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おれたちの歌をうたえ
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おれたちの歌をうたえの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.44pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
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伏線を張り巡らしつつ、ある集団のメンバーを半世紀近くに及んで追いかけ、読者に最終最後まで 気を抜かせない筆力に脱帽。星の数ほどいる作家のうち、これほどの力量をもつ人はめったにいない。 ワンパターンの文章を綴るだけの大御所どもは猛省すべきだろう(まぁそういう本は買わないが)。 | ||||
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あのころの青春譚を描く。 47年前の昭和47年(1972)、小6生は「栄光の五人組」と言われ。 ノヴァーリスの「青い花」に恋い焦がれていた。 時を動かす。 「20年前も、40年前も、生きていたのは、おれたちなんだ」 それは、黄金の歌が響きだすとき。 そのとき、「栄光の五人組」は、歌でつながる。 | ||||
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今回の直木賞候補『爆弾』がとても面白く1日で読み切ってしまったので、やはり直木賞候補になった本作を手に取ってみた。 いやはや凄い。作品とすれば『爆弾』より上である。 しかし受賞はならなかった。この回の受賞は、佐藤 究の『テスカトリポカ』と澤田瞳子の『星落ちて、なお』(未読)だった。 『テスカトリポカ』はそれなりに面白かったが、“生きた幼児の臓器売買”という鬼畜な話で登場人物も殺人なんて何とも思ってない連中ばかり。とても感情移入ができる話ではない。ラストに多少救いがあるがどうしてこれが受賞作なの? と、はっきり言って思った。この作品さらに凄いのは山本周五郎賞もW受賞なのである。直木賞の文藝春秋社主催に対して新潮社がその対抗として開催した大衆文学賞である。文学賞の1番手と2番手と考えていいだろう。お互いに受賞作がダブらないようにしているが、この回ともう1例だけW受賞作がある。2004年の熊谷達也の『邂逅の森』である。これは空前の快挙といっていい。 両賞の選考委員を調べてみると凄いメンツで恐れ入ってしまう。そんな大御所達が選んでいるんでプロ受けする文学作品なんだろう。 さて本作であるが、内容を書くと長くなるのでやめるが600頁を費やす昭和~平成~令和と40年にわたる堂々たる大河ミステリーである。 この作家はつかみがとても上手く冒頭から一気にターボがかかる。 主人公と反目しながらも共に“暗号読解”に奮闘する下っ端のチンピラヤクザも最後にはバディとなり充分感情移入ができる。やはりこうでなくちゃならない。その“暗号読解”が複雑怪奇すぎてその辺が選考に嫌われたのかもしれない。しかし5人の幼馴染の深い友情が心を打つ素晴らしい作品である。 『爆弾』で3回目の直木賞候補だったが、今自分の一番好きな作家の今村彰吾が受賞したのは4回目候補作の『塞翁の楯』だった。次回作に是非期待をしたい。新作出たら“即読み作家”が一人増えた。次は『スワン』を読むか。 | ||||
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久々に頁がスカスカでない、骨太の小説らしい小説を堪能した。読みやすさが最優先される現代にあって、売れないことを半ば覚悟したかのような、本好きのための良質な作品。昭和の昔ならともかく、令和の今ではもはや珍品の類だろう。 それでも、一部ではきちんとその内容が評価され、10位ギリギリとはいえ2021年の文春ミステリーベストテンに入ったのは立派。全部で600頁近くあるが、正直、私は最初の200頁を読んだだけで満腹。並みの本1冊を読んだくらいの充実感と手応えがあった。 これだけの内容なのに10位どまりなのは、読みにくさという点に加え、ミステリーとしての感覚やテイストが古すぎるからか。今どきM資金なんて、いっぱしのミステリーファンなら誰も読みたくない。そもそも、宝探し自体がどうでもよく、後半はその比重が大きすぎるからか、読んでいて退屈。 高校時代、今、警官時代など行きつ戻りつのファンサービスは嬉しいのだが、出来れば青春の蹉跌的な要素一本に絞って、最後までスピード感を緩めずに書き貫いた方が、より感動的なストーリーになったのではないかと思う。でも力のある作家であることは間違いない。要注目。 | ||||
