■スポンサードリンク
黒と茶の幻想
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
黒と茶の幻想の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.19pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全53件 21~40 2/3ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
これと言った事件は何も起こらないのに 先が気になってドキドキする。 そんな本だと思います それにしても、独特の雰囲気で読ませる作家だなあと思う。 この作家さんのファンが多いのにも頷ける。 時々、ハッとさせられる文章があって 思わずメモしたくなるような・・・ 素直に文書を読んだら 4人の登場人物と共に 自分もまだまだ成長出来そうな気がした | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ストーリーそのものは良かったのですが(少なくとも上巻は)、 表現が気になりました。 具体的に述べると、同じ語や抽象的な表現、余計な描写が多いと思ったのです。 まず、学生時代の仲間同士が旅行に行くところから始まるのですが、 時系列が前後するので、最初は潔が不参加であることが分からず、戸惑いました。 そして、主題が「憂理」のことなのに、彼女の名前が出てくるより先に、P71でただ「彼女」とだけ表記するのは、唐突な印象を受けました。 個人的には、「憂理」の名前が先の方が良いと思います。 それにしても、パートナーがいる男女が、それぞれ単独で旅行に参加などするものですかね? 彰彦が女性から呼び捨てにされるのも、現実的ではないような気がします。 彼は蒔生と大学から付き合いがあるというだけなので、そこまで親しくなることができるものなのでしょうか、疑問に思います。 また、P223あたりで「幸福」が4文節の間で5箇所も出てくるのが読み辛く、 「こと」や「そこ」などに置き換えた方がよいと思いました。 それ以外にも、P231やP278あたりの描写はややくどく、 省いた方がすっきりすると感じた文章もありました。 節子が分かりにくい話し方をするというようなことも書かれていますが、 読みやすくすることの方が大切ではないでしょうか。 同様にP206〜208、P306〜314の人達の話も、入れなければいけない必然性は感じませんでした (下巻でリンクしていたらゴメンなさい)。 そうそう、独白なのに「話が逸れたが」という表現もありましたね。 このようなところも、違和感を覚えるものでした。 何かアラ探しをしているようで嫌になりますが、気になるものは気になるのです。 下巻はもっと読みやすいことを期待します。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
学生時代同級生だった、利枝子、節子、蒔生、彰彦の四人は、それぞれの思いを抱えながらもJ杉を見る旅行に出かける。 旅のテーマは『非日常』。 持ち寄った「美しい謎」を解きながら歩くうち、少しずつ何かが変わっていく… 基本的に恩田さんの作品は苦手なのですが、これはおもしろかったです。 それぞれの事情が丁寧に作りこまれていたし、情景描写もきれいでした。 上巻は、大学時代にひどいふられ方をしたとはいえ、まだ蒔生のことが気になる利枝子の物語と、なぜか紫陽花が怖く、その理由を思索する彰彦の物語でした。 個人的には、彰彦のお話のほうがおもしろかったです。 四人の中で、彼のお話が一番謎が多く、興味をそそられた気がします。 途中に出てくる不思議な少年とのエピソードも象徴的で印象深かった。 特に何が起こるわけでもないけれど、味わって読みたいお話でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
エンターテイメントでありながらも、人物描写が素晴らしい。 「自己」というものが、いかに多面的で不確かであるかについて描きつつ、 なぜ人が互いに惹かれ合い、嫌悪し合うのかといった関係性の妙、 人生の綾についても、男女4人の語りを通して鮮やかに浮かび上がらせる。 むろん、人生の実像は期待はずれや失望、いたずらの連続である。 それこそ、「小説」のように甘美なものではない。 しかし、この4人のひとたちの、なんと愛おしいことか。 太古の森の彩りに負けず劣らず、人間の泥臭さといったもののがいかに 慈しくひかりに満ちているか、この小説は教えてくれる。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「非日常」と「美しい謎」。まさにこれこそ恩田ワールドにぴったりのテーマじゃありませんか。