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(短編集)
写楽・ 考
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【この小説が収録されている参考書籍】
写楽・ 考の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全15件 1~15 1/1ページ
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以下の四篇を収めた【蓮丈那智(れんじょう なち)】シリーズの一冊です。 ■ 憑代忌(よりしろき) 初出は、「小説新潮」2003年10月号 ■ 湖底祀(みなそこのまつり) 「小説新潮」2004年2月号 ■ 棄神祭(きじんさい) 「小説新潮」2004年4月号 ■ 写楽・考(しゃらく・こう) 「小説新潮」2004年12月号 このなかでは、中篇と言ってもいい分量の表題作「写楽・考」が最も読みごたえがあり、面白かったです。 スポットライトが当たり、そこから浮かび上がってくるものこそ違ってますが、忘れ難き名品、泡坂妻夫の短篇「椛山訪雪図(かざんほうせつず)」を彷彿させる妙味があり、魅了されました。 著者の別シリーズで主役を張る人物と、蓮丈那智との共演も、とても良かったです。 文庫本巻末の解説は、大矢博子さん。 著者の作品への的確な評とともに、作家と作品への愛が脈打つように書かれていて、かつて北森ワールドにハマった一人として、すごく嬉しくなりました。乾杯 | ||||
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続編は出ないことが残念 | ||||
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やはり、北森鴻さんは面白い 既に鬼籍へ入られてはいるが、蓮丈那智シリーズの再発行を望む | ||||
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楽しめます | ||||
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知的好奇心が刺激されますね。興味深い作品です。キャラクターの設定もなかなか。 | ||||
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いずれもほぼ同時に到着、ただちに読了できました。特に問題はありません。 | ||||
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蓮杖那智シリーズはすでに読了してますが、図書館で読んでいたこともあって、手元にほしくて、今回かいました。だから、中身について文句ないのは初めからわかっていました。 | ||||
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第一話 憑代忌 .憑代(ことに人形)は、マレビト(常世からやってくる。時に吉事をもたらし、時に凶事をもたらす。神)との触媒であったものが器物と化し代理と変化して常民の身代わりとして厄災を引き受け川などに流されることになる。 折口信夫は芸能の起源をマレビトが憑代に憑依し人々に様々なものを与える。そこで執り行われる儀式が祭事でありそれが原点であると述べている。 呪いの絶対条件は、かけた相手が呪いより劣っていることである。呪いに勝る力を相手が持っていると今度はかけた相手に倍返しされる。それ故に、呪いの代理としてゲーム感覚に行き着く例がある。そしてそれは、仮想の現実から飛び出して現実に悪さをすることもある。 第二話 湖底祀 .諏訪神社御柱祭、これは怪我人や死人を生み出すための祭りではないのか。神への供物、繁栄と生命の交換儀礼つまり贄。御神体の象徴でもある御柱を運ぶという行為にカムフラージュして贄を捧げている。 棒・鳥居こそが信仰の対象そのものである。鳥居の原点は棒(もっと原初は杖)にある。それは塞の神である。鳥は常世の使いである。社殿や祭神は本来見ることの出来ない世界を具現化したものに過ぎない。宇治平等院鳳凰堂のように。 三内丸山遺跡の大型掘立柱建物は最も古い形の鳥居かもしれない。 第三話 棄神祭 .意外な結末となるが、殺害されるための女神(保食神)そして縄文の破壊されるための土偶。それは、そのことにより自らを豊穣物に代えて常民に与えている。殺害されることに意味を持つ神々である。 世界には、今もよく似た儀式を持つ部族がいる。喫人対象としてのシャーマンである。 第四話 写楽・考 省略 | ||||
