乳と卵

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評判

乳と卵の評価:

3.35/5点 レビュー 153件。 D ランク

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平均点3.35pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全298件 61〜80 4/15ページ
No.238
(3pt)

商売女の描かれ方

男性側から見た商売女は文学の中で数多く描かれていますが、その多くは私の中では割とあっけらかんとした印象です。例えば最近のものでいうと(商売女ではないが)ウェルベックの素粒子で描かれる豊胸手術をした女は非常に前向きで、手術によって大きくなった胸が旦那に喜びを与えることを純粋に喜んでいる。それを川上さんが描くと、卵を頭にぶつけて号泣する娘の背中をさする母親、という描き方になるのだなと思いました。付属の短編も読みましたが、作者は性的な快感を重視しない、というより否定する傾向にあると感じました。作中に、確か「自分が肉体の中に閉じ込められているようだ」というような言葉があったと記憶していますが(しかもハイライトしている人が多かった)、むしろ「肉体が精神の中に閉じ込められている」のが現代の日本なのではないかと思いました。
乳と卵(らん) (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 乳と卵(らん) (文春文庫)より
4167791013
No.237
(3pt)

商売女の描かれ方

男性側から見た商売女は文学の中で数多く描かれていますが、その多くは私の中では割とあっけらかんとした印象です。例えば最近のものでいうと(商売女ではないが)ウェルベックの素粒子で描かれる豊胸手術をした女は非常に前向きで、手術によって大きくなった胸が旦那に喜びを与えることを純粋に喜んでいる。それを川上さんが描くと、卵を頭にぶつけて号泣する娘の背中をさする母親、という描き方になるのだなと思いました。付属の短編も読みましたが、作者は性的な快感を重視しない、というより否定する傾向にあると感じました。作中に、確か「自分が肉体の中に閉じ込められているようだ」というような言葉があったと記憶していますが(しかもハイライトしている人が多かった)、むしろ「肉体が精神の中に閉じ込められている」のが現代の日本なのではないかと思いました。
乳と卵 Amazon書評・レビュー: 乳と卵より
4163270108
No.236
(5pt)

独特の感性と文体:二度目、読んでみると、そこに見えてくる景色がまったく異なる !!・・・・文体を含め、一旦、面白さ凄さに気がつくと中毒になる、そんな凄い小説

最初、この小説を読んだ時、芥川賞も・・・・直木賞と類例で、数年に一度は特定の出版社(冬幻舎?)からの出版小説を選出しなければならない、そんな縛りがあるのかな、と失礼な思考をしてしまいました。 それほどに、「何、この酷い小説」という心を抑えられませんでした。 ただ、この小説を繰り返し(2回目)読んでいる途中で、自分の不明、思考ロジックの単純さに思いが―――やっと―――至りました。

 この小説に、わたしが素直なタイトルを付けるとすれば、『女、そして母と娘』 ということでしょう。小説の構成要素は、
①母と娘の恩讐(怨讐?)と、そして和解。
②少女から女になることの鬱陶しさ、怖れ、途惑い。
③老いることへの恐怖と焦燥、そして哀しさ。

ということになるのでしょう。この小説は、たとえば、東野圭吾や林真理子といった人畜無害小説に慢性的に感染している人の治癒・治療になる可能性があります(いうまでもないことですが、当世稀代の売れっ子小説家お二人への悪口では、断じてありません。自身、精神が疲れた時、よく読んでおります)。
 娘さんが追い詰められていることは《彼女が誰とも口をきかない》という状況で良く分かりますが、お母さんが精神的に追い詰められていることは、咳止めシロップ中毒(リン酸コデイン、エフェドリン)などの表現で、読者に分かるようになっている。

  わたしごときが云うまでもなく(云う:著者の好んでつかう漢字)、彼女の小説には新規の視軸があり、表現法にも独自の筆法があります。 ただ、ずらずらと会話と説明が連続しており、パラグラフによっては、会話の部分が【「 」】でくくられなかったり、隣のパラグラフでは、会話の内容に【「 」】を丁寧に使用してくれたり、気まぐれですので、そこには少々閉口しました。ただ、そこには彼女なりルールがあるようで、誰かのセリフであっても、それが状況・場面の説明の要素を含んでいれば【「 」】無しで書いているような傾向はあるかもしれません。仮に彼女が、雰囲気で適当にやっているのなら、同類の性向が感じられ、楽しくはありますが。
世界の、ジェンダー・フリーの趨勢には反するのかもしれませんが、川上さんも男性的気質なのかも?
  とにかく、すばらしい小説であることには間違いありません。
乳と卵(らん) (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 乳と卵(らん) (文春文庫)より
4167791013
No.235
(5pt)

