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黒と茶の幻想
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黒と茶の幻想の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.19pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全53件 41~53 3/3ページ
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4人の視点から見る今、過去、謎、素晴らしい作品だと思います。何回も読み返すほど、深い作品です。恩田陸作品が好きなら間違いなくお勧めです。より物語を深めたいなら『麦の海に沈む果実』も呼んでみるといいです。 | ||||
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恩田さんの本は、どこか懐かしさを感じる作品が多いけど、この本もそのうちの1冊だと思う。学生時代の仲間だった男女4人が、とりとめのない『謎』からずっと気になって聞けなかった『謎』まで、山歩きをしながら話していく。雄大な自然に囲まれると、やっぱり人の心は裸になるのかな?全てをさらけ出したい気分になるのかもしれない。気心知れた4人だけど、実は他の3人が知らない自分を見つけていたり、自分の想像以上に、友達を観察していたり…。案外、こういう事って日常生活で多いのかもしれない。茶色は、普段他人に見せている自分で。黒は、自分しか知らない自分の一面。そんな印象を受けた。謎を解いていく様はテンポも良いし、第一、4人の掛け合いがおもしろい。 | ||||
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幻想的な森の中を進みながら、登場人物の名前をもつ4つの章が展開されていく。主人公たちによってまさに物語られる過去は、霧に幻惑される森さながらに絡み合っていき、開けた路を見つけるためにどんどん読み進めずにはいられない。 大人となった登場人物達が過去の謎と対峙するという、ありきたりな設定ではあるが、少年少女たちが主人公となる作品が多い恩田作品としては、大人の慌ただしい日常がぼやかれることによって、かえって少年時代の危うさと切なさが浮き立つ気がする。 舞台となったY島(読んだ後に偶然行った)も、神秘的な森の雰囲気がぴったりで、いつもながら話の舞台設定のうまさに酔わされる。読んだ恩田作品の中では、これが今一番のお気に入り。 | ||||
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恩田作品は初めてじゃないけれど、初めて恩田ワールドにはまり込んだ作品だ。旅をする四人の名前が順に章名になっているが果たして主人公は誰なのか。一度も登場しない人物の存在感が圧倒的だったりするのは宮部みゆきさんの火車に通じる面もあるがまったく読んでみれば違った内容だ。上質の小説を愛し、至上のときを過ごすのを好む読者には絶対に見逃せない本だと思う。 | ||||
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『三月は深き紅の淵に』で、ものすごく魅力的な部分のように語られていた第一章が、語られていたそのままに再現された作品で、それだけでもうただただ感心します。Y島に中年の男女4人が旅行して、ただお喋りするだけの話が、まさかこんなに面白いなんて反則です。活字好きな人たちが持っている共通の知識や体験を駆使して、同時代的な雰囲気溢れる謎が次々に提示されていくのですが、これがもう懐かしさを刺激して止まないのです。20代後半から40代にかけての活字好き・TVドラマ好き・洋画好きは一見の価値はあると思います。その上、それらの謎たちにぐるっと取り囲まれて目隠しされた、ひとつの大きな(私にとっては)魅力的な謎ときたら!とにかくもうただただ贅沢なものを読ませて頂いて感謝!の念に耐えないです。人によって合う合わないは激しくあるかと思いますが、粗筋から想像できるストーリーよりも激しく面白かったです。 | ||||
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4人が集まって、それぞれのトラウマや大学生時代に起こった謎を解明してゆく話。学生時代の友人が久々に集まって、表面的には関係の無い話をしながら相手の出方を探ってみたり、忘れていた事を思い出して謎の解決に導いたり…4人の間で繰り広げられる駆け引きと心理戦にはドキドキします。他人が語る自分と、自分で思う自分のギャップもひとつの見所。雰囲気的には「ネバーランド」や「木曜組曲」に近いものがあるような気がします。「麦の海に沈む果実」の憂理が出てきて少しストーリーが入りますが、読んでいなくても全然違和感ないと思います。 | ||||
