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鉄の門
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鉄の門の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.86pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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後年の名作、例えば『まるで天使のような』などに比べれば、構成の歪さや真相に至るまでの展開の拙速さなど、粗が目立つが、精神病院の冷え冷えとした描写やヒロインを虜にする恐怖心理の醸成はやはり流石。そして明かされる魂を失ったような空虚な犯人像は発表から半世紀以上経った今もなお強いアクチャリティを保っている。 | ||||
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解決部というか真相パートがこれほど心に響いた作品はあまりありません。 論理の鮮やかさにしびれるとか構想の大胆さに驚くというサプライズ感ではなく、戸惑いの波紋が広がる感覚。 さりげなく張られた伏線と真相が綺麗に繋がっているのに対し、真相の奥は屈折と矛盾が満ち考えさせられます。 | ||||
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新訳がとても良かったです。旧訳では訳されていないところがあり、新訳で訳されたことにより、ミラーの原作の重みを遺憾なくはっきしています。 | ||||
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帯にて「大乱歩が〝心理的純探偵小説の曙光〟と感嘆した」と煽ってあるも、 巻末解説の中で、乱歩がどういう感想を述べたか、その詳細へはノー・タッチ。 初めて本作にふれるにあたり、それを知りたい方は『海外探偵小説作家と作品』を読むといい。 手っ取り早い現行本なら、光文社文庫版江戸川乱歩全集/第30巻『わが夢と真実』。 そこでマーガレット・ミラーの事は夫のロス・マクドナルドことケネス・ミラーと並んで言及されているから。 ▽ ▽ ちょっとした古書価格も付いていたサイコ・スリラア『鉄の門』の新訳。発表は1945年。 怪しい人物から医者アンドルー・モローの現在の妻・ルシールへ渡された小包の箱に入っていたのは、 動かし難い証拠となるような〝それ〟でなければならぬ必然性が無い、あるシンボリックなもので、 謎の解決にしても理論・物理上言い逃れのできない局面へ犯人を追い込む〝本格〟の流儀でもない。 単純なサスペンスじゃないんで詳しくは書けないのだが。 そもそも第二部の閉じ込められた病獄を意味する『鉄の門』をタイトルにして、どうなの? そんな声さえ上がりそうだが、最後まで読めばこの物語の主眼が見えてくる。 前提としてのアンドルー・モローの先妻ミルドレッド十六年前の死の事情を途中まで明かさなかったり、 第二部での『ドグラマグラ』状態に陥った、誰も信用できない錯乱の描写だったり、 作者の筆は捨て難い妙味があり、同じパターンで何作も繰り返すと厭きるかもしれないけれど、 陰鬱なわりには、読む者を物語の中にズルズル引きずりこむ魔力がある。 なによりもマーガレット・ミラーの、4÷2=2とは単純に割り切れない女のもつ複雑な心情や残酷さ、 後妻として生さぬ仲を埋めることができないルシール対家族達の疑念、微妙な立場の描写が実にリアルだった。 ▼ ▼ 長い間つきあって、週末会う時に昼は聖女のような笑顔、夜は娼婦のような媚態を見せていたのに、 突然何のきっかけも無く「別れたい」とか言い出す。それが女という生き物の〝性〟(サガ)よな。 | ||||
