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君が手にするはずだった黄金について
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君が手にするはずだった黄金についての評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.65pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全31件 21~31 2/2ページ
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作者のファンだったら、もっと面白く読めたかもしれません。連作短編的な形式が、全体の印象をぼけさせてしまって、作者の世界観に入り込めないまま読了(人生を円グラフで云々の件は、結構広がりを期待させてくれたのですが)。 | ||||
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タイトルがなんとも秀逸。黄金とは、「あなたがしてほしいことを他人にも施しましょう」という道徳的黄金律のことだった。表題作だけでなく、いずれも思索的で哲学的だ。私とは何か。記憶は本当に事実なのか。創作とは一体何だ。 「偽物」を読んで呆然とした。ババリュージとは、いったい何物だったのだ。 | ||||
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著者の分身を主人公とする小説なのだが、パロディでもなく私小説でもなく、このような表現手法はオートフィクションと呼ぶそうだ。もちろん、エッセイでもない、にも関わらずエッセイ風にも読める。 この作品を読んで思ったのは、「作者はどれだけ生身の自分を公に晒すのか」というテーマである。それで昨今の音楽家たちの姿が思い浮かんだ。顔を隠す、仮面をつける、vocaloidに歌わせる。これらから感じるのは、自己表現の欲求と、プライバシーを晒すことへの抵抗感の両立である。そのことは、SNSなどによる、枝葉末節まで行き届いた情報流通社会とも関連しているだろう。 本作品中にも、主人公が、とあるマターについて強い価値観を表明するシーンが二箇所ほどある。これが小川さん本人の思想なのか?と問うことは無意味だ。だってフィクションなのだから。 作品と作者の関係性についての小説であり、それらと読書についての小説であり、それは小説の本質と繋がっていて、色々と想像を巡らせて楽しんだ。 | ||||
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テレビで紹介されていて面白そうだったので購入しました。でも私が想像していた本ではなくて、ちょっと難しかったかな?と思います。なんとなく地味に周りにありふれた出来事をノンフィクションタッチで描かれていて言葉や単語が難しくて退屈な箇所もありました。 全体的に私自身とは真逆なインテリジェンスのある、裕福層の人たちのお話が淡々と繰り広げられていたので、私はあまり登場人物にのめり込めませんでした。 | ||||
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お名前は元々知ってましたが『君のクイズ』で初めて著者の本を読み、これが2冊目です。 シンプルに文章が上手い。普段は休み休みゆっくり本を読むタイプですが、あまりに面白くて感心しながら一気読みしました。 個人的には「偽物」が1番好きです。 | ||||
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最初の方は村上春樹みたいで読んでいて苦痛でした 全体的に哲学的?な内容でなかなかページが進まなかったです ただ漫画家が本庄絆を彷彿とさせる感じがしてそこだけ嬉しかったです 頭のいい人が読んだら面白いのだと思います | ||||
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以前に別の誰かの小説でも思ったのですが、SFの読者はテンション下げてレビュー書いてほしいw 読みやすい普通の小説というか、半分エッセイみたいな感じで、雨の日の休日の暇つぶしにちょうど良いという感じです。ものすごくおおげさに絶賛するレビューもありますが、なんかSFの読者(というか小説好き全般?)って、感想までいちいち文学文学してて、レビュー読んでるだけで恥ずかしくなりますw 長さはこれくらいの短い小説でいいんですが、もう少し著者の専門分野(なのかはよく知らないですが)である哲学で深掘りした話が読みたかったかも。ラッセルとかクリプキとかって、現代から見ると正直しょーもない話なので(固有名詞の記述云々)、言語ならウィトゲンシュタインやゲーデルと今流行りのGPTを絡めるくらいは、現代SF作家ならやってほしいところです。 | ||||
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① 昨日たまたま新宿にいて、たまたま時間があったので、紀伊国屋書店でこの本を手にとりました。 ② プロローグ、vs占い師、表題作を立ち読みしました。 ③ 立ち読みです ⇒ そもそも自分にこの本を批評する資格はないのですが・・・ ④ 読みやすいし、普通に面白かったです。 ⑤ 三島由紀夫と庄司薫と村上春樹をAIで混成したらこんな本が出来るだろうな、というのが感想です。 ⑥ 角松敏生の音楽を思い出しました。(≠ユーミン、≠サザン) ⑦ 面白いけど何かが足りない ⇒ 何だろう? ⇒ 昨日から考えていますが、まだ答えは出ていません。 ⑧ 「足りないもの」を持っている小説は?と、考える方向を変えてみました。 ⑨ ⑧の答えは、(今のところ)ジョン ファウルズ、中島 らも、筒井 康隆です。 ⑩ ここまで思考を巡らす機会を与えてくれたこの本に感謝しています。 | ||||