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昭和51年に小学生だった5人組が経験した事件で、その少年少女を含む周りの人間の人生が大きく変わる。人生は思った通りにはならない。金塊の場所を示すという詩を解読し、真相にたどり着く。それまでに多くの不幸があった。そして令和元年になり、当時小学生の子供は年齢を重ねた。誰が誰を殺し、どのような思いで殺し、死んでいったのか・・・。雪や台風の描写があり、自分の心にも冷たい風が吹く。過去はやり直せないが、未来は思うようにならない。やるせなさが心を過ぎていく。ミステリの範疇にある作品だと思うが、5人組の何かに翻弄された人生の物語だった。 | ||||
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正直細かい部分では色々と矛盾はあるし、肝心の暗号は難しすぎて普通解けないだろうというモヤモヤ感は多少あるが、そういう点を差し引いても読ませる内容である。 田舎や昭和の学生運動時代の閉塞感をベースに、ヤクザの下っ端や在日として暮らす家族、過去の栄光からは道を外れたように見える5人組の面々。 粗さはあるものの、最後まで練られた構成によって、飽きずにラストまで引っ張る。 昭和から、平成、令和へと時代と同時にメンバーの環境も変わるが、それでも根っこの部分ではお互いを認め合っている哀愁が伝わる。 ミステリーとしての作品のとらえ方をすると物足りない部分が多いが、過去に縛られた人間模様としてのドラマである。 それぞれの人生において過去は無意味ではなく未来への何かしらのものであるという思いが伝わる。 | ||||
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主人公のやりとりがハードボイルドで、ミステリとして面白く読めました。 人間の哀しい性の中にも救いがあったように思います。 | ||||
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2021年7月14日が受賞作発表だね! 多分受賞はしないけど、今回で 初めて作家の名前を知った人も多いと思う ので良かったんじゃないかな。 あの刑事も今頃デリヘルの運転手してるのかな。 私は手詰まり、もう戻れない。 | ||||
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元刑事が、死んだ幼馴染が遺した暗号を読み取ろうとする現在と、元刑事の高校生からの約20数年の過去のパートがほぼ交互で語られます。 高校生の時に経験したある事件が、現在のパートにもかかわってくる流れで、当時の世相を取り込んだ過去の事件がとりわけサスペンスフルで惹き込まれました。 文学への知識不足からか暗号解説が難解と感じましたが、主人公の人生背景も念入り過ぎるほど書き込まれ、ミステリーとしても青春譚としても力作と感じました。 | ||||
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40年を経た2つの殺人、動機すら読みにくい上に、地政学的なトリックと、文学的な暗号が絡んで重層的なミステリーになっていると思います。 | ||||
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初めて読む作家である。 何かの書評で読んでみようと思った。 読み進めるについて、これはいったいどんなジャンルのミステリーなんだろうと不思議な感覚にとらわれた。 主要な舞台は1977年の長野県上田市と令和元年の松本市。 1977年に起こったある事件が、現代につながってくる。 1977年の事件は青春小説のようでもあり、スティーブン・キングの少年時代回顧譚のようでもある。 令和元年のそれは一転して、暗号解明の本格推理ものめいてくる。 しかも、途中からそこに、その中間にあたる平成11年の東京での話がからまってくる。 警察小説のようでもあるし、全体を通してハードボイル風でもあり社会派ミステリー的でもある。 一歩間違えば、ごった煮すぎて収拾がつかなくなりそうな要素を、しかし最後には見事におさめてしまう。 本そのものから作家の熱量が迸っている。 もちろん、かなり無理筋の展開もあるにはあるが、大した手腕である。 1冊を読んだだけなのに、3冊読んだほどの疲れを感じたが、心地よい疲れである。 | ||||
