といい、女性が井戸に飛び込んだらしいことといい、事件の様相は23年前とまったく同じだった……。 鍾乳洞での殺人というと、金田一がかつて手がけた事件である「八つ墓村」が思い起こされるが、本作品での洞窟探検もスリリングで面白い。蝙蝠の窟、とどかぬ窟、底なしの井戸、逃げ水の淵など、広大な鐘乳洞の中を金田一たちが奥に進めば進むほど、想像を超えた地底世界が広がっていくので読んでいて楽しかった。 若かりしころ、はげしい恋におちた玉造乙奈と矢部杢衛のエピソードも印象的だ。杢衛は矢部家の相続権を放棄してでも乙奈の良人たらんことをのぞんだが、とつぜん乙奈が他から婿をむかえてしまい、怒った杢衛は玉造家を激しく憎むようになってしまう。生涯憎みあってきたふたりが、鍾乳洞の奥深くでようやく長い苦しみから開放され、愛する杢衛のそばで乙奈が泣く場面には深く心打たれた。 <登場人物> 矢部杢衛 … 玉造家と敵対する矢部家の当主。金田一の依頼人。 矢部慎一郎 … 杢衛の長男。学究肌の性格で父や妻と対立。 矢部峯子 … 慎一郎の妻。愛嬌にとぼしい見識ぶった女。 矢部都 … 慎一郎のひとり娘。美人だが淋しそうなかげがある。 矢部英二 … 杢衛の次男。23年前、鍾乳洞のなかで殺された。 宮田文蔵 … 峯子の兄。矢部家の番頭格。口数少なく如才ない。 古林徹三 … 満州から引揚げてきた矢部家の親戚。頬に疵痕。 玉造朋子 … 矢部英二殺害の容疑者。底なし井戸へとびこむ。 玉造乙奈 … 年老いても誇り高い玉造家の当主。朋子の母。 玉造由紀子 … 乙奈の孫。近眼らしくロイド眼鏡をかけている。 玉造康雄 … 由紀子の兄。気むずかしい。矢部都とは恋人同士。 田代幸彦 … 康雄の親友。ブラジルに招聘されたテニスの選手。 アルフォンゾ・ゴンザレス … ブラジルのコーヒー王。資産家。 鮎川マリ … ゴンザレスの養女。日系二世。玉造家に逗留中。 鮎川君江 … マリの母。ゴンザレスに長年重用され信頼を得る。 河野朝子 … マリの家庭教師。東京にある女子大の元教師。 カンポ … 君江とマリの用心棒。ブラジルうまれの若者。 お作 … 臨時に手伝いをたのんだ土地の女。 ニコラ … 教会の神父。教会の裏には鍾乳洞の入口がある。 パウル … 23年前教会にいた神父。玉造朋子を可愛がっていた。 白川雪絵 … 岡林の町にある料理屋「みよしの」のマダム。 立花老人 … 射水の町長。 神崎署長 … 射水の町の警察署長。鍾乳洞の捜索を指示。 江藤警部補 … 鍾乳洞の捜索において金田一のいる部隊を指揮。 金田一耕助 … 雀の巣の頭にくたびれた着物袴。ご存知名探偵。 | ||||
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名探偵あるあるで、報酬は二の次に、興味を持った事件だけを引き受けるというのがあるが、本作の金田一耕助は、(移動当日朝に脅迫状が届くまでは)依頼内容にはまるで惹かれないものの、避暑の旅代わりになるだろと軽い気持ちで受けていた。彼らしいw 信州に位置していて、懐に湖水を抱いたロケーションは『犬神家の一族』であり、狭い村に並び立って確執のある旧家や地下に広がった鍾乳洞と言えば『八つ墓村』である。この両作品名は本文中にも触れられており、著者も意識的だったことは間違いない。 著者だけでなく、乱歩もまた『孤島の鬼』や『大金塊』等の作品で、地下洞窟巡りを効果的に用いているが、それらはいずれも怪奇、冒険、サスペンス、ロマンの雰囲気作りで、謎の構成のために必須なものではなかった。 本作の鍾乳洞には3つの入り口があり、いがみあう両家のそれぞれの敷地とカトリック教会の敷地にひとつづつ位置している。23年前の事件当時、カトリック教会に繋がる道は公にされておらず、それが発見されたのは、23年前の事件から一年経ってからであった。 こういった状況を配して、著者は鍾乳洞の構造をもっと直截にトリックに絡ませた作品を書きたかったのではないか。 しかし、結果としてはこの試みはあまり成功したとは言えない。 構成されたトリックは悪くはないと思う。23年前の事件と深く繋がっているのは確実なので、それで嫌疑を外れる人もいて、さして多くもない残りのキャラの中で、うまく構成されている。 しかし失った代償が大き過ぎる……。 