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捜索者
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捜索者の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.14pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
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お兄さんが行方不明? そんなの犬が人間の言葉を喋っている時点で何でもありなファンタジー。 リアリティの欠片もない話。 | ||||
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主人公のカルはアメリカ人でシカゴで警官をしていたが、離婚を契機にアイルランドの小さな村に移り住む。警察という職務から来るストレスや離婚の経緯などで疲れたカルは、暫くは購入した古屋の修繕などをしてのんびり暮らそうとしていたが、地元の若者の失踪事件に不本意ながらも足を突っ込んでしまうところから物語は始まる。 アイルランドの自然、カルと地元住民との関り、別れた妻や娘との関係など事件とは直接関係のない部分も丁寧に描かれ、その中でもう警察官ではないカルが、一般人として許される範囲内で事件の真相に迫っていく過程は読み応えがあり、700頁近い大作であるにも拘わらず、途中でだれることもなく最後まで一気に読み終えるとができた。 ただミステリーとしては、若者の失踪の真相や近隣で起きた不審な羊の殺害の犯人といった謎が解明される過程に切れ味や驚きがさほどなく、また、カルと親密になるトレイやドナとの関係の進展、妻と別れた経緯などに納得感がない部分は少し残念だった。 | ||||
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思うところあって退職したシカゴ市警刑事のカルは、ネットで調べ、風景が美しくて気に入ったアイルランドの片田舎の村に移住する。長い間住む人もなかった緑の中の廃屋を購入し、ひとつひとつDIYで快適に作り替えていこうとしている。隣人のマートや食料品店の女主人ノリーンなどは、なにくれとカルの世話を焼きたがり、カルは田舎特有の人間関係の鬱陶しさに直面し、なかば当惑もする。 そんな中、林の中から山の上に住むトレイという子どもが現れる。トレイは、カルのDIYを手伝ってもくれるが、行方不明になっている兄の行方を捜してほしいと頼んでくる。カルはトレイの頼みを断ろうとしたのだが、気にかかるものもあり、逡巡しながらも次第に行動に移していく。 マートから誘われて訪れた酒場では地元の人たちがはしゃいでいたり、ノリーンからは夫と死に別れた妹のレナを引き合わされたりと、多少は動きもあるのだが、カルとトレイとの関係以外には概ね何事も起こらず、自然の中で静かに物語は進行する。 それが破られるのは、14章に入った400ページからだ(文庫本で、全674ページ)。静かな田舎の平穏な人間関係の中に、何が潜んでいるのか?実は、それまでの400ページの中には様々な形で巧妙に伏線が張り巡らされていたのだ。 本作は、英米各紙の年間ベスト・ミステリに選出されているとのことだ。 | ||||
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歳のせいか、読書スピードも落ちて時間がかかった。中身のことは、他の方々のご意見におまかせして、 読後感のみ、いやー疲れた、読んだ達成感だけが残つた気がする。じゃーよかったの、どうだったの? お答えします。読んでよかった。 | ||||
