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横道世之介
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横道世之介の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.14pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全177件 121~140 7/9ページ
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大学入学なんか、遠い昔なのにあの頃を思い出した。何の目標もないままでも、ちゃんと成長できるんだよな。世之介のプラス志向がいいんだよな、やっぱり。展開も上手いし、一気に読ませる吉田は才能の固まりだな。 | ||||
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相変わらず着眼がすばらしい吉田修一さんお得意の日常あるあるを のんびりした気持ちで心地よく読み進めていると、 中盤、ノーモーションで強烈な一発が飛んできます。 あまりにすごいタイミングなので避けるのは困難。 自分も思わずのけぞって、本から顔を上げてしまいました。 そうか。これ、そういう話なのか。 完全に油断してた。 そこからは、このお話との向き合い方が180度、 とまでは言わないまでも94度くらい変わります。 まわりに流されて興味もないサンバサークルに入ってしまうような お人好し野郎、横道世之介のしょうもない物語は、 やがて多くの人が心に留めているであろう実在の出来事につながっていきます。 自分もあのときは言い知れぬ憤りを覚えたっけ。 正しいことをしちゃいけない局面だってあるんじゃないのかと。 自分ならどうするだろうと、みんなが少なからず考えた出来事だったと思います。 そこへいくと最後の母親の手紙の一節がひとつの答えになっていて、 憎いことするなあ。あざとすぎるぞ吉田修一め。と。 身をよじりながら本を閉じることになりました。 主人公である横道世之介のパートは第三者視点で、 その他の人々は一人称で書かれる逆転の構造も とてもうまく機能していて、さすがです。 うっかりサイトで映画の予告編見たら泣きそうになりました。 あっぶねー! 「思い出の片隅の真ん中で―」ってコピー、誰が考えたんだろう。 | ||||
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面白くて、ひゅんひゅん読んだけど、最後はせつなさが残った。吉田修一の他の作品も読みたい。 | ||||
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すでに単行本を読んだ方々の絶賛レビューが多数投稿されている。なので、遅れて文庫で読んだ身としては、似たようなレビューはやめて、ストーリーから離れた周辺部分に触れておくこととする。それは、主人公の高校生時代、あるいは休暇で長崎に戻った場面などで、地元に残っている友人や家族らもみな標準語を使っているのは、なにゆえか、ということだ。東京での主人公と友人たちとの会話はリズムがあって面白いが、長崎でも似た気配が地続きになっていて、この点、やや手抜きめいた印象が残った。 もっとも、そこを別にすれば、全体を通じて筆致は軽快・闊達で、人見知りせず、話好きで、何ごとにもプラス思考の主人公、その周囲にいる若者らの様子が達者な調子で描かれ、80年代とその20年後を交差させる構成もうまいものだ、と感心した。 評者も少し年代はずれるものの、似たような具合で親元を離れて上京し、下宿から大学に通うという4年間を体験しており、どことなく懐かしく、既視感のある面白さとほろ苦さを味わった(評者の場合、女っ気はほとんどなかったが)。いずれにせよ、80年代の風俗・流行などのディテールもきちんと描かれていて、佳作・快作であることは間違いない、と思う。 | ||||
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リーダビリティの高い小説である。しかし誤解を恐れずにいうと、面白いような面白くないような小説でもある。僕はシリアスな吉田修一は好きだが、コミカルな吉田修一は肌に合わない。心の暗部に訴えてくるものが多い前者に対して、後者は頭でこねくり回してでっち上げているような印象がある。ほら、こんな面白いこと思いつきましたよ、どうぞ笑ってね。と言われているようで…何だかなあ。本書はその色合いがちょっと強いと感じた。 世之介や祥子といった主要登場人物たちが、いかにも頭の中で創り上げられた存在のようで(まあ、それはその通りなんだけど)、生々しいキャラクターに感じられない。いや、確かに面白いことを言っているし、うーむと考えさせられるところはあるんだけど、ハートを直撃してこないというか、どうにも作者の体を通した生の声として伝わってこない。あくまで演劇用の「台詞」という感じなのだ。 でも、今回はそれが狙いなのかな、とも思ったり。そもそも横道世之介という造形が、類まれな天使性を持っている。本書は実際に起こったある事件にインスパイアされているが、社会派のミステリ作家ならもっと濃いドラマを紡ぐであろうところを、吉田修一はいとも軽やかな青春小説に仕上げている。“汚れちまった現代社会のフェアリーテール”といった趣なのかもしれない。 | ||||
