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蟻の棲み家
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蟻の棲み家の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.04pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全19件 1~19 1/1ページ
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話は面白かったしすぐに読んでしまったんですが最後が少し物足りない感じがしました | ||||
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望月さんは、尊くない命という存在を描きたかったのだと思う。 建前では、尊くない命などないという社会。 でも実際には、絶望を感じるほどの格差や運命的な断絶があることは、皆知っていること。 それを、このミステリーという手法で描いたのだと思う。 真犯人は誰かという、目の細かい篩のような、アリバイと証拠を積み重ねた、やや冗長な記述が続く。 クライマックスに到達するための、焦らし、あるいは前戯かもしれない。 とにかくこのプロセスを通らないと、物語の面白さは半減してしまう。 ここは観念して、むしろ時間をかけて読んだほうがいいかもしれない。 | ||||
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最初は嫌だなぁ、こういう話は読後感も悪いだろうし止めようかなぁと思っていた。でも、読み始めたらそれこそ蟻地獄に落ちたかのように止められなくなっていた。謎の部分も後半で何となく分かってしまうのだけれど、主人公と同様に犯人の心の底を知りたくなった。逮捕されてからの方が読む速度が上がった。確かに「どんでん返し」という表現が適当かどうか分からないけど。動機も悲しい、結果も悲しい、やるせない。録音データ消しちゃうのかぁ。私なら警察に出さなくても消さずに取っておくなとか思いながら、シリーズ全部を読んでみようと思った。 | ||||
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現代を生きる自分たちの建前と本音と理不尽を、力強いスピード感で展開してゆくストーリーとどんでん返しに惹き込まれ、一気に読み進んでしまいました。 | ||||
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面白いです。誰が犯人か?も大事ですが、なぜそうしたのか?を回収してくれます。 今まで実生活で気づかなかったところに目がいくようになるような話。 | ||||
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エンタメは所詮絵空事。だからこそ、夢中になって読みたい。久々の大ヒット。主人公の妹が兄を裏切って、恋人の手を取り、眩しい日の光に向かうシーンがある。こういうシーンがあるから、読ませる。東野圭吾や宮部みゆきにはない。作者と話をしてみたいと初めて思った。 | ||||
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ありがとうございました。 | ||||
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凄まじいミステリーだと思う。予想もつかない結末と、犯罪に巻き込まれる登場人物たちの目を背け たくなる状況。望月諒子の作品を初めて手にしたが、これほどの作品をかける女流作家がいたとは。 風俗嬢と売春婦、二人の若い女性が射殺される。一方、極めて稚拙な方法で食品会社を脅迫する 奴らが出てくる。登場人物は、読み書きができず売春で生活を立てる母と歳の離れた妹と暮らす末男。 自分の父親も知らない。いわゆる社会のどん底から何とか抜けようともがく彼。彼の目的は 妹に真っ当な人生を送らせること。一方、医者の息子で性格異常者の翼。表面づらのいいエリートだが 博打で借金を抱える。殺された二人の女性と同じく、体を売ることしか生活を立てるすべがなく、 またそれに何の問題も感じない女愛里。この大きな射殺事件や恐喝事件と彼らはどのように 絡んでいるのか。筋運びも、キャラの描写も巧い。結末もいい。この作家にはまりそうだ。 | ||||
