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だれもがポオを愛していた



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だれもがポオを愛していたの評価: 4.70/5点 レビュー 10件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.70pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全10件 1~10 1/1ページ
No.10:
(5pt)

本格ミステリファン必読!

本格ミステリの要素を全て詰め込んだような贅沢な一冊!
だれもがポオを愛していた (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:だれもがポオを愛していた (集英社文庫)より
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No.9:
(4pt)

ポオの著作に基づく連続見立て殺人

ポオの墓近くの沼のほとりに建つアシヤ邸の爆破事件で死亡したアシヤ兄妹。さらに、その近くの小屋で見つかった事件関係者二人の遺体。
ポオの著作『アッシャー家の崩壊』『ベレニス』『黒猫』に基づく連続見立て殺人で、探偵役は、事件記述者である警察官の友人の娘の更科丹希(ニッキ)。ニッキの探偵手法は、人のつながりや動機よりも、物証に重点を置いたデュパン流のもの。
爆破予告電話や、妹のダイイングメッセージ『ユーラルーム』、ポオの未発表手紙の行方、一時失踪した元使用人夫妻、失踪したその娘と恋人の行方、殺された仲買人の女の足取り等、複雑な要因が絡み合っていて、事件の構図はかなりややこしい。
ニッキはポオ研究家の教授の話を聴くことで、真相にたどり着いているが、正直必然的で唯一無二の真相とは言い難く、作品中で示されているデータだけで読者が真相を推理することは難しいとは感じる。
小屋の窓ガラスが壊されていたこと、ドアの錠が壊されていたこと、色々な場所の指紋が消されていたことなどから紡ぎだされるニッキの推理は鋭い。その推理から導き出される棺の移動に関する真相は、ポオの某作品の真相と密接な関わりがあり、なおかつ意表を突くものであり、とても面白く、感心した。
登場人物の間で交わされる会話は、アメリカ人らしいユーモアにあふれていて、読みやすい作品。
エピローグでは、作中に登場するポオ研究家の教授による『アッシャー家の崩壊』の解釈が示されていて、こちらも興味深い内容だ。
だれもがポオを愛していた (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:だれもがポオを愛していた (集英社文庫)より
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No.8:
(5pt)

清潔感あるミステリ

主人公のニッキの切れ味鋭い推理。 登場人物の機知あふれるやりとり。 それらを土台に繰り広げられる、あっと驚く結末の良質ミステリ。 本格好きの方におすすめです。
だれもがポオを愛していた (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:だれもがポオを愛していた (集英社文庫)より
4087495752
No.7:
(5pt)

ポオの読み方が変わる

偶然「Poe研究」の文献リストで見つけた一冊である。著者は東京大学文学部教授(2012年定年退官)。アメリカ文学ファンの私は、氏の『アメリカ文学史』(2010)を格好の参考書としているが、推理小説も書いていたとは知らなかった。驚きつつ早速読んだ。
 眼目は矢張り学者らしいこだわりだ。推理小説を楽しむだけの人には余計なことだが、文学ファンとしては見逃せない。
 先ず構造が面白い。本書はボルティモア警察署の刑事ナゲット・マクドナルドによる手記と言う形を取っているが、「探偵」は休暇でやって来た若い日本女性である。両者の関係はデュパンと<私>、ホームズとワトソンの定式通りだが、本書にはさらに日本人のS・W**教授が絡む。教授は英語で記されたという本書の原書の翻訳者だが、物語中に登場し、しかもキーパーソンである。事件はポオの小説を犯人がなぞる形で進むメタ小説に、翻訳者が加わる「ダブルメタ小説」とでも言べき形になっている。
 次の特徴は登場人物の多さである。登場人物一覧表なしでは混乱してしまう程だが、実際の捜査はこれくらいに及ぶのだろうから、それらの人物の扱いに軽重をつけてはならないとの考えがあると読める。命名もユニークで、<アシヤ>家がアッシャー家のもじりであることは許せるとしても、語り手を始め、ホモ刑事のロンとヤ−ス、ジミー・カダ、リンディ・ジョンソンなどの悪ふざけには吹き出してしまう。ヒロインのニッキ・サラシーナは『更級日記』だが、これは何だろう。『日記』は夢見がちな少女の「夢想」だが、文学も犯罪も、その根幹に人間の想像力があるとする示唆だろうか。
 事件は動機の捜査に向かいがちな警察官に対して、「人間の角度からではなく…物質の角度から」迫るニッキによって明快に解かれて行く。これはテクストを記号の固まりとして読み解こうという現代文学批評理論に通ずる思考法である。それもS・W**教授の示唆があってのことである。
 小説は途中で読者に向かって、『アッシャー家の崩壊』はじめここまでに引用されたポオの詩や物語を「新たな視点から再読」せよと挑発する。私も読み返したがさっぱり判らない。
 最後に「『アッシャー家の崩壊』を犯罪小説として読む」と題する教授のメモが公表される。圧巻である。目が開かれる思いがある。ポオの小説の神髄は「合理的精神による非合理への闘い」にある、とする教授の解釈が具体的に提示される。これを読む読者は、今後ポオ作品の読み方がまるで違ったものになってしまうだろう
 実にポオは、ニッキが指摘するように、「詩と真実を同一視」することが出来た稀な作家だった。本書はそのポオに捧げる熱烈なオマージュなのである。
だれもがポオを愛していた (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:だれもがポオを愛していた (集英社文庫)より
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No.6:
(5pt)

