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骨を弔う
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骨を弔うの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.43pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全15件 1~15 1/1ページ
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プチ・ホラーなミステリ小説を。 小学生のころに5人でやった行い。 とあるきっかけで30年前のあの時をたどってみることに。 5人はそれぞれに悩みを持ちつつ、それぞれの道を歩んでいた。 ”過去の出来事が今に作用し何かを変えるのかも”という。 それはもしかして、”希望”なのか。 | ||||
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最後の第六章の話の展開が、胸にぐっと来るものがあって、目頭が熱くなりました。 実はこの最終章で、話の序盤で仕掛けられていた種(たね)が開花し、そのポイントをスルーしていた読み手は「えっ! そうだったんだ!」と驚くことになってます。ですが、幸運にも(不運にも?)、わたしはその種に気づいてしまった。でもっ! 著者・宇佐美まことが話に潜ませたこの仕掛けは、わたしには心地よいものでした。「いつ、あのサプライズが発動するかな」とでもいった、何か倒叙ミステリでも読んでいくみたいなわくわく感がありましたね。 囚われた現在にもがくなか、小学生時代に起きたある出来事の謎を解きほぐしていく登場人物たち。そのなかでも、本多豊(ほんだ ゆたか)とその父親との、ぎくしゃくした関係が変わっていく辺りの話に、特に妙味を感じました。 本文庫の巻末の「解説」は、今から二ヶ月前の2023年1月19日に永眠された北上次郎氏。 この解説の最後で北上さんがおすすめされている宇佐美まことの二作のうち、未読の『愚者の毒』が気になるなあ。これは、読まなあかんな。ちなみに、もう一冊の宇佐美まことおすすめ本は、『展望塔のラプンツェル』。これは面白かったな。 うん。解説の最初の一行で北上さんの言うてるとおり、《宇佐美まことは面白い。》p.391 | ||||
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昔小学生の頃、一人の女の子がいけ好かない理科の教師を困らせるために骨格標本を 山に埋める。これを行ったのは本人の真美子とあと男の3人と女の子1人の合計5人。 そして30年後、川が氾濫しその標本が姿を現す。だが、そのグループの1人である豊は 考える、おかしい、自分たちが埋めた場所はもっと山奥でこの標本が出てきた場所では ないと。ひょっとすると自分たちが埋めたのは標本ではなくて本物ではないのか。 彼は今はバラバラに暮らしている仲間たちに声をかけて真相を探ろうとする。仲間たちは それぞれ40歳の中年男女となって人生の辛酸を舐めているものもいる。彼らは自分たちが 埋めたものは何かという真実探しの旅に出る。この設定と、登場人物たちが中年になって 人生の辛さから抜けられない焦りをそれぞれの視点から描くという発想が巧い。 そして真実らしきものにたどり着くが、真美子はもう白血病で死んだということを知って しまう。だが、この作品の面白さはこれからだ。最後の数ページは、温かくておもい切り おしゃれだ。希望を感じながら終わるエンディングは何とも言えない。宇佐美まことの筆力を 見せつけられた気分だ。 | ||||
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結論から言うととてもよかったです。意外と酷評が多いのにびっくりしました。力作だと思います。 作者の作品は、「入らずの森」「虹色の童話」「死はすぐそこの影の中」と読んできました。どれも人間の心の闇を描いたイヤミス、そして地方を舞台にしたどこか横溝正史的なホラー・ミステリでした。 作者の作品は暗いと思い込んでいたので、この「骨を弔う」をラストまで読んでびっくり。まさかこんなに明るいなんて。恐怖と闇で怖がらせるだけでなく、深い内容、そして人間に対する信頼感に満ちていて、作品のスケールが一回り大きくなりました。見事に脱皮したという印象です。 地元の名士たちが理科の授業参観に来る直前に骨格標本を盗み出し、傲慢な教師に恥をかかせてやろうとした小学生5人組。そのうちの1人豊は、30年後になって増水で崩れた河川敷から骨格標本がみつかったという新聞記事をみつけ、怪訝な思いにかられます。自分たちが盗んだものは山の中に埋めたはず。まさか埋められた骨格標本が2つあったはずはない。では自分たちが埋めたものはいったい何だったのか?まさか本物の骨では・・? ずっと独身で職も転々とし1人暮らしの豊。人もうらやむ議員の妻だが、実態は夫に暴力を振るわれ、義父母にもお飾りとしか思われていない京香。引っ越し後、白血病にかかり過酷な闘病をした真美子。東北で結婚し妻の実家を継いで民宿を経営、幸せに暮らしていたのに、家も家族もみんな津波で奪われてしまった正一。東京で恋人と暮らして広告代理店に勤め華やかな生活を送っているのに、何かが足りないと感じる哲平。 