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はなれわざ



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はなれわざの評価: 4.11/5点 レビュー 18件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.11pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全18件 1~18 1/1ページ
No.18:
(4pt)

使われているトリックは巧妙だが、無理があると感じる箇所も

コックリル警部が休暇でイタリアを旅行中に同じグループの旅行者が殺された事件。登場人物は限られており、コックリル警部自身がビーチで全員を監視できる立場にいて、全員のアリバイを証明するという異例の事件。まさに「はなれわざ」の殺人で、誰が、どうやってやったのかという謎。使われているトリックは二重の錯誤を使った巧妙なものだが、そのうちの1つの錯誤の方にはかなり無理があり、「普通、誰かが気づくでしょう」と感じる。実際に、コックリル警部ともう1人が気づいたわけだが、すぐに気づきそうなもの。
真相を二転三転させており、事件の見せ方にも工夫が見られる。
ただ、1つしか殺人事件が起こらないのに(傷害事件がもう1件起こるが)長々と引っ張って中弛みと感じることや、ルーヴァンとヴァンダの容貌が瓜二つであることが読者には随分遅くなってから明らかになること、コックリル警部から見られずに犯行を行いうる人物が実際にはいたことが後で明らかになるなど、不満点もあった。
はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)Amazon書評・レビュー:はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)より
4150004749
No.17:
(3pt)

Sensational but unlikely

If you haven’t read this novel yet, please skip this review for your enjoyment of it. Many qualified people rank this novel as one of the greatest mystery novels ever written. Indeed the story is filled with twists and turns sensational enough to capture and hold the reader’s attention, but it is just a little too convoluted, isn’t it? I was a little fed up with too many twists and turns(Think of Sherlock Holms. There are only one or two twists and turns at most).
One of the tour members is found stabbed to death in the room, on an afternoon when everyone is inconsiderate enough to have an alibi. Alibis which are collaborated by none other than Inspector Cockrill himself. Cockrill spent the afternoon of the murder perched on a terrace, comfortably ensconced in a deck chair, overlooking the beach where the rest of the tour group was arranged in various spots on the sand or in the water. One of the group was even inconsiderate enough to remain sleeping, practically at Cockrill's feet during the whole afternoon.
The author is considerate enough to include a little map of the area so we can see just how impossible the crime actually is. It's a 'locked room' sort of mystery puzzle without an actual locked room.
But to my mind, the solution is so unnatural that the reader is asked to accept improbabilities that he cannot swallow, namely, in order to succeed in committing the crime under such circumstances, the culprit behaves in a manner that outrages probability. I think that the culprit’s extraordinary behavior requires a good deal more explanation than the author has given it.
はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)Amazon書評・レビュー:はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)より
4150004749
No.16:
(3pt)
【ネタバレあり!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

古典過ぎて拍子抜け

古典ミステリーを今読み直すということは案外難しい。
パイオニアの宿命でもあり気の毒ではあるが、その後数十年間に渡り、古畑任三郎を始め様々な場面で、このトリックが流用され普及してしまった為、今読むにはストレート過ぎて正直辛いものがある。
例えば21世紀の読者に「犯人は双子が入れ替わっていました(※この話とは無関係です)」というオチが絶対に通用しないのと同様に、このオチもメイントリックとしては古典過ぎて肩すかし感が否めない。
古くはクリスティの「火曜クラブ」にこれと似た短編があるが、そちらの方がずっと新鮮で秀逸である。

また犯人を紐解く設定(その事実を知らされないと絶対に犯人を特定できない)が物語後半まで明かされないということも興醒めである。
逆にその設定が明かされた時点で犯人が推定できてしまうことも興醒めである。

