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われらが痛みの鏡
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われらが痛みの鏡の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.80pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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うっかりして遅くなりごめんなさい! 中はとても綺麗でした。有難うございました | ||||
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うっかりして遅くなり申し訳ございません。 気分良く読めました。有難うございました。 | ||||
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<両大戦間三部作(災厄の子供たち)>シリーズ3作目。 今回の主人公は1作目『天国でまた会おう』で、下宿屋の娘で無口ながらエドゥアールになついていた10歳の少女ルイーズ(映画版とは、キャラもエピローグも違う)。彼女は30歳になり、独身で教師とウエイトレスの職に就いている。それなりに平穏な日々を送っていたが、ある日起こった事件をきっかけに、先日亡くなった母親に秘められた事情があったことを知る。 同時に、フランス軍基地や裁判など、何の関りもない全く違う場面が同時進行する。それぞれ退屈しない。これらはいつか合体するのかな、と思っていたが―――見事に合体するのだ。 すごい。内容はシビアでありつつ愛嬌があり、情緒もある。 登場人物のうち、特にラウールとデジレがよかった。特にラウールは前半は胸くそ悪い悪党だと思っていたが…。ふたりの人間性がとても魅力的だ。 ルイーズは旅の途中で出会った女の子をマドレーヌと名付けるのだが(私なんかはどうしても洋菓子を思い浮かべてしまうのだが)、その名前は2作目主人公の「マドレーヌさん」ではないか!(ルイーズももちろん気づく)。 戦時下の危機迫るフランスの状況をリアルに描いており、登場人物それぞれのキャラがしっかり立っており、読み応えのあるいい内容だった。 やっぱりルメートルが描く小説は好きだ!との確信を、さらに深めたのであった。 | ||||
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今年はピエール・ルメートルの作品が二作立て続けに読めた年。しかも先に読んだ『僕が死んだあの森』の後は、ルメートルはミステリーをやめたという話もあるくらいだから、今後は本書のようにハヤカワ・ミステリで出版されてはいるものの、冒険小説に近い普通小説の枠で書いてゆくのだろうか? 本書は第一次と第二次世界大戦の間のフランスの大作三部作の最終編であって、確かにこれまでのルメートルお家芸の謎解きミステリーやスリラーとは縁遠いものがある。それにしても三部作といいながら時代と家系を組み立て繋ぎ語りつつ、一作一作が独立して読んでも楽しめるエンタメ性に満ちており、ルメートルならではの面白さには太鼓判といった味わいはいささかも減じていない。 本書は三部作の中でも、図抜けた面白さを持っているように思う。キャラクターたちの運命、すれ違い、出会い、絡み、いずれもナチに今にも占領されようとしているフランス国民の逃走を背景としたスケールの大きい群像小説として楽しめる、いわば現代の『戦争と平和』なのである。 かつて第二次世界大戦をモチーフにした映画には事欠かなかった世代であるぼくら昭和戦後生まれ世代にとっては、懐かしくわかりやすい一時代のヨーロッパが久々に活写されており、まるでエンタメの故郷に還ってきたようなわくわく感があると同時に、ルメートルならではの酷薄な真実と遠慮のない暴力の世界が痛いほどに味わえる力作なのである。 前作のヒロインでもあった亡きジャンヌ・ベルモンの娘ルイーズが巻き込まれるパリの事件に始まり、一方ではガブリエルとラウールという『兵隊やくざ』を思わせる前線コンビの噛み合わないロードノヴェルが展開。さらにはどこでこの大きなストーリーの流れに組み込まれてゆくのか想像すらつかない稀代のペテン師デジレによるド派手な詐欺のあれこれが語られつつ、戦争の危機感が増幅してくる総体的スリルを読者は味わうことになる。 後半ではさらに機動憲兵隊フェルナンとその妻が加わり、前半の各キャラの世界に合流して新たな展開に加わってゆく。これら主要キャラクターたちの離合集散やその運命の翻弄そのものが、ひときわ優れたルメートルというストーリーテラーによって語られてゆく。大作であり力作であり、一見、別々の物語にしか見えなかったものが、集結して大きなうねりをもたらしてゆくダイナミズムは本書最大の読ませどころであろう。 できれば三部作を順番に読んで頂きたいが、それぞれ独立して読んでも、何ら問題はない。ルメートルという作家の新たな地平を今後も期待したくなるエネルギッシュな本編に、是非とも翻弄されて頂きたい。 | ||||
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今年はピエール・ルメートルの作品が二作立て続けに読めた年。しかも先に読んだ『僕が死んだあの森』の後は、ルメートルはミステリーをやめたという話もあるくらいだから、今後は本書のようにハヤカワ・ミステリで出版されてはいるものの、冒険小説に近い普通小説の枠で書いてゆくのだろうか? 本書は第一次と第二次世界大戦の間のフランスの大作三部作の最終編であって、確かにこれまでのルメートルお家芸の謎解きミステリーやスリラーとは縁遠いものがある。それにしても三部作といいながら時代と家系を組み立て繋ぎ語りつつ、一作一作が独立して読んでも楽しめるエンタメ性に満ちており、ルメートルならではの面白さには太鼓判といった味わいはいささかも減じていない。 本書は三部作の中でも、図抜けた面白さを持っているように思う。キャラクターたちの運命、すれ違い、出会い、絡み、いずれもナチに今にも占領されようとしているフランス国民の逃走を背景としたスケールの大きい群像小説として楽しめる、いわば現代の『戦争と平和』なのである。 かつて第二次世界大戦をモチーフにした映画には事欠かなかった世代であるぼくら昭和戦後生まれ世代にとっては、懐かしくわかりやすい一時代のヨーロッパが久々に活写されており、まるでエンタメの故郷に還ってきたようなわくわく感があると同時に、ルメートルならではの酷薄な真実と遠慮のない暴力の世界が痛いほどに味わえる力作なのである。 前作のヒロインでもあった亡きジャンヌ・ベルモンの娘ルイーズが巻き込まれるパリの事件に始まり、一方ではガブリエルとラウールという『兵隊やくざ』を思わせる前線コンビの噛み合わないロードノヴェルが展開。さらにはどこでこの大きなストーリーの流れに組み込まれてゆくのか想像すらつかない稀代のペテン師デジレによるド派手な詐欺のあれこれが語られつつ、戦争の危機感が増幅してくる総体的スリルを読者は味わうことになる。 後半ではさらに機動憲兵隊フェルナンとその妻が加わり、前半の各キャラの世界に合流して新たな展開に加わってゆく。これら主要キャラクターたちの離合集散やその運命の翻弄そのものが、ひときわ優れたルメートルというストーリーテラーによって語られてゆく。大作であり力作であり、一見、別々の物語にしか見えなかったものが、集結して大きなうねりをもたらしてゆくダイナミズムは本書最大の読ませどころであろう。 できれば三部作を順番に読んで頂きたいが、それぞれ独立して読んでも、何ら問題はない。ルメートルという作家の新たな地平を今後も期待したくなるエネルギッシュな本編に、是非とも翻弄されて頂きたい。 | ||||
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