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(短編集)
写楽・ 考
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写楽・ 考の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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蓮杖那智シリーズ過去二作は、異端の民俗学者・蓮杖那智の魅力的なキャラクターと民俗学的な「大胆なアプローチ」によって読む者を楽しませてきた。この「大胆なアプローチ」というのが厄介な言葉で、今作では最もそれが表出したといって良い、ほど話がぶっ飛んでいる。 だが今作に限ってはそれが仇となっている、と私は感じた。 「憑代記」「湖底祀」「棄神祭」「写楽・考」全話において、過去二作に比べて「より発想を飛躍」した謎解きがある種のテーマであり、おそらく作者の目指した所であり、売りであると言える。 ただしミステリーの仕掛けとしては、三作通してパターンに徹しているためか既視感とスケールの小ささを感じざるを得ない。 にもかかわらず民俗学的な推察は広がる一方なので、そのアンバランスさに読者をたびたび置いてきぼりにしてしまう感があった。 特に「棄神祭」「写楽・考」のラストの落とし所はまさしくそれだった。 「理解はしたけどもさぁ・・・」となる。 あとここからは個人的な好みの問題だが、蓮杖先生がもっと精神的に切羽詰まればミステリーとしての深みが増すとも思った。最後までしれーっとしてるんだもの。内藤君の頑張りが空しく映るほどに(笑) 二作目の『触神仏』では蓮杖先生に命の危険が及ぶ事で、決死の推理が勢いづいて読み進めるのが楽しかったのだが(ああこの人にも人間らしい所があるんだなぁって具合に)。 今回は研究者としての立場が本格的に危うくなる。しかし蓮杖先生は動じない。したがって我々もドキドキしない。その厚顔さが異端の研究者という肩書きたる所以だが、ストーリーとしてはクールキャラを崩すことに面白さがある。内藤君はいつもドキドキしているから、読者はいつまでも彼の感情に釣られない。 「ああ、蓮杖先生がいつもの感じだから大丈夫だろうな」という読者の安心感をぶち壊す装置を用意していただきたかった。 次作『邪馬台』ではどうだろうか、とても期待している。 ついでに民俗学的・西洋絵画史的にも言いたい事はあるのだがネタバレになるので控える。 ここまで辛辣に言いながらも、展開はやはりとても良く練られていて、豊富な知識や面白いキャラクターと相まって良質なエンターテイメントに仕上げられていることは間違いない。 ただ過去二作と比べて・・・・・・ということで☆二つ。 | ||||
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