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ラスト・トライアル



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【この小説が収録されている参考書籍】
ラスト・トライアル (小学館文庫 ヘ 2-3)

ラスト・トライアルの評価: 4.63/5点 レビュー 8件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.62pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全8件 1~8 1/1ページ
No.8:
(4pt)

映画的な盛り上げ方だよね

冒頭のシーンも、目撃者のシーンも、そして、リックの登場も極めて映像的。作品内でもいろいろな映画が引き合いに出されるところからも、ロバート・ベイリーは浮かぶ映像を文字に置き換えていくタイプの作家じゃななかろうかと推測。
それにしても、検察側にパウエルを持ってくるところが、にくい演出。優秀なかつての教え子であり、前作まで協力関係にあった気骨のある男をある種の敵役に持ってくるところ。読者に与えるハラハラ感や何とかしてくれと願うような気持ちにさせるのは、やはり、作者の力量なんだろうな? 更に、作者のあとがきでトムが戻ってくると予告されると、これはまるで、”James Bond will return"と同じ。ああ、ここでも映画的であったww
ラスト・トライアル (小学館文庫 ヘ 2-3)Amazon書評・レビュー:ラスト・トライアル (小学館文庫 ヘ 2-3)より
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No.7:
(4pt)

中盤までは○、ラストの盛り上がりに欠ける

前作までと比較してラストの盛り上がりにやや欠ける印象。もっと敵にギャフンと言わせる感じにしてほしかった…
次作が最終作品とのことで抑え気味なのかも?
ラスト・トライアル (小学館文庫 ヘ 2-3)Amazon書評・レビュー:ラスト・トライアル (小学館文庫 ヘ 2-3)より
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No.6:
(5pt)

買うべし

シリーズ三冊目で早速購入しました。シリーズ通して楽しく読み印象に残る読後感を味わいました。
ラスト・トライアル (小学館文庫 ヘ 2-3)Amazon書評・レビュー:ラスト・トライアル (小学館文庫 ヘ 2-3)より
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No.5:
(5pt)

著者の人柄が滲み出た作品

このシリーズ、個人的に老教授をはじめとする登場人物の描き方がとてもいいなあと思っていたのですが、今回、著者あとがきと謝辞を読んで納得。著者の思いが反映された作品なんですね。
第一作目のヒューマンドラマ要素と第二作目のミステリー要素のどちらもが存分に楽しめるのが、この第三作目だと思います。
題名を見て、悲しい予感がしたのですが、なんと第四作目があるとのこと。
老教授はまだまだ健在だと知って希望をもちました。
どんなクライマックスを迎えるのか今から楽しみにしています!
ラスト・トライアル (小学館文庫 ヘ 2-3)Amazon書評・レビュー:ラスト・トライアル (小学館文庫 ヘ 2-3)より
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No.4:
(4pt)

シリーズファンは読みやすい

前作、前々作品を読んでいれば本作品は非常に読みやすい。過去の公判内容は物語が進むところで概要を説明してくれるし、記憶力の悪い私の様な人間には助かります。一方で1冊に綺麗にまとまっている分、読みごたえは1作品目や2作品目に比べると物足りなさを感じました。二転三転して絶体絶命!?という感じは今回はあまりなく、落ち着くところに落ち着いた、そんな内容です。リーガルもの、というよりもシリーズが進むにつれて人間ドラマのほうに力が向いているような気がします。それはそれで面白いのですが、クライム、リーガルみたいな本格ミステリ派には物足りなさを感じるのかもしれませんね。
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No.3:
(5pt)

シリーズ転機となる重要な作品

ヘニング・マンケルのシリーズ主人公バランダーのシリーズは、主人公の心臓が止まるところで終わるという驚愕のエンディングを迎えたが、本書では、トム・マクマートリーが同じようなエンディングを迎えるのか、はたまた事件解決と主人公の寿命とがどのような絡み合いを見せてゆくのか、という事件とは別種のはらはら感に読者は付きまとわれることになる。

 そして本書で初めてわかったのだが、『ザ・プロフェッサー』『黒と白のはざま』は全四部作シリーズの前半部分であったのだ。本書が後半の一作で、全体をなす起承転結で言えば「転」となる作品になるのかと思う。

 つまりこのシリーズは、次作を持って一端終わりを迎えることになるらしい。その「転」独特の緊張感は、本書後半になって加速してゆく。最初はどう見ても逆転しようのない勝機のない裁判に、なぜトムが挑むのか? と疑問符付きのトムの直感任せでストーリーは始まる。どう見ても明らかに見える犯人像、とトムを訪れる14歳の少女の奥に見え隠れする真実らしきものへの主人公の拘りが、本書を引っ張る最初の力として提示される。

 そして相手も味方もまた前二作でトムとスクラムを組んだかつての教え子たち。そう、またしてもスポ根アメフト時代からの師弟しがらみを土台に、濃い目の魅力的なサブキャラクターたちが、それぞれの立場からトムを囲繞し、丁々発止の駆け引きと、二転三転する事件の奥行きに向けて活躍してくれるのである。

 トムの仲間たちが敵味方に分かれることによるトムの心境もさることながら、それぞれが引きずってきた前作までの物語と、さらに覆されトムたちに闘いを挑んでくる巨悪たちの非情さが、よりスリリングな物語を紡いでゆき、物語は底が見えなくなる。

 死と闘うトムの先行き、相対する人間模様と、愛憎の複雑な図式。一作目から順番に読まないと、前作へのネタバラシにもなりかねない内容であることを留意されたい。そして最終作へと続いてゆく、まだまだ目の前に積まれた宿題たち。眼が離せないシリーズの「転」期を、是非味わって頂きたい。

