だれもがポオを愛していた
- エドガー・アラン・ポー (2)
- 更科ニッキシリーズ (3)
- 米澤穂信の100冊 (47)
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.67pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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ポオのファンじゃなければつまらない。 | ||||
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全てのモチーフがポオの作品に繋がっていた。そんなポオ尽くしの奇妙な事件。 | ||||
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ミステリ専門の流行作家ではなく、東大の助教授時代に書かれた作品で専門は英米文学という学者さんが書かれたミステリです。でも、こういった切り口のミステリは新鮮でとても面白かったといえます。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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本格ミステリの要素を全て詰め込んだような贅沢な一冊! | ||||
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ポオの墓近くの沼のほとりに建つアシヤ邸の爆破事件で死亡したアシヤ兄妹。さらに、その近くの小屋で見つかった事件関係者二人の遺体。 ポオの著作『アッシャー家の崩壊』『ベレニス』『黒猫』に基づく連続見立て殺人で、探偵役は、事件記述者である警察官の友人の娘の更科丹希(ニッキ)。ニッキの探偵手法は、人のつながりや動機よりも、物証に重点を置いたデュパン流のもの。 爆破予告電話や、妹のダイイングメッセージ『ユーラルーム』、ポオの未発表手紙の行方、一時失踪した元使用人夫妻、失踪したその娘と恋人の行方、殺された仲買人の女の足取り等、複雑な要因が絡み合っていて、事件の構図はかなりややこしい。 ニッキはポオ研究家の教授の話を聴くことで、真相にたどり着いているが、正直必然的で唯一無二の真相とは言い難く、作品中で示されているデータだけで読者が真相を推理することは難しいとは感じる。 小屋の窓ガラスが壊されていたこと、ドアの錠が壊されていたこと、色々な場所の指紋が消されていたことなどから紡ぎだされるニッキの推理は鋭い。その推理から導き出される棺の移動に関する真相は、ポオの某作品の真相と密接な関わりがあり、なおかつ意表を突くものであり、とても面白く、感心した。 登場人物の間で交わされる会話は、アメリカ人らしいユーモアにあふれていて、読みやすい作品。 エピローグでは、作中に登場するポオ研究家の教授による『アッシャー家の崩壊』の解釈が示されていて、こちらも興味深い内容だ。 | ||||
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主人公のニッキの切れ味鋭い推理。 登場人物の機知あふれるやりとり。 それらを土台に繰り広げられる、あっと驚く結末の良質ミステリ。 本格好きの方におすすめです。 | ||||
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偶然「Poe研究」の文献リストで見つけた一冊である。著者は東京大学文学部教授(2012年定年退官)。アメリカ文学ファンの私は、氏の『アメリカ文学史』(2010)を格好の参考書としているが、推理小説も書いていたとは知らなかった。驚きつつ早速読んだ。 眼目は矢張り学者らしいこだわりだ。推理小説を楽しむだけの人には余計なことだが、文学ファンとしては見逃せない。 先ず構造が面白い。本書はボルティモア警察署の刑事ナゲット・マクドナルドによる手記と言う形を取っているが、「探偵」は休暇でやって来た若い日本女性である。両者の関係はデュパンと<私>、ホームズとワトソンの定式通りだが、本書にはさらに日本人のS・W**教授が絡む。教授は英語で記されたという本書の原書の翻訳者だが、物語中に登場し、しかもキーパーソンである。事件はポオの小説を犯人がなぞる形で進むメタ小説に、翻訳者が加わる「ダブルメタ小説」とでも言べき形になっている。 次の特徴は登場人物の多さである。登場人物一覧表なしでは混乱してしまう程だが、実際の捜査はこれくらいに及ぶのだろうから、それらの人物の扱いに軽重をつけてはならないとの考えがあると読める。命名もユニークで、<アシヤ>家がアッシャー家のもじりであることは許せるとしても、語り手を始め、ホモ刑事のロンとヤ−ス、ジミー・カダ、リンディ・ジョンソンなどの悪ふざけには吹き出してしまう。ヒロインのニッキ・サラシーナは『更級日記』だが、これは何だろう。『日記』は夢見がちな少女の「夢想」だが、文学も犯罪も、その根幹に人間の想像力があるとする示唆だろうか。 事件は動機の捜査に向かいがちな警察官に対して、「人間の角度からではなく…物質の角度から」迫るニッキによって明快に解かれて行く。これはテクストを記号の固まりとして読み解こうという現代文学批評理論に通ずる思考法である。それもS・W**教授の示唆があってのことである。 小説は途中で読者に向かって、『アッシャー家の崩壊』はじめここまでに引用されたポオの詩や物語を「新たな視点から再読」せよと挑発する。私も読み返したがさっぱり判らない。 最後に「『アッシャー家の崩壊』を犯罪小説として読む」と題する教授のメモが公表される。圧巻である。目が開かれる思いがある。ポオの小説の神髄は「合理的精神による非合理への闘い」にある、とする教授の解釈が具体的に提示される。これを読む読者は、今後ポオ作品の読み方がまるで違ったものになってしまうだろう 実にポオは、ニッキが指摘するように、「詩と真実を同一視」することが出来た稀な作家だった。本書はそのポオに捧げる熱烈なオマージュなのである。 | ||||
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女性探偵、更科丹希の作品は三作あるらしいです。「笑ってジグソー、殺してパズル」「だれもがポオを愛していた」「スラムダンクマーダー」。 そのうち二作を読みましたが、どちらもセンスのいい佳作だと思いました。 「ジグソー」は日本の館物(?)で、ジグソーパズルにからめたトリックと、消去法による犯人の特定が、謎解きのポイントになっています。 「ポオ」は、アメリカ警察の犯罪捜査もので、現場に残された物証から、何がどのようにおこったか、事件の再構築をはかる更科丹希の推理が、 物語の目玉です。 「ポオ」には、「アッシャー家の崩壊」という幻想小説を、犯罪小説として読む、という「大学教授のエッセイ」が差し挟まれていて、一冊の本に二つの謎解きがある、お得な本になっています。 この二作の一番の特徴は「軽快さ」で、登場人物が、探偵のニッキをはじめ、警察官みんなユーモアというのかウィットというのか、ずっと現場が重苦しくならない、明るい空気を保ちつづけてるところがいいと思います。読後感がすっきりする感じなのが、私は好きでした。 | ||||
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