彼らが30年前の出来事を思い起こし、本当に起きたことは何だったのかを探り始めます。それは人生に惑う彼ら自身の自分探しでもありました。 それぞれの事情や心情は現実感に満ちて、1人の身の上話だけでも1本の小説になりそうです。どの人物にも共感できる部分があって話に引き込まれました。 途中から明らかになってくる真実は凄惨です。真相は途中でなんとなくわかってしまいますが、人間ドラマの占める比重が大きいのでそのあたりはあまり気になりませんでした。今までの作品と違って、非現実的なホラー(ほめ言葉でもありますが)の要素はありません。すべて足が地についた現実の物語です。 意表をつくラストと意外な人物の登場にはびっくりしました。あの陰鬱な作風だった宇佐美まこと氏がこんなウィットに富んだ”遊び”をするとは。この部分は賛否両論あるようですが、作者の茶目っ気を感じて思わず笑みが出てしまいました。 希望に満ちた終わり方で後味はとてもいいです。作者の言葉通り「この世界はまだまだ捨てたものじゃない」という実感がこみあげてきました。 | ||||
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ストーリーの展開がとても魅力的で一気に引き込まれました。 主人公が一人設定されているのではなく、登場人物一人一人の人生、細やかな心情や外からは窺い知れない深い部分が丁寧に描かれている群像劇。 一見、普通の中高年に見える登場人物たちが一人一人様々な苦しみや葛藤、迷いやトラウマを抱えつつもがきながら一生懸命生きている姿に、知らず知らずのうちに共感し胸が熱くなりました。 四国の田舎の狭い地域に限定された濃密なドロドロした人間関係と子供達のとある冒険の関係が次第に明らかになり、大人になった子供達の人生に大きく関わって変化させていく展開は一気読み! 人間の醜さや愚かさ、いやらしさ、支え合い助け合える人間の強さ、罪と罰と赦しなど、様々なテーマを内包しつつ、抜群のリーダビリティでグイグイ読ませます。 最後の最後まで驚きの展開が用意されていて、思わずニヤリ!最後まで楽しめたし、希望を感じる結末に読後感も良かったです。 しかし残念なのは、午後のメロドラマというか、火曜サスペンス劇場?的なあまりにも古くさい男女のからみのシーンの多さ……。あれさえなければ、またはもっとすっきりとクールな描写であれば、他の人にも薦めたいのですが、特に若い子に薦める気がしません、、、。 せっかくのストーリーを台無しにしちゃってると思うんです…。そこがとても残念。 魅力的な謎があり、一見田舎なのにそこに深いドラマもある、一人一人の登場人物の成長物語にもなってるのだから、クリスティの作品のように普遍的な作品にもなりえるのになぁ、もったいない…。(勝手な感想、すみません) | ||||
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少年時代に、山のなかに骨格標本を埋めに行った、と思っていたら、実はあれは本物の人間の骨だったのではないか、という疑問が生じて、仲間たちに聞き取りにいく、という筋立てです。 殺人にかかわるミステリ部分と、その後の各人の人生を描いた部分と、二層構造になっています。 そして、その二層のどちらも、うーんとうならせてくれます。 特に、東日本大震災で家族を亡くしてしまう正一の体験は、わたしは涙なしで読めませんでした。 また、ミステリ部分になりますが、最後にわかる意外な事項にはまいりましたし、うれしかったです。 ミステリ好きの読者なら、読んで損のない本かと思います。 | ||||
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きれいな状態で届きました。 | ||||
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紀伊国屋書店員さんが選ぶ「キノベス2019」にランクインしていて手に取りました。ある小さな事件を機に、「小学生だった時にみんなでしたあること」の意味が解きほぐされていきます。そのさらに奥が、明かされていきます。登場人物それぞれが登場した後は、一気読みでした。物語に没入したい人、お勧めです。 | ||||
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新聞の書評で激賞されていたので読んでみました。期待以上の面白さでした。他のレビューで星1つとか3つとかつけてる人がいるのですが、ちょっと信じられないです。これが傑作でなくて、何が傑作なのでしょう。何より、プロットやストーリー展開には明らかな独創性があります。よくこんな話思いつくなと終始感心しきりでした。最後のオチも小さな工夫ではありますが、ミステリー好きならクスッと笑える仕掛けでしょう。私、この著者の作品は初めてなのですが、もともとサービス精神旺盛な作家なのだと思います。これ以外も是非読んでみたいです。けれど、著者の将来性を見込んで一つ大きな注文があります。それは、もっと文章力を磨いて欲しいということ。特に、文章が荒削りなことから派生する前半のモタモタ感は多くのレビューで指摘されている通り。話が広がる後半も、ストーリー自体の魅力で引っ張るとはいえ、文章力が十分に追いついてない印象です。もっと登場人物たちの内面や状況の描写が的確であれば、より感情移入出来たと思います。 | ||||