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あまりの厚さに気後れしながら、それでも、『今』読んでよかったと思っています。「え!高校卒業してもう19年もたってるのか!」というせりふが実感として胸にこたえる今日この頃。町で偶然会った昔の同級生がすっかりおばさんになっていて、「わたしもこうなんだわ!が~ん」と感じたときのショック。でも、目には見えないけれども、私たち一人一人が抱えている夢とか思い出とか、言葉にすると陳腐な、そして、普段はろくに省みようともしていないものを、恩田陸は『森』に投影して鮮やかに私たちに見せてくれます。30代後半は若さとの決別の時期。けれど、作中でも語られるとおり、『別れは終わりではない。始まりなのだ。』最後に節子の力強い語りが本を読み私自身の背中さえも力強く押してくれるようです。『美しい謎』とは何でしょう。人生そのもの?とても長い物語ですが、一つ一つの言葉をかみ締めながら、そう、一歩一歩、山の中の道を踏みしめて進むように、物語を読み進めていけば、、、思いがけない、自分自身の盛を見つけることができるはずです。 | ||||
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「なぜ、自分は、高所恐怖症なんだろう」「なぜ、この世で一番怖いものが<紫陽花>なんだろう」――登場人物の四人の男女に直接関係している謎は勿論、「9の字の机」「表札泥棒」「源氏香」「二人の老婆」「おうまさん」「言葉をかわさない三人の女性」などなど、様々な謎が交差して、いろいろな推論が交わされる。(個人的には、「三人の女性の謎」の解決が、最も「うつくしい」と思いました)解決した謎もあり。次回――14年後まで持ち越された謎もあり。殺人事件も起こらず、犯人も存在しない。でも「多分、犯人は俺だぜ」という台詞は出てくる。「黒と茶の幻想」というタイトルなのに、表紙の英文字は「茶」が「BROWN」じゃなく「TAN」ってとこも謎。「黄褐色の」「渋色の」という意味になってしまうんですね。装幀が…これでいいのかな?という気もしますが。文庫化の時には、鬱蒼と繁る森の写真を使ってほしいような気もします。 | ||||
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恩田陸の著書を良く読んでいる人はすぐ気付いたであろうが、この本の題名は「三月は深き紅の淵を」の第一章だ。内容もそれで触れられた通りで、読者としては文句のつけようがなく申し分なかった。けれども、これを「最高長編」と帯で銘打ってしまった。もちろん現時点でのことであろうが、「最高長編」とするには登場人物がマンネリしすぎだ。これを打破できねば「最高長編」は書けないと私は思う。 | ||||
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四人のそれぞれの心の分析が、会話を通して深く掘り進められます。ハイキングをしながらという設定なので、それがわざとらしく感じられません。最近、どこかで、食事をしながら、飲みながら、抽象的な話しはできないものです。山のなかでこそそういう純粋な話題を話し合えるのでしょう。私には利枝子に似ている部分があると思ったり、節子に、共感をもったり。男の人は、彰彦、蒔生に何か同感するでしょうか。内向的でありながら、島探検あり、謎解きありの、名作だと思います。 | ||||
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この年齢になると、一瞬思い出すことはあっても生活や時間に追われそのままになってしまうけど、たっぷり時間のあるの中で記憶のパズルを解いていくのは気持ちのいいことだと思います。4人の旧友がいるから自分の記憶とは違う真実を知ることになるけど、ここが楽しいのかもしれない。 | ||||
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この本を読んだあなたは、ずっと隠してきた、ずっと気付かない振りをしてきた、自分の心の暗い部分を見つけてしまうでしょう。自分自身の見たくなかった部分を見てしまい少なからずショックを受けてしまうかもしれません。けれど、それはあなたにとって悪いことではないはずです。珈琲の苦味のようなそれは、あなたに深みを与えてくれるからです。ショックを受けてしまったとしても大丈夫。この「黒と茶の幻想」の全体を流れる静かな感情―愛、憎、喜び、哀しみ・・・―があなたを包んでくれるから。利枝子達四人の切なくも強い生き方に救われるでしょう。 | ||||
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それぞれの登場人物の感情がきめ細やか。ミステリーでありながら、上等の恋愛小説のようでもある。4人が森に感じるそれぞれの想い。4人どの人物にも感情移入してしまう。誰もが思い当たるような日常。ゆっくりと時間をかけて読みたかったが、予想以上の面白さにすぐ読み終わってしまった。自分の何度も読み返したい本のリストに加えたい。 | ||||
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