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戦場のアリス



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【この小説が収録されている参考書籍】
戦場のアリス (ハーパーBOOKS)

戦場のアリスの評価: 3.81/5点 レビュー 16件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.81pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(3pt)

ヘビーなライトノベル

後作の「亡国のハントレス」を先に読んだ。そのためだろうか、続きが気になって夢中に読むも、少し残念な読後感だった。パターンが似ているのだ。

まず形式に関して。主人公が複数人で、各々の視点による異なる年代の物語が交錯し、最終的に物語の現在に集約される。

次に内容に関して、本作は第一次大戦から第二次大戦後のヨーロッパ。後作は第二次大戦前から後まで。舞台はプラスアメリカだ。虚実織り交えて描いているためフィクションながらリアリティが増すが、前作に引き続き、連合国側は問題はあるものの正義で、悪はドイツナチという構図。ステレオタイプ過ぎないだろうか。

そして、内容にも大いに関わってくることだが、登場人物の類似性。主人公(に一人)は若い女性。第二次大戦後の社会の変化の中で自分らしい生き方を模索している。
そんな彼女が恋に落ちるのは元兵士(勿論連合国側)。エリートタイプではなくちょいワル系で、自らの技量で人生を切り拓いていくタイプだ。
重要なのがもう一人の主人公は、戦時中自らも闘ったハードボイルド系女性ということ。「…ハントレス」ではソ連の航空兵で本作ではイギリスのスパイ。同性同士の親密な様子も描かれる。
本書では脇の一人、後作では主人公の一人だが、そんな彼女を見守るおじさま系の男性も登場する。

淡々とした筆致で描かれるも、心が伴わない性描写と拷問の場面は好き嫌いが分かれると思う。
結末はハッピーエンド万歳ながら、都合良く終わる。
ヘビーなライトノベルという感。
戦場のアリス (ハーパーBOOKS)Amazon書評・レビュー:戦場のアリス (ハーパーBOOKS)より
4596541086
No.2:
(3pt)

戦争で常に犠牲になる庶民から見た戦い

久しぶりに夢中で読んだ。全体としてはフィクションであり、後に何かが残るたぐいの本ではないが、とても面白かった。ただ各区切りごとに語られる人物が変わり、舞台の時も変わるため、混乱しやすく、何度も前のページに戻って確認するのが面倒。それでも夢中になって読み進めたのは、作者の力量だろう。
戦場のアリス (ハーパーBOOKS)Amazon書評・レビュー:戦場のアリス (ハーパーBOOKS)より
4596541086
No.1:
(3pt)

史実を超えられなかった作品

「戦場のアリス"The Alice Network"」(作:ケイト・クイン ハーパーBOOKS)を読む。
 4部構成。第1部は、ジョン・ル・カレ+ジェーン・オースティンかと思えるような鮮やかな書き出しでしたが、読み進めるにつれて、プロの書き手による戦争メロドラマ、戦争ロマンス小説だったのかという失望感に満たされました。勝手でごめんなさい。メロドラマ、ロマンス小説に不満があるわけではありません。その中でも過去にいい作品を沢山読んできました。
 第一次大戦、吃音の女スパイ・イブ側、第二次大戦、19才で従妹を探すシャーリー側が交互に語られる物語ですが、何とか読み切れたというのが率直な感想です。特に中盤は退屈です。
 それでも、女性の研ぎ澄まされた感性によって、多くのフランスの都市が鮮やかに描かれます。リール、ルーベ、リモージュ、そしてグラース。花の香り、クリムトの絵、ボードレールの「悪の華」。何故、長すぎて退屈だと感じるのでしょう?きっと過剰で時代がかった会話に飽きるのだと思います。キャラクタリゼーションもシンプル過ぎて平板な印象がありますね。よって、戦争の犠牲者たちによる戦争によって引き起こされた悲壮なはずの「罪悪感」が伝わってこないのだと思います。米英の「連続ドラマ」としてドラマ化するのにはいい小説、いい素材なのかもしれません。
 ドラマは1947年のグラースに収斂します。憎悪と罪悪感が開放されるラストは、ルノワール絵画のようでとても素敵でした。一方、<アリス・ネットワーク>と<オラドゥール=シュル=グラヌの悲劇>という史実を超えられなかった作品なのだとも思いました。
戦場のアリス (ハーパーBOOKS)Amazon書評・レビュー:戦場のアリス (ハーパーBOOKS)より
4596541086

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