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帯に「白夜行」や「火車」を思わせる、とあり、初めて読む作者でしたが衝動買いしました。 結果大満足。末男の劣悪な生育環境の描写は、昨今の虐待や育児放棄のルポを読んでいるような重苦しさがあり、ラストへの帰着の仕方も見事でした。 他の木部美智子シリーズも読んでみたくなりました。 | ||||
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二人の若い女が別の場所で、射殺体で見つかる。どちらも、身体を売り怠惰な生活を送る母親だった。 その頃、フリーの記者・木部美智子は蒲田の工場で起きた地味ではあるが、嫌らしいクレーム事件を負っていた。彼女はいつもどおり、地道に事件を追い続けるが、女たちの射殺事件と意外なつながりが明らかになり始める。 残念な、そして不幸なことに、子供に愛情を全く感じない親もいる。そしてこれまた残念なことに子供は親を選べない。頼みの親から愛情も食事も与えられずに育った子供と、これまた不思議なことに、愛情も食事も、いや他のすべてを与えられても、卑しく下劣な人間になる場合もある。 彼等が犯す罪に対する評価は、そして与えられる罰は同じなのだろうか?同じで良いのだろうか?これは古今東西、議論の尽きないところかもしれない。 結局は、世の中にはいろんな人がいる。そして犯罪の動機も意外なところにあるのだ。そして、本作における究極の犯罪動機は個人的には、正しいかどうかは別として、つらいながらも理解できるものだった。 木部美智子というフリー記者がとても魅力的だ。非常に聡明な仕事人間。与えられたように見える仕事だが、実は非常に能動的に判断している。 木部美智子が主人公の作品は、本作で、5作目(多分)。 作者の描くサスペンスでは、警察官もとても魅力的に描かれているが、警察官を主人公にすることなく、フリーライターの木部美智子が主人公となって謎に挑んでいく。彼女には、当然のことながら、捜査権も逮捕権も、証拠収集能力や証拠分析をしてくれる後ろ盾もない。自ずと、様々な義務や法的責任を負う警察官が主人公となっている小説とは結末が異なる。多分、これが作者にとって大事なんだろうと思う。読者にとっても、結末の「後」に妙に想像力をかきたてられ、余韻が残る気がする。 驚きの展開を迎える最後まで緊張感が続き、いろいろと考えさせられた秀作でした。 ちなみに、本書に登場する社会的底辺にある人間が住むところとして、たまたま蒲田と板橋が取り上げられているが、両方とも実際には住民にはとても愛着のある町であることを念のため申し添えたい。 | ||||
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社会の光の当たらない部分が丁寧に描かれており、登場人物たちの心理描写もよかった。 序盤は、貧困や万引き、ネグレクト、売春、恐喝など、色々な視点から多くの現代社会の闇が描かれていて、どう収束していくのかと思ったら終盤は殺人の証明という驚きの展開で最後まで楽しめた。 犯罪によって生存の危機を乗り越えてきた末男の物語に引き込まれた。みんなが末男のことを、やりたくて悪さをしているのではなく、生きるためにやっているだけで他に選択肢はなかったのだと擁護したり、かばったりしており、必死に生き抜いてきた末男の生き様が印象的だった。 | ||||
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強烈な社会派サスペンス。 前半部分の「これでもか」っていうほどの前ふりが後半で開花する。 読み進めるほどに、無惨な光景が広がってくる。 それが当たり前の事実のごとく表れる。 どうもがいても這い上がって来れない環境の中。 そこでも必死になって生きている。 這いずり回り必死に生き抜く環境では、生きるべく行為は”悪”といえるのか問いかけていく。 ひとは見かけだけで、ひとの哀れを感じているのではないか。 慈善活動よりもやることがあるのではと、社会に問いかけている。 | ||||
