だれもがポオを愛していた



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初公開日(参考)1985年10月
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長編小説

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だれもがポオを愛していた (創元推理文庫)

1997年07月31日 だれもがポオを愛していた (創元推理文庫)

諸君はアッシャー家の崩壊を見いだすだろう―予告の電話は真実を告げていた。錦秋のボルティモア郊外で、日系人兄妹の住む館が爆発し傍の沼に崩れ去った。妹は謎めいた言葉をのこして息絶え、兄の遺体もまた水中深くに。ほどなく、棺に横たわった美女の歯が無惨に折り取られる『ペレニス』、斧で頭を割られた被害者が片目の黒猫ともども壁に塗り込められる『黒猫』、各々の小説に見立てた死体が発見され、事件は更なる混迷を呈していく…。E・A・ポオ終焉の地で、デュパンの直系というにふさわしい探偵が本領を顕わす。ポオの言祝ぎが聞こえる、オールタイムベスト級本格ミステリ。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点5.67pt

だれもがポオを愛していたの総合評価:8.54/10点レビュー 13件。Cランク


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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

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全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(5pt)

あまり面白くなかった

ポオのファンじゃなければつまらない。

わたろう
0BCEGGR4
No.2:
(3pt)

読む前にポオ作品を読んで下さい

全てのモチーフがポオの作品に繋がっていた。そんなポオ尽くしの奇妙な事件。
本書は数あるガイドブックで時折取り上げられる作品。それほど評価が高いのであれば食指が動くというもの。どれどれといった感じで読んでみた。

本書では捜査に当たったボルティモア市警のナゲット・マクドナルド警部の私記という体裁を取っている。そのため、創元推理文庫特有の国内作品の英題表記のページにわざわざその旨が謳われているという芸の細かさにニヤリとしてしまった。

しかも“読者への挑戦状”付のど真ん中の本格ミステリ。久々にこの挑戦状を見た。
だが哀しいかな、この頃には私は既にこの作品に対する興味を失っていた。

あいにく私はポオに疎く、読んだ作品は『モルグ街の殺人』、『黄金虫』、『黒猫』の3作品しかない。本書でメインモチーフとして扱われている『アッシャー家の崩壊』は未読の為、十分に愉しむことが出来なかったのだ。
そのため、作中で繰り広げられるポオの作品に擬えた犯罪の数々と登場人物が折に触れ語るポオ作品との関連性に逆に辟易としてしまった。

こういった作品とはやはりモチーフとなるものに読者もある程度の造詣を持っていないと、乱痴気騒ぎを窓の向こうから見ているような冷めた目線で読んでしまいがちだ。それはある種その仲間に入っていけないものにとってパーティとは騒音以外なにものでもなくなってしまうのと同様に、作中で出てくるポオ作品のモチーフの数々が作品の進行を妨げているようにしか、思えなかったのが辛い。

確かに明かされる一連の事件の流れは確かに理路整然とした本格ミステリなのだが、謎を魅力的にするファクターに乏しかった。それもそのはずで、作者は作中で主人公のニッキに動機や陰謀などは興味がなく、誰がどのように動いたら一番合理的かを推理する方法を探り当てるのが彼女の推理作法だと云わせている。つまり人間の“情” ではなく、あくまで“理”を追及する作品であるのもこの要因の1つだと考えられる。

しかしそれでもなお本書の面白さがあまり伝わらなかった。特に本書ではエピローグの作者の分身ともいえる人物にポオの『アッシャー家の崩壊』に関する新解釈が収録されているが、原作を読んでいない私にとって全く以ってどうでもいいような内容だった。
こんな趣向も含めてもしも私がポオを読んでいたらこの評価もガクンと上がるのではないだろうか?

