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集結: P分署捜査班



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【この小説が収録されている参考書籍】
集結 (P分署捜査班) (創元推理文庫)

集結: P分署捜査班の評価: 4.09/5点 レビュー 11件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.09pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(2pt)

シリーズの初作という気負いもあるだろうが、警察小説と言うよりは「愛の物語」という体裁の駄作

私は作者の作品は初読だが、作者には「P(ピッツォファルコーネ)分署捜査班」シリーズというものがあって本作はその第一作の由(冒頭にエド・マクベイン等への献辞がある)。イタリア警察小説も初めて読んだ。本作では主人公のロヤコーノ警部が上司との確執に依って閉鎖の危機にあるP分署へと異動させられ、そこで各分署の"鼻つまみ"である捜査メンバーを「集結」して、事件に当たる様を描いており、シリーズ第一作に相応しい。きっと個性派揃いのメンバーが「集結」するであろうし、この辺は「87分署」シリーズを意識していると思うが、街を擬人化する程のキザさは無い。ただし、ある男性のある女性に対する殺意及びある女性が監禁されている事を示唆したブロック体の章を冒頭付近に挿入するという趣向を加えている。これらがメインの事件となるのであろう。

第一の印象は、シリーズの初作という事由もあるだろうが、北欧ミステリ風に刑事達のプライベートに踏み込んでいる点である(実際は踏み込み過ぎで物語の進行を妨げている、あるいは本作を「愛の物語」に仕立てあげようとしている)。そして、殺されたのはプレイボーイの公証人フェスタの資産家兼篤志家の妻だった。これは描写から、上述した挿入章の前者の結果だろうと自然に思うし(読者にしか分らないが)、そうだとすれば「犯人=フェスタ」となるが、これでは単純過ぎる上に、犯行時、フェスタは愛人のルッソ(この割り出し方も安直)と一緒に居た事が判明する。一方、監禁された(らしい)女性に対しては、後でフェイクだった事が判明する(酷過ぎる)。この後も幾つかの挿入章が出て来るが、その挿入基準が一定でない無い点も本作の進行を妨げている上に作者の未熟さを感じる。この挿入章の曖昧性と刑事達のプライベートへの踏み込み過ぎで捜査は一向に進まないし、犯人候補も浮かび上がらない。最終40頁になった辺りで、急に警察小説らしくなるが、ここでも犯人の動機は「隠れた愛」で、読者に犯人を当てられる筈がない。また、刑事を含め登場する女性を「美人か否か」で区別する記述が多い点も、イタリアらしいと言えばそれまでだが、気になった。

シリーズの初作という気負いもあるだろうが、警察小説と言うよりは「愛の物語」という体裁の駄作。二作目の世評が高い(実はその二作目を読む準備として本作を手に採った)ので、その第二作に期待したい。
集結 (P分署捜査班) (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:集結 (P分署捜査班) (創元推理文庫)より
4488296041

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