独特の感性と文体:二度目、読んでみると、そこに見えてくる景色がまったく異なる !!・・・・文体を含め、一旦、面白さ凄さに気がつくと中毒になる、そんな凄い小説

最初、この小説を読んだ時、芥川賞も・・・・直木賞と類例で、数年に一度は特定の出版社(冬幻舎?)からの出版小説を選出しなければならない、そんな縛りがあるのかな、と失礼な思考をしてしまいました。 それほどに、「何、この酷い小説」という心を抑えられませんでした。 ただ、この小説を繰り返し(2回目)読んでいる途中で、自分の不明、思考ロジックの単純さに思いが―――やっと―――至りました。

 この小説に、わたしが素直なタイトルを付けるとすれば、『女、そして母と娘』 ということでしょう。小説の構成要素は、
①母と娘の恩讐(怨讐?)と、そして和解。
②少女から女になることの鬱陶しさ、怖れ、途惑い。
③老いることへの恐怖と焦燥、そして哀しさ。

ということになるのでしょう。この小説は、たとえば、東野圭吾や林真理子といった人畜無害小説に慢性的に感染している人の治癒・治療になる可能性があります(いうまでもないことですが、当世稀代の売れっ子小説家お二人への悪口では、断じてありません。自身、精神が疲れた時、よく読んでおります)。
 娘さんが追い詰められていることは《彼女が誰とも口をきかない》という状況で良く分かりますが、お母さんが精神的に追い詰められていることは、咳止めシロップ中毒(リン酸コデイン、エフェドリン)などの表現で、読者に分かるようになっている。

  わたしごときが云うまでもなく(云う:著者の好んでつかう漢字)、彼女の小説には新規の視軸があり、表現法にも独自の筆法があります。 ただ、ずらずらと会話と説明が連続しており、パラグラフによっては、会話の部分が【「 」】でくくられなかったり、隣のパラグラフでは、会話の内容に【「 」】を丁寧に使用してくれたり、気まぐれですので、そこには少々閉口しました。ただ、そこには彼女なりルールがあるようで、誰かのセリフであっても、それが状況・場面の説明の要素を含んでいれば【「 」】無しで書いているような傾向はあるかもしれません。仮に彼女が、雰囲気で適当にやっているのなら、同類の性向が感じられ、楽しくはありますが。
世界の、ジェンダー・フリーの趨勢には反するのかもしれませんが、川上さんも男性的気質なのかも?
  とにかく、すばらしい小説であることには間違いありません。
乳と卵 Amazon書評・レビュー: 乳と卵より
4163270108
No.234
(1pt)

気持ち悪い

芥川賞作品だから読み始めたが、長々とした口語調、しかも大阪弁に最後まで慣れない。あまりの酷さに思わず初めて感想を書いてみた。
嫌悪感さえ覚える性的描写は気持ち悪い。
生理的に合わないと誰かも書いていたが、正に同感。全くお勧め出来ません。
乳と卵(らん) (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 乳と卵(らん) (文春文庫)より
4167791013
No.233
(1pt)

気持ち悪い

芥川賞作品だから読み始めたが、長々とした口語調、しかも大阪弁に最後まで慣れない。あまりの酷さに思わず初めて感想を書いてみた。
嫌悪感さえ覚える性的描写は気持ち悪い。
生理的に合わないと誰かも書いていたが、正に同感。全くお勧め出来ません。
乳と卵 Amazon書評・レビュー: 乳と卵より
4163270108
No.232
(5pt)

音楽的な大阪弁のやわらかな魅力を感じたい誰かへ

"卵子というのは卵細胞って名前で呼ぶのがほんとうで、ならばなぜ子、という字がつくのか、っていうのは、精子、という言葉にあわせて子、を付けてるだけなのです。"改行なし、読点によって区切られ、延々と続いていく女性達の大阪弁が心地良い本書は、声に出したくなるリズミカルさ。‬

個人的には、何となく東京に滞在していると【懐かしく大阪弁に触れたくなる】と本書を手にとったのですが。夏に上京してきた親子と、それを迎え入れる女性との3日間を描いた本書は、各所に【化粧、豊胸、初潮、卵子、乳】といった女性を象徴する言葉を散りばめつつ、詩的な文章、言葉選びが素晴らしく残り、芥川賞受賞も納得の短編だとやはり感じます。