これと、「ジグソー」と読みました

女性探偵、更科丹希の作品は三作あるらしいです。「笑ってジグソー、殺してパズル」「だれもがポオを愛していた」「スラムダンクマーダー」。
そのうち二作を読みましたが、どちらもセンスのいい佳作だと思いました。

「ジグソー」は日本の館物(?)で、ジグソーパズルにからめたトリックと、消去法による犯人の特定が、謎解きのポイントになっています。

「ポオ」は、アメリカ警察の犯罪捜査もので、現場に残された物証から、何がどのようにおこったか、事件の再構築をはかる更科丹希の推理が、
物語の目玉です。
「ポオ」には、「アッシャー家の崩壊」という幻想小説を、犯罪小説として読む、という「大学教授のエッセイ」が差し挟まれていて、一冊の本に二つの謎解きがある、お得な本になっています。

この二作の一番の特徴は「軽快さ」で、登場人物が、探偵のニッキをはじめ、警察官みんなユーモアというのかウィットというのか、ずっと現場が重苦しくならない、明るい空気を保ちつづけてるところがいいと思います。読後感がすっきりする感じなのが、私は好きでした。
だれもがポオを愛していた (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:だれもがポオを愛していた (集英社文庫)より
4087495752
No.5:
(5pt)

あなたも「ポオの手紙」を書きませんか?

ポオの諸作のモチーフをなぞった奇怪な連続見立て殺人、
そして挿入される読者への挑戦状――。

このように本作は、古典的ミステリとしての装いが施されており、
その部分だけをみても、一級品の完成度を誇っています。


しかし、最大の読みどころは、巻末に付された、

『アッシャー家の崩壊』を犯罪小説として読む」

というエッセイにあります。


そこでは、恐怖小説として受容されてきた『アッシャー家の崩壊』が
犯罪小説として読み解かれているのですが、その解釈がじつは本編のプロットに
組み込まれているという一種のメタフィクション的趣向がとられているのです。

いわば、事件の背景にある「物語」を読み解くことが、事件自体の解決に繋がる、
といった、京極夏彦以降、広く一般化した手法の先駆的な達成がみられるのです。


また、本作では、タイトルだけでなく探偵役である、
更科ニッキの名にも、ポオへのオマージュが見て取れます。

純粋推理の象徴であるエラリー・クイーンの秘書、ニッキー・ポーターと、
「物語」への募る憧憬が綴られた『更級日記』からとられたと考えられる
この名前に込められた著者の含意は明瞭です。

幻想的な謎と巧緻な論理が同居するミステリという形式への信仰告白――、
それは取りも直さず、その始祖であるポオに捧げられることになります。

よって、タイトルの「ポオ」を「ミステリ」に読み替えた
ものこそ、著者のストレートなメッセージといえるのです。

だれもがポオを愛していた (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:だれもがポオを愛していた (集英社文庫)より
4087495752
No.4:
(5pt)