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以前ハヤカワミステリ文庫で読んで、今回新訳での再読。『狙った獣』『殺す風』『まるで天使のような』など、数あるミラーの傑作のなかでも、筆者がもっとも好きな作品。 物語の最初と最後に描きだされた二つの風景だけでも、その鮮烈な美しさに酩酊させられる。冒頭、白雪のカンバスのなかに、遠近法を無視して立ち現れた血まみれの立像。掉尾に広がる、個の精神の鏡面に映りだした、世界の終末をおもわせる光景。不条理でグロテスクでありながら幻想的で美しい、ダリやエルンスト、マグリットなどシュールレアリズムの絵画を見るような二つの画像が、初めて読んだ時から、ズッと脳裏に強烈に焼きついている。 送りつけられてきた過去を秘めた箱、家庭という箱、鉄の門にかこわれた精神病院という箱、自己という箱…。それらの内と外、表と裏、虚と実のアンバランスな相克のなかで引き裂かれてゆく人格。絶望の悲鳴や悽愴の慟哭をにじませた個と世界の崩壊が、不吉の絵画にうつされて、静かに筆をかさねられてゆく。恐ろしくも忌まわしくもありながら、ミラーによってイメージ化されたその幻視の風景のなんと美しいことか…。 | ||||
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普通の家庭を営んでいた主婦にある日奇妙な箱が届けられ・・・というお話。 一番最初に本書の前訳を読んだ際は、届けられた箱の中に何が入っていたかが強烈なサスペンスとなって最後まで一気に読んだ記憶がありますが、今回の新訳では内容を知っての読書だった為若干サスペンスの凝集度が落ちたのも真実でした(昔、ミラーについての評論を書いた評論家の方があっさりネタを割って書いておりましたが怒られなかったのでしょうか)。 それでもミラー流の透き通る様な文章で読ませるので、今回も一日で読み終わるくらい割と早く最後まで読めました。全体のテンションも禍々しく、さすがミラーと思わせます。 箱の中に何が入っているかが判ってからは人によっては落胆したり、驚いたりと千差万別があると思うので、評価はご自身で実際に読んで確かめてください。 これが書かれた頃はブロックの「サイコ」やブラウンの「3、1、2とノックせよ」以前だったせいか、登場人物をサイコ・スリラーっぽいモンスター扱いはしておりませんが、誰の中にも精神的に破綻する可能性があるという事を小説として提示したかった部分もあるのかも。最高傑作とは言えないと思いますが、出来栄えはかなり良いと思いました。 誰の心にもある暗部を見つめたサスペンス。機会があったら是非。 蛇足ですが、トルーマン・カポーティがミラーの大ファンだったとか。 | ||||
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自らも若い頃精神を患ったせいか、異常心理物を得意とするM.ミラーがその本領を発揮した代表作。 ヒロインは婦人科医の後妻で、前妻は惨殺されている。ヒロインはその問題に不安を感じると共に、前妻の子供達ともうまくやって行けない悩みを抱えている。ある日、ヒロインの元に贈り主不明の品が届く。その品を見た事をキッカケにヒロインは精神の均衡を崩し、とうとう精神病院に入院する。この精神病院が題名の「鉄の門」そのものであるが、「鉄の門」は閉ざされた心をも意味しており、その歪んだ心が生み出す狂気が本作の主題である。 ヒロインは身の危険を感じてワザと精神病院に入れられるように仕向けたように書かれているが、その虚実は分からない。一見平凡に見える家族の誰が狂気を孕んでいるかも分からない。こうした日常性に潜む人間の心の闇を炙り出す事が本作の狙いであろう。 身近な環境の中に狂気を孕む人間がいるという恐怖を緊迫感溢れる展開で描いたM.ミラーの会心作。 | ||||
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自らも若い頃精神を患ったせいか、異常心理物を得意とするM.ミラーがその本領を発揮した代表作。 ヒロインは婦人科医の後妻で、前妻は惨殺されている。ヒロインはその問題に不安を感じると共に、前妻の子供達ともうまくやって行けない悩みを抱えている。ある日、ヒロインの元に贈り主不明の品が届く。その品を見た事をキッカケにヒロインは精神の均衡を崩し、とうとう精神病院に入院する。この精神病院が題名の「鉄の門」そのものであるが、「鉄の門」は閉ざされた心をも意味しており、その歪んだ心が生み出す狂気が本作の主題である。 ヒロインは身の危険を感じてワザと精神病院に入れられるように仕向けたように書かれているが、その虚実は分からない。一見平凡に見える家族の誰が狂気を孕んでいるかも分からない。こうした日常性に潜む人間の心の闇を炙り出す事が本作の狙いであろう。 身近な環境の中に狂気を孕む人間がいるという恐怖を緊迫感溢れる展開で描いたM.ミラーの会心作。 | ||||
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