また、これは私自身が卵及び目玉焼きやオムレツといった【無類の卵料理好きだからか?】終盤の卵まみれになるユーモラスな展開はクライマックス的な感情の爆発に引き込まれつつも【卵が。。もったいない】と何だかそんな、割とどうでもいい事に感情がもっていかれてしまって、お腹がなったり。(なんかほんまにすいません)

音楽的な大阪弁のやわらかな魅力を感じたい誰かに、また女性性を感じさせる短編を探す誰かにオススメ。
乳と卵(らん) (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 乳と卵(らん) (文春文庫)より
4167791013
No.231
(5pt)

音楽的な大阪弁のやわらかな魅力を感じたい誰かへ

"卵子というのは卵細胞って名前で呼ぶのがほんとうで、ならばなぜ子、という字がつくのか、っていうのは、精子、という言葉にあわせて子、を付けてるだけなのです。"改行なし、読点によって区切られ、延々と続いていく女性達の大阪弁が心地良い本書は、声に出したくなるリズミカルさ。‬

個人的には、何となく東京に滞在していると【懐かしく大阪弁に触れたくなる】と本書を手にとったのですが。夏に上京してきた親子と、それを迎え入れる女性との3日間を描いた本書は、各所に【化粧、豊胸、初潮、卵子、乳】といった女性を象徴する言葉を散りばめつつ、詩的な文章、言葉選びが素晴らしく残り、芥川賞受賞も納得の短編だとやはり感じます。

また、これは私自身が卵及び目玉焼きやオムレツといった【無類の卵料理好きだからか?】終盤の卵まみれになるユーモラスな展開はクライマックス的な感情の爆発に引き込まれつつも【卵が。。もったいない】と何だかそんな、割とどうでもいい事に感情がもっていかれてしまって、お腹がなったり。(なんかほんまにすいません)

音楽的な大阪弁のやわらかな魅力を感じたい誰かに、また女性性を感じさせる短編を探す誰かにオススメ。
乳と卵 Amazon書評・レビュー: 乳と卵より
4163270108
No.230
(3pt)

文体と筆力は認めるが。

序盤しか読んでないが、思ったほど面白くもない。つかみが良くない。こんな薄い中編で、一気に読ませるだけの力量もないのか。ちょっと過大評価してた。
乳と卵(らん) (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 乳と卵(らん) (文春文庫)より
4167791013
No.229
(3pt)

文体と筆力は認めるが。

序盤しか読んでないが、思ったほど面白くもない。つかみが良くない。こんな薄い中編で、一気に読ませるだけの力量もないのか。ちょっと過大評価してた。
乳と卵 Amazon書評・レビュー: 乳と卵より
4163270108
No.228
(3pt)

微妙

再掲

図書館本

芥川賞(138回)。改行の無い文章が続く。状況描写は非常に繊細で上手に思う。女性の肉体的特性と心理的特性を書き綴っている。
個人的はあまり好きな文体でもないし物語性も無い様に思う。娯楽として楽しむ文学なのかなと。もちろん普通のヒトが持ち得ない才能を発揮されているのは間違いない。以前養老さんと茂木さんの講演会で奇抜な質問をしていた事を思い出した。哲学や心の問題にも大きな興味をお持ちの方のようだ。
乳と卵(らん) (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 乳と卵(らん) (文春文庫)より
4167791013
No.227
(3pt)

微妙

再掲

図書館本

芥川賞(138回)。改行の無い文章が続く。状況描写は非常に繊細で上手に思う。女性の肉体的特性と心理的特性を書き綴っている。
個人的はあまり好きな文体でもないし物語性も無い様に思う。娯楽として楽しむ文学なのかなと。もちろん普通のヒトが持ち得ない才能を発揮されているのは間違いない。以前養老さんと茂木さんの講演会で奇抜な質問をしていた事を思い出した。哲学や心の問題にも大きな興味をお持ちの方のようだ。
乳と卵 Amazon書評・レビュー: 乳と卵より
4163270108
No.226
(5pt)

完全に非凡な文章力

純文学好きは読まないとダメ 凄い文章力だと思う、話の内容よりも文章の詩的で自由律な部分に感嘆した 合う合わないじゃない、否定するか賞賛するかだと思う 表題作と短編が入っているが短編の方が如実にそれを感じた 今まで好きだった小説家が馬鹿にされたような気がしたくらいで、腹が立った それくらい素晴らしい感性の文章
乳と卵(らん) (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 乳と卵(らん) (文春文庫)より
4167791013
No.225
(5pt)

