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終の市
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終の市の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.83pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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『犬の力』『ストリート・キッズ』『フランキー・マシーンの冬』などドン・ウィンズロウの著作を多く読んできたが最近の作品は読んでいなかった。 何故か本作『終の市』をもって著作活動を終えることを知り本作を読むことにした。 三部作で前の二作『業火の市』と『陽炎の市』を読んでいなかったが、主人公のダニー・ライアンの辿ったきた過去も本作でおおよそ知ることができたから違和感なく本作を楽しみながら読み進むことができた。 ドン・ウィンズロウの代表作『を犬の力』もアメリカの裏面を描くテーマで読ませてくれたが、ドン・ウィンズロウの作品のなかで評者の好みは、『フランキー・マシーンの冬』でした。 人生の重荷を背負って主人公ダニーが生き抜く姿を描く本作は、アメリカ社会が抱える問題を提起している著者の集大成だと思いながら読み終えました。 | ||||
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少し取り掛かるのが遅くなりました。理由は、ドン・ウィンズロウの引退によってこれが最後の作品だということがわかっていたため、取っておきたかったが故です。 前作「陽炎の市」を読んだのは、2023/6月。「業火の市」に始まるこのダニー・ライアン・サーガの終わりに相応しいもう一つの暴力と血に塗れたアメリカ史は、聖書を刷毛ではくように、ウェルギリウスの「アエネーイス」をその同間声として虚飾に塗れたハリウッドからラスヴェガスへと辿り着き、カジノホテルを経営する企業家として名を馳せるダニーの<現在>を描き尽くそうとします。しかしながら、彼の<現在>は過去の<原罪>に基づく夥しい数の屍の上に載せられているが故にあらゆる人としての痛みに満たされた後、くたびれ果てた<荒廃した市>へと辿り着くことになります。あるのは<無>(ナーダ)。 いずれにしろスリラーのストーリーを追うのはやめておきましょう。詳細は巻末の杉江松恋さんの解説をお読みください。 私は、ダニーの配下だったケヴィンとショーン、通称アルター・ボーイズに注目していました。 <アルコホーリクス・アノニマス>に通うケヴィンを揶揄するショーンとの対話の中(p.344あたり)、言及されている<回復のための十二ステップ>の第五ステップ(「自分に対し、そしてもう一人の人に対して、自分の過ちの本質をありのままに認めた」)について、それが犯罪者としてその生を全うしようとする彼らにとってはいかに<ひ弱>なものかということを看破して逆説的に見事な<埋め合わせ>の定義になっているようにも思えました。そこには決して更生することのない人生の凄みが確かに存在しています。 それにしてもこれでドン・ウィンズロウの荘厳な<犯罪小説>を読むことは無くなるのですね? 誰か「嘘だと言ってよ!」 ◻︎「終の市 "City in Ruins"」(ドン・ウィンズロウ ハーパーBOOKS) 2024/7/02。 | ||||
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こちらが歳を重ねるにつれ、素晴らしい作家も一線を退く・・・ ウィンズローサーガ、本当に良い作品を沢山ありがとう。 宮崎駿に倣って、そのうちの復帰作期待してるよ。 | ||||
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『ダニー・ライアン』三部作の最終章。 堅気になってまっとうに生きようとするダニー・ライアン……だが、切っても切れぬ裏社会がどうしても彼にまとわりつく―――。 前作は映画業界だったが、今作はホテル経営がテーマのひとつになっている。 前作2作目『陽炎の市』終盤の事件は、リーガルミステリとなって展開。 内容紹介にある「仲間を惨殺されたダニーは――」のシーンはなかなか現れず、かなり終盤になってから。そこに至るまでは、当事者たちの意に反してそれぞれの仲間やギャングたちが勝手な行動を起こすなどして、事態は悪化の一途をたどっていく。このような世界ではそうなっていくことが必然的だなと思わせられ、スリルに満ちた展開にどんどん引きずり込まれていく。そしてそこからは期待を裏切らないハードボイルドな内容。個人的好みで言えば、この辺がもっと詳しく長くてもよかったのだが。 1作目『業火の市』の懐かしい顔ぶれも登場し、シリーズフィナーレらしく収められている。 『犬の力』シリーズには及ばない内容だったと思うし、本シリーズでは1作目『業火の市』が一番緊張感があっておもしろかったが、十分ハイレベルだ。崇拝するドン・ウィンズロウの作家人生ラストの作品に敬意を表してこの評価とした。 ―――しかし実は私はあきらめていない。ウィンズロウがしばしの休息の後、また新たな作品を発表してくれると期待している。 | ||||
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