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圧巻の物語が誕生した。 「生病老苦」は仏教の四苦だが、その「生きること」の苦しみを描き切り、且つその「生」と表裏一体の輝きを見事に表現した傑作である。 なお、大筋とは全く関係ない「小説なんざ好きにほめて勝手にくさして、銭のぶんだけ楽しみゃいいんだ」というとある作中人物のセリフと、呉勝浩氏の当時のブログから悪意のない遊び心を感じた。個人的には、前作「スワン」が第162回直木賞候補作になりつつも早々と落選したときに、東野圭吾氏の存在しない選考会に対して「この方たちは、読み取れなかったのだな」と失望を覚えたことを思い起こした。 | ||||
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迅速な対応で梱包もきれいでした。まだ、読んでいないけど楽しみです。また、お願いします。 | ||||
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令和元年11月。四阿山の中腹に宿泊し、「上田」近辺を散策することになりましたが、台風19号によって千曲川が氾濫したその後の光景を目のあたりにしました。少し遠方から見た「別所線」の崩落した橋の眺めは、今回の読書の舞台へとつながっています。 「おれたちの歌をうたえ」(呉 勝浩 文藝春秋)を読み終えました。令和元年11月に読んだ「スワン」については、「流された多くの犠牲者の「血」が見えてこない以上、この物語はロジックの整ったパズラーのようなファンタジー」に見えると私は書きました。 今回もまた、令和元年。ワケありの元刑事であり、現在はデリヘル嬢の運転手・河辺は、地元のヤクザ・茂田の呼び出しによって、高速を飛ばして長野県松本市の安アパートへと辿り着きます。そこには、河辺のかつての友人・佐登志がしなびた姿のまま仰向けになって死に絶えています。何故、河辺は茂田から呼び出しを受け、ここまで来ることになったのか?どんな理由から、佐登志が死ぬことになったのか?或いは、殺されたのか?時間軸は、令和から昭和、平成の時代へと遡り、舞台は、松本、菅平、長野へ。そして、東京へとある間隔を置いて変転していきます。はじまりは昭和五十一年の日本、ローカル。(その中では、「ライオン・ブルー」で描かれた血潮を流れる「故郷」への思いであったり、簡単には抜け出すことができない時代の「閉塞感」もまた描かれています。) 昭和の時代に五人の少年たちに起きたいくつかの事件が多くの罪を振り撒きながら、「平成」、「令和」へと継承され、「昭和」を埋め合わせたはずの「平成」が、実はそうならないまま「令和」へと引き継がれ、何も埋められることなく物語がラストへと重層的に爆進していきます。退屈か、熱か?心のままに生きることは、いつの世も許されることはないのか? 「ライオン・ブルー」が呉勝浩の「血の収穫」に思えた私ですが、今回は「黄金」(ジョン・ヒューストン)なのかと思わされたりもしましたが、それは全然異なっていました(笑)。私の見立てなどその程度のものです。 繰り返し語られる文学としての「暗号」。若者たちに囚われを生み出す二つの「事件」。荷風、ヴェルレーヌ、中原中也、太宰が引用され、「龍」と「青春の殺人者」とあの頃の私たちに最も影響を与えた刑事ドラマと「天才一家」の物語がこのスリラー、パズラー、ミステリの中夥しい数の巨大なコマのようにぶんまわります。そして、その時代の遥か向こうに見える「革命的世界」の空虚さ。 スリラーであるが故、これ以上そのコンテンツを語れない私にとって、何点か「どうかな?」と思えるような疑問を感じながらも、北方謙三、志水辰夫への熱狂を思い出しながらこの物語を読み終えたとき、何故か矢作俊彦の「マイク・ハマーへ伝言」の中で繰り返されるテーマでもある「闘牛の額のような愚劣さ」へと辿り着くことになりました。 結局そこに帰着するのか。力作だと思います。 | ||||
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