ともあれ久々に自分に合わない本を読んだ。それほどこだわりのない人ならばポオ経験なしでも十分楽しめるが、経験者の盛り上がり様はいかほどだろうか。
次に読む本が読書の愉悦に浸れる作品であることを祈りつつ、この感想を閉めよう。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.1:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

だれもがポオを愛していたの感想

ミステリ専門の流行作家ではなく、東大の助教授時代に書かれた作品で専門は英米文学という学者さんが書かれたミステリです。でも、こういった切り口のミステリは新鮮でとても面白かったといえます。
見立て殺人が続きます。その見立てこそがポオの作品そのものです。ボルティモア市警察警部補、ナゲット・マクドナルド(この名前が可笑しい、登場人物の名前はすべてこんな調子で笑える)の父と何十年もの親交があった
外交官の更科氏。三年ぶりに会う彼を迎えにボルティモア・ワシントン空港に出向いた彼の前に現れたのは更科氏と娘の更科丹希。彼女がこの事件を解決する名探偵で通称ニッキだ。こまかなその場面の様子をキチンと把握していけば
読んでいる人も犯人に辿り着けるように書かれた正統派のミステリで、第4章『ユリイカ(われ発見せり)』を読む前にニッキよりも先に犯人を指摘できれば貴方は名探偵です。
ポオへのオマージュと『アッシャー家の崩壊』を新たな考察で見せるこの一冊はミステリファンには堪らない贈り物です。
著作は少ないですが、既存の作家では無い人が書くミステリには意外と名作と呼べる物が数多くあるものです。坂口安吾しかり、筒井康隆しかりです。
『アッシャー家の崩壊』、『ベレニス』、『黒猫』とポオの作品に見立てた連続殺人、その真相はひとつひとつの手がかりを組み合わせていく正統派の探偵に相応しい事件です。

ニコラス刑事
25MT9OHA
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.10:
(5pt)

本格ミステリファン必読!

本格ミステリの要素を全て詰め込んだような贅沢な一冊!
だれもがポオを愛していた (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:だれもがポオを愛していた (集英社文庫)より
4087495752
No.9:
(4pt)

ポオの著作に基づく連続見立て殺人

ポオの墓近くの沼のほとりに建つアシヤ邸の爆破事件で死亡したアシヤ兄妹。さらに、その近くの小屋で見つかった事件関係者二人の遺体。
ポオの著作『アッシャー家の崩壊』『ベレニス』『黒猫』に基づく連続見立て殺人で、探偵役は、事件記述者である警察官の友人の娘の更科丹希(ニッキ)。ニッキの探偵手法は、人のつながりや動機よりも、物証に重点を置いたデュパン流のもの。
爆破予告電話や、妹のダイイングメッセージ『ユーラルーム』、ポオの未発表手紙の行方、一時失踪した元使用人夫妻、失踪したその娘と恋人の行方、殺された仲買人の女の足取り等、複雑な要因が絡み合っていて、事件の構図はかなりややこしい。
ニッキはポオ研究家の教授の話を聴くことで、真相にたどり着いているが、正直必然的で唯一無二の真相とは言い難く、作品中で示されているデータだけで読者が真相を推理することは難しいとは感じる。
小屋の窓ガラスが壊されていたこと、ドアの錠が壊されていたこと、色々な場所の指紋が消されていたことなどから紡ぎだされるニッキの推理は鋭い。その推理から導き出される棺の移動に関する真相は、ポオの某作品の真相と密接な関わりがあり、なおかつ意表を突くものであり、とても面白く、感心した。
登場人物の間で交わされる会話は、アメリカ人らしいユーモアにあふれていて、読みやすい作品。
エピローグでは、作中に登場するポオ研究家の教授による『アッシャー家の崩壊』の解釈が示されていて、こちらも興味深い内容だ。
だれもがポオを愛していた (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:だれもがポオを愛していた (集英社文庫)より
4087495752
No.8:
(5pt)

清潔感あるミステリ

主人公のニッキの切れ味鋭い推理。 登場人物の機知あふれるやりとり。 それらを土台に繰り広げられる、あっと驚く結末の良質ミステリ。 本格好きの方におすすめです。
だれもがポオを愛していた (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:だれもがポオを愛していた (集英社文庫)より
4087495752
No.7:
(5pt)