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一言で言うと「中盤までは今一つだけど、後半の展開~読後感は最高!」でした。 本書は「小学校時代、仲良し◎人組の間に何があったのか? 一体何をやらかしたのか?」系の話なのですが、この手の話は、いかに読者を「一体何があったの?????」と前のめりに引き込めるかどうかが勝負ですよね。 でも、本書はそこが薄い。 「まあ、誰かが誰かを殺したって話なんだろうけど、だからなに?」くらいにしか思えないと言いますか、興味がそそられる謎の提示がほとんど無いので、あまり先が気にならない。 正直、結末だけ読んで終わらせてしまおうかとすら思いました。 ですが、中盤以降の真相解明パートに入ってからの盛り上がりが凄い。 「誰かが誰かを殺したって話」には変わりないのですが、その動機や背景、主要人物の心情等の描写が素晴らしく、良い意味で重々しい展開にぐいぐいと引き込まれます。 更に、ラストの予期せぬどんでん返し。 最近多い「後味悪いどんでん返し」ではなく、重くるしい真相を一気に「爽やかな読後感」に転じさせるサプライズとでも言いますか。ちょっとホロッときちゃいましたよ。 まさか、こんな読後感で終えられるとは思いませんでしたホントに。 というわけで、星4.5あらため五つ星評価とさせていただきます。 | ||||
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幼馴染5人。小5の時リーダー格の真実子に引き摺られて実行した、イタズラ。40代の今、ある新聞記事からその真実に疑問を持った豊が、哲平、京香、正一の今を訪ねる。 ミステリー部分は、早い段階からある程度全体像が見えてきて、意外性という意味ではどうか?という感じですが、登場人物の人生の描かれ方、関わり方が深く、人を描くのが上手い作家さんだなーと。 「この世界は、まだまだ捨てたものじゃない。」 じんわりと感動を呼ぶ、秀作でした。 | ||||
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真実子、京香、豊、哲平、正一、幼馴染の5人が小学校5年生の時に 山中に埋めた骨格標本の真相が数十年の時を経て明らかになります。 随所に張り巡らされた伏線が終盤に近付くに連れ、5人それぞれの過去の出来事と深く絡み合いながら どんどん回収されて行く様には気持ち良ささえ感じました。 人の持つ「喜怒哀楽」の感情が全て物語に反映されていて 時に腹立たしく、時に切なく最後の1行まで感情が揺り動かされました。 謎解きミステリーに人間ドラマ、そこに更にいくつかの驚きが加わり 極上のエンタメとして楽しめました。 オススメです。 | ||||
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ミステリとしては、割と早い段階で、(細かい事情や動機はともかく)こういう事件が起こったんだろうな、と想像がつきました。物語のキモは、登場人物達のそれぞれの人生かな、と思います。 小5の時に仲間5人で秘かに行った「悪戯」が、悪戯でなかったとしたら? 30年後に40歳となったメンバーの1人が疑問を持ち、残りのメンバーと関係者を訪ね歩きます。メンバーそれぞれのその後の人生と、「そういえば」と大人になって初めて思い当たる疑問点が語られ、真実が次第に明らかになっていきます。 小5くらいの女子で、精神的、知的に大人びた子なら、周囲の同級生を有無を言わさず従わせる(いじめとか悪い方向ではなく)、ということはあると思いますが、自作の詩は出来すぎではないかと感じましたが、それがラストのオチに繋がるとは意外でした。 | ||||
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プロモーションの動画を見て読みました。 幼いころの冒険を思い出し、それが大人になってふとしたことが蘇る疑問。 思い出と再会を繰り返しながらそれぞれの登場人物が自分に向き合う姿にも感動出来ます! 映画館で見る予告編のような宣伝動画も良かったです! | ||||
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発売前から話題になり、気になっていた作品。小学校時代の同級生たちがいたずらに興じるように山中に埋めた骨格標本。だが、それは本当に標本だったのかー。そのときに何が起きていたのかを、二十九年の時を経て、齢を重ねた彼らが探っていく。 フーダニット、ハウダニットの部分は、もちろん読みどころのひとつになっているが、この話の眼目は、かつての記憶を紐解くうちに、揺さぶられることになる今の彼らの生き様そのものだろう。 それぞれの人生航路のなかで、決して簡単に割り切ることのできない、悔いや後ろ暗い思いやなんやかやが、最終盤で、彼らを生かす推進力のようなものに繋がっていく様は、善悪の二項対立を越えた、人間の不可思議さを思わずにはいられない。 ラストの一行。これだけ読むと、いくぶん芝居がかったものにも思えてしまう言葉が、長い物語の果てに辿り着いた、血肉を伴ったものとして、読み手の心にダイレクトに響いてくる様は見事としか言いようがなかった。 | ||||
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