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黒い海 船は突然、深海へ消えた
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黒い海 船は突然、深海へ消えたの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.43pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全112件 41~60 3/6ページ
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読書仲間の只野健さんの書評で知ったドキュメント『黒い海――船は突然、深海へ消えた』(伊澤理江著、講談社)を手にしました。 一気に読み終わった時、真実を覆い隠そうとする者たちに対する怒りに震えながら、松本清張の『日本の黒い霧』を想起しました。米国に忖度する日本という情けない構図が共通しているからです。 2008年6月12日、太平洋上で漁船・第58寿和丸が突然、2度の衝撃を受けて転覆・沈没してしまいます。助かった乗組員は3人、4人が死亡、13人が行方不明という大事故だが、運輸安全委員会が「波による転覆」という結論を出したため、この事故は世間から急速に忘れ去られていきます。 「人は忘れやすい。どんなに耳目を集めた出来事であっても、潮が引くようにニュースは減り、世間の関心は薄れていく。17人の乗組員が犠牲になった第58寿和丸の事故もまさにそうだった」。 事故から11年後の2019年秋、ひょんなことから、この事故を知り、「波」という原因に疑問を抱いた著者・伊澤理江の関係者への粘り強い聞き取り行脚が始まります。 「第58寿和丸は波ではなく、何らかの要因で船体が損傷したのではないか。考えれば考えるほど、自力で調べれば調べるほど、この『疑念』が明確な姿となって見え始めていく」。 「第58寿和丸事故の資料を集めていた私は、この横浜の『(海難審判庁横浜地方海難審判)理事所』が真相解明に向けた重要なカギを握っているはずだと考えていた。横浜の理事所は、生存者3人や僚船の乗組員たちからの事情聴取、現場の気象状況や海況などの事実に基づいて、事故原因は波によるものではなく、船体が何らかの損傷を受けたことが原因ではないかと推察していた節があるからだ。しかも彼らは潜水艦との衝突も視野に入れていた」。 「船舶事故調査の後継組織・運輸安全委員会の事務方のトップは事務局長だ。国交省の官僚が務める」。 「どうやったら、こんな(波による転覆という)内容の報告書ができあがるのか」。 「(第58寿和丸を所有する)酢屋商店社長の野崎哲は、運輸安全委員会の調査プロセスは『どうやったら波で転覆させられるか、一生懸命考えているようだった』と取材に語った」。 「取材の記録や資料などが、次第に私の手元に積み重なってきた。報告書の内容が生存者らの証言と一致していない実態は、明確になった。しかし、報告書の内容が生存者らの証言と違っているというだけでは、十分ではない。もっと確実な『何か』をつかむ必要があった。それがないと、取材は先に進めない」。 「ここに至って私は、潜水艦と軍に精通する人々への取材に手を付けた。すると、軍事大国が人知れず海中で繰り広げている潜水艦の隠密行動と民間船舶の接点が想像以上に多いという知られざる実態が次々と浮かび上がってきたのだ」。 「実際、潜水艦による事故を隠そうとし、その後に露見してしまった日本船絡みの事例がある。1981年4月9日に発生した貨物船『日昇丸』と米原子力潜水艦『ジョージ・ワシントン』号の衝突、当て逃げ事件だ」。 「元外交官は続ける。『第58寿和丸が潜水艦と衝突したのだとすれば、その国は普通に考えればアメリカでしょう。当時の国際情勢から言っても、あの海域で活動していた潜水艦は日本とアメリカです。それにアメリカなら隠し通すということは十分あり得る。日本近海でアメリカの艦船が事故を起こし、多数の民間人が犠牲になったという事実が公になったら、在日米軍基地(の整理・縮小)問題に発展しかねない。アメリカなら隠そうとしますよ。潜水艦は軍事機密だから公文書も表に出ません。機密は絶対。軍人は退役しても喋らない。戦争をする国とそうでない国では、機密のレベルが全然違うんです』」。 「『セイルが第58寿和丸にぶつかり、潜ろうとして振り上げた縦舵がまた船体にぶつかった。潜水艦が原因だとしたら、その当たり方しかない』という元潜水艦隊司令官・小林正男の言葉が蘇ってくる」。 「情報公開をめぐる裁判と並行し、私の取材は今なお続いている。第58寿和丸の事故は潜水艦との衝突によって引き起こされた可能性が高いと判断している私の前には、軍事機密の高い壁がある。相手の国名や艦名を特定する取材は容易ではない。しかし、歩みがじれったいほど遅くても、壁を登っていく試みは放棄しない」。伊澤よ、頑張ってくれ! どこの国の何という潜水艦が、これほどの「事件」を起こしながら、図々しくも口を拭ってのうのうとしているのか、そして、外交問題化することを恐れ、許せないことだが犯人追及を妨害した日本の腑甲斐ない責任者は誰か――を突き止めてくれ! | ||||
