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スパイたちの遺産
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スパイたちの遺産の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.63pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全19件 1~19 1/1ページ
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ル·カレの作品は昔に結構読んでいるので懐かしく読みました。相変わらずプロットの堅牢さとでも言うのか作者の思い入れが強く感じられる作品でした。くどさも相変わらずでした。楽しめました。スマイリー好きには必読ですね。「ティンカー·テイカー」の映画バージョンでは、カンバーバッチが演じていたピーター役は改めて適役だったと感じました。 | ||||
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「Secret Pilgrims」に続いて、またまたJohn le Carreを読んでしまった。不思議なことに、amazonでhard coverの方がpaper backよりも安い値段でoffer されていた。 この作品の評価は一筋縄ではいかないな。ネタバレになってしまうが、本書は通常のミステリーとは異なるので勘弁してほしい。 まず、この作品は、彼の「冷たい国から来たスパイ」や「スマイリー三部作」を読んでいないと、十分に味わうことが出来ないのだ。これらの作品の登場人物がかなり本作品にも登場するのだ。本書は「冷たい国から来たスパイ」での事件の前史を主に扱っており、さらには、その前作でもある「Call for the dead」の事件へも言及があり、スマイリー物への相当な習熱を前提とした、マニア向けの作品だ。 さらに、フランスのブリタニーに引退したpeter guillamが突然、MI6の本部に呼び出されるという設定で始まる本作品だが、どうも時代設定が明確にはされていない。本書の叙述によるとguillamは1940年生まれと想定され、引退しているということなので、おそらく2000年以降の設定と思われるが、2000年代なのか、それとも2010年代なのかが、不明だ。本書での時間の言及から想定するに、おそらく2010年代前半と思われるが、そうなるとsmileyは齢90代以降ということになるのだが。まー、smileyの年齢は、なかなか作品間での整合性がうまく取れていないのはマニアの間では周知の事実。 本書は、「冷たい国から来たスパイ」で死んでしまうleemas, liz,そしてその前史ともいうべき作戦で命を絶つことになるtulipというagent, これらの犠牲者の遺児たちが、冷戦崩壊後に公開された東独の保安部(stasi)のfileを基に、英国情報部に訴えを起こしたことに起因する。これは取扱いを誤ると、議会を巻き込んでの公聴会にまでつながりかねないため、mi6としては、その真相把握と政治スキャンダル化の回避のため、関係者の一人して、peter guillamがロンドンのmi6に呼び戻されることになる。 そこで、guillamは現在のmi6の担当者により、厳しい査問にさらされ、自身の過去と直面していくこととなる。ここで明らかになるのが、mi6での世代交代だ。もはや現在のmi6には、1989年前の冷戦時代の空気を知るものはおらず、情報戦の前提ともいうべき最低限のコンセンサスを書いた両者の会話は、かみ合うことはない。dead letter box, safehouseなどの冷戦時代の小道具や専門用語はいかにも時代遅れの古めかしい雰囲気しかもたらさないのだ。そこで明らかになるのが、当時と現代の間での情報機関を取り囲む雰囲気(climate of opinion)が決定的に異なっており、もはや現代のmi6には当時の時代のsympathetic understandingは無理なのだ。 guillamは査問以外の時間を利用して当時の関係者を探し回り、当時の自分が知らなかった背景を探り、とうとう引退後のsmileyをドイツの学術都市freiburgに探し出す。もともとsmileyはmi6に入る前は、バロック期のドイツ文学の研究者なのだ。 ここで話は大上段となり、smileyの独白となる。たしか、「Secret pilgrims」にもsmileyの独白の部分はあったと記憶しているが、本書でのこの独白の部分には触れないでおこう。直接読んだほうがいいだろう。ただこの独白で明かされるsmileyの最後の告別の言葉が実に陳腐なのだ。そして、今回の発端となった訴訟の帰結がどうなったかについては触れられることなく、本書は閉じられてしまう。 本書はguillamの告白という一人称で語られるため読みやすい。そして自身並びに過去の時代への旅という形式が本書の全体の雰囲気を支えている。しかし本書の締めくくりは唐突としか言いようがない。そういう意味では失敗作だ。これでもはやsmileyが登場する作品はもうないのだが、これがsmileyの最後の告白とすると、いかにも残念と言わざるを得ない。 | ||||