学生時代の友人たちが、旅行に出かける。そこは俗世とはかけ離れた、太古の森を抱く島。謎にはぴったりの舞台が用意されている。 蒔生、彰彦、節子、利枝子の4人。ここに、これまた謎めいた存在の”梶原憂理”がどのようにからんでくるのか。上下巻、4部構成で、それぞれタイトルには登場人物の名がついている。タイトルとなっている人物の目を通して、物語が進んでいく。 誰が殺したとか、堂殺したとか、派手なトリックが出てくるわけではなく、かといって、ほんわかした、いわゆる”日常の謎”でもない物語。それぞれが無意識に、この旅で何かを解決しようとしている。それがなんなのか、旅に出た当初はわかっていないのだけれど、繰り返されるたわいもない会話のうちからおぼろげに見えて来る。 いつか行こうと思っているものの、なかなかいく機会に恵まれない。時間とかお金とか仕事の制約で。それが、ひょんなことから実現する瞬間というのは、それがその場所へ「行くべき時」が来たということなんだ、この4人はそれがわかっている。そこで何かが起こるということも。 謎というのは必ずしも解けばいいというものではなく、謎は謎のままのほうが美しい場合もある。それがわかっていながら、答えを探さずにはいられない。それによって苦しむかもしれないと、心の底ではわかっていながら、知らずにはいられない。人間ていうのは、不思議なものです。その答えを見つけることによって、この4人は、これからどんな人生を歩んでいくんだろう。 この物語の設定が、ひなびた温泉旅館なんかだったら、中年にさしかかろうという男女4人の、ただ過去を懐かしむような陳腐な物語になってしまうかもしれないところ、Y島という特殊な舞台だからこそ、雰囲気も盛り上がる。 一部に『麦の海に沈む果実』の風景が出てきて懐かしくなった。恩田作品を愛読している人にはおなじみでしょうが、どの作品も、随所に”おなじみ”のものが出てくるのです。それも、恩田作品の楽しみですよね。 早く下巻も読みたいです。憂理はどうなったんだろう? | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
今はそれぞれの生活を営む4人の男女が、過去の謎を解き明かすべく旅をする。本屋大賞を受賞した「夜のピクニック」の大人版のような、1冊でした。 4人のキャラクター設定がはっきりしており、それぞれの人物の立場で「利枝子」「彰彦」「蒔生」「節子」と章立てされている構成もお洒落です。 旅する中で明らかになる事実、本人しかわからないままの謎など、読み手の興味をぐんぐん引き寄せていくので、長編ながら厚さを感じさせません。 この仲間に入って一緒に語り合いたいと思いつつ、旅の終わりには一緒にしんみりした私です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
恩田陸作品、夜のピクニックを読んで以来、このサイトで評価の高いものを片っ端から読んでます。これはぶ厚いけれど恩田作品の中では読みやすい部類だと思います(夜ピクなみに)。屋久島の湿度ベタベタな深い深い森を自分も一緒にさまよう気分になるのはいつもの恩田節ですが、「蛇行する川のほとり」や「麦の海に沈む果実」や「月の裏側」「ユージニア」のような作品に比べるとライトなんです。登場人物4人の会話が多用されてるので他作品のような重苦しさ(そこが良さでもあります)が薄まってるんです。恩田陸は夜ピクかこの作品から入るのがよろしいかと私は思います。映画にならないかな。利枝子は木村多江さん、彰彦は加藤雅也、蒔生は堺雅人…なんて想像しながら読んでました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
言葉が巧みに状況を見え隠れさせている。言葉が良くも悪くも全体を支配している。誰の視線、誰の考えをきちんと理解しておかないと、しばらく誤解したままでいたりもする。 それにしても、こんな静かな文章に極限状態を織り込んだものだ。圧倒的な存在感のJ杉は姿を見せてもいないのに。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
もう若くはなくそれぞれ配偶者もいる学生時代の同窓生男女四人が離島へ旅行。各章毎四人の持ち回りで構成。上辺では安楽椅子探偵気取って謎解きをしたり、お互い現在にいたる経緯を報告しながらの旅。旅の中でも船旅のリミットは特別。船でしか行けない土地は世界から隔離されたよう。大人になると想像以上に自分の考えることを話さないものなのだなと実感。そもそも考えることを回避しているのに愕然。あの頃とは違うしあの頃と同じ。そして旅にも終わりがきます。恋人でなく配偶者でもない異性と旅に出たくなる小説。文庫より単行本で読むのが気分です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