ポオの読み方が変わる

偶然「Poe研究」の文献リストで見つけた一冊である。著者は東京大学文学部教授(2012年定年退官)。アメリカ文学ファンの私は、氏の『アメリカ文学史』(2010)を格好の参考書としているが、推理小説も書いていたとは知らなかった。驚きつつ早速読んだ。
 眼目は矢張り学者らしいこだわりだ。推理小説を楽しむだけの人には余計なことだが、文学ファンとしては見逃せない。
 先ず構造が面白い。本書はボルティモア警察署の刑事ナゲット・マクドナルドによる手記と言う形を取っているが、「探偵」は休暇でやって来た若い日本女性である。両者の関係はデュパンと<私>、ホームズとワトソンの定式通りだが、本書にはさらに日本人のS・W**教授が絡む。教授は英語で記されたという本書の原書の翻訳者だが、物語中に登場し、しかもキーパーソンである。事件はポオの小説を犯人がなぞる形で進むメタ小説に、翻訳者が加わる「ダブルメタ小説」とでも言べき形になっている。
 次の特徴は登場人物の多さである。登場人物一覧表なしでは混乱してしまう程だが、実際の捜査はこれくらいに及ぶのだろうから、それらの人物の扱いに軽重をつけてはならないとの考えがあると読める。命名もユニークで、<アシヤ>家がアッシャー家のもじりであることは許せるとしても、語り手を始め、ホモ刑事のロンとヤ−ス、ジミー・カダ、リンディ・ジョンソンなどの悪ふざけには吹き出してしまう。ヒロインのニッキ・サラシーナは『更級日記』だが、これは何だろう。『日記』は夢見がちな少女の「夢想」だが、文学も犯罪も、その根幹に人間の想像力があるとする示唆だろうか。
 事件は動機の捜査に向かいがちな警察官に対して、「人間の角度からではなく…物質の角度から」迫るニッキによって明快に解かれて行く。これはテクストを記号の固まりとして読み解こうという現代文学批評理論に通ずる思考法である。それもS・W**教授の示唆があってのことである。
 小説は途中で読者に向かって、『アッシャー家の崩壊』はじめここまでに引用されたポオの詩や物語を「新たな視点から再読」せよと挑発する。私も読み返したがさっぱり判らない。
 最後に「『アッシャー家の崩壊』を犯罪小説として読む」と題する教授のメモが公表される。圧巻である。目が開かれる思いがある。ポオの小説の神髄は「合理的精神による非合理への闘い」にある、とする教授の解釈が具体的に提示される。これを読む読者は、今後ポオ作品の読み方がまるで違ったものになってしまうだろう
 実にポオは、ニッキが指摘するように、「詩と真実を同一視」することが出来た稀な作家だった。本書はそのポオに捧げる熱烈なオマージュなのである。
だれもがポオを愛していた (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:だれもがポオを愛していた (集英社文庫)より
4087495752
No.6:
(5pt)

これと、「ジグソー」と読みました

女性探偵、更科丹希の作品は三作あるらしいです。「笑ってジグソー、殺してパズル」「だれもがポオを愛していた」「スラムダンクマーダー」。
そのうち二作を読みましたが、どちらもセンスのいい佳作だと思いました。

「ジグソー」は日本の館物(?)で、ジグソーパズルにからめたトリックと、消去法による犯人の特定が、謎解きのポイントになっています。

「ポオ」は、アメリカ警察の犯罪捜査もので、現場に残された物証から、何がどのようにおこったか、事件の再構築をはかる更科丹希の推理が、
物語の目玉です。
「ポオ」には、「アッシャー家の崩壊」という幻想小説を、犯罪小説として読む、という「大学教授のエッセイ」が差し挟まれていて、一冊の本に二つの謎解きがある、お得な本になっています。

この二作の一番の特徴は「軽快さ」で、登場人物が、探偵のニッキをはじめ、警察官みんなユーモアというのかウィットというのか、ずっと現場が重苦しくならない、明るい空気を保ちつづけてるところがいいと思います。読後感がすっきりする感じなのが、私は好きでした。
だれもがポオを愛していた (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:だれもがポオを愛していた (集英社文庫)より
4087495752



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