大きく行数を割かれる人物描写に関しても、心模様を描くことこそ達者なものの(メロドラマが過ぎるが)、それぞれの登場人物のキャラクターや年齢設定がスコンと落ちてこないことが気になった。
例えば「フェルナンド君」の描写はどう読んでも20代にしか思えないのは自分だけであろうか?
日焼けした逞しい上半身を持ち、ホラ吹きだが感動するとすぐに涙を流すという、若者特有のジゴロなキャラクターを与えられているにも関わらず、実際には痩せこけた腰付きの丸顔の中年である・・・という必然性のわからないチグハグさ。
この辺の筆力はクリスティーには遠く及ばないように思えた。

それでもまだ犯人を特定するメインのトリックは(想定内とはいえ)楽しめるが、実際の殺人方法に関しては、これはミステリーといえる程のトリックは用いられていない。
小細工はあるものの、要は「皆が寝入ったり違う方向を向いている隙に目を盗んで移動した」というだけである。
衆人環視の前でどのように移動したかということが、このミステリーの見せ場だと思い込んで読んでしまった為、これには非常に拍子抜けした。
偶然に頼らずにもう少し方法を捻ってほしかった。

旅行ものという設定は楽しいので、映画で観てみたい作品だと感じた。
はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)Amazon書評・レビュー:はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)より
4150004749
No.15:
(4pt)

’30年代黄金期の本格ミステリーを正統に継承する英国パズラーの名品

クリスチアナ・ブランド女史の代表作といわれる本格ミステリー。’55年発表、日本には<ハヤカワ・ポケット・ミステリ>で’59年に初紹介された。

イタリアの景勝地を巡るイギリス人30名の団体パッケージツアー。一行はやがて代々大公が独立統治する地中海の孤島リゾート(架空の島)に到着する。そこで宮殿見物に参加しなかった、休暇でツアーに単身参加するスコットランドヤードのコックリル警部とツアーガイドを含む8人は殺人事件に出会う。ホテルの部屋でツアー参加者の若い女性がナイフで刺殺されたのだ。その間被害者を除く7人はいずれもビーチ周辺で過ごしており、それはコックリルが証明できる。能天気な官憲の捜査に不安を感じたコックリルは自ら捜査に乗り出すが、容疑者であるツアーの面々はいずれ一癖も二癖もあるひとたちばかり。やがて少しずつ明かされてゆく彼ら彼女らの素顔・・・。

クローズドサークル内でのフーダニット、個性的で次々と最重要容疑者となるツアー参加者たち、英国ミステリーらしい辛辣な皮肉と機知に溢れながらもどこか人生に対する鋭い考察が見え隠れする会話(とにかくみんなよく喋る)、巧妙に張り巡らされた伏線、人間入れ替わり、盲点を利用した時間差攻撃、どんでん返しとその先に待っていた意外な結末、そして大胆なトリック。
本書は、これら「本格のコード」満載の、’30年代黄金期の本格ミステリーを正統に継承した英国パズラーの名品である。

はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)Amazon書評・レビュー:はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)より
4150004749
No.14:
(4pt)

’30年代黄金期の本格ミステリーを正統に継承する英国パズラーの名品

クリスチアナ・ブランド女史の代表作といわれる本格ミステリー。’55年発表、日本には<ハヤカワ・ポケット・ミステリ>で’59年に初紹介された。

イタリアの景勝地を巡るイギリス人30名の団体パッケージツアー。一行はやがて代々大公が独立統治する地中海の孤島リゾート(架空の島)に到着する。そこで宮殿見物に参加しなかった、休暇でツアーに単身参加するスコットランドヤードのコックリル警部とツアーガイドを含む8人は殺人事件に出会う。ホテルの部屋でツアー参加者の若い女性がナイフで刺殺されたのだ。その間被害者を除く7人はいずれもビーチ周辺で過ごしており、それはコックリルが証明できる。能天気な官憲の捜査に不安を感じたコックリルは自ら捜査に乗り出すが、容疑者であるツアーの面々はいずれ一癖も二癖もあるひとたちばかり。やがて少しずつ明かされてゆく彼ら彼女らの素顔・・・。