タイトルは、一応ほめ言葉のつもりです。 下巻はこれから読むのですが。 明らかに、屋久島をイメージさせる、神秘と古代の空気漂う 島の奥の、奥を目指して、若かりし頃の密接な友人たち が旅行に。しかし、過去を振り返りつつ、自らの内面を省み、 友人関係を深く深く掘り起こすとき、知ってはいけない、知る 必要のなかった、心のわだかまりの謎、失踪した「ある大切な人」 を取り巻く、秘密に迫ることになってしまう・・。 これを、古今東西の膨大な薀蓄(うんちく)と、詩情豊かで、しかし、 簡潔な文章で描く、ある種の、若かりし頃と現在のインナートリップ です。 散々四人の関係と、薀蓄を広げながら、ラスト(上巻での)が、 ミステリーの謎ときになっているところが、ジャンルを超えた才能を もつ、恩田さんの真骨頂。 行ってみたいな、屋久島の千年杉・・・。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
学生時代の友人である男女4人が,仕事や家庭を抱える歳になった今, 大自然に囲まれる島への旅に出て,想い,語ります. そんな中,トラウマや相手への感情があらわになる様子は, 人間くささを感じ,生々しくて読み応えがあります. また,物語の鍵となるある人物について語られるところも, 記憶の曖昧さや意図的な情報操作でぼやけた印象なのですが, 却ってそれがリアルに感じられてよかったと想います. ただ,その曖昧さがそのまま最後まで続いてしまって, その鍵となる人物のことははっきりとしないままです. やんわりとぼかす『大人の対応』と読み取りましたが, かなり重要な人物のはずなのでどうも物足りませんでした. あとは,舞台となる地名や名所がイニシャルなのですが, これに出くわすたびに現実に戻されたような違和感でした. それならまったく架空の地名にすればよかったのでは…. 余談ですが,旅のお題で『美しい謎』を持参して語り合うのですが, イメージとしてはちょっと知的な居酒屋トークといった具合. ただ,登場人物それぞれがなかなか頭の切れる人たちばかりで, そのアプローチは本題とは直接関係ないのですがおもしろかったです. | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
中年になった友人と旅行を通じて、青春の頃の思い出を思い出させる。 一人一人の思いが章立てで分けて書かれていて、当時の本当の気持ちと今ある自分についてみつめなおす。バブル世代に学生だった人たちにはほろ苦い思い出をきっと思い出すであろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
恩田ファンなら楽しめると思います。「夜ピク」はまだ未読なのですが、仲間と歩いて肉体的な疲労や達成感を共有しつつ、自分の内面を 振り返る・・・という設定は似ているのでしょうか。 「麦の海」などの学園ものもそうですが、恩田作品は、いったん外部の から遮断された世界の中で展開していく、という点が魅力でもあり、 設定のずるさでもあるような気はします。 同世代感が味わえるのでつい買ってしまう反面、人物像はやはり平坦で 作り物めいた感はぬぐえません。同性愛や近親相姦のとらえ方も薄っぺらでマンガチックなので星は3つにしました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ある種のミステリーではあると思うのですが、事件とかが起きた訳ではなく、4人の登場人物の過去の謎に迫る内容です。 屋久島の描写も美しく、特にこの著者独特の表現が生きていて、不思議な太古の森の世界へ連れて行かれました。 屋久島は一度行ってみたい所だったので、興味も惹かれました。 後書きの無い本なので、この人の後書きを読んでみたいとも思いました。 ボリュームの割りにサクサク読めてしまう感じで面白かったです。飽きさせないポイントポイントが次々出てきて、また、同じ事について語っていても、語り手によって、明らかにされる謎が違ったり。。。 ただ、屋久島をY島とか、J杉とか何故かアルファベットに置き換えられていてそこがちょっと読みづらさを作っていました。何故、そのまま屋久島、縄文杉...じゃダメだったんでしょうか? 日常生活を離れて...と言うのを強調する為に、実際の地名を使うのを避けたのでしょうか?理由が分かりませんが... また、タイトルの意味も明確には読み終わった今も掴み取る事が出来ませんでした。読み足りないのかな?色で言うなら緑なら分かるんですが。。。心の中の美しい謎がこういう色になるんでしょうか? 恩田作品を初めて読んで、いきなり楽しく読める本に出合えました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この作家は、ミステリやファンタジー形式の作品が多いのだが、究極のテーマは人間そのものである。 それは、明治、大正の文豪たちが挑んだテーマであり、純文学といわれるものが常に追い求めてきたテーマでもある。 作者は、直木賞候補の常連となりつつあるが、芥川賞こそがふさわしい。 特にこの作品などは、深淵なる謎につつまれた人間存在の一端が垣間見える名作であり、文豪の品格漂う一編と言える。 恩田陸に芥川賞を贈ったりすれば、今の文壇をかなり見直すんだけどね。。。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