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どうしようもない環境や、選べない道や道徳など、なんの足しにもならない希望など、ない人達は、確かに存在しているし、生きていこうとしている。悪循環の迷路の中で、孤独で、死と背中合わせで。この筆者は、真っ直ぐに偏見なくいろんな人を見る。色眼鏡ではなくて、そこが世論の見方のお手本のように。木部シリーズにはまり読みたいが、そろそろ単行本の字も読めなってきた。電子書籍にしてもらわないと、もう好きな読書もできない。紙媒体は大切だろうが、読む人達の事も考えて欲しい。いつかは全て電子化されるのだから。 | ||||
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貧乏ではなく貧困。 日雇いではなく非正規労働。 しつけではなく虐待…。 昔も良く耳にした数々の言葉が、現代風に置き換えられ、 日々メディアで流されるフレーズとしてこの本の随所にあって、 小説なのか現実なのかわからなくなります。 昔からあったはずの貧乏や不安定な労働環境や暴力が、非日常ではなく日常として私たちの周囲に存在し、 ふと気づくと、それらの悲惨さや凄惨さに慣れていく自分がいる、その恐ろしさ。 小説の中で、事件を話題にする会話を弾ませながら待ち合わせ場所に急ぐ人々が登場しますが、 まさにそこに自分の姿を見た気がしました。 半ばから、犯人が分かってしまったのですが、それでも犯罪を起こさざるを得ない切羽詰まった犯人の苦悩に 圧倒され、殺人=悪とは思えなくなってしまいました。 美智子が最後、どんな行動を取るのか、が私にとっての最大のハラハラドキドキでしたが、 私ならこうする、という結果だったことが、たくさんの重い課題を残しつつも少し気持ちが和みました。 これは映画化したらきっと安っぽい内容になってしまうのでは…とも思わせました。 何故だかはわからないけど。 | ||||
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児童虐待家庭を生き延びた子ども=サヴァイヴァー。おとなになったサヴァイヴァーが犠牲者であり、 加害側にもかかわる、そんなストーリー。 事件や人物の背景として、サヴァイヴァーの境遇の描写は避けられないが、 その悲惨さを殊更に訴えることなく、抑制の利いた筆致でストーリーに沿って淡々と描き出している。 近年、児童虐待による幼い死が報道されることが多くなり、テーマに扱うルポルタージュの類も出版されて、 従来そんな世界とは縁のなかった読者もその実態の一部を垣間見ることができる。 それらから窺い知る詳細からすれば、本作におけるサヴァイヴァーの境遇の描写は、 かなりソフィスティケイトされたものと言えるだろう。 だがその描写が抑制されたものであることが逆に、子どもたちのすぐそばに 日常的に死が横たわっていることを想像させ、成長の過程で彼らが犯罪の隣に常にあることを 説得力を持って明らかにし、ストーリーに一貫したリアリティをもたらしている。 一方で、彼らに差し伸べられる周囲の温かさが、ささやかな抵抗など顧みられることなく なりゆきのまま闇の底に沈んでいくしかない彼らをその一歩手前にとどまらせる「最後の救い」として、 随所に描出される。 それは幼い末男を見守る商店街のひとびとであったり、高校生の末男に前科をつけさせないために 奔走する教師であったり、あるいは、木部美智子の末男に対する、無暗な同情を伴わない ぶっきらぼうとも思える、だが実際は末男のことを真摯に知ろうとする態度であったりするが、 なによりも作者自身のサヴァイヴァーに向ける視線が温かさを持つものだからこそ そうした温かさを含んだ本作が生まれたのではないか。 その象徴が、谷底から這い上がった先から末男が見る「青い空」である。 末男の記憶の中にはいつも、子どもの頃に見た青い空があった。 ここで描かれる「温かさ」は、サヴァイヴァーの境遇にとってはいずれも微々たるものでしかなく、 一瞬の救いではあるかもしれないが、救済にはなっていない。 被害者の女性二人は幼い子どもを残して殺されたし、末男の隣にはこれからも一生、犯罪の影が ぴったりと付きまとっているだろう。 そういった意味で、「身も蓋もない」話ではある。 その自分たちの境遇の身も蓋もなさへの苛立ちが、末男に「死んだ女のことをちゃんと報道しろ」と 言わせたのだろう。同情ではなく、上っ面だけの理解したふりでもなく、ただ被害者やおれの置かれた状況を ちゃんと知ろうとしろ。 一見、殺人事件とは無関係と思われた恐喝事件から始まった木部美智子の地道な取材の結果として、 最後にすべての真相が明らかになるが、そこで「正義」が行なわれるわけではない。 