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毎日新聞夕刊に1年間連載された新聞小説ということだ。かなり分厚い文庫本だったが、一気に読み終えた。 かつて東京ではないが大学生になって一人暮らしを始めた頃のことを懐かしく思い出した。適切な良い表現かどうかは分からないが、洒落た小説だと思う。 映画化されるという話題になっていたため購入したのだが、目次を見ると、4月から3月までとなっていて主人公の1年間を描いたものだと分かる。しかし、実は所々に世之介が関わった登場人物の後日談が書かれている。いずれも大学1年生の世之介のことをはっきりと覚えているわけではないのだが、良い思い出としてその心に残っていることが分かる。また誰もが自分の人生を真面目に生きていることを伺わせるところが良い。 JRの新大久保駅のホームで線路に落ちた人を助けるため線路に飛び降りて亡くなった韓国人留学生と日本人カメラマンがいたが、そのカメラマンがモデルというかこの作品のきっかけになっていることをウェブ上で公開されている某バラエティ番組の対談録で知った。 ストーリーとは関係ないが、何気ない描写に、昔の日常が呼び覚まされて懐かしく思った。そういえば学生の必需品は丹前だったし、未整理の写真はひよこの菓子箱の中に雑然と入れられていたものだ。 また、長崎人の「なんかさー」という口癖を、さくらが口にしていたところも懐かしさを感じた。 | ||||
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この作品については表のひとつひとつの出来事ではなく、その裏に綿々と流れるものを読みとる読み方が向いていると思います。この小説のテーマは 意図も無くピンボールのようにただぶつかっては他人と関わり、その経験にもとづいて人は自分の道を徐々に進んでいく。たとえ忘れてしまった恋人や友人、通りすがりの人との出来事であっても、その人たちと過ごした時間や出来事が今の自分を作っている。 そしてつまり、あなたも誰かの一部である。 ということではないでしょうか。そういうテーマを青春期をモチーフに吉田修一さん流に見事にまとめていらっしゃる作品だと思いました。祥子が世之介から受け取った写真を覚えていなかったあたりが、こうしたテーマをより浮かび上がらせ、さすがだと思いました。ただの青春コメディみたいな顔して、なかなかやります。 | ||||
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「面白い本」や「感動する本」は数多く読んできました。 しかしこの小説ほど「好きな本」は無かったと思います。 最初は単なるコメディのつもりで読んでましたが、途中から笑うことが出来なくなりました。 世之介と恋人である祥子ちゃんの、一つひとつのやり取りがとても愛おしくなります。 初めに学生時代に読み、大人になってからまた読みたい作品です。 「特別な特技が無くても、偉くなれなくても、人の心に残る人間になれる」と思えます。 好き嫌いが別れる小説かもしれませんが、私は間違いなく読んで良かったと思います。 | ||||
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本書は、内容的にも評価的にも、良い意味で私の事前の思い込みを覆してくれた面白い本だった。私は、2010年の本屋大賞第3位という評価だけを頼りに単行本の方を買ったのだが、たまたまこれに先立って読んだ大賞受賞作の「天地明察」が今一つの出来であったため、第3位ではなおさら大したことはないだろうと勝手に思い込んで読む気がせず、長期間棚ざらしにしていたのである。今、こうして読み終えてみて、予想以上の面白さに、もっと早く読むべきだったと後悔するとともに、筆者の他の作品もぜひ読んでみたいと思うに至っている。 私は、そのタイトル名から、本書を、時代小説か、世の中を横道に逸れて生きる青年の物語かとも思って買ったのだが、実際の本書は、どこにでもいるような、しごくまとも、かつ、ノホホンとした青年の日常を描いた、思わず吹き出してしまうこと数多の面白い青春ラブコメ小説であり、筆者のユーモアセンスは、なかなかのものだった。