■スポンサードリンク
黒と茶の幻想
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
黒と茶の幻想の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.19pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全40件 1~20 1/2ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
作者の最高作品の一つ。30代後半の親友4人が、島の大自然を旅しながら過去の秘密を思い出し解き明かしていく。男2人女2人の中には複雑に絡み合った事情があり、トレッキング道を歩きながら、ホテルで飲みながら、会話の中からその絡みが紐解かれていく心地良さ。気がつけば読者の私もその会話に参加しているような心地になっていた。それほど、それぞれの人物の造形が生き生きと描き分けられ素晴らしいのだ。 上下2巻のこの作品は4部構成で、順番に4人の一人称で語られる。他の3人の視点から見た同じ人物への評価の微妙な違いから、その人となりが際立ってくるのがとにかく面白い。ただの自惚れ目立ちたがり男だと思っていたのが実は一番純粋な奴だったり、飄々とした無口な男が実はとんでもない破滅願望の自己中だったり、そのどんでん返しが最高。作者の構成の準備の周到さ、人物描写の巧みさが窺える。 ベタ褒めしてしまったが、とにかく多作な恩田陸の作品群の中でも、「夢違い」「光の帝国」と並んでずっと読み続ける一冊になることは間違いない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
理瀬は登場せず、憂理が回想シーンで登場するだけですが、外伝とは思えない完成度でした。 学生時代の友人でアラフォーの4名が美しい謎解きをテーマに屋久島へ旅行する物語。4名の過去の謎解きや何気ない会話での分析・考察が面白い。 4名の視点で1章ずつ話が進んでいく構成で最後が節子さんでちゃんと物語が締まるのかと心配になってたけど、ちゃんと締まりました。構成も好みでした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
これ本当に同じ作家さんが書いてるのかな?というくらい色んな作品を書かれて、しかもそれがどれも面白いという意味で恩田さんは日本のスティーブンキングだと思っています。その前提だとこの作品はスタンドバイミーかな? | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
恩田陸さんは多様な作風で、ゲームやラノベかと思われるような軽いものから斬新なSF、不穏なミステリ、心あたたまるほのぼの作品など本当にいろんなものを書かれています。その中でこの「黒と茶の幻想」はほぼ純文学で、個人的には芥川賞を受賞してもおかしくないほど深い内容のものだと思います。 大学時代の同級生でずっと連絡を取り合っていた男女4人が屋久島に旅することになります。利枝子と蒔生はかつてつきあっていたけれど、蒔生は利枝子の親友を好きになったと告げ、彼らは別れていました。蒔生と再会して利枝子は彼への愛情をたぶん一生抱えていくのだと知ります。蒔生が惹かれた親友というのは「麦の海に沈む果実」であの学園にいた梶原憂理でした。 全部で上下760ページ超の長編は利枝子、彰彦、蒔生、節子の4章に分かれ、それぞれの視点から語られます。過去の謎が次第に明らかになり、人物の思いが繰り広げられるあたりはトマス・クックの哀切な作品群を思い出させます。 「麦の海」ファンの方には憂理のその後がわかるのも興味深いですが、4人各自が当時抱えていた事情や、同じことを経験し同じものを見ても、その内実がまったく異なるのはさらに興味深いです。 舞台はY島とされていますが屋久島のことで、原始に近い森を淡々と歩きながら交わす会話から、それぞれがずっと心に抱えていた思いが表面化し、いずれこの4人は再会しなければならなかったのだという、卒業後19年たっていてもこの旅の必然性が感じられました。 人間関係の貴重さとその限界が的確な言葉で描写され、縮めることのできない、または近づきすぎてはいけない人との距離が切ないです。彼ら4人は友人としてお互い理解しあい、敬意を払いあい、打てば響くような会話を交わしますが、結局、人間最後はひとりなのだということを知っているかのようです。 「夜のピクニック」をさらに深く重厚にしたような感じでしょうか。SFや謎解きミステリなど筋立てのはっきりした娯楽ものを期待するとはずれるかもしれません。 また、2001年作なのでスマホは出てきません(笑)。その時の流行など時代を感じさせるものもあり、10~30代の方にはやや古い感じがするかも。が、長く後世に残ってもいいすぐれた作品だと思います。恩田さん作品では1、2を争うほど好きな小説です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
利枝子編の中盤辺りから最後までずっと蒔生に対して嫌悪感や生理的な気持ち悪さを感じてて、その蒔生にいつまでも未練がましくぞっこんの利枝子にも少々腹が立ったけども(笑)内容はとても面白かった。分厚いけど一気に読んでしまった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
