ラスト・コヨーテ
評判
ラスト・コヨーテの評価:
4.43/5点 レビュー 30件。 A ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全33件 1〜20 1/2ページ
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ラスト・コヨーテの評価:
4.43/5点 レビュー 30件。 A ランク
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ボッシュのかかえるトラウマ、つまり、自分のせいで母は殺されたのではないかという心の深淵にある意識の克服を、これまでの作品をとおして、まさに本作で決着をつける、といった趣を感じます。
本作が精神分析医カーメン・イノーホスとの面談場面から幕を開けることが象徴的に示しています。
第一作「ナイトホークス(原題Black Echo)」からすでに母親のことが触れられており、前作「ブラック・ハート」では、ボッシュがハリウッド署に左遷される原因となったドールメーカー事件に絡む民事裁判の中で、ボッシュの心の深淵に、ボッシュの母親が娼婦であったことを原因とする復讐心があるのではないかと指摘されるなど、今のボッシュという人間(不寛容さ、フラストレーションを昇華できず、腹を空かせて、悲しくて、同時に脅しつけるような何かがある最後のコヨーテのような存在)が形成される根底に、ボッシュの母親が殺害されたことが大きな影響を与えていることが触れられてきました。
そして、ついに本作において、ボッシュが自身のトラウマと正面から向き合うことになります。
「おれは、長い間自分が任務を抱えていると思っていた。ただ、おれは、それが何なのか知らなかった。あるいは、つまり・・・それを認めていなかったんだ。たぶんおれは怖かったんだ。おれはそれを避けていた。長い歳月。とにかく言わんとしているのは、おれがそれをようやく受け入れたということなんだ」
母親の死は、長い間価値のある人間と見なされていなかったがため、真剣に捜査されず闇に葬られたまま放置されていることを知りながらも、これまで向き合うことができなかったボッシュ。
そんな本作、ボッシュが自身の内面に向き合うカウンセリング場面が多く描写され、ゆったりとしたスタートを見せるものの、事件が動き出す中盤以降、グイグイと読ませるスリリングな展開もあり、前作同様、最後まで飽きさせません。
特に、母親に関するトラウマにあわせて、自身の行動から引き起こすことになる新たな事件の責任を感じ、その対価を支払う必要を感じるボッシュの気持ちがヒシヒシと伝わってくる展開には驚かされます。
思うに、マイクル・コナリーは、「ナイトホークス」執筆の段階で、本作にいたるまでを、ボッシュという人間が自身のトラウマを克服する物語を4部作構成でつくりあげるということを、すでに頭の中で作り上げていたのかもしれません。
コナリーは、本作でボッシュシリーズは一段落させ、ボッシュが登場しない「ザ・ポエット」を発表した後、再び一段間ステージがあがったボッシュシリーズをスタートさせます。
Amazon Primeのテレビドラマでボッシュを初めて知り、その後原作を読み始めたのですが、ドラマと違った原作の面白さにすっかりはまっています。
マイクル・コナリー作品には、エンタメ要素をバランスよく取り込みながらも文学的クオリティーの高さを持つ筆の巧さを感じます(レイモンド・チャンドラーに近いかもしれません)。
次のボッシュシリーズスタートの「トランクミュージック」では、ドラマではすでに結婚、離婚している、もとFBI捜査官エレノア・ウィッシュが再登場するようで、ボッシュクロニクル的にとても楽しみです。