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通常のミステリでは考えられない、あまりの何も起こらない退屈さに300ページあたりで一度挫折。 1ヶ月ほど後、意を決して読書を再開するが、さらに100ページあまり読んでも相変わらず、主人公と近所の子供のDIY、村の住人との無意味な会話、しつこい自然描写など冗長な展開が続き、ここに来てようやく、この作品はミステリではなくミステリ風味の一般小説であると気がついた。 では、一般小説としてなら優れているかと問われたら、答えは否。 文章表現力はある。 しかし、じっくり長々と書けば重厚になるという訳では当然なく、670ページという分量に比して、人間ドラマを含めた内容が薄すぎる。 よそ者の大人と地元の子供のふれあい、田舎の共同体の歪んだ倫理。どちらもありふれた設定で、話の展開と結末もありきたり。 主人公の家庭の事情が折々に語られるが、それが物語には直接からんで来ないので、取ってつけたような印象しか持てない。 後半で明かされる子供のある秘密は、その場かぎりのサプライズ以上の意味はない。 失踪事件の結末が、100年前ならともかく、現代の文明国でこれで良しとすることはあり得ず、トゲが刺さったままのような読後感が残る。 捜査経験のある都会の人間が田舎でその土地特有の事件に関わる、という設定の小説なら、同じく女性作家であるジェイン・ハーパーの「渇きと偽り」(ハヤカワミステリ文庫)の方がはるかに出来が良い。 あくまで個人的感想ではあるが、今年読んだ小説の中で断トツでつまらなかった。 | ||||
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まず今回の翻訳者になって、格段に読みやすくなっており、ストレスフリーで読めます。 ミステリーなので人間の愚かさ、弱さ、醜さが描かれていますが、それは主ではありません。 また決して殺人や暴力を肯定もしてはいません。 主人公カルとトレイという子供が、出会い、成長してゆく物語です。 人物の表情や心情、アイルランドの寒く暗く美しい風景の描き方、メタファーに品性があるタナフレンチワールドはさすが。 主たる登場人物の3人(カル、子供、レナ)がかっこよく、特にカルの美学と行動力に深い感動をおぼえました。 | ||||
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良い本ですが、もっとすっきり読み終えたかったです。シカゴの刑事カルがアイルランドの田舎の家を買い、修理しながら自然豊かな暮らしを始めるのが発端です。なぜ刑事を辞めたのか、家族は?と徐々に明らかになりますが、半年も音信不通の兄の行方を依頼された少年トレイや隣人の羊飼いマートを始めとする地元住民との絡みがストーリーの大半で、そのテンポにつきあうのが、せっかちな自分とあいませんでした。それで星三つの評価です。 | ||||
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あれこれ理由を付けているけれど、結局は犯罪者やその周囲が自分たちの行為を肯定するための理由付けをしているだけ。 | ||||
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最後の事実を理解すると、怖くて息が詰まる。 子供のトレイも単体で考えると辛い。 オチはデジャブを感じるけど、面白くないってわけでもないと思う。 | ||||
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アイルランドの荒野が目の前にあるような気がしてきた | ||||
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タナ・フレンチを初読。アメリカ生まれのアイルランド在住の女流作家。ダブリン警察殺人課のシリーズ作品が主流なのだそうだが、未訳も多く、ぼくは読んでいない。本作は捜査小説というよりも、ヒューマンな色合いと、文明論、人生の深みといった本質部分を突いた完全独立作品である。 シカゴ警察を退職し、家族と別れ、人生を取り戻すためにアイルランドの片田舎に独り移住したカル。古い建物を修復しつつ、生活を再建させようとしていた彼は、頭を剃り上げた子どもトレイと出会い、その行方不明となった兄の捜索を出来る範囲でとの条件で引き受ける。 大都会シカゴから、大自然の真っただ中にある閑散とした小村への移住。広漠たる農地。泥炭地や森に囲まれた原野。ページを開くと、大河のようにゆったりとした時間が流れる。空気の静謐。哲学的孤独。そしてミヤマガラスたちの賑やかな営み等々が、読者の眼に飛び込んでくる。