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小川哲という小説家はこちらの期待を良い意味で裏切り続ける非常に多彩な作家さんです。 発表される作品ごとにこちらの想定を上回る作品であり、果たして次はどんなタイプの作品を発表するのかと、次回作が一番気になる作家さんです。 思い返せば、デビュー作『ユートロニカのこちら側』や2作目『ゲームの王国』を読んだとき、これはとてつもなく凄いSF作家が登場したなと驚嘆したものです。 特に『ゲームの王国』は今でも私の中で日本SF小説ベスト3のひとつであり(他2作は小松左京『日本沈没』と東山彰『ブラックライダー』)、今後どんなSF小説を発表してくれるのだろうかとワクワク楽しみにしていたところ、短編集『嘘と正典』、大長編『地図と拳』とSF的手法も活かしつつもSFというジャンルを飛び越えたジャンルレスな作品でなんと直木賞受賞、そして『君のクイズ』で完全にSFとは関係のないまさかのミステリー小説(しかもミステリーとしては誰も書いたことのないようなテーマ)で度肝を抜き、更に本作では、小川哲という小説家自らを主人公としたかのような私小説風連作作品集を発表するという、まさにこちらの予想を上回る本の登場でしたが、これがまた良いのです。 小説家「僕」が主人公のため、小川哲が考える「小説」とは、「小説家」とは、といった思考も見られ興味深いです。 本書収録のいずれの作品も素晴らしいのですが、特に冒頭の『プロローグ』が心にしみます。 「手に入れることのできなかった無数の可能世界に思いを巡らせ」る青春小説のようで、胸がキュンとなりますよ。 二つ目の『3月10日』は『プロローグ』とは対になる印象の作品、その後に続く『小説家の鏡』『君が手にするはずだった黄金』『偽物』では同じ人物の名前が登場するなど緩やかに繋がりがあり、全体として一つの長編小説を読んだ読後感を味わえます。 また巻末に受賞エッセイが収録されていますが、これも作品の一部のように読むことができます。 お勧めの一冊です。 | ||||
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「僕の人生には、心の踊る物語なんてないんだ」 そう語る著者自身を主人公にした 現実と虚構の境目がおぼろげな小説。 ふだんは熱量の低い主人公が たまに熱くなる場面が超ヤバイですね。 特に、占い師と対峙する章の吸引力が凄かった! 初対面から軽蔑した相手との意外なつながりや 愚かさを絵にかいたような男の思わぬ顛末も グイグイ引っ張り込んでくる感じ。 さらに、小説家小川哲が生まれるまでの 葛藤ってのも、またユニークだわ~。 内面描写が多めですが へぇ~、こんなこと考える人がいるんだと 興味をそそられ、ページが進む進む。 一章の途中では少し停滞を感じましたが そこから先に進むと、絶対面白いので もし、どこかでアレレ?と感じても 読み進めたほうがおトクですよ? (対象年齢は13歳半以上かな?) | ||||
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三軒茶屋で友人を待っている間、ふらりと立ち寄ったTSUTAYA BOOKSの入口にて本書のポスターを発見。どうやら発売日らしい。 タイトルと帯文の仰々しさから「タワマン文学」的なものを想像させる(といっても、私は「タワマン文学」の正確な定義を知らないし、そもそも「タワマン文学」なるものに定義などあるのだろうか)。しかし、著者には小川哲とある。こういったテーマを小川哲が書くのであれば俄然興味が湧く、と手に取った。 本書は冒頭のプロローグと最後の受賞エッセイを含む6つの連作短編で構成される。 友人を待っている間、駅前のフレッシュネス・バーガーで冒頭の一章「プロローグ」を読み終える。 「あなたの人生を円グラフで表現してください」という新潮社のエントリーシート内の質問。これにどう回答するか思案する「小川」なる大学院生の話。 随所に知的好奇心をくすぐる小ネタを挟みながらも、驚くほどするすると読めてしまう簡潔な文体が相変わらず見事である。しかも、そうした小ネタが単なる蘊蓄にとどまらず、全て物語を構成する重要な要素になっていくところに、エンターテインメント小説としての気持ちよさもある。 本章ではバートランド・ラッセルの確定記述について言及があるが、就職活動とはまさに、自分という固有名を説明する目的で確定記述の束をひとつひとつほぐしてエントリーシートに貼り付けていく作業である。着慣れないリクルートスーツをまとい、その一つを強調してさも自分自身であるかのように宣言する矛盾と虚構性は、本書が抉り出そうとする「小説家」の輪郭と呼応しているように思う。 友人との用事を終えて帰宅し、浴槽の中で5章まで読み終える。 3年前の震災の前日に何をしていたかを確かめようとするうち、自らと周囲の「記憶」が揺らいでいく話。 青山のオーラが見える占い師と対峙する話。 信じがたい利回りで多額の資金運用をしていると豪語し、有料ブログで儲けるトレーダーの話。 偽物のデイトナを身につけ、他人の思い出話を創作の「タネ」してSNSに投稿する漫画家の話。 詳しくは手に取って読んでいただきたいが、上記全てを貫くのは、「他人を(自分を)騙すために、あるいは納得させるために、自らの中に虚構性を飼うこと、偽物っぽさを受け入れること」であるように思う。 語り手である小説家は、上記の人物たちに対して過剰に肩入れすることもなければ、こき下ろすこともしない。これらの短編が全て、著者と同じ名前である「小川」という小説家の視点から語られていることに、フィクションの書き手としての誠意と後ろめたさを感じる。「結局、虚構で生計を立て、偽物として生きている最たる人間が、小説家ではないのか?」という後ろめたさ。 風呂から上がり、窓を開けて涼みながら末尾のエッセイを読み、このレビューを書いている。 このエッセイが本当に「エッセイ」なのか、はたまた「フィクション」なのかは分からないが、両者の間に明確な線引きなどできないだろうし、前5作を読んだ後ではそんな違いはどうでも良くなっている(少なくとも私にはそうだった)。 エッセイには、かの超有名な小説の冒頭が引用され、それに続く形で、「僕は多くの場合、自分が知りたいから小説を書く(P225)」と綴られている。なるほど。 小川哲は(あるいはこのエッセイを「フィクション」として読むなら「僕」「小川」なる人物は)、小説を、そして小説家を知りたいから、この小説を書いたのかもしれない。 しかし一方で、「小説を書けば書くほど、小説がわからなくなっていくような気分になることがある(P241)」とも語っている。 だからこそ著者は、小説を書き続けているのかもしれない。 追伸:余談だが、私はこのレビューの最後で、自分の文章に「かもしれない」が連続していることに気づき、ニヤリとしてしまった。その理由は「プロローグ」を読んで確かめてほしい。 | ||||
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