退屈で、ページ数の多さを感じながら読まざるを得ない小説が溢れている中、肩が凝らず、気楽に読めるこうした小説は、気持ちを軽やかに、暖かくさせてくれ、本当にありがたい。 ただ、ちょっと違和感を感じてしまうところがあったのが、この作品全体が醸し出しているトーンには不釣り合いと思えるような、必ずしもハッピーエンドでは終わらない登場人物たちのその後を始めとした重いエピソードが、ポツポツと挿入されていることだった。特に、中盤近く、世之介と祥子に起こるあるエピソードの後からは、それまでは単純に笑えていたことにも、単純に笑っていいものやら、何か単純に笑うことがはばかられるような気持ちにさせられてしまうのだ。 たしかに、ただ軽く面白いだけの小説にはしたくない、作品に深み・奥行きを加味したいという筆者の思いはわかるのだが、私は、ことこの作品に限っては、中途半端に重い雰囲気の作品にするよりは、世之介と祥子が醸し出すノホホンとした雰囲気そのままで全体を貫き通した方が良かったような気がするのだ。皆さんは、この作品を読み終えられて、どう思われるだろうか。 | ||||
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さんざん笑わせておいて、最後にそう来ましたか! 涙腺が弱い年代なので、号泣をこらえるのがやっとでした。 いつの間にか愛してしまいましたよ。世之介さん。 作中の方々と同じように。 「悪人」が一番だと思っていましたが、まさに横から「横道世之介」が躍り出ました。 | ||||
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初めて読んだ吉田修一作品が『悪人』。深い部分まで切り込んだ感じががとても良かったので、他の作品はどうなのだろうか?と思い、代表作とされているこの作品を手に取ったわけだが、「えっ?これ同じ作家が書いたのと?」と驚くほど真逆の作品。 同じ作家だから同じ作風にする必要もないのだが、この何にも残らない感は一体何なの? 心が温かくなったという評価も多いようだが、世の中はこういう良い普通の人々が出てくる安心出来る小説を望んでいるのだろうか。 これが吉田修一の最高傑作らしいが、うーん、理解できない。 | ||||
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明るくて、人見知りしなくて、どこかとぼけてそうな 世之介。 そんな世之介が長崎県から東京に出てきてからの 大学1年生のお話。 入学式でいきなり失敗したり 世之介以上に馴れ馴れしい男性と初日に友達になったり 間違えて話しかけた男性と 強引に友達になって、しばらくのちに 家にいりびたるようになったり 気後れすることなく、ずんずん進んでいく世之介なのに 途中で交錯する登場人物の未来の生活の中に 彼の姿がなく不安になる。 世之介の未来がというより 世之介ほど、馴れ馴れしく人と関わっていく人間でも 数年、数十年、関わらなくても平気になり 別の人生を歩め 「あんな奴いたなぁ」と思い出の青春の一ページでしかない 存在に、人はなっていくのかなと 寂しさも感じた。 あなたの思い出には 世之介のように、しばらく会っていないけれど ちょっとすれば思い出せる 忘れきらない人はいますか? そう問われているような 読み終わりの感動とともに、そういったことも感じた作品だった。 | ||||
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パレードとかは面白かったので、期待して読みましたが、今作については期待外れでした。 いや、正確に言うと、例えば世之介を始めとして登場人物のキャラクターとか、個々のエピソードとかは、存分に吉田作品の面白さがあるんですよね。 ただ、いかんせん気になったのが、伏線の貼り方と回収の仕方が雑というか、あざとさが鼻についてしまい、いつもの調子が出てないなぁと感じた点と、全体的な起伏がイマイチで、この話は結局何が面白いのかがよくわかんないまま終わってしまったという点でした。 もしくは、私が吉田作品の面白さを、他の方々とは違うように解釈してしまっているのかもしれません。 連載作品のように、のびのびと書けない形だとこうなってしまうのか?それもよくわかりません。 まぁ1つ言えるのは、結局サンバはなんだったの?拾ってきた猫はなんだったの?あの事故はなんだったの?倉持一家、千春、加藤もろもろ、全部が消化不良で終わってる感じなんですよね。何でみなさん高評価なんでしょう? もしかしたら、もっと長期の連載予定だったのが途中で終了してしまったのかな、などと穿った見方をしてしまいました。 たぶん、一から書き下ろしだったら、もっと気持ちよく読めたのかも。 | ||||