クローズドサークル内でのフーダニット、個性的で次々と最重要容疑者となるツアー参加者たち、英国ミステリーらしい辛辣な皮肉と機知に溢れながらもどこか人生に対する鋭い考察が見え隠れする会話(とにかくみんなよく喋る)、巧妙に張り巡らされた伏線、人間入れ替わり、盲点を利用した時間差攻撃、どんでん返しとその先に待っていた意外な結末、そして大胆なトリック。
本書は、これら「本格のコード」満載の、’30年代黄金期の本格ミステリーを正統に継承した英国パズラーの名品である。
はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)Amazon書評・レビュー:はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)より
4150004749
No.13:
(4pt)

仮説提示の手順が“はなれわざ”な《多重解決》ミステリ

休暇をすごすため、イタリア周遊のツアー旅行に参加した
コックリル警部だったが、旅先で殺人事件に巻き込まれる。
ツアー参加者の一人が、ホテルの部屋で刺殺されたのだ。
事件発生時、容疑者と看做される同行者たちは海辺に居り、
コックリル警部自身が彼らのアリバイを保証する羽目になり……。
トリックだけを取り出してみると、きわめて古典的なものが使われているのですが、
本作の場合、真相開示の前までに、あらゆる可能性を検討し、仮説の構築と棄却
を繰り返す――といった《多重解決》の構成が採られており、そのプロセス全体が、
題名となった“はなれわざ”を成立させているといえます。
一癖も二癖もあるレッドへリングたちの間で、容疑を転々とさせる「容疑者
たらい回し」(by恩田陸)をやりつつ、仮説提示の手順に“罠”を仕掛ける
ことによって、読者をミスリードしようとする著者の巧みな手際が見事です。
はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)Amazon書評・レビュー:はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)より
4150004749
No.12:
(4pt)

仮説提示の手順が“はなれわざ”な《多重解決》ミステリ

休暇をすごすため、イタリア周遊のツアー旅行に参加した
コックリル警部だったが、旅先で殺人事件に巻き込まれる。

ツアー参加者の一人が、ホテルの部屋で刺殺されたのだ。

事件発生時、容疑者と看做される同行者たちは海辺に居り、
コックリル警部自身が彼らのアリバイを保証する羽目になり……。

トリックだけを取り出してみると、きわめて古典的なものが使われているのですが、
本作の場合、真相開示の前までに、あらゆる可能性を検討し、仮説の構築と棄却
を繰り返す――といった《多重解決》の構成が採られており、そのプロセス全体が、
題名となった“はなれわざ”を成立させているといえます。

一癖も二癖もあるレッドへリングたちの間で、容疑を転々とさせる「容疑者
たらい回し」(by恩田陸)をやりつつ、仮説提示の手順に“罠”を仕掛ける
ことによって、読者をミスリードしようとする著者の巧みな手際が見事です。
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4150004749
No.11:
(3pt)

トリック、忘れてました

大胆なトリックと評判の高い、本格ミステリですが・・・。
名探偵、コックリル警部は、
休暇を利用し、地中海のツアーに参加します。
サン・ホアン・エル・ラピータ島に到着した一行でしたが、
ホテルの一室でツアー客の一人が
刺殺死体で発見されます。
ツアー客のうち6人が容疑者となりますが、
彼らは、犯行時刻には、
ホテルの外で海水浴を楽しんでいたのでした。
砂浜に寝そべったり、
ボートで波間に揺られたりと状況は様々でしたが、
いずれも、その姿はやはり砂浜にいた
コックリル警部の眼の届く範囲にあり、
犯行は不可能と考えられるのでした・・・。
不可能状況をテーマにしたミステリ。
謎の提示はなかなかのもので、期待は高まります。
・・・しかし、私には一抹の不安がありました。
じつはこの作品、2003年以来の再読なのですが・・・
以前読んだにも関わらず、
何と、肝心のトリックについて
全く記憶に残っていなかったのです。
でも、相変わらず評判が高かったので、
読み直してみたのでした。
そして、読み終えた今・・・。不安は的中してしまいました。
この作品、1955年発表と、
ミステリの黄金時代以後の作品ですが、
古典的トリックの焼き直しのような古めかしさ・・・
としか、思えませんでした。
斬新さや目新しさは全く感じられません。
トリックの使い方が巧妙、との評判も聞きますが、
さて、どうでしょう。
残念ながら、記憶に残らないトリック・・・
大方の評判とは違う印象を持った作品でした。
はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)Amazon書評・レビュー:はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)より
4150004749
No.10:
(3pt)