4人の男女が旅に出て過去という名の謎に向き合う。恩田作品においては処女性の代名詞のような少女・憂理が物語のカギを握り、また、トラウマめいた謎が後をたたないが、これはおとなの物語だ。「おとなではなかった頃」に戻りたくても戻れないことを知っているおとなたちの物語である。4人はそろって怜悧な頭脳の持ち主だ。観察眼、判断力、想像力に優れ、なのに自分のこととなると途端に蒙昧になる。大切な人間が立ちはだかり、盲点を作っているからだろう。利枝子にとっての蒔生、彰彦にとっての姉・紫織、そして蒔生にとっての憂理だ。自分自身のなかに死角をもった彼らは、危うい。最も現実的な節子でさえ幼いころの危うさを内包している。解けない謎はなかった。謎を謎のままにしておけない4人の潔癖さが辛い印象を残す。一方、彼らが歩く森は、人間が足を踏み入れることのできない暗やみに膨大な謎を隠し、けれど圧倒的に安定している。自然との対比が鮮やか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
それぞれが抱える思いを胸に秘め同級生はある島へ旅行に出かける。彼らの出会いや過去のエピソードが語られるうち、昔起こったある出来事の真相が語られていく。こう書いてみるとものすごくミステリー小説っぽいですが、決してそれだけではありません。それぞれ一人ひとりの人物がよくかけていて、それぞれが抱えてきた苦しみは時間が経とうとも消えないのだなと感じた。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
恩田陸さんに惚れこみ、図書館でこの本を見つけて借りてみました。その分厚さに、ちょっと気後れしながら・・・。しかし、その心配は無用でした。内容は、大学時代の友人だった4人が久しぶりに再会し、旅行に出かけるというもの。複雑に絡み合った4人と、その友人や家族との関係。大学生だったあの時期、一体4人に何が起こっていたのか・・・!?4人の名前が掲げられた4つの章に分かれており、その人物の視点から話が進み、そして過去の謎が少しずつ暴かれていくのです。この『黒と茶の幻想』は、恩田さんの『三月は深き紅の淵を』の中にそのまま登場します。恩田さんのいくつかの作品は、シリーズという訳ではないようですが、同じ名前の人物が登場して、ある作品では架空の人物だったり実在の人物だったりします。様々な作品や魅力ある登場人物が、全く違う作品にふと登場して、それが背後に隠れる神秘的な謎となって作品全体に影響を及ぼしているような気がします。様々な形で作品同士が複雑に絡んでいるので、現在私はそれを把握しきれていない状態ですが・・・。とにかく、先が気になって仕方ないこの本。恩田陸が好きな人、屋久島に行ったことがある人、これから行きたいと思っている人にもオススメです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
大学時代の友人たち、男2人女2人の4人旅。各メンバーがそれぞれ素敵で、きっと誰かに感情移入できることと思います。こんな旅がしたい!と絶対に感じさせられます。本の中でゆったりと流れていく時間が心地よいです。四人が話している内容をじっくり味わって読みたい一冊。長いし高いけど読む価値ありです!! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「旅行に行きたい」この本を読んでそう思いました。日常じゃない空間だから口をついて出てくる本音、見えてくる事実、互いに対して深まる疑惑。『三月は深き紅の淵を』の中で「伝説の桜を探して旅をする4人の話」として紹介されている一遍とこの本は重なる部分があります。主要登場人物4人各々の視点から描かれた物語の中には、惜しげもなく多くの謎がちりばめられています。それら全ての謎がすっきりと解決するというわけではありませんが、そこも魅力の1つだと私は思います。主要登場人物4人はもちろんのこと、回想、思い出話等に出てくる人物たちも非常に印象的です。贅沢な本だと思います。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!