屋敷の見取り図を作って犯人の動きを決めていくように、憶測だが、簡易な鍾乳洞の構成を思い浮かべてプロットを決めていったからだろうか、地下の暗闇に広がる洞窟というロケーションの怖さがごっそり抜け落ちているw 百歩ほど譲って、矢部、玉造両家の人間は、子どもの頃からこの鍾乳洞に親しんでおり、内部の構造に明るく、恐怖など感じないということは了解してもいい。 しかし「ゆくてには断崖あり、底なし井戸あり、さらにまた人跡未踏の魔の淵も」(P.192)あるというのに、夢遊病で入り込んだ(らしい)マリの母親を探して、マリやら耕助やらパーティーに居合わせた警察署長やらが、玉造家の少女(これが本作の由紀子だw)の案内で、標識も照明設備もない鍾乳洞に命綱もつけずにずんずん進んでいくのである。食っちゃべったり、皮肉をぶつけ合いながら、自分が遭難する可能性など一切ないが如く。 第一、かなりの閉所恐怖症であるわたしが、頁を繰る手を一切止めずに読める時点でダメだろw 少年向けの『大金塊』ほどの臨場感すらなかったよ……。 たしかに『八つ墓村』が名作として残っているのは、津山事件にフィーチャーされた過去の事件のインパクトや、村で何らかの共通項のある二人のどちらかが、連続的に殺されていくという魅力的なプロットを背景として、巻き込まれ型の怪奇冒険サスペンス&ロマン小説として面白いからであって、決して優れた本格探偵小説とは言えない。クライマックスの地下洞窟巡りもトリックとは結びつかない。 本格探偵小説の鬼として、そこにチャレンジする姿勢は尊敬に値する。 しかしそういった面白さを担保する雰囲気描写をないがしろにしても見合うほどには、本作の「謎」が魅力的だとは言えない。 なるべく優しくありたいと願っているwわたしは、この前に『吸血蛾』、その前は『幽霊男』と、THE 通俗味の強い作品を立て続けに読んでしまったので、その成分により敏感になった所為で、厳し過ぎる見方をしてしまったかもしれないとは考えたが、「いがみあう両家」とくれば定番のロミオとジュリエットネタだって、三世代に渡って繰り返されてるとなれば、これも通俗味がくど過ぎるんじゃないかい。【注1】 【注1】本書刊行のほぼ同時期から連載が始まった『甲賀忍法帖』は傑作だと思うがw | ||||
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近頃、イロイロ思うところあって "蝶"にまつわる、或いはその言葉を冠した題名の本を 追っかけてます。 で、横溝正史サクヒンからは『蝶々殺人事件』と本書。 "「蝶が死んでも、翌年美しくよみがえるように、 いつか帰ってきます」。23年前、謎の言葉を残し姿を消した一人の女性。" 40数年前、手にした角川文庫目録の解説が蘇ってきた。 けど、上の分だけ読んでナニヤラネオンゆれてる夜の街のオハナシか? と、誤解したまま還暦を迎えてました。 一読、どちらかといえば金田一耕助の推理は控えめ。 殺人事件が起こるホームコメディ(!?)といった感じでした。 | ||||
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〈金田一耕助〉シリーズ第4弾。『不死蝶』には表題作の「不死蝶」と「人面瘡」が収載されている。 「人面瘡」については〈金田一耕助ファイル〉シリーズ6に同名書籍があり、そこに収載されている作品と同じものである。そちらには「人面瘡」のほか4作品が収載されており、計5作品を読むことができる。「人面瘡」を楽しみたい方には〈金田一耕助ファイル〉シリーズの方がお勧めである。 さて「不死蝶」である。「八つ墓村」を想起させる洞窟ミステリー、そして予想さえできなかったトリック。まさに横溝先生の真骨頂を味あわせていただいた。巻末の解説には、“「八つ墓村」は昭和二十四年から二十六年にかけ掲載され、本編は昭和二十八年六月から十一月にかけて連載された”とある。かの「八つ墓村」の2年後に、同じく洞窟を舞台とした作品が「不死蝶」である。もしも「不死蝶」の発表が「八つ墓村」より先であったら、横溝先生の代表作として「不死蝶」の方が「八つ墓村」より上に挙げられるのではないか。そう思わせてくれるハイレベルな作品だった。 横溝ファンとしては、相当な満足感をもって読了できた。この余韻を味わいたいので、シリーズ第5弾は既に購入してあるが、読むのはもう少し先にしようと思っている。 | ||||
