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ポリス・アット・ザ・ステーション
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ポリス・アット・ザ・ステーションの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.60pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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この警察小説の面白さのかなりの部分が翻訳のうまさに依っているのではないかと感じられる 主人公刑事のセリフをはじめ、話全体のキレが抜群だ 小説自体はアクションに偏りすぎ この刑事はあまり推理が達者ではないようだ 過去の密室モノもそうだった 物語の決着のつけ方も力によっており感心できない しかし熱心な刑事ではある 主人公刑事とその部下の善人ぶりは読むほうに寛ぎを与える かれらの家族もそうだ だんだんこのシリーズの軸が動いて来て良さが違ったものになりつつある 長い本であるから少しづつ読んでも支障はない ゆっくり味わいたい警察小説だ 今度は原書ペーパーバックを買って英語を確かめてみよう 日本語訳のうまさが感じられるかどうか Ⅾ.フランシスやフロストものは英文と翻訳がぴったり合う作品だ つまり英文も日本語もうまいということだ | ||||
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北アイルランドの刑事ショーン=ダフィを主人公とするシリーズ6作目。 前作までと大きく違うのは、ダフィに恋人と娘ができたこと。年下の恋人エリザベスは、その口調(翻訳のせいかもしれないが)からしてサバサバしていてダフィとの関係においてもクールだ。気に入った。 パパになったダフィは、やはりそれまでのダフィと違う。相変わらず辣腕ではあるけれど、人生/生活の優先順位の第一は恋人と娘になったのだろう。 解かれる謎は衝撃的で、さらに解決策にも「そうくるのか」と驚かされる。 本作の後味はスッキリとしていて、これでおしまいかと思ったら、9作目までいくらしい。楽しみである。 | ||||
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ショーン・ダフィのシリーズも6作目を数える。宗教対立と内戦下の北アイルランド、キャリックファーガスの田舎警察を舞台にした毎作のストーリーも凄いが、プロテスタントとカトリックの対立、政治思想の対立で分裂する世界一危険な国家に生きる状況を背景にして、この主人公の個性を描出する作家の書きっぷりも凄い。 それでいながらこのシリーズでは食っていけなくなり、ウーバーの運転手で生活を凌いできたという現実の作家の生活っぷりも信じ難い。でも『ザ・チェーン連鎖誘拐』という独立作品で作家に戻った。その作品も実に出来が良い。これだけの作家が食っていけなくなる国というのは何なのだろうか。 さて、本書。そしてダフィー。彼は、「くそ」を連発する乱暴なセリフの裏で、家に帰りつくと、ショパンのレコードに耳を傾けながら、レビ・ストロースの『悲しき熱帯』を読むというインテリゲンチャである。 車底に爆弾がないことを必ず確認してBMWに乗る。社内では古いブルースやロックをかける。新しい音楽傾向にはげんなりしている。そのくせ音楽が凄く好きで、おまけに評論家なみに詳しい。そんな暇がありそうにない多忙な日々であれ、いつも音楽を、しかもレコードに針を落として聴いている。大抵いつも。 それがショーン・ダフィ。乱暴でワイルドなイメージはあっても腕利きの殺人課刑事。多感で感情の浮き沈みが激しいが、とにかくインテリなのだ。音楽、文学、美術なんでもござれ。 そのダフィが、拉致され捕縛され原始林の中を処刑場所に向かって曳かれてゆくシーンのこの本は始まる。のっけからクリフハンガー状況。そして物語は遡って始まる。 そもそものスタート地点となるのは、クロスボウでの殺人という珍しい事件。捜査シーン。なぜクロスボウなのか? しかも異様な殺人現場。警察官が引き上げて多くの見物人に荒らされて死体の上に煙草の灰さえ落ちている殺人現場。鑑識もまだ来ていない。何時間も放置されている死体。そんな殺人現場はミステリー作品で見たこともないが、ダフィの時代には存在するのだ。 殺されたのは麻薬密売人。その妻は拘留中。小さなきっかけに見えるが、物語は末広がりにスケールを増してゆく。 ダフィの一人称による語りで展開するこのシリーズだが、そのリズム、テンポがいつもながら乗り乗りなので、多少分厚い本書でも苦には感じない。乗せられてしまう作品。ダフィの音楽性やリズム感は、きっと作者の内にあるものなのだろう。そして1980年代。北アイルランドが燃えていた時代。