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この独特の世界観。他にはない。蓮丈那智も民俗学も。大学教授なんてもっと理屈っぽい生き物かと思いきや、古い世界のしきたりなど鼻にもかけず、まさに”自由闊達に航海する”。私にとってはとても魅力的なキャラクターなのです。民俗学を実際に研究されている方が読んだらどう思うかわかりませんが、理屈抜きにおもしろい読み物になっていると思うのですよ。まるでノンフィクションを読んでいるような面白さ。過去のいつかに、こんなことがあったら面白いだろうな、と思わせてくれるんです。それとミステリを絡めて書いてあるんですよ、面白くないわけないでしょう。これだけの民俗学の蘊蓄をミステリと絡めるには、ものすごい下準備が必要でしょう、その面倒さを感じさせないくらい”さらっと”書いてあるところがまたよろし。いかにも研究しました的に蘊蓄だけを披露されると、小説としての面白みがなくなってしまうと思いますが、そこはあくまでも脇役。本筋はミステリなのであって、那智がどう事件を解決していくか、というところがきちんと描かれているからミステリとして楽しめる作品になっているのです。今回は教務部の”狐目の男”が活躍(?)する表題作が一番面白いかな。いつものごとく、他シリーズの登場人物が出てくるのもファンとしては嬉しいところです。これだけしかない資料からこんな風に論理を展開してものごとを証明してく民俗学っていうのはなかなか面白い学問だ、と門外漢の私も興味を持ってしまうほど、事件解決への過程が絡繰箱の証明の道そのものをたどっていくような面白さがあり、そこに普段は三國に文句しか言わない狐目の男が絡んでくるものだから、嫌が応にもラストへの期待が高まるじゃありませんか。ここまで来て、この事件の内容がどうこのタイトルとリンクするのか。最後まで読んでやっとわかりました。もうこのシリーズが読めないのかと思うと本当に残念です。北森作品の中でも、蓮丈那智シリーズが一番好きだったのに。 | ||||
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◆「憑代忌」 内藤三國と佐江由美子は、南アルプスの火村家に 「御守り様」と呼ばれる人形の民俗学調査に訪れた。 その翌日、人形が土蔵から紛失し、後に発見 された際には、無惨にも顔が潰されていた。 そしてその直後、人形と同様に顔面を潰された 火村家の当主・火村恒美の死体が発見された。 火村家の御守り様は、恒美に降りかかる災いを我が身に引き受ける形代とは ならず、ただその死を予言する、悪しき憑代でしかなかったのか……? 殺人と人形破壊を逆説的論理で結びつける着想が秀逸。 オカルティックなロジックや道具立ての背後に、 世俗的な動機をしのばせる手際もお見事です。 | ||||
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決して表舞台に出ることなく推論を重ねる表題作。写楽という人物を描き出すための壮大な装置が仕掛けられている。 頭の中で整理されていく歴史は、本物かどうかよりも説得力を持つかどうかという視点で語られていく。 物事はある面から語られているに過ぎないのだ。そしてこの作品は十分に説得力を持っている。 | ||||
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異端の民俗学者として、フィールドワークに奔走し、 そこで出会う殺人事件なども解決する、蓮杖那智シリーズ、第三弾。 連作短編集です。 地元で「お守り様」といわれる人形が破壊され、持ち主の当主も殺害される事件と 憑代についての考察をした「憑代忌」、 湖の底から発見された鳥居に関するごたごたと、鳥居についての考察の「湖底祀」、 評判のいい旧家の執事が殺された事件と、保食神に関する考察をした「棄神祭」、 失踪した資産家の行方をめぐる事件「写楽・考」の四作が収録されています。 あいかわらず助手の三國は那智にふりまわされていますが、 新たに助手由美子がくわわったためか、 那智自身と三國が一緒に行動することが少なくなった気がしました。 かわりに活躍しだしたのが、狐目の事務方、高杉。 だんだん民俗学への想いを復活させた彼は、今回かなりの活躍をしています。 民俗学の謎も、ミステリとしての謎も、ちょっと強引な気がします。 二つを重ね合わせることで、答えが「正解」である感じを お互いに強めているのでしょうが、証拠が弱い感じ。 けれどおもしろいので、いいのかもしれません。 | ||||