現実の社会において「正義」を標榜するのがジャーナリストだが、木部美智子は「正義」ではなく、 「知ること」を求めた。そしてそれこそ、末男が望むものだった。 本作に「正義」への快哉はないが、罰せられるべきが罰せられたことへの安堵、 昏い達成感とでも呼べる感情が読後に残った。 作家の著作を読むのはこれが初めてだったが、俄然、木部美智子に興味が湧いてきた。 冒頭の舞台となる地域の描写は、具体的にその界隈を知るわたしにとって、まさに「そのまんま」であり、 読み始めからあまりのリアルさに軽くのけぞった。 本作のリアリティをそうした舞台の土台が支えてもいることを付記しておく。 | ||||
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ネットの紹介記事を見て即座に購入。翌日には7000円に高騰してました…年始ですが、出版社さん、重版急いで下さい。 「未婚の母子家庭」「子を捨てる母親」「ネグレクト」などを、きれいごとでなく切り込んでいて、胸が痛くなりました。 世間にも、親にすら見捨てられた被害者達。ある人物には、支援してくれる人達がいた。それでも……。 答えのない問題を突き付けられた気持ちです。お金があれば救われる人達、愛情さえあれば満たされる人達がいる。だけど金銭と愛情に満たされていても、どうしようもない人達もいる。 マスコミや「普通の人達」より、裏世界の人達、例えばキャバクラの雇われ店長や街金の男。彼らの方が、どこか人間味があったりする。あくまで小説だから、そんなキャラ付けされているだけだとわかっていても、緻密に組み立てられた作品の中では、説得力がある。 読んでよかったと思います。2000円の価値は十分にありました。 | ||||
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私自身は日本の貧困の状況についてはWEBで見た知識しかないので,作者の描く世界が真実なのかどうかはわからない.しかし,圧倒的な描写力で,ありありとその世界を構築し,その世界に引きずり込まれて,一気に読んでしまった. 親として身につまされるラストも秀逸. | ||||
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最近「アンダークラス」という言葉を知ったのですが、新しい下層階級のことなのだそうです。低賃金でも正規雇用であるならそれなりに収入が安定しているが、非正規労働者は正規雇用されることもなく、貧困に沈み、その子供達も貧困ゆえに生活環境、教育などに支障をきたし、正規雇用され安定した生活を送るという日の当たる世界に移ることができない。 本書でもそういう人達が登場します。貧困の連鎖。虐待の連鎖。主人公の木部美智子は事件の調査を進めていく中で、「人間の尊厳の底を掃き集めているような気がした」と述べています。また、一般的な社会常識や善悪を学習せずに育ち、「自分が被害者なのか加害者なのか、わかってないのかもしれない」とも。 しかし本書は、そのような状況の悲惨さばかりことさら強調するわけではなく、本の帯に書かれているように「淡々とした筆致で」話が進められていきます。 ヒロインの木部さんは、特に若くもなく、美人でもなく、華やかな経歴でもなく、おしゃれというわけでもなく、しかし真面目で堅実で頭の回転も速く、男に媚びることもなく、かと言ってやたら張り合うこともなく、ごく自然体で対等に仕事をこなす、そんな人です。男性読者には物足りないかもしれませんが、同じ女性としては好感の持てるヒロインです。 話の内容も、主人公も、良い意味でさっぱりと乾いた感じで、読後に余韻は残りますが、嫌な後味は残らない。そんな感じの作品でした。 | ||||
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久しぶりに木部美智子が登場する。やあ、木部さん元気でしたか、と挨拶したくなる。彼女は「電車の中を見回せば一人はいる女性」だが、事件に素直に立ち向かう。衒いや傲りはない。だから、この作品のような「えぐい」世界でも、読者はすっと入って行ける。ミステリーとしては、ラストが一級品。探偵が美智子でなければこんなオチにはならなかっただろう。 それにしても、デビュー作以来、約20年。美智子は歳をとらない。不思議だ。 | ||||
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