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キリスト教の最後の審判では、死後の永遠の住処を決めるため審判が行われるというものがある。審判の基準は、過去の行いを振り返って、人生をエゴイズムで生きたのか、それとも愛に生きたのか。 冒頭、退職した諜報部員、ピーター・ギラムがベットに入ると浮かぶのは、睡眠を妨げる(過去の所業を)非難の声。あの時は若すぎた、未熟だったと反論する自分。なんとも切ない境遇ではある。 折しも、かっての同僚のスパイの遺児が、情報部相手に訴訟を起こして、親の死の責任を問い、関係者聴取で主人公が尋問を受けるという設定。事件の調査というより、最後の審判のように、あの時は、エゴイズムではなかった、愛があったということを検証するストリーに私には思え、深く人間行動にふれてスリリングだ。 老境になったル・カレが、老境になったからこそ掲げることができた大きなテーマを主題として展開し、だから、ある部分、スマイリー3部作と呼ばれる著作のストーリーと重なりながら、違った視点で記述する形式にもなっている。 一方、多数の人の見方からの証言や文書から、多角的・多層的に真実が垣間見えるように進むので、時には錯綜して、独特の行きつつ戻りつつする表現もあり、そこが魅力的でもあるが、もう読むのを断念しようかと思うばかりにわかりにくい。 ただ、表現のおもしろさ(英語版も少し読んだが、表現は複雑なのだが、独特のリズムが心地よく、日本語訳者の苦労がわかる)を感じて、細部まで計算された情景配置のたくみさもあり魅力は大きい。本作は映画化されてないが、実は、私は物語に出てくる場所を探して、MAPやストリートビューで確かめながら読み進める方法をしていて、これで雰囲気倍増で、実に楽しい。 まず、主人公の住居は、フランス北西部のブルターニュ半島の、断崖と波打ち際に続く広い敷地の古い農家、ということなのだが、その風景が思い浮かばないとまったく味気ない。ル・カレの実際の住居は、ロンドンから南西500KMの美しい海岸線が続く、コーンウェル半島の切り立った海岸線の上の一軒家の旧農家。両方とも美しい場所だ。 「ベルリンのケーベニック、暖かい服を着て湖畔でピクニックスし」「物憂げなこの秋の夕方、バイウォーター・ストリート9番地の家」、「ハムステッド・ヒースの爽やかな秋の午後、ケンウッド・ハウス美術館の庭園のテーブルについて坐っている」。ヨーロッパの、そしてロンドンの落ち着いた味わい深い街並みが、たくさん出てきて、ストーリーと絡み合って美しい。多分欧米の一定の読者には、ああ、あそこの場所と、大体の風景が思い浮かぶのだろう。 そして、なんといっても本作のストーリーで印象的なのは、東ドイツからイギリスに逃亡する暗号名チューリップのドリス・ガンプ。結局、彼女の夢は潰えて悲劇的な最後を迎えるのだが、いろいろな大義のもとに犠牲にされる人間の象徴にも思える。知らないうち、いや知っていながら、スパイ達のこうした犠牲をいとわない姿勢は許されるものなのか。都合のいいエゴイズムでしかなかったのではないか。 上司だったスマイリーは、いままでの所業を問われて、「(目的は)ヨーロッパを闇の中から新しい理性の時代に導くことだ。その理想はまだ持っている」と、驚くことに高邁な理想を吐露する。 そして主人公には「愛」があったのだろうか。ル・カレが最後に、主人公に語らせた言葉は・・・。余韻を残して、私にとって心に残る一作となった。 | ||||
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ジョン ル カレ氏が亡くなりました。89歳という年齢は、一般的な理解では長い引退後の其れを想像しがちですが、本書が書かれたのは、彼が86歳の時ですから、「地下道の鳩」と共に現役の仕事を最期まで全うしようとする姿勢に感動してしまいます。この作品は、長くファンであった読者にとっては、ご褒美の様な一冊でしょう。欲を言えば、彼の机の引き出しの中に、もう1冊分の原稿が、なんてことはありませんかね。 | ||||