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美貌の民俗学者、蓮城那智を主人公にしたミステリーの文庫最新作。 このシリーズは、民族学的な謎と現在の事件とを同時進行的に解決していくシリーズで、民族学的な目で見ても楽しければミステリとしても十二分に楽しめめるという一粒で二度おいしいシリーズ。特に、民俗学は解決のない学問だけに、その仮説は今までの常識や通説を越えたところにあり、知的好奇心を満足させてくれます。ミステリの方も短編ならではの小気味いい展開で解決されていきます。まずもって考古学上の謎があり、それと密接に絡んだ事件があり、ということで普通のミステリ以上に仕込みが大変な作品を惜しげもなく短編として次々に出てくるのですから、このシリーズは価値が高いです。 またこのシリーズは、主人公の異端の民俗学者、いつも超然として常人では考えつかない発想で論文を発表し続け、こと事件においては快刀乱麻で真相を提示する蓮城那智をはじめ、ほかのキャラクターもずいぶんと魅力的です。助手の内藤三國は、那智のトラブル処理と大学との狭間にたって常に難しいポジションにいながら笑わせてくれます(「ミ・ク・ニ」と耳元で囁かれると硬直して思考停止してしまう彼がとても楽しくて愛すべきキャラクターです)。また、最近では、大学の事務方の「狐目の男」が実はこれまた民俗学者として大変に優秀だった男であることが判明。今作でも事件に絡んできます。キャラ同士のかけあいもこのシリーズの楽しみの一つです。 また、北森ファンとして嬉しいのは、旗師の冬狐堂が今作でも重要なポジションでゲスト出演されていることです。今月はたまたまのタイミングかもしれませんが、あちらのシリーズも文庫で最新刊が出ていて、なかなか興味深いです。 評価は5の5、瑕疵を見つけることができない作品です。 | ||||
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「民俗学」と聞いて、ピンと来る人はなかなか居ないのではないでしょうか。 悪く言えば「マイナーな学問」に携わるある学者とその助手の、波乱とサスペンスとを描いたストーリー。 誰もが聞いたことがある説話から、誰も聞いたことがないような説話にまで大胆なアプローチでの解釈を行い、それをさらに現実の事件にも関連させて物語としている、今までに類を見ない新しい分野の小説ではないでしょうか。 それでいて、一話一話は読みやすいサイズにまで無駄を切り落としているのは、まさにプロの技。 「推理小説」や「サスペンスノベル」だけでは語れない、新たな楽しみを是非。 | ||||
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作者本人がどこかでぼやいていたように、短編一本分に掛けるコストが通常のよりもずっと大きいことが、明らかにこの蓮杖那智シリーズの一編一編に膂力を漲らせる源泉になっているのは疑いを得ない。いや、作者の力でなら十分長編化できるネタを、短編に用いている(あえて短編サイズに刈り込む)ことで、ソリッドな世界観を構築できているというべきだろう。蓮杖那智のクールさは、実は道化と紙一重だ。彼女自身のパースペクティブによって、「世界」は鮮やかに裏返されるが、かなりアクロバティックな所作がコンパクトに違和感なく提示されるのは、奇矯さを「逆説」を担保にひとつの論理へと昇華させる、作者の絶妙な手腕に他ならない。そう、これこそ「探偵小説」の醍醐味ではないですか! ――で、名探偵が道化を引き受けず超然としているなら、その取り巻きが代行するほかない。かくして、三國クン受難の日々が続くわけです。……巻頭作「憑代忌」は伝奇ミステリに泡坂妻夫風ブラックユーモアの味付けをした怪作(ていうか二話目のタイトルはもろ泡さん宛ではないですか)。後の作品も伝奇に逆説と諧謔の味を加えて間然するところない。――表題作は陶子登場にして、キツネ目さんもレギュラー入りする雰囲気で、ファン心をくすぐります。それにしても、なんて大胆不敵なタイトルだ。 | ||||
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