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救助順位にプライオリティがあるとは知らなかった。 とんでもない事だ。 | ||||
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決定的な証拠は深海に沈んだ船体を引き揚げない限りは分からないだろうが、それでも手に入る限りの周辺情報を粘り強く得て、努めて冷静にあらゆる可能性から選択肢を絞り込んでいくその姿勢とプロセス、筆力に感心します。 内容で最も気になったのは国家や公的機関の秘密主義、及び手の平を返したような塩対応。リソースが足りない事情を斟酌しても、とても被害者に寄り添ったり、次の事故を無くすような建設的な提言をしたりするようにはとても見えない。自分も含めて日本とはそういう風土なのかとがっかりしつつも再認識させられた。 先のタイタニックツアー潜水艦事故ではたった5人の乗客にあれだけの人と金をかけてあっという間に深海から残骸を回収したのに、こちら17人不明で対応がまるで逆。世の不公平と不条理を感じます。 | ||||
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丹念に取材されたことはよく分かるが、特に重要な証言を引き出しているわけではない。ラストは事件とは関係ない震災の話や石牟礼道子氏の詩などが出てきて肩透かしだった。決定的な事実が出てこない段階で出版されることもあるのですね。ノンフィクション好きとしては、満足感の低い本でした。 | ||||
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きっとここに記されている事が紛れもない真実なのだろうと強く感じさせる一冊である。我々の世界は本当に闇が深い。 | ||||
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漁船の不自然な転覆について丹念な取材で、隠されている何かに迫っていく。その中では、土着に生きる人間と、システムの中で生きる人間の対立が浮き彫りとなり、人が生きるとは何か?ということを、考えさせられる。 | ||||
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吉村昭を思わせるようなリアルさ よく取材されていなると思います | ||||
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渾身の取材を元につとめて冷静に描かれています。この事故は確かにフェードアウトしてしまっている印象ですが、今の日本が置かれている立場の結果だとすれば悲しいことです。そして取材対象だった漁協の方は現在は原発の処理水の海洋投棄問題で漁民の代表をされており、ニュースでも取り上げられていました。こちらも今後も長く続く問題になりそうです。 | ||||
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始めの部分で、おおよその原因は予想できます。 そこへの検証はキチンと出来ていて読み物としては良く出来ていますが、やはり深海への調査が出来ない限り立証出来ないし、調査の限界も有るのは分かりました。 それでも諦めずに調査している姿に、素晴らしいと思えました。 | ||||
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電子書籍188ページの記述でグリーンビルの全長は 110メートル、総排水量は 6000トン。全長はえひめ丸の 2倍ほどだが、総排水量は 499トンのえひめ丸の 10倍以上もある。と書いてあるが潜水艦は排水トン数、一方漁船や商船のトン数は船の外板の内側から外板の内側まで全ての容積をあらわします。つまり船の中がどのくらい広いかをあらわしていすので比較にならない上に同じ排水トン数にすれば10倍もありません。 似た様に誤った記述が多々見受けられますので、ちゃんと取材及び船舶工学を理科したうえで出版された方が良いと思われます。 | ||||
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調査に次ぐ調査の連続。失わない客観性。専門的な分野の迷路に入り込んでもどんどん先に進んでいく根気。著者の方のエネルギーというか、記者魂? 作家魂? に胸を打たれた。 この本はミステリー×仕事物語として読んでも面白い。 政治の難しさ、お役所仕事の難しさ、をひしひしと実感した良書。 この本をきっかけに真相が明るみになることを切に願う。 | ||||
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生還者の証言をねじ曲げ事実と違う報告書には呆れるばかりです。委員会の事なかれ主義と米国への忖度?を鮮明に浮かび上がらせた調査、取材に感動しました。今後も米国の開示請求に期待して新たな展開と17人のご冥福を祈ります。 | ||||
