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踊りつかれて
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踊りつかれての評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.89pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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SNSのタイムラインに潜む底知れぬ恐怖を、塩田武士が突きつける一冊、それが『踊りつかれて』です。これは単なる小説ではありません。スマートフォンを持つ私たち一人ひとりへの、痛烈な警告の書です。 物語は、元タレントの転落事故をきっかけに、SNSの底なしの闇へと深く潜っていきます。そこにあるのは、あまりに身近になったSNSが生んだ、私たちのネットリテラシーの麻痺。人々は悪意なく、あるいは浅はかな正義感から、誰かの人生を破壊する言葉の刃を振りかざします。 特に「匿名」という仮面は人間の残酷さを増幅させ、執拗で容赦のない個人攻撃へと発展させます。そして最も恐ろしいのは、一度ネットに刻まれた悪評が「デジタルタトゥー」として残り続け、終わりの見えない精神的なリンチが続くこと。攻撃側は飽きれば去りますが、被害者の絶望に終わりはありません。 著者の卓越した筆致は、この現代の悲劇を、決して他人事として読むことを許しません。 SNSに少しでも疲弊している方、そしてその利便性を疑ったことのない全ての人に、手に取ってほしい一冊です。この本を閉じた後、あなたのタイムラインは、きっと昨日までとは違って見えるはずです。 | ||||
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前作(2023年)の傑作長編『存在のすべてを』が候補にあがっておれば直木賞は受賞できたのではないかと思われる本書、『存在のすべてを』と比較すると少しパワーダウンかなと思わせるところがあり、直木賞受賞には至りませんでした かと言って本作のクオリティが低いのかというとそうではなく、前作が良すぎたので期待度が高く、厳しめの評価になってしまいましたが、人生というものを感じさせさせる、塩田武士らしい味わいのある作品で、標準以上のレベルはしっかりキープしており、きっとそう遠くない時期に受賞される力のある作家さんだと思います 本作で取り上げられているのは、まさに今社会問題となっているSNSに対する警鐘 ネットのインフラ化によって瞬時に答えが分かり、好きなものだけ手に入れられるという前提が浸透し、その結果「自分が信じたい情報ばかり集める」「承認欲求を満たすために感情を吐き出す」人たちが増え、それが思考力の欠如、間に合わせの正義感、自分に親しいものを評価して満たす自己愛により、呆れるほど幼い大人たちを生み出している そのうち承認欲求が抑えられなくなり倫理観のタガが外れ、いつしか何を言っても構わないと勘違いする「安全圏のスナイパー」となり真偽不明の情報を弾丸にして悪と思い込む相手をひたすら撃ち続ける 数年前、一人の女子プロレスラーがこの「安全圏のスナイパー」による数多くの弾丸により死に追い込まれたという事案がありましたが、それから数年たった今も、その状況が改善されたとは思えません SNSにより多様な意見が自由に言い合える状況になるかと思いきや、実はSNSは、バラバラにあった多様な数々の物差しを画一的にしているのではないか、名もなき者が荒く編んだ「正しさの網」に絡まっているのが現代人なのではないか 多くの人は本書が提起するSNSに対する上記のような問題提起にはうなづけるのではないでしょうか ただ、本書はそこがテーマのすべてではありません SNSや週刊誌のゴシップにより消えていった天才女性歌手奥田美月の過去を遡っていくことで判明するある事実 ここでも実際にあった事件をうまく取り込んでおり、おおっ、そっちの方向に行くのか、とちょっと意外な展開を見せてきます ある人の過去を遡っていくにつれて意外な事実が判明し、ばらけていた事実が繋がり、物語全体に「生きる」ということそのものを感じさせる感動的な奥行きを見せてくる手法、これは塩田武士の得意なところではないでしょうか 『存在のすべてを』を読んだ後には、ホキ美術館の写実画が見たくなりAmazonで『超写実の人物画 ホキ美術館コレクション』を買ってしまいましたが、本作を読んだ後は、松田聖子や中森明菜といった真に歌唱力ある昭和の女性歌手の歌が効きたくなってきました 塩田武士の作品にはそれだけの影響力があるということですね | ||||
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読みごたえはあった。まず、自殺したお笑い芸人をSNSで誹謗中傷した匿名の数十名を、個人情報をさらすという方法で指弾する事件で、小説は始まる。なかなかの迫力だ。そしてその波紋が多角的に描かれていくのだが、だんだん内容がシフトしていって、芸能人とプロデューサー/マネージャーの強く美しいきずなの物語に変化してしまっている。 強いインパクトで始まったのに、結局裁判ものになってしまって、過去をたどって真実を探るという地味な展開になっていく。お笑いのネタでいうなら「出オチ」っぽい。 無責任な中傷や悪意を増幅させるネット社会について、途中で登場人物に何回か長々と語らせるのも、少し冗漫だった。その理屈を直接語らず、行動やストーリーで描いていくのが、小説家の仕事だろうと思う。 そして、天童ショージという才能豊かなお笑い芸人の物語と、奥田美月という不世出の歌手の物語が、どんどん二つの物語に乖離していってしまったような気がする。 大作で読みごたえもあったが、今期の直木賞候補作としては、受賞作に一歩及ばず、という感じに思えた。 | ||||