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悪い。 | ||||
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真珠郎、蔵の中・鬼火に続く、まさかの復刊情報。 舞台が信州ということもあってか、長野県内の書店限定販売という触れ込みを信じ、実家が長野の知人に頼み込んで2冊を購入。 受け取った時はめちゃ感動したが、現在は都内大手の書店に普通に置いてある・・・なんでやねん? まぁ、由利先生シリーズの復刊(ドラマでは吉川晃司さんが好演)など、リバイバルは大歓迎ですが。 | ||||
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引き込まれていく感じがありました。 まぁ、面白かったです。 | ||||
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「真珠郎」「蔵の中・鬼火」に続き、さりげなく復刻版が発売されていてビックリ!!何故か不死蝶だけど、、、しかしながら、一言で言うと素晴らしい。 こちらの復刻版も前述の2作同様、旧版のカバーをプリンターコピーして単に表紙にしたのではなく、原画から作り直していて、デザインも少しだけ変えて旧版と差別化を図っています。とても丁寧な復刻版となっていて好感が持てます。 現在、金田一シリーズ等の作品は漢字一文字のカバーデザインが主流となっているみたいですが自分には食指が動かず、杉本一文が表紙絵の古本ばかり買っています。本屋での主張も杉本一文の表紙絵は他を圧倒して半端なく(笑)、また、並べて置いた時についついコレクションしたくもなります。絶版になっている作品も多いのでこのまま杉本一文の表紙絵バージョンで復刻していってくれると嬉しいなぁ~ あと、角川はもっとこの復刻について宣伝してもいいのでは?せっかっくいい仕事してるのに勿体ない! | ||||
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約300ページの長編『不死蝶』と、約100ページの『人面瘡』からなる。 ともに金田一耕助が事件解明に関わる。 『不死蝶』では、2つの家が対立している信州のある地域が舞台となっている。そこにある有名人が来ることになり、事件へと発展していく。この展開は『悪魔の手毬唄』を彷彿とさせる。また、迷路のような鍾乳洞が重要な現場となっているという点では、『八つ墓村』にも近い。 事件の展開はあまり込み入っておらず、また、金田一による最後の謎解きもパッとしない。 『人面瘡』では、金田一とともに、岡山県警の磯川警部が登場する。二人で静養に行った先で事件が起こる。 短いが、起承転結のある構成になっており、いい作品だ。 | ||||
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『不死蝶』…ロミオとジュリエットを連想させる、対立する二つの名家の娘と息子の悲恋にからんで起こった殺人事件。犯人と思われた娘は、鍾乳洞のなかにある底なしの井戸に身を投げて自殺したと推測されたが、死体は発見されず、井戸のそばには「蝶が死んでも、翌年美しくよみがえるように、いつか帰ってきます」という謎めいた書き置きが残されていた。そして二十三年後―。書き置きとともに消えた娘とそっくりの女が、海外から帰国し村を訪れた時、ふたたび血塗られた惨劇が巻き起こる…。 対立する旧家に鍾乳洞という、橫溝らしい舞台が設定されていて楽しめるのだが、事件そのものは、手堅くまとまってはいるが、特にユニークなトリックやアイデアはみられず、小粒な印象をぬぐえない。美女に鍾乳洞に謎の書き置きといったガジェットを揃えたのだから、そこにタイトルの『不死蝶』につながる村の伝説のようなものが語られ、それにまつわる見立て殺人の趣向にでもなっていれば、ロマンあふれる華麗な作品になったのではと、勝手に残念がってしまった…。 『人面瘡』…同作を表題にした短編集があり、同じ角川文庫でカブる格好になっている。夢遊病に人面瘡と、神秘的な装飾をまとった殺人事件の謎がとかれてゆくにつれ、ひとりの女性の悲劇的な半生がうかびあがってくるという、抒情的な琴線を揺さぶってくる味わいがあり、筆者は、こちらの作品のほうが完成度が高いと思う。 そんなわけで、『不死蝶』☆三つ、『人面瘡』☆五つ、トータル☆四つの評価とした。 | ||||