トリック、忘れてました

大胆なトリックと評判の高い、本格ミステリですが・・・。

名探偵、コックリル警部は、
休暇を利用し、地中海のツアーに参加します。
サン・ホアン・エル・ラピータ島に到着した一行でしたが、
ホテルの一室でツアー客の一人が
刺殺死体で発見されます。
ツアー客のうち6人が容疑者となりますが、
彼らは、犯行時刻には、
ホテルの外で海水浴を楽しんでいたのでした。
砂浜に寝そべったり、
ボートで波間に揺られたりと状況は様々でしたが、
いずれも、その姿はやはり砂浜にいた
コックリル警部の眼の届く範囲にあり、
犯行は不可能と考えられるのでした・・・。

不可能状況をテーマにしたミステリ。
謎の提示はなかなかのもので、期待は高まります。
・・・しかし、私には一抹の不安がありました。
じつはこの作品、2003年以来の再読なのですが・・・
以前読んだにも関わらず、
何と、肝心のトリックについて
全く記憶に残っていなかったのです。
でも、相変わらず評判が高かったので、
読み直してみたのでした。

そして、読み終えた今・・・。不安は的中してしまいました。

この作品、1955年発表と、
ミステリの黄金時代以後の作品ですが、
古典的トリックの焼き直しのような古めかしさ・・・
としか、思えませんでした。
斬新さや目新しさは全く感じられません。
トリックの使い方が巧妙、との評判も聞きますが、
さて、どうでしょう。

残念ながら、記憶に残らないトリック・・・
大方の評判とは違う印象を持った作品でした。
はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)Amazon書評・レビュー:はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)より
4150004749
No.9:
(4pt)

題名に込めた作者の自信

ブランド女史の代表作とされている。「されている」と消極的な書き方をしたのは世評程は出来が良くないと思っているからである。女史は本格ミステリを書かせたら、むしろ先輩クリスティより上(クリスティの場合、破格の作品が傑作になっている)で、人物の描写、伏線の張り方、全体の構成、謎の提出とそれに対するトリッキーな解決と全て一流である。本作は「はなれわざ」と題名を付けた事からも自信作なのだろう。500ページを越す長編において、犯人の的を絞らせず、読者を引っ張って行く手腕が見事。ただし、それは伏線の張り方が足りないせいで、構成は賛否が分かれるところであろう。私は途中で犯人が分かってしまったので、結末の衝撃はなかったが、「はなれわざ」という程トリッキーな作品とは思えなかった。
はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)Amazon書評・レビュー:はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)より
4150004749
No.8:
(4pt)

力技の「はなれわざ」

 コックリル警部は休暇を過ごすため、ツアーに参加した。その場所はサン・ホアン・エルピラータ島。そして、その場所で殺人事件は始まる。
 世評が高く、期待して読んだのですが、辛口で言うと、このトリック、実現可能か? という疑問があります。ですが、読書中はその描写に圧倒され、力技で納得させられます。
 相変わらずのころころ変わる容疑者、そして、そのつど登場人物への見方までかわり、翻弄されっぱなしのストーリー展開はやはり健在。
はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)Amazon書評・レビュー:はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)より
4150004749
No.7:
(5pt)

クリスチアナ・ブランド渾身の「はなれわざ」!