本格的なミステリーです

ポーへのオマージュ(あるいはリスペクト)を踏まえ、ポーの短編小説や詩を交えながら書かれている推理小説です。本職は、英語の先生で副題にThey all loved you,Mr.Poeと付け加えられていますが、その響きもいいですね。

登場人物の名前は主人公の更級ニッキをはじめ、ナゲット・マクドナルド、ケロッグ警視、ナビスコ、キャンベル、マコーミック、ロン、ヤスといった様に、古典や食料品メーカー、当時の日米首脳をもじってつけられています。といって、軽い推理小説ではなく、中身は本格ミステリーです。

本作品は読む前にポーの短編や詩を読んでいると、より楽しめます。もちろん知らなくても楽しめるとも思いますが。

エピローグの”「アッシャー家の崩壊」を犯罪小説として読む”はそれだけでも面白い着眼点の論考です。もしポーにシャーロック・ホームズ・ファンの間に「シャーロッキアンの会」があるように、「ポオロリアンの会」があれば即座に入会できるでしょう。

名作と呼べる本格ミステリーです。
だれもがポオを愛していた (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:だれもがポオを愛していた (集英社文庫)より
4087495752
No.3:
(3pt)

アイデアのみ

1985年に集英社から出版されたのが初出。
 著者は東大のアメリカ文学の先生で、もともとはフォークナーが専門。
 本書は文学の豊富な知識を生かして書かれた推理小説で、ポオの「アッシャー家の崩壊」や「ベレニス」などが下敷きになっている。ポオの使い方も上手だし、トリックも巧み。なにより、おどろおどろしい雰囲気がうまく出ていて、楽しく読める。
 しかし、謎と推理の部分は素晴らしいのだが、小説としての完成度が低すぎる。話の進め方が下手で、非常に読みにくい。特にラストで名探偵が謎解きをする場面にはイライラさせられる。
だれもがポオを愛していた (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:だれもがポオを愛していた (集英社文庫)より
4087495752
No.2:
(5pt)

太鼓判をおして

何かおもしろい本格ミステリはないかとお探しの方、いませんか?そんな方におすすめなのが、本書の著者 平石貴樹のミステリ。作品数は少ないのですが、どれをとっても満足できる本格ミステリがそろっています。
中でもこの『誰もがポオを愛していた』は著者の(今のところ)代表作ともいえるミステリ、みたて殺人(ミステリの生みの親といわれるエドガー・アラン・ポオの作品のみたて)、不思議な謎、魅力ある探偵、不可能に見えていたものが論理的に解明されていく爽快感、ミステリ好きな人にはたまらない盛りだくさんの楽しさがつまっています。
さらにエピローグでは、ポオの有名作『アッシャー家の崩壊』に隠された真実を暴き出していて、これもとても興味深くおもしろい。
これぞ本格ミステリと太鼓判を押しておすすめできる一冊です。
だれもがポオを愛していた (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:だれもがポオを愛していた (集英社文庫)より
4087495752
No.1:
(5pt)

太鼓判をおして

何かおもしろい本格ミステリはないかとお探しの方、いませんか?そんな方におすすめなのが、本書の著者 平石貴樹のミステリ。作品数は少ないのですが、どれをとっても満足できる本格ミステリがそろっています。
中でもこの『誰もがポオを愛していた』は著者の(今のところ)代表作ともいえるミステリ、みたて殺人(ミステリの生みの親といわれるエドガー・アラン・ポオの作品のみたて)、不思議な謎、魅力ある探偵、不可能に見えていたものが論理的に解明されていく爽快感、ミステリ好きな人にはたまらない盛りだくさんの楽しさがつまっています。
さらにエピローグでは、ポオの有名作『アッシャー家の崩壊』に隠された真実を暴き出していて、これもとても興味深くおもしろい。
これぞ本格ミステリと太鼓判を押しておすすめできる一冊です。
だれもがポオを愛していたAmazon書評・レビュー:だれもがポオを愛していたより
4087750744

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