恩田陸の麦の海に沈む果実が大好きなんですが、続編この話を学生の頃読む気にならなかったのは憂理がさして好きな登場人物ではなかったからだと思います。 あらすじを読んでも当時は全く面白そうだと思いませんでした。 ふと、理瀬シリーズの続編でてるのかな?と思って検索してみると、この作品で憂理のその後がわかる、そして憂理が好きな人はショックを受けるので読まないほうが良いというコメントがあって逆に読んでみようという気になりました。 読むと確かにショックは受けるのですが、意外ではありません。むしろ麦の〜を読んでいる人には納得のいくその後ではないでしょうか。 麦の〜の登場人物は全員その後幸せになれないだろうな、という感じがしていましたが、あの学園を出た後に理瀬のように「特殊」ではなかった生徒がどれだけ世の中で苦しんだのかと思うと胸に詰まるものがあります。 この作品の語り部である4人は全員あの学園とは全く無関係な人々ですが、私はこの作品はやはりあの学園がある世界だと思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
面白かった! 最近ハマって3月は…から読み始めて、 この本にたどり着いた。 いろいろ繋がっていて、読了後、 次は何を読もうと楽しみ。 この話の続きが出たら良いな。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
一人ひとりの目線に立って4人それぞれの心象が見事に描かれています。 こんな旅、してみたいなぁ。。。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
三月は深き紅の淵を、からこの本にきました。 映像にするような内容ではありませんが、なんというか、潔いです、一人ひとりが。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
四人の会話は楽しめたのですが、私は誰にも感情移入出来ませんでした。誰かに共感出来る人ならもっと楽しめると思います。 憂理だけが幻想の世界の住人の如く登場します。私は憂理には何となく共感出来るのです。ですが、憂理の目線で物語を追うと、読後感は辛いものがあります。 上巻は慣れる迄はやや冗長に感じますが、美しい謎?を楽しみながら徐々に入り込めます。屋久島を旅した気分は味わえますが、恩田さんにしては俗っぽい印象です。とはいえ抜群のリアリティーは恩田さんならではで、物語の入れ子構造的な要素はそれなりに味わえますし、小説を読む楽しさは十分に実感できる作品です。 ただ、憂理はもう一度、描き直して欲しいですね。これで終わりではあまりに哀しいです。(下巻を含めたレビューです) | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
先に「三月は紅の・・・」を読み、その中に語られる この「黒と茶」の断片を読んだときには、最初は日常的なかんじではじまって だんだんやばく、というか危うい感じになっていくというパターンかと思っていました。 が、読んでみると、違いました。危ういところは何回かあったにもかかわらず、 最後には何という、さわやかな読後感。 構成的に最後の語り手として(恩田さんにはよくあるのですが、語り手が それぞれ登場人物4人が一人1回で4回変わります) 一番常識人っぽい登場人物を持ってきたのもうまかったと思います。 これは、登場人物がすべて「高校出てから19年」の、それぞれ妻子つき、 押しも押されぬ中年男女なのにも かかわらず、「青春小説」と私は感じました。 元々青春小説というとお日様の下でボールを追いかけて的なシチュエーションが 絶対のような感じがある中で、夜中の話で青春小説を見事に書いた 「夜のピクニック」は秀逸だと思っていましたが、 今度は、登場人物が若くなくても書けるのだ、というのをみせてもらった気分です。 中には結構どろどろした話も含まれているのに、こんなさわやかな読後感とは、 不思議な気分です。 やはり、屋久杉、屋久島という設定の骨子が効いているのかもしれません。 恩田さんのは「夏の名残の薔薇」みたいなのも大好きですが、この作品は ちょうど主人公4人と同じ世代の私にとっては、いろんな点で 心に響く物語でした。結末が気になってさきを読むお話と言うよりは 途中すべてを楽しく読みながらゴール、というお話でした。 帯の文句通り「本が好きな人に」おすすめです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
美しい自然に囲まれた屋久島に、美しい男女4人が集まり、自分たちの過去を巡る「美しい謎」を解きあっていく。 ほぼ全編、会話と回想で進んでいくのですが、会話は機知に富んでおり、「謎」もスリリングで飽きさせない。 そして舞台となる屋久島の自然の素晴らしさ、というか、それを描き出す著者の筆力のすごさも、この小説の大きな魅力。 屋久島の森を巡りながら、人の誰もが抱える心の森の中に分け入っていく・・・そんな趣の一冊です。 もっとも、私のようなひねくれた人間は、そのあまりにも整いすぎた舞台設定に、なんとなく鼻白んでしまうのも事実。 そんなわけで星4つなのですが、フィーリングが合う人には最高の一冊なのではないかと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
恩田作品で1番好きです。一人ひとりの心の中を描いた作品。 心とは別に、現実の世界でのかけひきも絡み一見ぐっしゃぐしゃになってもおかしくない人間関係を、最後まで美しく描いています。 視点が一人ずつ変わっていくのですが、こういう順番でくるかーというちょっとした驚きもあり。 他シリーズと重なる部分は恩田ファンにとってはテンションのあがるところ。 今はこれを超える新作を期待しています。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
これと言った事件は何も起こらないのに 先が気になってドキドキする。 そんな本だと思います それにしても、独特の雰囲気で読ませる作家だなあと思う。 この作家さんのファンが多いのにも頷ける。 時々、ハッとさせられる文章があって 思わずメモしたくなるような・・・ 素直に文書を読んだら 4人の登場人物と共に 自分もまだまだ成長出来そうな気がした | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