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寒い国、スマイリー三部作を斜め裏からギラムの視点でなぞって行く中で、そうだったんだ!と欠けたパズルを嵌めて行くような読書でした。 彼らの孤独と誠実さ、底に流れる人間愛の深い歓びと哀しみ。 ル・カレの描く登場人物達の愛情に左右される岐路、無私の誠実さゆえの孤独は美しく思えます。 | ||||
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評者は、昨年『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』、『スクールボーイ閣下』、『スマイリーと仲間たち』のスマイリー三部作を読んでみた。 中には何十年ぶりに読んだものもあったが、十分楽しませてもらった記憶である。 この三部作は、いずれもル・カレ40歳代の作品である。 本作『スパイたちの遺産』(2017年)は、驚くのだが、ル・カレの86歳の作品である。 訳者の加賀山卓郎氏は、あとがきの冒頭で「ガーデアン紙」の書評を引用していたが、評者も同じ思いで本書を読み終えたので下の・・・・・内にに転載したい。 ・・・・・ これを書き上げた創意工夫と技術には息をのむ。『寒い国から帰ってきたスパイ』以来、ル・カレがこれほど力強く、スリル満点にストーリーテリングの才能を発揮したことはなかった。 ・・・・・ 『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』の映画化を観たときのピーター・ギラムを演じたベネディクト・カンバーバッチの印象から、カンバーバッチが歳になった姿を想像することができず、この物語を読みながら主人公のギラムに感情移入することの邪魔をしたのが少し残念だった。 評者は、昨年『地下道の鳩―ジョン・ル・カレ回想録』を、ル・カレ最後の作品だと興味深く読んだのだが、なんとなんと86歳でこのように、かっての作品のなかから物語を紡ぎだして創作する才能の衰えを感じさせないル・カレに敬意を表しながら本書『スパイたちの遺産』を読み終えたのです。 | ||||
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昨日来た。 | ||||
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Very realistic but fictional story. The wake-up call for Peter Guillam. | ||||
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シリーズ3作目になりますが、登場人物がやや多く、人物像の把握に少し戸惑いますが(1,2作目を読み返してからの方が良いかも)、相変わらずのハードボイルド、期待を期待を裏切りませんでした。 | ||||
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前回のレビューで価格が高い旨記載したところ、不適切な内容との指摘があったが、一般的に高く感じたので正直に書いた. アマゾンの都合に合わせろとはどう云うことだ.前回のものを採用せぬ限り、レビューしろなどとのメールは寄越すな | ||||
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ルカレの出世作にしてスパイ小説の最高傑作「寒い国から帰って来たスパイ」、この作品は私にとっても以後ルカレ作品をすべて 読破することになる切っ掛けとなった名作である。そして、その後書かれた英国情報部とソ連情報部の死闘を描いた三部 作の第一作「ティンカー、テイラー、ソールジャー、スパイ」では英国情報部のトップに潜り込んだソ連のスパイによって英国情報部がずた ずたにされる様を描いた、これも映画化もされている名作だ。今回ルカレは半世紀を経て、「寒い国から帰って来たスパイ」 のプロローグに相当する部分を描くことで、英国側の作戦の犠牲となった二人の男女の子供たちが英国情報部を訴訟するというストーリーを展開する。お見事というしかない。ルカレファンにとっては、懐かしい名前が頻繁に出てくる幸せと、まだ老いた とはいえ、ルカレがこのような大掛かりなプロットですごい作品を書けることに大いなる驚きと嬉しさを感じる筈だ。 この作品の書かれた意味合いは、色々と解釈も出来ようが、ルカレ自身がそのような人生を経験し、今老境に達してスパイの 「悲しさ」と「大儀」を吐露することを一つの目的としてこの作品を記したのではないだろうか。ジョージ・スマイリーや コントローラーが指揮したと言われる「ウインドフォール作戦」での犠牲者たちは、亡くなった人間も含め子供たちもすべてやり場の ない怒りと悲しみに暮れる。その責任を追及されるスマイリーが最後に、珍しく興奮して自分の使命はは英国ではなく欧州を 闇の中から新しい理性の時代に導くことだ、と叫ぶ場面、今の時代に行き場を失い、過去の亡霊の責任を問われるスパイの 叫びは、きっとルカレの心からの言葉であるように思えて仕方ならない。 | ||||
