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Φは壊れたね



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【この小説が収録されている参考書籍】
Φは壊れたね (講談社ノベルス)
φは壊れたね (講談社文庫)

Φは壊れたねの評価: 3.05/5点 レビュー 88件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.05pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全88件 41~60 3/5ページ
No.48:
(1pt)

初めて読んだ人

僕は、これ以外の森作品は一切読んだことがありません。「新シリーズ」ということで、新読者でも従来のファンでも読めるように書いてあると信じていたのですが甘かったです。「お前ら、このキャラ好きだろ、知ってるだろ。友情出演させてやったよ。」とばかりに大物っぽいキャラが出てくるんですがなんせ、初めて読むもんで、そんな人知りません。かつ、友情出演なんで、謎解きの資料提供や「分かったフリ」はするものの重要なことは何も言ってくれません。ホントに「出てきただけ」・・・挙句に本筋での謎解きは「え?!オマエが「探偵役」だったの? 単なる外野だと思ってたわ」とばかりにツマンナイやつが、急に前面に出てきて誰にでも想像できる「さすがに、それだけは無いよな」ということを、えらそうに説教かましてくれる。意味ありげだったアイテム、犯人の行動、の多くは「世の中には分からないことがあるから、分からないままでもしょうがない」で放置される。なんか深い解釈があると力説してるファンがいるけど、まさに「聖書解釈」です。素人には、ただのオチの無いミステリ。もし、「ミステリ」という枠を外して読んでも、到底面白いとは思えません。
Φは壊れたね (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:Φは壊れたね (講談社ノベルス)より
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No.47:
(4pt)

「本格」への悪意

新本格ともなれば「見せトリック」というものが存在する。作者は本当は叙述トリックがやりたいのだけど、それでは読者の目を引かないかも知れないので、囮として密室トリックもいれておこうか、といったやり方だ。この場合、読者によっては「見せトリック」しか気付かず、それだけの作品だと思い込んでしまう、という場合が起こりうる。ミステリはネタバレを禁じる世界なので、理解できない読者が、自分で気付かない限り、永遠に誤解したまま終わる可能性も高い。そして森博嗣ともなれば、作者が書きたかったことが何なのか、表面的な事件を追っただけではわからないまま、ということは往々にして起こる。読後、ずっと後になって、あるいは再読時に、初めて「本当はこうだったのか!!」と気付かされたりする。「黒猫の三角」もミステリのタブーに挑んだ作品だったが、今作の過激さは、決してそれが明確に示されないことも含んでいるだろう。「Φ」は空集合、「空っぽ」が「壊れ」ても、何も壊れていないに等しい。しかし、本当は「空」ではない。比喩的に言えばここで壊されているのは「魅力的な謎」あるいは「本格テイスト」といったものではないか。作者は、「本格」を壊し、「空」と置き換えようとしている。ものものしい事件が起き、人気のある過去作品のキャラクターが登場する。しかし、結局彼らは活躍せず、主役は新たなキャラクタ達であり、事件も、犯罪も動機も"トリックも"あるにはあるのだが、その性格を考えれば「空騒ぎ」に等しい。何事もなかったかのように事件は収束していく。期待を裏切りたかった? それとも空っぽの物語を書きたかったのか? いや、私には、「本格なんて幻想だろう?」という、読者への"思ってても実際に口にしてはならないひと言"に聞こえる。以下は作中からの引用はなく、私からの比喩である。「そんなのは小説の作中人物の言い回しであって、実際にはしない。」と、"小説の作中人物"に言わせてしまったら、普通、世間ではギャグとして扱われるだろう。しかし、誰もそういう意図だと気付かない作品を書いてしまったらどうだろうか。そこにある本気の悪意、痛烈な皮肉を感じて欲しいと思う。
Φは壊れたね (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:Φは壊れたね (講談社ノベルス)より
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No.46:
(4pt)