完全に非凡な文章力

純文学好きは読まないとダメ 凄い文章力だと思う、話の内容よりも文章の詩的で自由律な部分に感嘆した 合う合わないじゃない、否定するか賞賛するかだと思う 表題作と短編が入っているが短編の方が如実にそれを感じた 今まで好きだった小説家が馬鹿にされたような気がしたくらいで、腹が立った それくらい素晴らしい感性の文章
乳と卵 Amazon書評・レビュー: 乳と卵より
4163270108
No.224
(5pt)

おもしろかったです。

表現がとてもおもしろい小説でした。友人からのすすめで呼んでみました。
乳と卵(らん) (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 乳と卵(らん) (文春文庫)より
4167791013
No.223
(5pt)

おもしろかったです。

表現がとてもおもしろい小説でした。友人からのすすめで呼んでみました。
乳と卵 Amazon書評・レビュー: 乳と卵より
4163270108
No.222
(5pt)

文章の身体性を感じさせられる傑作

とても好きな小説のひとつです。
いろいろなレビューにも書かれているように、まどろっこしい長回しの文体にクセがあり、テーマとしても女性性というナイーブなものなので、身構えたくもなってしまいますが、、、そういったことは一旦置いておいて。
生き生きとした登場人物たちの描写/言動がいちいち笑えるし、長回しの文章も大阪弁の小気味良いリズムも相まって、するすると心地よい読書感覚に変わっていく瞬間があります。
文章の中身(テーマ)以上に、文章の身体(文体)という側面が前面化されていくのです。

人間(女性)の身体と文章の身体(文体)という
2つの「身体性」が巧妙に重ね合わせられている作品だということに気付かされ、作者の技巧には圧倒させられます。
「乳と卵」というタイトルにしても「父取らん」という別の意味が浮かび上がってきますよね。

言葉というものと向き合い尽くし作られた渾身の一作ではないかと思います。
乳と卵(らん) (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 乳と卵(らん) (文春文庫)より
4167791013
No.221
(5pt)

文章の身体性を感じさせられる傑作

とても好きな小説のひとつです。
いろいろなレビューにも書かれているように、まどろっこしい長回しの文体にクセがあり、テーマとしても女性性というナイーブなものなので、身構えたくもなってしまいますが、、、そういったことは一旦置いておいて。
生き生きとした登場人物たちの描写/言動がいちいち笑えるし、長回しの文章も大阪弁の小気味良いリズムも相まって、するすると心地よい読書感覚に変わっていく瞬間があります。
文章の中身(テーマ)以上に、文章の身体(文体)という側面が前面化されていくのです。

人間(女性)の身体と文章の身体(文体)という
2つの「身体性」が巧妙に重ね合わせられている作品だということに気付かされ、作者の技巧には圧倒させられます。
「乳と卵」というタイトルにしても「父取らん」という別の意味が浮かび上がってきますよね。

言葉というものと向き合い尽くし作られた渾身の一作ではないかと思います。
乳と卵 Amazon書評・レビュー: 乳と卵より
4163270108
No.220
(5pt)

大阪的なるもの

あっははは、何ともパラノチックな滑稽さがあっておもしろいです。
言葉を発することを拒否し、ノートに言葉を書くことで思いを伝える緑子という娘とホステスをしながらシングルでその子を育てる巻子。その母と娘が東京暮らしの妹のところに上京してくる夏の三日間の話だ。
どういうわけか巻子は豊胸願望がありその手術を考えている。言葉と身体、この三人の女たちは切羽詰まった状況にありながらどこか偏執狂的なところがあって否応なく過剰な感情が露出する。それ故にシリアスでありながらも滑稽さがつきまとう。
そのような状況を描いたこの作品で芥川賞を受賞し川上未映子の名を知らしめたのだが、とりわけ言葉と身体を軸にした描写がなんとも言えないおもしろさがある。それは本当に見事でありほど良いリズムさえ感じさせる。
冒頭、緑子はこのようにノートに書いている。

卵子というのは卵細胞って名前で呼ぶのが本当で、ならばなぜ子、という字がつくのか、
っていうのは、精子、という言葉にあわせて子、をつけているだけなのです。(p9)