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SNSで誹謗中傷されたお笑い芸人と週刊誌にスクープされた昭和の歌姫。 ”人間への興味”のまま、階層深く掘り下げていき、その真理を求めていく。 旋律を奏でるそこには壮絶なドラマがあった。 情報化社会の脅威を肌で感じる。 乱れ飛ぶ情報フィルターバブル現象の危険性と情報倫理の立ち遅れを問い質している。 | ||||
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●「安全圏のスナイパー」あるいは「無責任の毒」などSNSのもつ匿名性の闇の深さに焦点を当てた 作品として幕が上がった。我々は容易に人の心を刺す刃に変身するものとして、日常的にスマホを活 用している。それ故、情報を公開する前に是非その重みを考えなければならない…云々。 ところが中盤になると、まるで前半は単なるプロローグだったのかと思わせるほどに方向転換。踊 りつかれた者たちに焦点を当てた人間ドラマだった。それぞれの心のひだを丁寧に掬い取っているの だが、これほど多くの紙面を割く必要があるのかと首をかしげる濃密な描写である。 延々と続く物語にうんざりして時々心が離れてしまった。文学性は高いものの好みでいえば★3.5 くらいかな。 | ||||
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現代の問題、SNSの誹謗中傷に切り込んだ作品。「歪んだ波紋」ではメディアの虚報や誤報のもたらす悲劇を描き、情報がネットに解放されたとき何が起こるか?という問題提起に繋げていましたが、それに対する一つの答えかな、と思いました。 つまり、SNSによって有名人を誹謗中傷するようなよくない使われ方が日常的になり、一方では、過去に取材対象を追い詰めたメディアの記者がSNS炎上によって追い詰められる。 ひとたび炎上が始まると、自宅を特定しその周りをうろつき、スマホカメラで家族を撮ろうとしたり、リアルで対象を追い回す無垢の人々が必ず現れる。それが、対象の心を蝕む。 SNSでも現実でも、ほんの少しの心の油断で出てしまった言葉が、誰かを追い詰め、ときにそれが自分を追い詰める。小説というより論文か?と思うような部分も多くて、途中退屈になりましたが、最後まで読めば、物語の経糸はたった一つの真実に向かっていることがわかります。 | ||||
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SNSで激変してしまった日本、そして世界。 「誰かが死ななきゃわからないの」この問いかけは重い。 これを書いているのは参議院選挙の少し前だが、投票の前に読んでよかったと思える。 嘘と真実を見極めることは困難でも、立ち止まって考えることはできる。多くの方に「踊りつかれて」を読んで、考えてほしい。 物語のラストシーンで、僕は涙を堪えることができなかった。 | ||||
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読み終わってしばらく放心状態。 涙が溢れ出ました。訳も分からず感情が揺さぶられました。 塩田武士さんの文章の力は本当に凄いと思います。引き込まれます。早く先を読みたくなります。人が心の奥底に抱いている感情が、次第に表出して行く様を丁寧に描いているから、こちらにも染み込んで後半一気に押し寄せてくる感じがします。 | ||||
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できるだけ多くの人に読んでほしいです。 | ||||
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ネット社会の功罪は重大な問題。某県では、ネットの攻撃が何人もの命を奪い、今も県全体が揺れ続けている。しかし、そんな「今」しか通用しない物語ではなく、普遍的な人間の業と気高さを両方描いていると思う。構成も結末も、いろいろ文句はありそうだけど、「何か受け取った」ことをずっしりと感じている | ||||
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SNSの危うさを見事なまでに上手く表現してます 主人公の弁護士の調査活動で被告人の関わった芸人と歌手の人生を掘り下げ読者を引き付けがすごい 傑作です | ||||
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週刊文春連載小説の単行本化。 週刊誌のバッシングがきっかけで人前から姿を消した人気歌手と、不倫スキャンダルを起こしてSNSの誹謗中傷で命を落としたお笑いタレントの話が中心となっている。 歌手の方は明らかに中森明菜がモデルになっていて、80年代歌番組の有名ディレクターや松田聖子のプロデューサーにも取材するなど、当時のテレビ業界や音楽業界の描写やディテールが細かく、昭和の歌番組世代や昭和ポップスに詳しい方であれば興味深く読めるところだろう。 さて本作の大きなテーマとして、ネットの誹謗中傷の問題がある。もはやネットやSNSは、政治家の当落を決めたりスキャンダルを起こしたテレビタレントを社会的に消す力を持っており、第四権力のマスメディアを凌ぐ第五権力となっている。エリートやジャーナリストはこの第五権力によって既得権益者として攻撃され、不倫芸能人は匿名ユーザーの正義の怒りによって徹底的に裁かれる。しかしながら匿名のSNSユーザーは、自身の発する言葉の影響力=権力行使に対しあまりにも無自覚過ぎるのではないか。現代のSNSの言葉の暴力は、分別の付かない子供が刃物やピストルを持っているのと同じように思える。昔、戦争を支持した日本人は空気に勝てなかったと言ったが、日本人には集団に埋没して同調化することで、自分の責任が回避できるというような精神性があるのではないか。本書のテーマは芸能人に対する誹謗中傷であるが、現代のSNS社会の問題を色々と考えさせる一冊となっている。 | ||||
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塩田さんの作品は文章が読みやすい。すっと頭に入ってくる。 | ||||
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