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good | ||||
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不死蝶 | ||||
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不死蝶は、電子リーダーでなくては読めない作品。伏線も背景もしっかりしている。若干無理がある部分はあるけれど‥。人面瘡は、金田一耕助の推理というところでは、物足りない。すべて、当事者の自白だけなので。 とはいえ、横溝正史の文章力はすばらしい。読み始めると止まらなくなってしまう。さすが! | ||||
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「八つ墓村」の鍾乳洞は探索や逃走がメインでした。 こちらは探索よりも追跡がメインです。 事件は鍾乳洞で起こっているという活劇の舞台としての鍾乳洞です。 八つ墓村は村全体を巻き込む大掛かりな物語になっていますが、こちらは基本的にスケールが小さいものです。 こじんまりまとまっていますが、破綻がなく手堅いミステリーに仕上がっています。 この作品の進化形に「迷路荘の惨劇」があるような気がしますので、金田一の鍾乳洞三部作をぜひ読んでみてください。 静養するために岡山に出向くたびに、磯川警部と同行しては事件に巻き込まれてしまう。 なんでこんなに金田一は磯川警部と仲が良いのか。 | ||||
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安定の不気味さでした。 人面瘡の話に至っては余りにもリアルで、実際に人面瘡と言う病気があるのかどうかググってしまった。 強いて言えば、ブラジル生まれブラジル育ちのマリお嬢に余りブラジルっぽさを感じなかったのにほんの少し違和感を感じましたが、時代背景も違うし気にならない程度。 読みながら自分も湿った洞窟にでもいるような気分になりました。 | ||||
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本編は、過去に読んだこともあるし、テレビドラマでも見ているので、内容はだいたいわかっていました。 ただ、昔読んだときは、横溝小説の読み始めということもあって、結構わくわくしながら読みましたが、今ではもっとヘビーな(例えば八墓村)もの読みなれたので、少し拍子抜けしました。 寂しいことですが。 | ||||
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横溝正史は作品の質にむらがあって、特に中・後期のエログロサスペンスはいただけない。その作品群の中で、「不死蝶」は中期の佳作。作品自体はたいしたトリックが使われているわけではなく、洞窟が出てくるところは、八つ墓村や迷路荘の惨劇に似ていて、使い回しをしている感があるのは残念。 ただし、この作品をただの凡作にしていないのは、解決編での金田一と主人公のやりとり。主人公が犯人の動機がよくわからないと言ったときの金田一のセリフ「日本人がいちばん大切にしているものそれは愛する者への犠牲心ではないでしょうか」というひと言が、本作を佳作へと昇華させていると思う。 最後に、映像化作品について。ほとんどのファンは横溝正史シリーズを推すと思うが、僕はTBSの2時間ものをオススメする。普段は風体が上がらず、獄門島では早苗さんにふられるなど、女性についてはサッパリなのだが、本作では主人公から一目惚れされてしまう。しかも、美人でブラジルでコーヒー園を経営をしている大金持ちから、いっしょにブラジルに来て欲しいと請われるのだ。主人公を演じた有森也実がとても可憐。二人の恋の行方も本作の見どころである(もちろん、二人の恋などというのは原作にはなく、ドラマのオリジナルである) | ||||