などと図書室でいろいろ調べてはその度ごとにしらけきっている。
また、次のようにも書き記している。

クラスのだいたいに初潮、がきているらしいけど、今日はことばについて考えると初潮の初は初めてという意味でわかるけど、じゃあうしろのこの潮というのはなんで、と思いますに調べたら、初潮でははじめての月経、としか説明がなくてなんやごまかさされたような気分ですから、潮というのを調べたら、いろいろ意味がおおくて、書いてあることは月と太陽の引力のあれやこれやで海水が満ちたり引いたり、まあ動くこと、波、それのことで、いい時期、ともあって、んでわからんのがほかにはなぜか愛嬌、とかも書いてあって、愛嬌を調べたら、これにもいろいろあったけれど目にはいってきたのは、商店で客の気を引く、とか、好ましさ、を、感じさせる、とかがあり、なんでこれが、股んとこから血のはじめて出る、初潮と関係があるのかさっぱりわからんでなんとなくむかつく。(p16)

とくるから、本当にいい子だなあと感心するし笑えてくるのである。
一方、豊胸手術を決意させるほどの願望をもつ緑子の母巻子の並々ならぬ思いは強烈なのだ。それはそれは妹や娘も及ばない徹底ぶりである。

「いわゆるシリコン入れるのと、ヒアルロン酸注射して大きくするのと、それから自分の脂肪を抜いてそれ使って膨らますやつ、で、シリコン入れる方法がやっぱいっちゃん高いねんな、んでこれ、これみたいに」・・・(p35)

と捲し立てるようにいうのだ。
やれ男性精神だの男根主義だの、さらには化粧や儀式、文化や魔よけの知恵までもちだして胸を大きくしたい側とそれを冷ややかにみる側の論争(P40~44)もおもしろいのだが、一事が万事この三人のこだわりも相当なものでどこか共通するところがある。

巻子は湯に浸かってる間、風呂場を行き来する女々の体を舐めるように観察し、それは隣のわたしが気を遣うほど無遠慮に視線を打ち続けるので、ちょっと巻きちゃん、見すぎ、と思わず小声で注意するも、ああとかうんとかの生返事をして、その目は入ってくる体、出る体、泡にくるまれる体をじっくりとせわしなく追うのであった。(p51)

笑えてくるほどのこの巻子の体に対する執着がどこからやってくるのか定かではないが当然のことのように日常の混乱を招くことになる。
最後の場面、これまでの鬱憤を晴らすように捲し立てる描写、台所で二人して卵を自分の頭にぶつけて次々と割っていく過剰な感情表現はさすがに圧巻といっていい。

ああ、巻子も緑子もいま現在、言葉が足りん、ほいでこれをここで見ているわたしにも言葉が足りん、云えることが何もない、そして台所が暗い、そして生ゴミの臭いもするなどを思い、緑子の口の辺りの緊張した様子うぃ見ながらに、しかしこんなこと、なんかが阿保みたいだ、なんかがどうでもいいのだという気持ちがあって、わたしは台所の電気をぱちんとつければ蛍光灯が台所の隅々を浮かび上がらせ、巻子は真っ赤になった目を細め、一瞬まぶしそうな顔をしたが、緑子は自分の大股に手をぎゅっと押しつけたまま巻子の首のあたりをみつめ、突然に、お母さん、とすぐ隣に立っている巻子に向かって、大きな声を出した。(p97)

おしまいには二人してまた大阪に帰っていくのだが全体的には何となくさわやかな滑稽さに包まれている。それゆえにと云うべきか読後には不思議な爽快感もあり応援したくなってくるのである。
また、大阪弁で感情を露わにする描写などこの作品に大阪的なるものがあるとすれば、大阪って何だろうとも思えてくるからもしかして厚みのある傑出した小説ということなのかも・・・
乳と卵(らん) (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 乳と卵(らん) (文春文庫)より
4167791013
No.219
(5pt)

大阪的なるもの

あっははは、何ともパラノチックな滑稽さがあっておもしろいです。
言葉を発することを拒否し、ノートに言葉を書くことで思いを伝える緑子という娘とホステスをしながらシングルでその子を育てる巻子。その母と娘が東京暮らしの妹のところに上京してくる夏の三日間の話だ。
どういうわけか巻子は豊胸願望がありその手術を考えている。言葉と身体、この三人の女たちは切羽詰まった状況にありながらどこか偏執狂的なところがあって否応なく過剰な感情が露出する。それ故にシリアスでありながらも滑稽さがつきまとう。
そのような状況を描いたこの作品で芥川賞を受賞し川上未映子の名を知らしめたのだが、とりわけ言葉と身体を軸にした描写がなんとも言えないおもしろさがある。それは本当に見事でありほど良いリズムさえ感じさせる。
冒頭、緑子はこのようにノートに書いている。

