■スポンサードリンク


踊りつかれて



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
踊りつかれて

踊りつかれての評価: 3.89/5点 レビュー 19件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.89pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(3pt)

八方美人があだ。現実を読む方が深淵

SNSの誹謗中傷という現代的なテーマに挑んだ意欲作だが、残念ながら塩田武士の従来の切れ味が感じられない。
例えば『罪の声』では限られた登場人物に焦点を絞り、複雑な題材に切り込み、うまく調理してくれた。『歪んだ波紋』では企業不祥事の内幕を丁寧に描写しながらも、テンポが良い。この切れ味は、焦点の絞り方にあるのかもしれない。
そして本作……最大の問題は登場人物を増やしすぎたことにあるだろう。これは単に物語における登場人物だけではない。たとえば、キャラクターの輪郭が同定されないところの不安定さ、である。
例えば、弁護士にとってもそうである。開示請求に長けた弁護士のエッセンスと、作者と親交の深い弁護士のエッセンス、これらが混在しているように見受けられる。
つまり根本的な問題は、名誉棄損という繊細な題材を扱うゆえに「八方美人」の姿勢を感じるところである。傷つけることを恐れることは、フォーカスを一点に絞らないこと。
誰かを責めれば名誉棄損、世間を風刺すれば政治や創作芸術。
この「名誉棄損」という壁を越えずに安全牌を切るというところ、役を作ろうと思ったがベタ降りした作品展開の変調、これは塩田氏の創作の「つかれ」なのではないだろうか。
塩田武士さんらしい社会派の視点や問題意識は健在だが、それを小説として昇華させる構成力としては、皆が求めすぎたかもしれない。
もう少し登場人物を絞り込み、核となる部分を深く掘り下げていれば、踊り切れる作品になったのではないだろうか。

テーマ切り出しの意欲は評価するが、名誉棄損事案も陳腐化している。
週刊文春いう庇護下での創作という点も、却って保守的でともいえる。

一つ言えることは、敢えて読むより現実を覗く方が、深遠だと思わされる分には深い。
踊りつかれてAmazon書評・レビュー:踊りつかれてより
4163919805
No.2:
(3pt)

アメージンググレースが聞こえない

「高村薫」を期待して読んだ。SNS社会の闇を炙り出し、軽快なフットワークで的確に指弾する復讐劇に見えた。ところが突然「安部公房」に変調する。そしてラストは、えーっと驚く魂の再生劇。作者のサービス精神旺盛はわかった。でもしっくりこない。色んな食材が仕込まれているけど馴染んでないというか。
なにこの展開?という気分だ。
踊りつかれてAmazon書評・レビュー:踊りつかれてより
4163919805
No.1:
(3pt)

祝・直木賞ノミネート!

前半はとにかく悪意の塊がむき出しになります。SNSにおいて「安全圏のスナイパー」たちは芸人の失敗に対して粘着質な絡みをやめません。「表現の自由の行使には、必ず責任が伴う」はずなのですが匿名を隠れ蓑にして徹底的な弾圧は終結点をみせることなく芸人を追い込みついには・・・。

そして昔、SNSなどない時代にも悲劇がありました。才能溢れる女性歌手も週刊誌の突撃取材への対応を脈絡無く切り取られて活躍の場を絶たれました。

このふたつの事件に無責任な投稿、取材を続けた人たちに鉄槌を下すように「全さらし」が発動します。本名、住所、職業などがなぜかすべて明らかにされました。犯人が特定されて裁判に向かって・・・。

というかなり複雑で伏線満載の小説です。さらに後半は完全なる「人情噺」になりますので「一冊で何度も楽しめる」構成になっています。ただし、すべての伏線が無事に回収されるとはいえず、ちょっと饒舌すぎる分量かとも思えます。
踊りつかれてAmazon書評・レビュー:踊りつかれてより
4163919805

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!