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本作品は、ブラジルの大富豪の養女にして帰国子女であるマリと、その謎の母親・君江をヒロインとして、信州の鍾乳洞をメイン舞台に繰り広げられる連続殺人と、金田一耕助による謎解きを扱った作品である。君江が23年前の殺人事件の容疑者・朋子ではないかとの疑惑を絡ませながら事件が進行し、また舞台が鍾乳洞ということから名作『八つ墓村』をも髣髴とさせるが、舞台設定が大がかりな割には小粒な作品である。 縦横に張りめぐらされた伏線は謎解きによってきちっと解き明かされるのだが、その伏線の張り方が浅く、また第1と第2の事件により容疑者がかなり限定され、とくに宮田文蔵が足跡を踏み消すなどしてかばい立てする犯人となると、2人しか考えられないことから犯人の意外性には乏しい。 それに、犯人は第2の事件において、いったいどうやって洞窟内の他の捜索隊に出会わずに古林の居所を突き止めて殺すことができたのか、非常に不可解である。少なくとも犯人の心理として、わざわざ捜索隊員たちに見られるリスクが高い機会を選んで犯行を犯すということは、非常に考えにくい話である。 とはいえ、ベスト10級の作品群には落ちるにしても、全体としてはなかなか読み応えのある作品である。 かつて1976年に『犬神家の一族』が映画化されて空前の横溝正史ブームを迎え、その翌年にテレビで横溝正史シリーズ第一期が、翌々年に第二期シリーズが放映されている。本作品はその第二期シリーズに放映されており、当然、放映作品は代表作ばかりのはずだが、なぜか本書は「金田一耕助ファイル」として復刊されておらず、このまま埋もれさせるには惜しい作品だと思う。 | ||||
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本作品は、ブラジルの大富豪の養女にして帰国子女であるマリと、その謎の母親・君江をヒロインとして、信州の鍾乳洞をメイン舞台に繰り広げられる連続殺人と、金田一耕助による謎解きを扱った作品である。君江が23年前の殺人事件の容疑者・朋子ではないかとの疑惑を絡ませながら事件が進行し、また舞台が鍾乳洞ということから名作『八つ墓村』をも髣髴とさせるが、舞台設定が大がかりな割には小粒な作品である。 縦横に張りめぐらされた伏線は謎解きによってきちっと解き明かされるのだが、その伏線の張り方が浅く、また第1と第2の事件により容疑者がかなり限定され、とくに宮田文蔵が足跡を踏み消すなどしてかばい立てする犯人となると、2人しか考えられないことから犯人の意外性には乏しい。 それに、犯人は第2の事件において、いったいどうやって洞窟内の他の捜索隊に出会わずに古林の居所を突き止めて殺すことができたのか、非常に不可解である。少なくとも犯人の心理として、わざわざ捜索隊員たちに見られるリスクが高い機会を選んで犯行を犯すということは、非常に考えにくい話である。 とはいえ、ベスト10級の作品群には落ちるにしても、全体としてはなかなか読み応えのある作品である。 かつて1976年に『犬神家の一族』が映画化されて空前の横溝正史ブームを迎え、その翌年にテレビで横溝正史シリーズ第一期が、翌々年に第二期シリーズが放映されている。本作品はその第二期シリーズに放映されており、当然、放映作品は代表作ばかりのはずだが、なぜか本書は「金田一耕助ファイル」として復刊されておらず、このまま埋もれさせるには惜しい作品だと思う。 | ||||
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「不死蝶」と「人面疽」の2編が収められている。 いずれも金田一耕助の活躍する物語である。 「不死蝶」はなかなか思わせぶりな物語。これだけレッド・ヘリングのきつい話も珍しいだろう。それだけに、結末の意外さがきわだってくる。 また、横溝正史お得意の洞窟が出てきて、雰囲気も満点。 「人面疽」は、奇怪な話かと思わせつつ、きちんと合理的な説明を付けてくる点が偉い。そのぶん、平凡に堕してしまったような感もあるが・・。 | ||||
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