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鉄の門
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鉄の門の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.86pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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. カナダのトロントと思しき邸宅に暮らすルシールは、医師アンドルーの後妻だ。16年前に先妻のミルドレッドが惨殺されたあとに結婚して依頼、先妻の子マーティンとポリー、そしてアンドルーの妹のイーディスとともに、使用人をもつ豊かな暮らしをしてきた。 ある日、みすぼらしい男がルシール宛てに小箱を持ってやってくる。小箱を開けた後、ルシールは激しく動揺し、家を出てしまうのだった……。 --------------- カナダ出身のミステリ作家マーガレット・ミラーが1945年に発表した『鉄の門』の、松本恵子訳版『 鉄の門 』(1953年)、青木久恵訳版『 鉄の門 』(1977年)に次ぐ、3度目の邦訳版です。翻訳は大変読みやすいもので、わずか2日で読了しました。 怪異の死を遂げた先妻。そしてその妻の影に怯えて徐々に精神に異常をきたしていく後妻。この構図は、『ジェーン・エア』や『レベッカ』にも似て、同じような禍々しい雰囲気を醸しています。 第二部「狐」は延々と精神科病棟の患者たちが描写されますので、外界との接触を断たれ、登場人物たちの正気を失って異常行動に走る姿が続く様子に、相当強い閉塞感を味わわせられることになります。 ただ、この長編小説は明快な推理によって複雑な謎を解きほぐしていくという類のミステリーではありません。それゆえに、事件解決のカタルシスは得られません。 家族の抱える秘密や闇を暴いていくという展開は、夫でハードボイルド作家のロス・マクドナルドと同じです。家族といえども「人はほかの人間の何から何まで知ってるわけじゃないという」(75頁)事実を悲しいまでに描いた夫婦作家だったのだなという思いを強くしました それにしても気になったのは、精神科病院と薬物過剰接種とがこの小説の鍵ともいえる仕掛けである点です。作者マーガレット・ミラーと夫ロス・マクドナルドには1950年に生まれたリンダという娘がいました。リンダは若い頃から情緒不安定の気味があり、長じて精神科に入院し、最後は薬物の過剰摂取で命を落としているのです。小説『鉄の門』は1945年の話なので1970年に亡くなった娘の人生が影を落としたとは言えませんが、その一方で作者ミラーにとっては奇しくも予言の書となってしまったようで、とても痛ましく感じられます。 --------------- *73頁:助詞の誤り ✘「テーブルの上にコートを帽子を放り投げると」 ◯「テーブルの上にコートと帽子を放り投げると」 *170頁:衍字 ✘「心の内をすべてを打ち明ける」 ◯「心の内をすべて打ち明ける」 . | ||||
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翻訳に違和感あり。 面白いと思ったが 、好みではない。 | ||||
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受け取った荷物の謎からもっとワクワクする物語になるかと期待したが、実に普通であった。 | ||||
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私がミステリを読み始めた頃、マーガレット・ミラーの名前は、「ロス・マクドナルドの配偶者」としてまず記憶されました。また、一時期だけかもしれませんが、夫よりも高い評価を得ていたため、彼女が書いた旧作を手に入れようとしましたが、古本屋を歩いても見つかることがなかった。よって、初めて読んだミラーは、「これよりさき怪物領域(1976年)」だったと思います。その後、遡って何冊かのマーガレット・ミラーを読むことになりました。「狙った獣」、「殺す風」そして本書。 二回目の新訳によって「鉄の門 "The Iron Gate"」(マーガレット・ミラー 創元推理文庫)を再読しました。 舞台はトロント近郊?ルシールは16年前に謎の死を遂げたミルドレッドの夫であり婦人科医師でもあるアンドルーと再婚しています。ルシールは、アンドルー、その妹・イーディス、前妻ルシールの二人の子供、使用人と共に暮らしています。そして、ある冬の日に、謎の男から小箱を受け取ったルシールは失踪します。箱の中身はいったい何?彼女はなぜいなくなったのか? スリラーですから、書けるのはここまでだと思います。再読にあたっては、物語がペンウッド病院に移行したあたりから様々なシーンを思い起こすことになりました。導入部は見事だと思います。次から次へと登場する人物を書き分けながら、まるで良くできた舞台劇のようにその人となり、感情、さりげない「過去」を散りばめてみせます。1945年に書かれた本ですから、第二次世界大戦の「影」もまたこの小説に重くのしかかっています。「鉄の門」の中、病院に入院している「精神」を患った患者たちもまた、フロイディズムの影響、その深い洞察力を示しながら描写され、心理ミステリのマスターと呼ばれる所以なのだと思います。「謎解き」についても語ることはできませんが、美しい「詩」のような幕切れを持っています。 鍵は、妹・イーディスと同居している婦人科医師・アンドルーに内在するエディプス・コンプレックスにあり、そのことがこの物語を「遠心分離機」のようにブン回していますね。そして、思うことはマーガレット・ミラーとその夫でもあるロス・マクドナルドは、終生に渡ってその作品世界の中、夫婦揃って「家庭の悲劇」を熟成させながら描き続けていたことにあります。あくまでも私見ですが、このマーガレット・ミラーが描いた「何もない世界」に比べると、ロス・マクドナルドの「ブルー・ハンマー」、青い"心臓の鼓動"ですらがとても懐かしい。 | ||||
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温厚な性格の夫を持ち、何不自由なく暮らしているルシール。でも彼女は後妻であり、夫の妹であるイーディスとはいい関係を保っているが、先妻の残した二人の子供マーティンとポリーは成人した今にいたるまで一度も彼女になついたことはない。ルシール自身も未だに16年前に変死した先妻ミルドレッドの夢を見るほど不安定な精神状態だった。 そんなある日、ルシールのもとに見知らぬ男から小さな小箱が届けられる。その中身を見たルシールは悲鳴を上げ、忽然と姿を消してしまい・・・・・。 という感じの話なのですが、話がどういう風に落ち着くのかまったく読めない。読了したいまとなってはミステリ的な満足はあまりないと思うんですが、心理的な薄ら寒さはなかなかのものでした。さすがに時代を感じさせる作りであるものの、キラリと光るものがある。濃い霧の中を手探りで進むような閉塞感に始終とらわれている感じがしました。 | ||||
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温厚な性格の夫を持ち、何不自由なく暮らしているルシール。でも彼女は後妻であり、夫の妹であるイーディスとはいい関係を保っているが、先妻の残した二人の子供マーティンとポリーは成人した今にいたるまで一度も彼女になついたことはない。ルシール自身も未だに16年前に変死した先妻ミルドレッドの夢を見るほど不安定な精神状態だった。そんなある日、ルシールのもとに見知らぬ男から小さな小箱が届けられる。その中身を見たルシールは悲鳴を上げ、忽然と姿を消してしまい・・・・・。という感じの話なのですが、話がどういう風に落ち着くのかまったく読めない。読了したいまとなってはミステリ的な満足はあまりないと思うんですが、心理的な薄ら寒さはなかなかのものでした。さすがに時代を感じさせる作りであるものの、キラリと光るものがある。濃い霧の中を手探りで進むような閉塞感に始終とらわれている感じがしました。 | ||||
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