 そして作者のあとがきで、作者の周辺の状況も明らかになるのだが、作品の誕生秘話としても、作風を決定する上での肉付けの意味でも重要な裏話に読者は触れることになります。ますます応援したくなる本シリーズ、最終作がとにもかくにも待ち遠しい限り。
ラスト・トライアル (小学館文庫 ヘ 2-3)Amazon書評・レビュー:ラスト・トライアル (小学館文庫 ヘ 2-3)より
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No.2:
(5pt)

ぜひ著者あとがきと謝辞は読んでほしい

シリーズ第一作『ザ・プロフェッサー』で敗訴したジャック・ウィリストーンが仮釈放された二日後に殺された。状況証拠はウィルマ・ニュートン(第一作で自殺したと思っていましたがそうではなかった)が犯人だと指し示していた。
 ウィルマの娘ローリー・アンがトムに母の弁護を依頼する。
 ジャックの前妻、後妻、義父、事件についてなにも語らないウィルマ、怪しい人物が多数いるなかでアラバマ州対ウィルマ・ニュートンの裁判が始まります。
 登場人物に末期癌が多いですが、あとがきと謝辞を読めばその理由がわかります。
 末期癌患者の家族はあとどれだけの時間が残されているか砂時計を眺め続けるような思いで、心が張り裂けるような日々を過ごさなければなりません。もちろん患者本人もです。
 トムが息子夫婦や孫たちと過ごす時間が大切に描かれています。
 裁判長のブラクストン・ポーは優越願望に凝り固まった妬みの固まりといった人物で、アラバマ州のスターであるトムを憎悪しています。学生時代にトムが自分を模擬裁判チームに選んでくれなかったから。裁判では露骨にトムに嫌がらせをしてきます。
 地区検事はリックの親友パウエル・コンラッド。潔い引き際です。
 アラバマ州の事情が詳細に描かれるこのシリーズは四部作だそうなので、あと一作あります。完結巻の翻訳が待ち遠しいです。
 
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No.1:
(5pt)

悲しみもまた人生の一部なのだ

「ザ・プロフェッサー」(2019/3月)、「黒と白のはざま」(2020/1月)に続くロバート・ベイリーの第三作「ラスト・トライアル "The Last Trial"」(小学館文庫)を一気に読むことになりました。読む前、タイトルが何かを示唆しているようで少し動悸がしました。
 舞台は、いつものようにアラバマ州、タスカルーサ。川沿いの船着き場で殺人事件が起こります。殺害されたのは、ジャック・ウィリストーン。「ザ・プロフェッサー」参照(笑)により、口を噤む関係者、目撃者たち。逮捕される元ストリッパーのウィルマ。その娘・ローリー・アンが、「マクマートリー&ドレイク法律事務所」を訪れ、トム・マクマートリーに母親の弁護を依頼します。ウィルマは、「ザ・プロフェッサー」で証言を翻した曰くつきの相手でした。あたかも大河小説のように一作目、二作目の登場人物たちがそれぞれ重要な役割を負って登場します。(勿論、前二作を読んでいないからと言って、楽しめないわけではありません。)物的証拠はウィルマが犯人であることを暗示していますが、果たして?具体的に書けるのは、ここまででしょうね。因みに、訳者あとがきと池上冬樹さんの解説がアタッチされていますが、本編を読む前に読むことはお勧めできません(笑)。リーガル・スリラーですから、すべては「最後の<法廷>」へと持ち込まれ、実は中盤はダイナミックな展開がないことによって前二作には及ばない作品なのかと思わされたりもしましたが、いい意味で裏切られました。レッドへリングが泳ぐブラック・ウォリアー・リバーの中を泳ぎ切ったと思った読者は、もう一度、そしてもう一度反転するそのストーリーテリングに翻弄されることになります。スリラーとしても申し分ありません。
 グリシャムが揶揄され、「リンカーン弁護士」が引き合いに出され、80年代映画へのオマージュが語られ、ジョージ・ストレートの"Baby Blue"が、ウィリー・ネルソンの"Whiskey River"がBGMで流れ、アメリカ南部の濃密な香りと混沌の中、最後までトム・マクマートリーの心意気とその献身的な奮闘ぶりに読者は心動かされることは間違いありません。
 ロバート・ベイリーのグルーピーたちには、今回はボー・ヘインズがトムの実働部隊となり、なかなか姿を現さなかったリック・ドレイクがとても大切なシーンで登場します。それは、まるで正統ウェスタンを見ているようで、胸がすく思いがしました。瑕疵があるとすれば、ある「始末屋」の存在をどう見るかということにありますが、これらもまた次作へのプレリュードなのかもしれません。
 テーマは、「トムにはわかっていた。悲しみもまた人生の一部なのだ。」(Kindle の位置No.579-580)という一文に集約されているのだと思います。そのことは、本編と著者による<あとがき>と<謝辞>を含めて読むと深く理解できるような気がします。
 ストーリーのバックグラウンドには、著者のアメリカン・フットボール、ゴルフ、バスケット・ボールと数多くのスポーツ競技へのリスペクトが伺えます。〝わたしのためじゃない。すべてはあの娘たちのため〟 (Kindle の位置No.1862-1863)。そのことは、トムや元ストリッパーのウィルマだけではなく、その深い悲しみの中、誰かを失ったことがあるすべての人への限りないエールのように反響し続けることでしょう。次作が待ち遠しい。
ラスト・トライアル (小学館文庫 ヘ 2-3)Amazon書評・レビュー:ラスト・トライアル (小学館文庫 ヘ 2-3)より
4094068201

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