卵子というのは卵細胞って名前で呼ぶのが本当で、ならばなぜ子、という字がつくのか、
っていうのは、精子、という言葉にあわせて子、をつけているだけなのです。(p9)

などと図書室でいろいろ調べてはその度ごとにしらけきっている。
また、次のようにも書き記している。

クラスのだいたいに初潮、がきているらしいけど、今日はことばについて考えると初潮の初は初めてという意味でわかるけど、じゃあうしろのこの潮というのはなんで、と思いますに調べたら、初潮でははじめての月経、としか説明がなくてなんやごまかさされたような気分ですから、潮というのを調べたら、いろいろ意味がおおくて、書いてあることは月と太陽の引力のあれやこれやで海水が満ちたり引いたり、まあ動くこと、波、それのことで、いい時期、ともあって、んでわからんのがほかにはなぜか愛嬌、とかも書いてあって、愛嬌を調べたら、これにもいろいろあったけれど目にはいってきたのは、商店で客の気を引く、とか、好ましさ、を、感じさせる、とかがあり、なんでこれが、股んとこから血のはじめて出る、初潮と関係があるのかさっぱりわからんでなんとなくむかつく。(p16)

とくるから、本当にいい子だなあと感心するし笑えてくるのである。
一方、豊胸手術を決意させるほどの願望をもつ緑子の母巻子の並々ならぬ思いは強烈なのだ。それはそれは妹や娘も及ばない徹底ぶりである。

「いわゆるシリコン入れるのと、ヒアルロン酸注射して大きくするのと、それから自分の脂肪を抜いてそれ使って膨らますやつ、で、シリコン入れる方法がやっぱいっちゃん高いねんな、んでこれ、これみたいに」・・・(p35)

と捲し立てるようにいうのだ。
やれ男性精神だの男根主義だの、さらには化粧や儀式、文化や魔よけの知恵までもちだして胸を大きくしたい側とそれを冷ややかにみる側の論争(P40~44)もおもしろいのだが、一事が万事この三人のこだわりも相当なものでどこか共通するところがある。

巻子は湯に浸かってる間、風呂場を行き来する女々の体を舐めるように観察し、それは隣のわたしが気を遣うほど無遠慮に視線を打ち続けるので、ちょっと巻きちゃん、見すぎ、と思わず小声で注意するも、ああとかうんとかの生返事をして、その目は入ってくる体、出る体、泡にくるまれる体をじっくりとせわしなく追うのであった。(p51)

笑えてくるほどのこの巻子の体に対する執着がどこからやってくるのか定かではないが当然のことのように日常の混乱を招くことになる。
最後の場面、これまでの鬱憤を晴らすように捲し立てる描写、台所で二人して卵を自分の頭にぶつけて次々と割っていく過剰な感情表現はさすがに圧巻といっていい。

ああ、巻子も緑子もいま現在、言葉が足りん、ほいでこれをここで見ているわたしにも言葉が足りん、云えることが何もない、そして台所が暗い、そして生ゴミの臭いもするなどを思い、緑子の口の辺りの緊張した様子うぃ見ながらに、しかしこんなこと、なんかが阿保みたいだ、なんかがどうでもいいのだという気持ちがあって、わたしは台所の電気をぱちんとつければ蛍光灯が台所の隅々を浮かび上がらせ、巻子は真っ赤になった目を細め、一瞬まぶしそうな顔をしたが、緑子は自分の大股に手をぎゅっと押しつけたまま巻子の首のあたりをみつめ、突然に、お母さん、とすぐ隣に立っている巻子に向かって、大きな声を出した。(p97)

おしまいには二人してまた大阪に帰っていくのだが全体的には何となくさわやかな滑稽さに包まれている。それゆえにと云うべきか読後には不思議な爽快感もあり応援したくなってくるのである。
また、大阪弁で感情を露わにする描写などこの作品に大阪的なるものがあるとすれば、大阪って何だろうとも思えてくるからもしかして厚みのある傑出した小説ということなのかも・・・
乳と卵 Amazon書評・レビュー: 乳と卵より
4163270108