これは、クリスチアナ・ブランド渾身の「はなれわざ」だ。「ミステリ史上に輝く大胆なトリック」のキャッチ・コピーも、あながち大袈裟なものとは言い切れない。この作品は、容疑者全員に殺害の動機があるものの、それと同時に、その全員に殺害機会がないという、典型的な「不可能犯罪物」である。501ページと、かなり長い作品であり、しかも、読み進めていくにしたがって、事件の真相が少しずつ解き明かされていくというよりは、格別、捜査らしい捜査も行われず、中盤過ぎまで、一向に事態の進展が見られない展開に、多少のもどかしさ、じれったさを感じる面なきにしもあらずなのだが、ブランドの簡潔で無駄のない文体が、冗長に陥るのを救っており、後半に次々と明かされていく意外な事実とどんでん返しの連続、やや強引ながらもブランド渾身のあっと驚く「はなれわざ」には、そんな多少の不満を補って余りあるものがあるのだ。ちなみに、ブランドは、1930年代にアガサ・クリスティーらが築き上げた本格派ミステリ黄金時代の次世代の中でも、「最も黄金時代直系の血を継ぐ正統的な継承者」と評されているようなのだが、この作品での筆致や凝ったプロット、騙しのテクニックを見る限り、同国の偉大な先輩、アガサ・クリスティーを彷彿とさせるものがあり、そうした評価もさもありなんと思わせる。「もう一冊、読んでみたい」、そんな気にさせる作家だ。
はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)Amazon書評・レビュー:はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)より
4150004749
No.6:
(5pt)

クリスチアナ・ブランド渾身の「はなれわざ」!

これは、クリスチアナ・ブランド渾身の「はなれわざ」だ。「ミステリ史上に輝く大胆なトリック」のキャッチ・コピーも、あながち大袈裟なものとは言い切れない。
この作品は、容疑者全員に殺害の動機があるものの、それと同時に、その全員に殺害機会がないという、典型的な「不可能犯罪物」である。
501ページと、かなり長い作品であり、しかも、読み進めていくにしたがって、事件の真相が少しずつ解き明かされていくというよりは、格別、捜査らしい捜査も行われず、中盤過ぎまで、一向に事態の進展が見られない展開に、多少のもどかしさ、じれったさを感じる面なきにしもあらずなのだが、ブランドの簡潔で無駄のない文体が、冗長に陥るのを救っており、後半に次々と明かされていく意外な事実とどんでん返しの連続、やや強引ながらもブランド渾身のあっと驚く「はなれわざ」には、そんな多少の不満を補って余りあるものがあるのだ。
ちなみに、ブランドは、1930年代にアガサ・クリスティーらが築き上げた本格派ミステリ黄金時代の次世代の中でも、「最も黄金時代直系の血を継ぐ正統的な継承者」と評されているようなのだが、この作品での筆致や凝ったプロット、騙しのテクニックを見る限り、同国の偉大な先輩、アガサ・クリスティーを彷彿とさせるものがあり、そうした評価もさもありなんと思わせる。「もう一冊、読んでみたい」、そんな気にさせる作家だ。
はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)Amazon書評・レビュー:はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)より
4150004749
No.5:
(5pt)

反則技?

ブランドの数ある作品において、そのアクロバティックな論理展開では本書の右にでるものはありません。それほど本書の真相はスレスレなんです。かつて「アクロイド殺し」や「皇帝のかぎ煙草入れ」等の古典名作がさんざん槍玉にあがりましたが、本書はその上をゆきます。しかしそこはブランド、彼女の手にかかればそんな違反スレスレの解決が見事に決まってしまうからさすがです。
はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)Amazon書評・レビュー:はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)より
4150004749
No.4:
(5pt)

反則技?