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ネットニュースで見ていたので、入手したいと思っていました。 迅速に届いたので満足です、まだ読んでいませんが。 | ||||
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非常に読みやすく理解しやすい文章だと感じた。内容は感情的にならず決めつけず本当に多岐にわたる粘り強い取材がなされており感動さえ覚えた。自分にできることはなんだろうと自問した。少なくともこの事件を忘れずに見ていく事と「国」について考えること。学校では「国は国民を守るためにある」と教わったが… | ||||
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前から自分の使ってるニュースアプリにこの本の切り抜きが出てたのでちょっとだけ内容を知ってましたが今回電子版で購入して一気に読ませていただきました。まず読み終えて最後に著者紹介で初めて気づいたのですが著作者女性だったんですね。なんとなく勝手に男性をイメージしてたのでまずそれに驚きですw 取材の丁寧さというか緻密さというかそういうのもひしひしと伝わり、かつ文章の構成力というかなんていうか。普段全く本を読まない無学の自分でも一気に読めました。メインの部分ではないですが花を奉るの部分やあえて福島に水揚げをした部分なんかは読むのを一時中断して考えにふけってしまいました。とてもいい本でした。 | ||||
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センセーショナルな結論ありきではない。 内容ややるせなさについては他の方のレビューに譲るとして、 沈没のあらゆる原因を丁寧に検証し、ロジカルに潜水艦説に辿りつくプロセスに誠実さを感じた。 いわゆる「悪役」とされがちな官僚に対しても、一方的な批判だけ聞いてものを書きたくないと丁寧に伝えている点に、この人が報道の仕事をしてくれてよかったなと思った。 | ||||
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第58寿和丸が本当に潜水艦に当て逃げされて沈没したのかどうか、またそうだとして、その潜水艦はどこの国のものなのか。この謎を巡って一民間人であるジャーナリストが粘り強く取材を続け、米国の原潜に当て逃げされた可能性が高いのではないかという仮説を追いかけた一冊。 軍事機密だから真相が不透明なことよりも、日本の官僚のお役所仕事がもう一つの難敵として被害を被った水産会社社長や遺族たちを切り捨てる様子に、多くの読者は怒りを覚えるだろう。広く読まれてほしい本だ。 | ||||
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×汚染水⚪︎処理水 言葉は正しく使いましょう それを除けば星4 | ||||
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とにかく取材の情報量が凄い 事実を積み上げる力が凄い パーツを組み上げている中で真実に迫っていく迫力が凄い 勧善懲悪のテレビドラマのようではないが 重く読みごたえを感じる よく価値のある一冊 | ||||
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漁船転覆事故の謎に迫ったノンフィクションである。2008年6月、福島県いわき市の漁船会社「酢屋商店」に所属する第58寿和丸は、千葉県犬吠埼沖でパラシュート・アンカーによる漂泊中に突如転覆、17人もの犠牲者を出す。調査の結果事故の原因は波と特定されるが、この調査結果に対して事故の関係者は疑問を持ち続けていた。著者はこの転覆事故の真相を追うため、長きに渡る取材を始める。 著者の取材力には圧倒されるが、とりわけ関係者への地道で丹念なインタビューが秀逸だ。生存者、事故関係者、遺族はもちろん、事故調査に当たった当時の運輸安全委員会のメンバーや海の専門家に至るまで、時には取材の理由やその背景を直筆の手紙にしたためて面会を申込む。当時の恐怖に涙する生存者、覚えていないと言って取材を断る事故調査担当者、自身の知識や見解を惜しげもなく語る専門家。臨場感のある生々しいインタビュー内容はとても読みごたえがあり、真相に迫ろうとする著者の意気込みが伝わってくる。 第58寿和丸の事故は、その沈むまでの早さと大量の油の流出から、波による転覆・沈没ではなく船体損傷によって起こったのではと早くから指摘されていた。船底からの異様な音や2度の衝撃音を生存者は確認していたのだ。著者は膨大な取材結果から、潜水艦との衝突により船体損傷が起き転覆した可能性を見出だし、更に取材を進めていく。その「真相」を、是非本書を読んで確認頂きたいと思う。著者の丹念で粘り強い取材に、ジャーナリズムとはこういうものかと、唸らせられた1冊だ。 | ||||
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