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だれもがポオを愛していた



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だれもがポオを愛していたの評価: 5.67/10点 レビュー 3件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点5.67pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(5pt)

あまり面白くなかった

ポオのファンじゃなければつまらない。

わたろう
0BCEGGR4
No.2:
(3pt)

読む前にポオ作品を読んで下さい

全てのモチーフがポオの作品に繋がっていた。そんなポオ尽くしの奇妙な事件。
本書は数あるガイドブックで時折取り上げられる作品。それほど評価が高いのであれば食指が動くというもの。どれどれといった感じで読んでみた。

本書では捜査に当たったボルティモア市警のナゲット・マクドナルド警部の私記という体裁を取っている。そのため、創元推理文庫特有の国内作品の英題表記のページにわざわざその旨が謳われているという芸の細かさにニヤリとしてしまった。

しかも“読者への挑戦状”付のど真ん中の本格ミステリ。久々にこの挑戦状を見た。
だが哀しいかな、この頃には私は既にこの作品に対する興味を失っていた。

あいにく私はポオに疎く、読んだ作品は『モルグ街の殺人』、『黄金虫』、『黒猫』の3作品しかない。本書でメインモチーフとして扱われている『アッシャー家の崩壊』は未読の為、十分に愉しむことが出来なかったのだ。
そのため、作中で繰り広げられるポオの作品に擬えた犯罪の数々と登場人物が折に触れ語るポオ作品との関連性に逆に辟易としてしまった。

こういった作品とはやはりモチーフとなるものに読者もある程度の造詣を持っていないと、乱痴気騒ぎを窓の向こうから見ているような冷めた目線で読んでしまいがちだ。それはある種その仲間に入っていけないものにとってパーティとは騒音以外なにものでもなくなってしまうのと同様に、作中で出てくるポオ作品のモチーフの数々が作品の進行を妨げているようにしか、思えなかったのが辛い。

確かに明かされる一連の事件の流れは確かに理路整然とした本格ミステリなのだが、謎を魅力的にするファクターに乏しかった。それもそのはずで、作者は作中で主人公のニッキに動機や陰謀などは興味がなく、誰がどのように動いたら一番合理的かを推理する方法を探り当てるのが彼女の推理作法だと云わせている。つまり人間の“情” ではなく、あくまで“理”を追及する作品であるのもこの要因の1つだと考えられる。

しかしそれでもなお本書の面白さがあまり伝わらなかった。特に本書ではエピローグの作者の分身ともいえる人物にポオの『アッシャー家の崩壊』に関する新解釈が収録されているが、原作を読んでいない私にとって全く以ってどうでもいいような内容だった。
こんな趣向も含めてもしも私がポオを読んでいたらこの評価もガクンと上がるのではないだろうか?

ともあれ久々に自分に合わない本を読んだ。それほどこだわりのない人ならばポオ経験なしでも十分楽しめるが、経験者の盛り上がり様はいかほどだろうか。
次に読む本が読書の愉悦に浸れる作品であることを祈りつつ、この感想を閉めよう。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.1:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

だれもがポオを愛していたの感想

ミステリ専門の流行作家ではなく、東大の助教授時代に書かれた作品で専門は英米文学という学者さんが書かれたミステリです。でも、こういった切り口のミステリは新鮮でとても面白かったといえます。
見立て殺人が続きます。その見立てこそがポオの作品そのものです。ボルティモア市警察警部補、ナゲット・マクドナルド(この名前が可笑しい、登場人物の名前はすべてこんな調子で笑える)の父と何十年もの親交があった
外交官の更科氏。三年ぶりに会う彼を迎えにボルティモア・ワシントン空港に出向いた彼の前に現れたのは更科氏と娘の更科丹希。彼女がこの事件を解決する名探偵で通称ニッキだ。こまかなその場面の様子をキチンと把握していけば
読んでいる人も犯人に辿り着けるように書かれた正統派のミステリで、第4章『ユリイカ(われ発見せり)』を読む前にニッキよりも先に犯人を指摘できれば貴方は名探偵です。
ポオへのオマージュと『アッシャー家の崩壊』を新たな考察で見せるこの一冊はミステリファンには堪らない贈り物です。
著作は少ないですが、既存の作家では無い人が書くミステリには意外と名作と呼べる物が数多くあるものです。坂口安吾しかり、筒井康隆しかりです。
『アッシャー家の崩壊』、『ベレニス』、『黒猫』とポオの作品に見立てた連続殺人、その真相はひとつひとつの手がかりを組み合わせていく正統派の探偵に相応しい事件です。

ニコラス刑事
25MT9OHA

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