「本格」への悪意

新本格ともなれば「見せトリック」というものが存在する。作者は本当は叙述トリックがやりたいのだけど、それでは読者の目を引かないかも知れないので、囮として密室トリックもいれておこうか、といったやり方だ。この場合、読者によっては「見せトリック」しか気付かず、それだけの作品だと思い込んでしまう、という場合が起こりうる。ミステリはネタバレを禁じる世界なので、理解できない読者が、自分で気付かない限り、永遠に誤解したまま終わる可能性も高い。そして森博嗣ともなれば、作者が書きたかったことが何なのか、表面的な事件を追っただけではわからないまま、ということは往々にして起こる。読後、ずっと後になって、あるいは再読時に、初めて「本当はこうだったのか!!」と気付かされたりする。「黒猫の三角」もミステリのタブーに挑んだ作品だったが、今作の過激さは、決してそれが明確に示されないことも含んでいるだろう。「Φ」は空集合、「空っぽ」が「壊れ」ても、何も壊れていないに等しい。しかし、本当は「空」ではない。比喩的に言えばここで壊されているのは「魅力的な謎」あるいは「本格テイスト」といったものではないか。作者は、「本格」を壊し、「空」と置き換えようとしている。ものものしい事件が起き、人気のある過去作品のキャラクターが登場する。しかし、結局彼らは活躍せず、主役は新たなキャラクタ達であり、事件も、犯罪も動機も"トリックも"あるにはあるのだが、その性格を考えれば「空騒ぎ」に等しい。何事もなかったかのように事件は収束していく。期待を裏切りたかった? それとも空っぽの物語を書きたかったのか? いや、私には、「本格なんて幻想だろう?」という、読者への"思ってても実際に口にしてはならないひと言"に聞こえる。以下は作中からの引用はなく、私からの比喩である。「そんなのは小説の作中人物の言い回しであって、実際にはしない。」と、"小説の作中人物"に言わせてしまったら、普通、世間ではギャグとして扱われるだろう。しかし、誰もそういう意図だと気付かない作品を書いてしまったらどうだろうか。そこにある本気の悪意、痛烈な皮肉を感じて欲しいと思う。
φは壊れたね (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:φは壊れたね (講談社文庫)より
4062758989
No.45:
(3pt)

森博嗣、頑張ってください。一ファンのお願いです。

 最初に、私は「すべてがFになる」からの森博嗣ファンです。ファンとは勝手なもので、次はもっと面白いだろう、こんなものんじゃあない、などと期待がドンドン膨らんでいきます。新シリーズということで期待が大き過ぎたのでしょうか?正直、ガッカリしています。 話のテンポはいつもと変わらず森流でよいです。でも、ミステリィですから、犯人または動機がそれとなく示されているはずです。そうです、魅力的(?)な伏線があるはずです。確かにありました。でも、新鮮でもなく、エレガントでもありません。これでは…。 新たな登場人物の魅力も「?」です。旧シリーズの犀川創平、西之園萌絵、真賀田四季、瀬在丸紅子には程遠いです。 次回作で挽回しないと、ファンは逃げていってしまうかもしれません。森博嗣は「四季シリーズ」で終わったといわれることがないように頑張って欲しいです。
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No.44:
(3pt)

森博嗣、頑張ってください。一ファンのお願いです。

最初に、私は「すべてがFになる」からの森博嗣ファンです。ファンとは勝手なもので、次はもっと面白いだろう、こんなものんじゃあない、などと期待がドンドン膨らんでいきます。新シリーズということで期待が大き過ぎたのでしょうか?正直、ガッカリしています。
 話のテンポはいつもと変わらず森流でよいです。でも、ミステリィですから、犯人または動機がそれとなく示されているはずです。そうです、魅力的(?)な伏線があるはずです。確かにありました。でも、新鮮でもなく、エレガントでもありません。これでは…。
 新たな登場人物の魅力も「?」です。旧シリーズの犀川創平、西之園萌絵、真賀田四季、瀬在丸紅子には程遠いです。
 次回作で挽回しないと、ファンは逃げていってしまうかもしれません。森博嗣は「四季シリーズ」で終わったといわれることがないように頑張って欲しいです。
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No.43:
(2pt)

Φは壊れたね

森ミステリーの中では、比較的読みやすい作品です。。。となると、ちょっと物足りない感想です。西之園萌絵等、研究室仲間が、密室事件の謎を解いていくのですが、どうも、幼い感が出ていて、「謎解きゲーム」的です。タイトルは、奥深さを感じるのですが、中身は、事件の内容より、「仲間内のお話」といった感じで、あまり幅広さ、奥深さは感じられませんでした。まだまだ、私の読みが浅いのだと思います。(反省)
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No.42:
(2pt)

Φは壊れたね

森ミステリーの中では、比較的読みやすい作品です。。。となると、
ちょっと物足りない感想です。
西之園萌絵等、研究室仲間が、密室事件の謎を解いていくのですが、どうも、幼い感が出ていて、「謎解きゲーム」的です。タイトルは、奥深さを感じるのですが、中身は、事件の内容より、「仲間内のお話」といった感じで、あまり幅広さ、奥深さは感じられませんでした。
まだまだ、私の読みが浅いのだと思います。(反省)
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No.41:
(2pt)

ミステリというよりも

S&Mシリーズ、Vシリーズはほとんど読みましたが、春夏秋冬は読んでいません。新シリーズなので久々に手にとってみました。もうすでにミステリという部分にはあまり期待しておらず、主人公達の会話を楽しみに読んでいます。Vシリーズも後半はそうでした。犀川先生にもっと登場していただきたかったのですが....。個人的には、マンネリ化してきたね、という感じです。
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No.40:
(2pt)

