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戦場のアリス
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戦場のアリスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.81pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全16件 1~16 1/1ページ
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新品なのに帯がなくて、がっかりです。 | ||||
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ケイト・クインの作品を読むのは3作目だが(本作が邦訳1作目)、日本で出版されているのはいずれも時代背景が約80年前の第二次世界大戦前後のものだ。本作では加えて、第一次大戦下での女性スパイ活動(原題『『THE ALICE NETWORK』)が、史実に基づいて描かれている。 彼女の作品はいずれも長編だが、ほとんど退屈させられることはない。私は個人的に、未だ多くのことで現在に影響を残しているこの時代のことにとても興味があり、「このような事実があったとは」と学びになる。 女性作家が描いた女性目線の関心ごと(ファッションや男女関係など)がちらほら散見されるし、シャーリーに関してはクライマックスシーンにおいて若干都合のよさを感じないわけではない。 だが、女性スパイの非常に厳しい任務と生きざまは読み応えがあり、シャーリー、イヴ、フィンの人間関係はおもしろくもあった。読後感もよく、よく調べられたいい物語だ。 ケイト・クインの作品は今後も読みたいと思う。お馴染みの加藤洋子さんの訳文も読みやすくて好きだ。 | ||||
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Rose Codeも面白かったですが、 引き込まれて一気に読みました。 | ||||
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後半、ストーリーが全部つながり、一気に盛り上がりました。読み終えるのがもったいない。素晴らしいエンターテイメントです。映画にならないかな? 出てくる女性たちがとても強くて憧れます。 翻訳の小説は、著者である外国人(たいてい英米)や、主な読者である英米の人々の価値観を大事にしているので、日本人的考えとの相違に違和感を持ってしまうことが多いのですが、この小説は文句なく共感しました。 女性のたくましさ、生きていく強さへのリスペクトは万国共通なのですね。 | ||||
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1947年、戦争中に行方不明になったいとこを探すシャーリーは、ロンドンの薄汚れた住宅を訪ねる。現れたのは酔いどれの中年女。潰れた指で拳銃を振り回すその女、イヴは元スパイだった――。 | ||||
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後作の「亡国のハントレス」を先に読んだ。そのためだろうか、続きが気になって夢中に読むも、少し残念な読後感だった。パターンが似ているのだ。 まず形式に関して。主人公が複数人で、各々の視点による異なる年代の物語が交錯し、最終的に物語の現在に集約される。 次に内容に関して、本作は第一次大戦から第二次大戦後のヨーロッパ。後作は第二次大戦前から後まで。舞台はプラスアメリカだ。虚実織り交えて描いているためフィクションながらリアリティが増すが、前作に引き続き、連合国側は問題はあるものの正義で、悪はドイツナチという構図。ステレオタイプ過ぎないだろうか。 そして、内容にも大いに関わってくることだが、登場人物の類似性。主人公(に一人)は若い女性。第二次大戦後の社会の変化の中で自分らしい生き方を模索している。 そんな彼女が恋に落ちるのは元兵士(勿論連合国側)。エリートタイプではなくちょいワル系で、自らの技量で人生を切り拓いていくタイプだ。 重要なのがもう一人の主人公は、戦時中自らも闘ったハードボイルド系女性ということ。「…ハントレス」ではソ連の航空兵で本作ではイギリスのスパイ。同性同士の親密な様子も描かれる。 本書では脇の一人、後作では主人公の一人だが、そんな彼女を見守るおじさま系の男性も登場する。 淡々とした筆致で描かれるも、心が伴わない性描写と拷問の場面は好き嫌いが分かれると思う。 結末はハッピーエンド万歳ながら、都合良く終わる。 ヘビーなライトノベルという感。 | ||||