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あの時、が懐かしく思い出せる人には、堪らないかもしれない。 あの時を知らない自分は、バブルだねえ、としか…。 読後感は爽やかで、少し切なかった。 それにしても吉田さん、韓国に関係がある人なのかしら。 それが少し気になった。 | ||||
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80年代に大学生となり上京した横道世之介の約1年間の生活と、取り巻く人々の20数年後の話が織り交ぜられていて、世之介と同じ頃大学時代を過ごした人にはなつかしくもせつなく感じる1冊です。 これといった強い野心も恵まれた容姿も無く、複雑な家庭環境で育ったわけでもない世之介は確かに同級生に一人はいたような人物で、それでも困っている同級生にバイトで貯めたお金を躊躇することなく貸したり、捨て猫を拾ったりする「力まず親切」な性格が彼のその後の人生に投影されます。 世之介のGFとして登場する祥子さんの「つくづくどこで自分の人生が変わったのだろうかと不思議に思う」「大切に育てるということは「大切なもの」を与えてやるのではなく、その「大切なもの」を失った時にどうやってそれを乗り越えるか、その強さを教えてやることではないか」という思いを、大学生の頃の自分に伝えたくなりました。 | ||||
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当たり前の日常、何処にでもある物語りだけど、その瞬間は時に誰かにとって大切な日々のほんの小さな思い出かもしれない。 | ||||
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お勧めです。 ただの青春小説ではない、善人を書いただけのお話でもない。 読み終わっても、心に残る。 構成の妙もあるが、、世之介をめぐる人々により過去と現在から語られる、 その世之介の人物像がいい。 ページ数は少なくないが、はいりこんで読める。 いい本だった。 | ||||
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何が良かったと言われても、答えが見つからない。 作者とは一回りくらい年代が違うが、 地方出身者特有の上京時の心持ちに共感。 文体の軽さ、会話の掛け合いの妙、時代との距離感・空気感、 20年後の場面転換による対比など、良いところは沢山ある。 その中でも、最も良かったのが登場人物。 特に恋人役の祥子が魅力的で、 はて、このような女性を私は知っていたのではないか、 青春時代に会っていたのではないか、 そんな錯覚にとらわれた。 作者の技量が十分に発揮されていると思う。 六畳一間の学生アパート、エアコンなど無い暑苦しい角部屋で、 扇風機に呆けた顔を近づけていた。 友人が転がり込んで、勝手に家に泊まっていく。 新宿で酔いつぶれて、そのままぐだぐだになりながら野宿したり、と そんなことも思い出した。 そして20年後の描写が、この作品に厚みを加える。 友人だった加藤が、世之介のことを嬉しそうに相方に語りかける。 加藤の様子が目に浮かぶ。 私は、世之介のように誰かの記憶に残っているだろうか、 そんなことをふと思った。 もう戻らないから美しい、過去の一幕。 非常に共感を持ってこの小説を読んだ。 若い読者は、もしかするとこの小説の空気感に違和感を覚えるかもしれない。 淡々と進む物語に、退屈を感じるかもしれない。 それでいいと思う。 年を経て読み返したときに、 この作品の良さに気づいてもらえればそれでいい。 | ||||
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奔放な主人公と、彼と出会った周囲の人々の日常が描かれている。主人公と関わった過去とそれぞれの現在が人間としての成長を感じさせる。 | ||||
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久しぶりに感情移入が出来た作品。しかしそれも当然で、著者とは1年違いでH大学の卒業生(全然知らなかったけど)だからだ。作中の倉持もそうだが、第一希望でH大学に入ってくる人間は多くない。早慶の滑り止めという感は否めない。したがって卒業生でも在学生でも母校愛のある人間が少ない。しかし著者は間違いなくH大学を愛していると感じるのである。今まで著者の作品では”パレード”が最高傑作であると思っていたが、今は間違いなくこの”横道世之介”が最高傑作だと思う。 | ||||
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