これと言った事件は何も起こらないのに 先が気になってドキドキする。 そんな本だと思います それにしても、独特の雰囲気で読ませる作家だなあと思う。 この作家さんのファンが多いのにも頷ける。 時々、ハッとさせられる文章があって 思わずメモしたくなるような・・・ 素直に文書を読んだら 4人の登場人物と共に 自分もまだまだ成長出来そうな気がした | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
学生時代同級生だった、利枝子、節子、蒔生、彰彦の四人は、それぞれの思いを抱えながらもJ杉を見る旅行に出かける。 旅のテーマは『非日常』。 持ち寄った「美しい謎」を解きながら歩くうち、少しずつ何かが変わっていく… 基本的に恩田さんの作品は苦手なのですが、これはおもしろかったです。 それぞれの事情が丁寧に作りこまれていたし、情景描写もきれいでした。 上巻は、大学時代にひどいふられ方をしたとはいえ、まだ蒔生のことが気になる利枝子の物語と、なぜか紫陽花が怖く、その理由を思索する彰彦の物語でした。 個人的には、彰彦のお話のほうがおもしろかったです。 四人の中で、彼のお話が一番謎が多く、興味をそそられた気がします。 途中に出てくる不思議な少年とのエピソードも象徴的で印象深かった。 特に何が起こるわけでもないけれど、味わって読みたいお話でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
エンターテイメントでありながらも、人物描写が素晴らしい。 「自己」というものが、いかに多面的で不確かであるかについて描きつつ、 なぜ人が互いに惹かれ合い、嫌悪し合うのかといった関係性の妙、 人生の綾についても、男女4人の語りを通して鮮やかに浮かび上がらせる。 むろん、人生の実像は期待はずれや失望、いたずらの連続である。 それこそ、「小説」のように甘美なものではない。 しかし、この4人のひとたちの、なんと愛おしいことか。 太古の森の彩りに負けず劣らず、人間の泥臭さといったもののがいかに 慈しくひかりに満ちているか、この小説は教えてくれる。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「非日常」と「美しい謎」。まさにこれこそ恩田ワールドにぴったりのテーマじゃありませんか。学生時代の友人たちが、旅行に出かける。そこは俗世とはかけ離れた、太古の森を抱く島。謎にはぴったりの舞台が用意されている。 蒔生、彰彦、節子、利枝子の4人。ここに、これまた謎めいた存在の”梶原憂理”がどのようにからんでくるのか。上下巻、4部構成で、それぞれタイトルには登場人物の名がついている。タイトルとなっている人物の目を通して、物語が進んでいく。 誰が殺したとか、堂殺したとか、派手なトリックが出てくるわけではなく、かといって、ほんわかした、いわゆる”日常の謎”でもない物語。それぞれが無意識に、この旅で何かを解決しようとしている。それがなんなのか、旅に出た当初はわかっていないのだけれど、繰り返されるたわいもない会話のうちからおぼろげに見えて来る。 いつか行こうと思っているものの、なかなかいく機会に恵まれない。時間とかお金とか仕事の制約で。それが、ひょんなことから実現する瞬間というのは、それがその場所へ「行くべき時」が来たということなんだ、この4人はそれがわかっている。そこで何かが起こるということも。 謎というのは必ずしも解けばいいというものではなく、謎は謎のままのほうが美しい場合もある。それがわかっていながら、答えを探さずにはいられない。それによって苦しむかもしれないと、心の底ではわかっていながら、知らずにはいられない。人間ていうのは、不思議なものです。その答えを見つけることによって、この4人は、これからどんな人生を歩んでいくんだろう。 この物語の設定が、ひなびた温泉旅館なんかだったら、中年にさしかかろうという男女4人の、ただ過去を懐かしむような陳腐な物語になってしまうかもしれないところ、Y島という特殊な舞台だからこそ、雰囲気も盛り上がる。 一部に『麦の海に沈む果実』の風景が出てきて懐かしくなった。恩田作品を愛読している人にはおなじみでしょうが、どの作品も、随所に”おなじみ”のものが出てくるのです。それも、恩田作品の楽しみですよね。 早く下巻も読みたいです。憂理はどうなったんだろう? | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
今はそれぞれの生活を営む4人の男女が、過去の謎を解き明かすべく旅をする。本屋大賞を受賞した「夜のピクニック」の大人版のような、1冊でした。 4人のキャラクター設定がはっきりしており、それぞれの人物の立場で「利枝子」「彰彦」「蒔生」「節子」と章立てされている構成もお洒落です。 旅する中で明らかになる事実、本人しかわからないままの謎など、読み手の興味をぐんぐん引き寄せていくので、長編ながら厚さを感じさせません。 この仲間に入って一緒に語り合いたいと思いつつ、旅の終わりには一緒にしんみりした私です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
言葉が巧みに状況を見え隠れさせている。言葉が良くも悪くも全体を支配している。誰の視線、誰の考えをきちんと理解しておかないと、しばらく誤解したままでいたりもする。 それにしても、こんな静かな文章に極限状態を織り込んだものだ。圧倒的な存在感のJ杉は姿を見せてもいないのに。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!