IRA対アルスター警察の内戦状態と言えた時代。テロリストがプロとして食っていけた時代。その時代の文化である音楽や文学を語りながらの捜査こそがダフィという主人公の個性である。 前半は、ダフィの現在の生活っぷりと乱れた捜査陣系の立て直し。後半はアクション、またアクション。ジャック・ヒギンズの世界に舞い降りた新しい才能。それがエイドリアン・マッキンティだ。この後、彼と言う作家がどうなってゆくか心配だが、このシリーズは次の三作までが予定されており、その一作目、他に単独作品も今年同時に上梓されている。その合間は作品が発表されていないので多分ウーバー。 苦労の中で書き続けて欲しい。この作家の才能は確かなものなのだから。 | ||||
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ショーン・ダフィ・シリーズ6冊目。「ポリス・アット・ザ・ステーション ショーン・ダフィ "Police at the Station and They Don't Look Friendly"」(エイドリアン・マッキンティ ハヤカワ・ミステリ文庫)を読み終えました。「コールド・コールド・グラウンド」を読んだのが2018/4月ですから、定期的に翻訳され、根強い人気があることが伺えます。それは、武藤陽生さんのリズミカルで詩的な翻訳のお陰だと思います。 今回は、1988年、3月。プロローグが伏線のように描かれ、そこに”向かう”ことが知らされます。ベスと幼いエマとの生活を開始したショーン・ダフィ。その休暇中に「麻薬密売人」が相次いで撃たれる「クロスボウ使いの自警団気取りによる連続殺人と思しき事件」が発生します。ダフィは、(喜々として?)休暇を切り上げ、犯行現場へと向かいます。犯人は誰? ドニゴール州、プロテスタントとの婚姻、DAADD(カソリック系自警団)、二番目の被害者のブルガリア人の妻。その妻が逮捕された後、彼女は保釈と共に失踪してしまいます。この物語は、どこから来て、どこへ向かうのか? (常々、このシリーズの背後には、フィリップ・K・ディックと映画「ブレードランナー」へのオマージュが隠れていると感じていますが・・・)ストーリーの詳細は、勿論、お読みいただければと思います。 私は、「アイル・ビー・ゴーン」が最も好きでしたが、今回もそれに匹敵するような物語が持つ「押しの強さ」が感じられて、読了後深い余韻が残りました。ドメスティックな場面であれ、ヴァイオレントな場面であれ、そこに「人生のなんらかのメタファー」が散りばめられ、私たちもまた「地獄で支配するのと天国で奉仕するのと、どちらがいいのでしょうか?」(p.211)と常に問いかけられ続けます。その二元論を超えて、地獄で奉仕することを運命づけられた男たちの生き様が心の琴線に触れてしまいます。 ミステリ的興趣よりも、シリーズ中最も「北アイルランド紛争」の(ヒリヒリする)ヒストリーに触れ、その内実に迫りながら、静かな場所へと向かうとても「いい物語」だと思います。それは、ケネス・ブラナーが描いた映画「ベルファスト」よりもいとおしい。 「探偵小説」ファンにとっては、レイドロウ警部の物語を書き続けたウィリアム・マッキルヴァニー(「夜を深く葬れ」)への言及があって(p.158)そこにも触れてはいけない場所を触ろうとするエイドリアン・マッキンティのミステリ愛を感じたりもしました。尽きるところ、このシリーズは、稀代の「とてもいいシリーズ」なのだと思います。 それでは、余韻に浸りながら、巻末の法月綸太郎さんの解説をじっくりと読むことにしましょう。 | ||||
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前作レインドッグズの最後に起きた衝撃的な出来事。ショーン・ダフィーの人生は大きな転機を迎えた。 ある男が冒頭で命を奪われる。ショーンは捜査に赴き、大きな事件の匂いを嗅ぎ取る。 そんな最中、ショーンにも大きな危機が迫っていた見。 IRAの暗闘の中でショーンは無事事件を解決できるのか、というストーリー。 ショーン・ダフィーシリーズも6作目となり、内容もその重厚さを増してきています。 いつもの面々の遣り取りも相変わらず面白い。 今回は、今までのシリーズの中でもアクション色が結構強いので、そういった妙味も楽しめます。 相変わらず装丁もかっこいいです。 しかし、値段が高いです。 一作目の1,100円から、1,826円へ急騰しています。 ボリューム感もあるし、価格に見合う内容ですが、半年前に出た前作よりも300円も上がっています。 そこがちょっと残念でした。 ショーン・ダフィーシリーズの次回作はまだ本国でも刊行は先になりそう。 そのほかの作品「Falling Glass」「The Island」も是非刊行して欲しいです。 | ||||
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