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重厚な歴史ミステリーを期待したら、語り口が軽すぎて、第一部でギブアップ。図書館で借りた本で良かったな。 | ||||
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第一次大戦中、ドイツ占領下のフランス北部で、ドイツ軍の前線の情報を、正確かつ迅速に英国諜報部に届ける驚愕のネットワークを構築した実在の女スパイ、コードネームは「アリス」。そのアリスを友とも師とも慕う、吃音ゆえにオツムが弱げに見えるイブと、そのイブを第二次大戦中に行方知れずになった従姉妹を探し出す唯一の手がかりとして遥々米国から訪ねるシャーリーとの、ダブルヒロインの史実を織り交ぜたフィクション小説。 一言で言えば「女同士の友情」がテーマ。 ただ、小説的技法であるところの小道具が多過ぎ。ボードレール、クリムト、ティファニーのランプに、ディオール、シャネルから、ラゴンダ、ベントレー、ブガッティまで。 こういう細部まで楽しめる読者なら、飽かずに読了できるはず。 私個人として、女の友情も苦難の克服もベタなテーマだけど、楽しめた。 | ||||
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女性作家が著した、イギリス人元女性スパイ、イヴの復讐物語と若いアメリカ人女性シャーロットの成長物語である。第一次大戦にアリス・ネットワークという女性スパイ網がドイツ軍占領下のフランスにあって、情報をスパイし、連合軍に送っていた。アリスネットワークのリーダーリリー(獄死)は実在の人物で、イヴは著者の創造。怜悧なのに、ポーカーフェイスで、スパイとしての適性がある。彼女の活躍と、逮捕、拷問、そして戦後なぜ、イヴは執拗にある人物を追いかけるのか? 方やシャーロットは裕福な米女性だが、兄は戦争のPTSDのせいで自殺する。とめられなかった自分を悔やむあまり、乱れた生活を送り妊娠し、こっそり堕胎するためイギリスに渡り、イヴと出会う。シャーロットには仲良しの従妹がいて、戦争中に独占領下のフランスで身ごもり、その後行方不明になっていた。従妹を見つけて、共に生きるのがシャーロットの願いである。この二人の女性がいつか共通の目的を見つけるわけだが、そこにはナチスによる無差別殺人(史実)がからんんでいる。激動の史実を巧みに背景に取り入れ、女性の琴線に触れるヒロインらの行動と生き方に感動させられるだろう。もちろんヒロインらの心を揺さぶる男たちの存在も怠りない著者である。 | ||||
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歴史もの、それも戦時もの、のミステリー。女性作家の目線がとても新鮮。第一次大戦下の抑圧的な空気感、及び第二次大戦直後の独特なカオティックな雰囲気をパラレルに見せてゆくのもはまってるし、フランス(特に南仏)の風景も目に浮かぶようだし、なによりも、主人公の女性2人の内面描写は、歴史ミステリージャンルとしては、例外的なほど、豊かで繊細。少年漫画しか知らない人が、はじめて少女漫画を読んだ時のような感覚。自分世代でいうと、初めて読んだ「キャンディキャンディ」みたいな。おすすめです。 | ||||
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久しぶりに夢中で読んだ。全体としてはフィクションであり、後に何かが残るたぐいの本ではないが、とても面白かった。ただ各区切りごとに語られる人物が変わり、舞台の時も変わるため、混乱しやすく、何度も前のページに戻って確認するのが面倒。それでも夢中になって読み進めたのは、作者の力量だろう。 | ||||