何という生活。 シカゴからやってきた刑事がすべてを捨てて、やってきた土地。古びた農家や古い家具を修繕する日々。近隣の孤独な農夫との僅かなつきあい。夜の星。近づく冬。 670ページの長大な作品である。行方不明の若者捜査は、公的なものではなく、警察の力は借りられない。村の者たちのつきあいもスタートしたばかりで心もとない。普通小説のような日々の狭間で作る真実探しの時間。家や家具の修繕。狩り、釣り、食事。 村に下りてゆくと食料品店や酒場がある。食料品店の母娘らとのふれあい。酒場では、村の者たちが酔いつぶれている。女性がマイクをとって「クレイジー」を歌う。かつてリンダ・ロンシュタットが歌っていた同じオールディーズ・ナンバーだろうとはぼくが想像。場のカオスな雰囲気にフィットする曲である。 主人公カルの車は、赤い三菱パジェロ。10年前までぼくが長年乗っていたマニュアル車と同じ奴であるかもしれない。パリ・ダカで篠塚が何度か優勝を決めていた時代の名車だが古い。今も残る幻のようなステアリングの手触り。 カルの捜索のお礼としてトレイが家具の補修やペンキ塗りを手伝う。その中でのやりとりは、きっと誰にも思い出させる。ロバート・B・パーカーの『初秋』だ。もしかしたらこの作品で一番美しく、一番心ときめくシーンはこの部分かもしれない。無口な子どもが次第に心を開いてゆく素敵なシーン。ミステリー部分よりも、このシーンこそが本書を最も気高くしているものなのかもしれない。 また主人公は、村と言う名の生き物の総体であるのかもしれない。村を構成する広大な農地、羊の放牧地。そして泥炭地を抱き込んだ未開の山脈。その中に呑み込まれた人々の生活とは、人生とは、季節とはなんであるのか? 消えた若者はどこに飲み込まれたのだろうか? 驚くほどの文学性と気品を示しつつ。タナ・フレンチのペンはぼくらの想像力を刺激してくる。終盤に至って思いがけぬ真実がいくつも、しかも徐々に明らかになってゆく。静かなる辺境であるからこそのドラマが見えてくる。そして人間たちの喜怒哀楽を飲み込む大自然という協奏曲が聴こえてくる。 美しいミステリー作品。『ザリガニの鳴くところ』が胸に突き刺さった読者に是非お勧めしたいネイチャー派の傑作である。 | ||||
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取り掛かるのが少し遅れましたが、「捜索者 "The Searcher"」(タナ・フレンチ 早川書房)を読み終えました。丁寧に記述されていますので、かなり読み応えがあります(笑)。 舞台は、アイルランド。アードケナルティ村。泥炭地の土の匂いがします。シカゴでの警察官としての職務を辞め、この地へ移り住んだカル・フーパーが主人公。彼は、娘・アリッサに起きた事件をきっかけに妻・ドナと離婚、アイルランド西部の村に廃屋を買って、四ヶ月がたとうとしています。家の改修作業以外特に何もない生活を満喫していますが、彼の前に貧しい環境にいると思われる十代前半の子供、トレイが現れることにより、その生活が一変することになります。 そして、トレイはカルに対し、失踪した十九歳の兄・ブレンダンを捜して欲しいと訴えます。ブレンダンに一体何があったのだろうか? 警察小説のように推移するかと想像しましたが、味わいは「私立探偵小説」と言っていい。むしろカルは警察の捜査手法が利用できるわけではなく、地道に徒手空拳で関係者を尋ね歩き、その失踪の真相にアプローチしていきます。閉鎖的な村。詮索好きな近隣の人たち。トレイに付きまとうレッディ家の子供という謂われなき差別。繰り広げられる美しい自然描写。<訳者あとがき>でも言及されていますが、カルとトレイのまるで「初秋」(ロバート・B・パーカー)のような友情。 倫理(モラル)とマナーとエチケットの境界線はどこにあるのか? そして、規範は? 「でも、あんたの規範は?」 「人のために正しいことをするよう努める。それだけだ」(p.319) ここには<アメリカン・ハードボイルド>に育てられた私のような男達に響く言葉があって、善悪の谷を超えた場所には、ミヤマガラスに導かれた心穏やかな生活が待ち受けているのかもしれません。 また、カルの<意識の流れ>の中に我が国の(初期の)「北方謙三」の語りが見え隠れしているようにも感じました。 ミステリとして一箇所、小さな<はなれわざ>が炸裂します。まるで、同じアイルランドを舞台にしたニール・ジョーダンの映画のようだった。 | ||||