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スマイリーシリーズを読んでいる以上、手にしないわけにはいきません。 最初の方は長ったらしいですが、十分、堪能できました。なおギラムくんのイメージは映画で刷り込まれています。 イギリスのスパイたちのヒューマニズムはスマイリーの告白で明らかになりますが、まあ、大英帝国の利益を超えてヨーロッパの普遍的利益ということでよろしいんじゃないですか。 ただ、わたくし。ル・カレの思想性、イデオロギーはそれはそれとして、特に評価するものではありません。 | ||||
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ル・カレファンにとっては必読ですが、「寒い国から帰ってきたスパイ」並びにスマイリー三部作を未読の方は、先にこれらを読んでから本編を読まれることをお薦めします。 | ||||
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大いに堪能しました。 初期の代表作「寒い国から帰ってきたスパイ」、 中期の代表作「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」と関連した話です。 面白くない訳がないでしょう! 欲を言えば、結末があっけないこと。 それにカーラの扱いでしょうか。スマイリーの誘いに乗らず、死を覚悟して祖国に戻ったカーラです。 自分から*を選ぶとは思えないのですが・・・ ル・カレがもう一作書くかもしれないと言っていますが、 書くとしたらスマイリーと亡命後のカーラの話が読みたいものです。 | ||||
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フランスの片田舎で余生を送っているP・ギラムに半世紀前の事件に関して英国情報部から呼び出しがかかる。 スマイリーの愛弟子のような存在であったP・ギラムの現在と当時の回想。 過去の事件が交錯するストーリーにル・カレの作品に登場した人物達の往時と現在が語られる。 引退し老いて尚、彼等から過去の出来事は払拭される事がない。 行方知れずのスマイリーを探し出した後に交わす二人の会話と追想がそれを示す様で感慨深い。 「寒い国から・・・」と「ティンカー・・・」3部作を読んでおくと一層この小説を堪能できる。 余談だがル・カレの処女作「死者にかかってきた電話」の作中ではP・ギラムは年配の諜報員だった。 スマイリーと同年代かそれより年上の・・・ 回顧録が出版されたのでもう小説は書かないのかと思っていたが、新作が出版されこんなに早く読めるとは ル・カレ、加賀山 卓朗氏、ハヤカワ書房に感謝。 | ||||
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おもしろいです。 ル・カレの読者無視というスタイルの読者サービスは健在。 あぁ、『寒い国から…』のあそこと、『ティンカー・テイラー…』のあの人がこう繋がってああなって…と「数独」の升目が埋まっていくような楽しさを味わえます。 ・・・だが、しかーし。 我らがギラムが、あのピーター・ギラムが南仏の悠々自適の農場主だって?! 『ティンカー・テイラー』の11章冒頭のギラムのキャラとどう整合性をつけるの? …いや、いいのよ。おもしろいから。 | ||||
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最高。これを映画化せずに何を映画にするのか、というぐらい。 余談。映画ティンカー・テイラーの配役とは異なりますが、スマイリーのイメージがどうしてもコリン・ファースに重なるなあ。是非一度コリン・ファースのスマイリーが見てみたい。 | ||||
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面白かったです。当然のこととして「寒い国」と「ティンカー (菊地光訳)」をまず読んでおくべき。加賀山さんの訳は良いですね。 | ||||
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日本語でも、こんなすぐに出たのですね。「寒い国から」と「ティンカーテイラー・・」の頃の黄金期とその後を、楽しく読みました。ルカレは「本はこれが最後」と宣言していますが、さて、どうでしょう。 | ||||
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