ブランドの数ある作品において、そのアクロバティックな論理展開では本書の右にでるものはありません。それほど本書の真相はスレスレなんです。かつて「アクロイド殺し」や「皇帝のかぎ煙草入れ」等の古典名作がさんざん槍玉にあがりましたが、本書はその上をゆきます。しかしそこはブランド、彼女の手にかかればそんな違反スレスレの解決が見事に決まってしまうからさすがです。
はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)Amazon書評・レビュー:はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)より
4150004749
No.3:
(5pt)

緻密に裏打ちされた ”大胆不敵 ”

クリスティの『そして誰もいなくなった』やクイーン『Xの悲劇』といった諸作に比べるとあまり一般的に有名な作品ではありませんが、単に才人ブランドの代表作というだけでなく、ミステリ史に残るパスラーの傑作だと思います。
 不可能状況下でうら若き乙女はいかに殺されたか?という謎の設定とその意外な真相といったパスラーの要素もお見事ですが、ストーリーが進むに従って、関係者の一癖も二癖もある人間像が明らかになっていくあたりは圧巻で、プランドの小説家としての技巧が冴えわたっています。
 実をいえばトリック自体は使い古された古典的なパターンなのです。しかし、真相に到達できる読者はきわめて少ないにちがいありません。それは、あまりに「大胆に」で「はなれわざ」なトリックが、細心の注意が払われて使用されているからです。私自身、ブランドが仕掛けた罠のあまりの大胆不敵さに「そんなのありか?・・・」と思ったのですが、、プランドが設定した登場人物、舞台設定を考えれば考えるほど、「なるほど、こういう状況ならば十分ありうる」と納得してしまいました。ようするにトリックに使い方が抜群に上手いのです。そうした意味で「はなれわざ」が炸裂する真相はもちろん、その真相を成立するためにいかに作者が神経を使っているかを鑑賞していただきたい一品です。
はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)Amazon書評・レビュー:はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ 474)より
4150004749
No.2:
(5pt)

緻密に裏打ちされた ”大胆不敵 ”

 クリスティの『そして誰もいなくなった』やクイーン『Xの悲劇』といった諸作に比べるとあまり一般的に有名な作品ではありませんが、単に才人ブランドの代表作というだけでなく、ミステリ史に残るパスラーの傑作だと思います。 不可能状況下でうら若き乙女はいかに殺されたか?という謎の設定とその意外な真相といったパスラーの要素もお見事ですが、ストーリーが進むに従って、関係者の一癖も二癖もある人間像が明らかになっていくあたりは圧巻で、プランドの小説家としての技巧が冴えわたっています。 実をいえばトリック自体は使い古された古典的なパターンなのです。しかし、真相に到達できる読者はきわめて少ないにちがいありません。それは、あまりに「大胆に」で「はなれわざ」なトリックが、細心の注意が払われて使用されているからです。私自身、ブランドが仕掛けた罠のあまりの大胆不敵さに「そんなのありか?・・・」と思ったのですが、、プランドが設定した登場人物、舞台設定を考えれば考えるほど、「なるほど、こういう状況ならば十分ありうる」と納得してしまいました。ようするにトリックに使い方が抜群に上手いのです。そうした意味で「はなれわざ」が炸裂する真相はもちろん、その真相を成立するためにいかに作者が神経を使っているかを鑑賞していただきたい一品です。
はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150730032
No.1:
(4pt)

「はなれわざ」とは

 英国きっての技巧派クリスチアナ・ブランドの代表作。 ポケミスで発表後、長らく絶版だったのが待望の復刊です。 休暇中のツアーに参加している探偵役のコックリル警部が、予想外の殺人に巻き込まれます。 被害者は部屋で殺害されているものの、その時間には、容疑者は全員ビーチにいて、警部の監視下にありました。 犯人はどうやって犯行を成し遂げたのか? 真相は単純明快で、本格謎解きミステリの醍醐味を味わえます。 ただし『ジェゼベルの死』などと比べて、真相があばかれるシーンの盛り上がりに少々欠ける気がしました(星をひとつ引いてるのはそのせいです)。 個人的には、真相そのものよりも「真相をあからさまに読者の眼前にさらしておきながら気づかせない」という職人技に唸ってしまいました。 これぞまさにブランドの『はなれわざ』と言えましょう。
はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:はなれわざ (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150730032

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