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小池一夫氏の名著「人生の結論」の中には、成熟した人生の先輩としての珠玉の言葉の数々が存在しています。その中の一つが「余裕」です。 他の方のレビューにもあるように「戦場のアリス」は中盤、いや終盤にさしかかるまで物語は、僅かずつにしか進行しません。もちろんそれは決して面白みのない内容というわけではありませんが、それでも本の帯「全米100万部突破」「2019年度文庫ベストテン第1位」などの文言が、読み続けるモチベーションになった事は否定しません。しかし読了した今なら、センセーショナルに幕開けし劇的に展開する物語とはまた違う趣のある、素晴らしい作品であったと自信を持ってお勧めできます。 原題は「THE ALICE NETWORK」です。実在の組織されたスパイ「アリス・ネットワーク」の中心人物であるアリスがほとんど登場しないにも関わらず、なぜタイトルとなっているのか。その疑問も最後まで読むと良く分かります。YouTubeで公開されている37秒のプロモーションにある「best-thrilling,affecting,revelatory」との表現が、本質をついていると感じました。 「忙しくてなかなかこの手の本を読む時間はないよ」という方々にこそ、この物語を最後まで読み通していただきたいと思います。その行為こそが「余裕」であり、上質な新しい出会いという経験を自分自身に与えてくれることでしょう。 | ||||
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夜更かしして、一気に読んでしまった。昨年の夏も、第二次世界大戦のときのナチスドイツやユダヤ人迫害に取材したフィクションをいくつか読んだが、今回の舞台はその30年前。現代から見れば、90年以上の月日が経っている。 1915年。この時にもドイツ軍は北フランスに侵攻していた。英語とフランス語、さらには敵国の言葉も自在に操れる主人公の女性が、ドイツ軍将校たちの集うレストランの頭の足りないウェイトレスとして潜入する。リールを中心に情報戦を繰り広げる女スパイのリーダーは実在の女性だそうだが、勇敢で明るく魅力的な人物だ。 もう一人の主人公は、1945年。第二次世界大戦の後兄を失い、せっかくのアメリカの大学も辞めてしまう。心に傷を負い女スパイとともに、風光明媚な戦後のフランス各地を旅していく。女スパイの過去の復讐と重ねて自分の小さな問題に向き合っていく姿も、成長の物語として胸をうつ。 | ||||
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最初に手ごわそうな予感。一見して、気難しい貴婦人のように見えるこの物語は、大抵の魅力的な女性がそうであるように、時間とともにようやく心からの笑顔を浮かべ始める。最初の100ページは、とりすましたよそ行きの表情を浮かべるばかりか、興が乗らないでいると、今にも、構えたルガーの引き金を引きそうな、緊張感に満ちた険悪な悪女との出会いといったところだ。しかし、とっつきくい女ほど、後になって味が出てくる。そして情が濃い。本書はそんな、ファム・ファタルみたいな、いい女を思わせる、とても魅力的で奥深い作品なのだった。 第一次大戦時、ドイツ占領下のフランスで、深く静かに潜航しつつ情報を収拾する、女スパイのネットワークが存在した。実在の人物を交えつつ、1915年のリールのレストランで、スパイ活動に携わるイヴの物語が語られる。 さらに第二次大戦後、空爆の爪痕の残るロンドンに渡った、19歳で妊娠中のヤンキー娘シャーリーが、戦時中フランスで行方不明になった親友ローズの行方を捜すロード・ノヴェルが、もう一つ併行して語られる。彼女の随行者は、30年後の変わり果てたイヴと、その雇われ運転手フィン。用意された車はポンコツのラゴンダ・コンバーチブル。ちなみに1940年代のラゴンダは、なかなか趣のあるクラシックカーとして、今もインスタ映えのする画像をネットで散見することができる。 暗い時代の息詰まるスパイ活動の描写と、戦後の明るいティーンエイジャーの妊婦率いる、ポンコツ車での三人旅が、交互に語られ、回想と旅とは徐々にひとつの物語に束ねられてゆく。フランスの風光明媚な土地巡りの途上で、戦争に巻き込まれたローズの足取りを追うにつれ、イヴの回想に現れる雇用主ルネの悪党ぶりも際立ってゆく。スパイ活動でイヴが味わわされる臍を噛む想いを、シャーリーの明るさで中和しつつ、ポンコツのラゴンダで運ばれる物語は、次第にギアを上げてゆく。 さて、フィリップ・ノワレに泣かされたというフランス映画ファンは少なくないだろう。ロミー・シュナイダーに泣かされた方も。二人とも、重要な反戦映画にいくつも出ている名優である。二人の共演作である『追想』を観てから半世紀近くが経とうとしている。だが今も、そのときのショックは忘れ難い。ナチによる無差別虐殺で絶滅した村が、オラドゥール=シュール=グラヌである。