ミステリというよりも

S&Mシリーズ、Vシリーズはほとんど読みましたが、春夏秋冬は読んでいません。新シリーズなので久々に手にとってみました。もうすでにミステリという部分にはあまり期待しておらず、主人公達の会話を楽しみに読んでいます。Vシリーズも後半はそうでした。
犀川先生にもっと登場していただきたかったのですが....。個人的には、マンネリ化してきたね、という感じです。
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No.39:
(5pt)

この本は面白いなぁ

母が好きな作家で、回って来る本を読んでいたので著者の本は一応全て知っているのですが、その中で1番好きです。まず、ダラダラとしたセリフや思考がない。私的にはまずそこにビックリ。とても読みやすくチラリとのぞくセンスのいいセリフが余計光っている気がします。相変わらず隙をついた事件のトリック。今回からのシリーズの探偵役の豹変ぶりもイイです。犯行にいたった心理は『こうだ!』という表現はなく、読者が考えるようになっています。うーんこれは次回作が楽しみなシリーズの始まりであります。
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No.38:
(5pt)

この本は面白いなぁ

母が好きな作家で、回って来る本を読んでいたので著者の本は一応全て知っているのですが、その中で1番好きです。
まず、ダラダラとしたセリフや思考がない。
私的にはまずそこにビックリ。
とても読みやすくチラリとのぞくセンスのいいセリフが余計光っている気がします。
相変わらず隙をついた事件のトリック。
今回からのシリーズの探偵役の豹変ぶりもイイです。
犯行にいたった心理は『こうだ!』という表現はなく、読者が考えるようになっています。
うーんこれは次回作が楽しみなシリーズの始まりであります。
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No.37:
(3pt)

これからが楽しみ。

森作品は、ひとつひとつの完成度を追求することよりも、すべての作品が微妙に絡んでいるのをあとで発見する、というマニアックな楽しみがありますよね。今回のもたぶんこれ一作読んだだけではまだ結論を出すのは早い気がします。それにしても、新キャラが登場しているのに、萌絵ちゃんがかなり出てくるのは、やはり萌絵ファンの要望にお応えした、という森先生の優しさなのでしょうか?でも、犀川先生の大ファンであるわたし的には、萌絵ちゃんを出すなら、もっと犀川先生だしてくれー。そして、2人のその後を教えて欲しいのですが。さてさて、次作「θは遊んでくれたよ」では、今回の主役級3人がどのように絡んでくるのか、これもまた別の楽しみですね。
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No.36:
(3pt)

これからが楽しみ。

森作品は、ひとつひとつの完成度を追求することよりも、すべての作品が微妙に絡んでいるのをあとで発見する、というマニアックな楽しみがありますよね。今回のもたぶんこれ一作読んだだけではまだ結論を出すのは早い気がします。それにしても、新キャラが登場しているのに、萌絵ちゃんがかなり出てくるのは、やはり萌絵ファンの要望にお応えした、という森先生の優しさなのでしょうか?でも、犀川先生の大ファンであるわたし的には、萌絵ちゃんを出すなら、もっと犀川先生だしてくれー。そして、2人のその後を教えて欲しいのですが。さてさて、次作「θは遊んでくれたよ」では、今回の主役級3人がどのように絡んでくるのか、これもまた別の楽しみですね。
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No.35:
(5pt)

戦慄の一作

僕は読後、背筋がゾクゾクとしました。
森作品はここまで到達しえたかと。
まずトリック。かなり凄まじい。それをこんなにもあっさりと書く。中には作中の人物が「これは凄い事件だ!」と言わないとそう感じられない方もいるようですが。このトリックは原稿用紙千枚以上の作品ですら支えうるものです。
そして無駄が一切ない文章。量があれば「大作」と思う人もいるでしょうから物足りなさを感じる方はやはり多いようです。でもね、森先生は「大作」を目的にしたのではありません。
切れ味。これです。
僕が戦慄したのはまさにそれによるもの。
「長編でこの味を出せるのか!」
この衝撃。そしてこれをさらりと見せる森博嗣の力。
森作品は百冊近く読んでいるというのに、この最新作でさらに新しいものを見せられるなんて・・・。
森博嗣の視線はどこまで高見を向いているのだろうか・・・。
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No.34:
(5pt)