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アメリカ生まれのアイルランド系で、アイルランド在住の女性作家タナ・フレンチの長編第8作で、邦訳としては3作目。原作は2020年刊。原題は訳題に同じ。私はkindle で読んでいる。 以下、ネタバレ防止で、失踪事件のことは書きません。 ○主要登場人物 三人である。 ☆カル・・48歳。元シカゴ市警の刑事。娘が独立し、妻とは離婚になって、アイルランドのアードナケルティ村の1930年代築の空き家を買って引っ越す。侵入してきた村の子どものトレイと親しくなり、トレイに強引に頼まれ、失踪した19歳の兄ブレンダンの行方の個人的捜査に乗り出す。 ☆トレイ・・13歳。村のシングルマザーの6人の子どもの3番目。兄ブレンダンの行方を案じる。カルから大工仕事を教わり、射撃法を教わる。 ☆レナ(ヘレナ)・・本書のマドンナ。45歳または46歳。夫の病死後農場を売って、残った家で独り暮らし。雑貨屋を営む姉のノリーンが、勝手にカルの嫁候補に選び、くっ付けようとする。二人ともその気はないが、お互いを気に入り、次第に親しくなっていく。引用する。「カルは隣にいる彼女の体勢が気に入った。・・すぐに抱きとめてくれるとばかりに不安定な姿勢で彼のほうに体を傾けてはいない。しっかりと両足に体重をかけて、パートナーのように肩を並べてしゃがんでいる」 ○私的感想 ☆原語のペーパーバッグのアマゾン評価は21039件で星4.3と高評価だが、レビューにはなかなか厳しいものが並んでいる。突っ込まれている点は、前半(または前半4分の3)は動きが遅い。前半はサスペンスに乏しい。田舎が多すぎる。陰謀が乏しい等々。 ☆お説ごもっともだが、これは田舎の話なんだから、田舎が多いのは仕方ないだろう。無理に都会のシーンを入れるほうが不自然。動きが遅いのは、田舎での人間関係の進展をじっくり書いているからだろう。前半で殺人事件を1件か2件起こせばストーリーはもっと盛り上がるかもしれないが、レナの家の子犬の話や、カルがトレイに射撃を教える話で十分。 ☆サスペンスについては、後半の3割は絶妙のサスペンスと人情話である。陰謀はこんなものでしょう。 ☆というわけで、私は本書が相当気に入った。ノンシリーズのようだが、この先カルとレナとトレイがどうなるのか続編を読みたい。 | ||||
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カルヴィン(カル)はアメリカのシカゴで刑事をしていたが、妻と離婚し、退職し(それぞれの理由は文中で)、単身アイルランドへ移住してきた。 この地に住んで4か月。職には就かず、購入した古い家を自分で修繕している。村の人々や風習になじもうと努め、世話好きの隣人のカバーもあって、特にトラブルのない日々を送っていた。 そんな中である日13歳の子供と知り合い、失踪した兄の行方を捜してほしいと依頼される。カルとしては既に警官の身分ではなく、協力者や探索する術(すべ)もないため、一旦断るが…。 48歳の男やもめの新参者と、地元ではみ出し者扱いされている一家の子供との、関係性と友情がいい。これが主たるテーマなのだろう。 内容紹介で「重厚なる犯罪小説」とあるが、予想していたものとは経過も終結も異なった。これはいわゆる「心理小説」ではないだろうか。そのため展開がやや冗長で、スローペースだ。退屈なわけではないが、わくわく感などはなく、ゆっくりと読み進めた。 自分の中で消化しきれなかったのは2点。主人公カルは別れた妻に未練を残しているが、その妻にはカルが想うほどの人間性や魅力が見えない(娘もだが、終盤にやや挽回した)。もうひとつは、襲撃事件の始末。 人間関係を含めて現実こんなものかもしれないし、作者はそういうものを描きたかったのかもしれないが、なんだかもやもやして、これがおもしろかったのかと問われれば、返答できないのである。おそらく好みの問題だろう。 | ||||
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