あの映画を観た方は、この小説で、あの現実にあった物語とその現場に、否応なく再会することになる。詳しくは村名で検索をかけてみるとあまり伝えられてい藍歴史的事実が改めてわかる。 シャーリーたちが辿り着く重要な地点の一つとして描かれるその村。そして南仏リビエラ地方の香水の都グラースに旅は終わる。物語も、もちろんここで。陰惨な戦争という大きな絵巻物語で語られたのは、とりわけ女スパイとして送り込まれた者たちの勇気と代償。また、何よりも彼女たちの生き方である。そして戦争の犠牲者たちへの悼みと、生き残った者たちの、再生の物語である。女流歴史小説家による重厚なテーマの大作ではあるが、読後感は、優しさと光に満ちている。 実在の人物が多く起用された、ほぼ9割方歴史的事実に基づく魂の滅びと救済の物語を、一人でも多くの、特に女性にお読み頂きたいと、そう願ってやまない。 | ||||
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第二次世界大戦が終結した二年後の1947年、アメリカ人女子学生シャーリーは、消息不明の従姉を探そうと、酒浸りで世捨て人のように暮らす英国人中年女イヴと、彼女の運転手フィンの車でフランス北部へと向かう。 その道行きのあいだに明らかになるのが、先の大戦中にスパイだったイヴの過去だ。第一次大戦時、ドイツに占領されたフランス北部で暗躍するイヴ、リリー(コードネーム・アリス)、ヴィオレットたち女スパイの息詰まるような日々が語られ、過酷な状況のもとで祖国のために戦い続ける彼女たちの姿と,その先に待ち受ける運命には心を揺さぶられる。緻密で勇敢なリーダー、リリーの仕切るスパイ組織「アリス・ネットワーク」は実在したもので、作品中の多くのエピソードが実話に基づいている。 物語は、若きイヴを描く第一次大戦時と、シャーリー、イヴ、フィンが車を飛ばす現在(1947年)が交代で現れる構成をとるが、シャーリーの従姉探しとイヴの復讐劇が複雑に絡み合い、次第に真実が明らかになっていく。酔いどれ女にしか見えなかったイヴの壮絶な過去を知り、力になりたいと行動し始めるシャーリーの成長も読みどころだ。 第一次大戦時に英独仏三国の中で唯一戦場となり、占領下におかれたフランスの様子や、常にドイツ軍の裏をかいて情報を流し続けたアリス・ネットワークの存在、いまなお謎の多いオラドゥール=シュル=グラヌの悲劇(第二次大戦)を知ることは、ヨーロッパの近現代史に目を向けるきっかけになるだろう。読んでいくうちに、映画を観ているように登場人物の姿が目の前に浮かびあがり、読後は彼らの人生を思ってしばし余韻に浸った。 | ||||
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「戦場のアリス"The Alice Network"」(作:ケイト・クイン ハーパーBOOKS)を読む。 4部構成。第1部は、ジョン・ル・カレ+ジェーン・オースティンかと思えるような鮮やかな書き出しでしたが、読み進めるにつれて、プロの書き手による戦争メロドラマ、戦争ロマンス小説だったのかという失望感に満たされました。勝手でごめんなさい。メロドラマ、ロマンス小説に不満があるわけではありません。その中でも過去にいい作品を沢山読んできました。 第一次大戦、吃音の女スパイ・イブ側、第二次大戦、19才で従妹を探すシャーリー側が交互に語られる物語ですが、何とか読み切れたというのが率直な感想です。特に中盤は退屈です。 それでも、女性の研ぎ澄まされた感性によって、多くのフランスの都市が鮮やかに描かれます。リール、ルーベ、リモージュ、そしてグラース。花の香り、クリムトの絵、ボードレールの「悪の華」。何故、長すぎて退屈だと感じるのでしょう?きっと過剰で時代がかった会話に飽きるのだと思います。キャラクタリゼーションもシンプル過ぎて平板な印象がありますね。よって、戦争の犠牲者たちによる戦争によって引き起こされた悲壮なはずの「罪悪感」が伝わってこないのだと思います。米英の「連続ドラマ」としてドラマ化するのにはいい小説、いい素材なのかもしれません。 ドラマは1947年のグラースに収斂します。憎悪と罪悪感が開放されるラストは、ルノワール絵画のようでとても素敵でした。一方、<アリス・ネットワーク>と<オラドゥール=シュル=グラヌの悲劇>という史実を超えられなかった作品なのだとも思いました。 | ||||
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