戦慄の一作

僕は読後、背筋がゾクゾクとしました。森作品はここまで到達しえたかと。まずトリック。かなり凄まじい。それをこんなにもあっさりと書く。中には作中の人物が「これは凄い事件だ!」と言わないとそう感じられない方もいるようですが。このトリックは原稿用紙千枚以上の作品ですら支えうるものです。そして無駄が一切ない文章。量があれば「大作」と思う人もいるでしょうから物足りなさを感じる方はやはり多いようです。でもね、森先生は「大作」を目的にしたのではありません。切れ味。これです。僕が戦慄したのはまさにそれによるもの。「長編でこの味を出せるのか!」この衝撃。そしてこれをさらりと見せる森博嗣の力。森作品は百冊近く読んでいるというのに、この最新作でさらに新しいものを見せられるなんて・・・。森博嗣の視線はどこまで高見を向いているのだろうか・・・。
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No.33:
(3pt)

まずまずの好スタート

「すべてがFになる」では萌絵と四季が、レクターとクラリスを模した設定での会話をスタートにしたのに対し、「Φは壊れたね」の方は、レクターの芸術的な殺害方法を模した設定でのスタート。同じ「羊たちの沈黙」スタート。・・・このシリーズも期待できそう。
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4061823922
No.32:
(3pt)

まずまずの好スタート

「すべてがFになる」では萌絵と四季が、レクターとクラリスを模した設定での会話をスタートにしたのに対し、「Φは壊れたね」の方は、レクターの芸術的な殺害方法を模した設定でのスタート。同じ「羊たちの沈黙」スタート。・・・このシリーズも期待できそう。
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No.31:
(2pt)

意義が見出せるか

新シリーズとしてスタートされる意義が見出せるか。2作目以降へ期待あるいは課題というところか。マニアによる屁理屈めいた理由ではなく、これまでのファンが心から歓迎でき、また森ファン、森マニアではない人にも、ひとつの作品として楽しめるか否か。残念ながらこの1作で星をたくさんつけるわけにはいなかった。ずっと片隅で黙って聞いている人物が、周囲の奮闘を尻目に、最後になって「僕わかったよ。あれ?みんなまだなの?」みたいな構図はもうおなかいっぱいです。でも今後の展開には期待しちゃいます。ファンですから。
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No.30:
(2pt)

意義が見出せるか

新シリーズとしてスタートされる意義が見出せるか。2作目以降へ期待あるいは課題というところか。マニアによる屁理屈めいた理由ではなく、これまでのファンが心から歓迎でき、また森ファン、森マニアではない人にも、ひとつの作品として楽しめるか否か。残念ながらこの1作で星をたくさんつけるわけにはいなかった。
ずっと片隅で黙って聞いている人物が、周囲の奮闘を尻目に、最後になって「僕わかったよ。あれ?みんなまだなの?」みたいな構図はもうおなかいっぱいです。
でも今後の展開には期待しちゃいます。ファンですから。
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No.29:
(4pt)

よりリアル、よりアンチ

私の感想は、これまでの森作品とくらべてよりリアルで、ほかの本格ミステリィにたいしてよりアンチ。他の方の感想にもあったが、従来のシリーズより人物の思考の叙述量が少なく会話文が多くなったと私も感じた。キラリと鋭い思考が森作品の醍醐味、凄さだと私は思うが、それが直接見えなくなっている。会話からその人の思考や感情をトレースすることを強いられる。これがとくに森作品に親しんだ人にとっては、物足り無さや感情移入のしにくさ、普通に見える登場人物につながっていると思う。
でも、私たちの世界はこれがリアル(作品として客観的とも言えるかな)。他者の思考をそのまま知ることはできず、会話や文章など外に出された言葉から他者への認識、他者との関係をきずいていることが多い。また、言葉にはならないがその人の生き方のうちに見て取れるときもある。ヴィトゲンシュタインの引用もその意味ではとても印象的。もしこの新シリーズに、新しい技巧的な軸があるとすればそれかもしれない。謎解き、トリック、密室についても、人によってはあっさりしたものに感じるはず。私もそう感じた。けれど、これも森作品にとっての新しい挑戦、テーマのひとつだと思う。とあるエッセイで森氏も書いておられたが、大きな装置(大ドンデンガエシ、機械仕掛け、叙述トリック等々)で読者をゾクッとさせる本格ミステリィはすでに数多ある。今作ではそのゾクッと装置をこれまでのミステリィの核には求めていない。どこでゾクッとするかというミステリの核がわざとずらされている。あるいはゾクッとするその感じ方自体を変えている。その意味でよりアンチ。
私なりにゾクッとするところはあったが、ゾクッゾクッ(強調して2回)とまで来るところがなかった。私の感度がにぶいか、今作の切り口と相性があわなかったか。次作以降ではあるかもしれないと大いに期待。その意味で星1つマイナス。
φは壊れたね (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:φは壊れたね (講談社文庫)より
4062758989

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