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緋色の迷宮
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緋色の迷宮の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.90pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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トマス・H・クックが、“家族”をテーマに’05年に発表した作品。’06年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第6位、「IN・POCKET 2006年文庫翻訳ミステリー・ベスト10」総合第9位、「このミステリーがすごい!」海外編第12位。 穏やかな生活に満足していた中年の男の、“自分がつくった家族”と“自分をつくった家族” 両方の世界が、ある事件をきっかけに崩れてゆく物語である。 ある日、近所に住む8才の少女が行方不明となり、前夜、ベビーシッターをつとめたエリックの15才の息子キースに疑いがかかる。わが子を信用したいエリックだが、一向に打ち解けず、真実を語ろうとしない息子の姿に苛立ちをつのらせてゆく。次第にエリックは疑心暗鬼に陥る。その不信感は、息子に対してだけにとどまらず、妻に対しても、兄に対しても、父に対しても、そして今はこの世にいない母や妹に対しても。自分自身の人生のすべてが根底から揺さぶられてゆく。 「自分には何がわかり、何はわかっていないのか。しかし、恐ろしい疑惑は煙か霧みたいなものでできているらしく、それを避けることもそれに立ち向かうこともできなかった。」 物語は悲劇的な結末を迎えるのだが、ミステリーは文学たりえるか、という問いかけに答えを出せるのは、クックのこの作品を措いてほかにはないだろう。 それにしても、クックの小説は、ストーリーが深く静かに、あくまでも穏やかな筆致で進んでゆくにもかかわらず、いつも魅せられたように引き込まれ、なぜか一気に読み込んでしまう。 | ||||
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トマス・H・クックが、“家族”をテーマに’05年に発表した作品。’06年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第6位、「IN・POCKET 2006年文庫翻訳ミステリー・ベスト10」総合第9位、「このミステリーがすごい!」海外編第12位。 穏やかな生活に満足していた中年の男の、“自分がつくった家族”と“自分をつくった家族” 両方の世界が、ある事件をきっかけに崩れてゆく物語である。 ある日、近所に住む8才の少女が行方不明となり、前夜、ベビーシッターをつとめたエリックの15才の息子キースに疑いがかかる。わが子を信用したいエリックだが、一向に打ち解けず、真実を語ろうとしない息子の姿に苛立ちをつのらせてゆく。次第にエリックは疑心暗鬼に陥る。その不信感は、息子に対してだけにとどまらず、妻に対しても、兄に対しても、父に対しても、そして今はこの世にいない母や妹に対しても。自分自身の人生のすべてが根底から揺さぶられてゆく。 「自分には何がわかり、何はわかっていないのか。しかし、恐ろしい疑惑は煙か霧みたいなものでできているらしく、それを避けることもそれに立ち向かうこともできなかった。」 物語は悲劇的な結末を迎えるのだが、ミステリーは文学たりえるか、という問いかけに答えを出せるのは、クックのこの作品を措いてほかにはないだろう。 それにしても、クックの小説は、ストーリーが深く静かに、あくまでも穏やかな筆致で進んでゆくにもかかわらず、いつも魅せられたように引き込まれ、なぜか一気に読み込んでしまう。 | ||||
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クックの作品は、ミステリーとしての骨組みはあくまでも人を描くための道具であり、本当に伝えたいことは人の心なのだと感じます。 本作品についても他の作品と同様、ある出来事がひとつの家族のつながりと信頼、家族であることの確かさをあやうくしていきます。 家族はたまたまある運命により形成されており、とはいえその状態は血縁や契約により成立されている前提の元に、信頼や愛情、そして甘えや勘違いが常におきていると思います。 でも、他人であれば勘違いや甘えが許されない世界においても、家族であればそのまま生きていくことも可能です。 そんな穏やかな生活がある出来事によって、主人公にとっては信頼できず基盤として硬いものではなくなっていきます。 愛する人を信じればこそ、人生は豊かになっていくのにと、哀愁を感じる作品でした。 ただ、今回の主人公は家族がどう感じているか、どう思っているかを深く考えることなく、自分なりの表現と解釈が多いこともあり、また男性であり父親でもあるといった設定もあり、私にとっては共感性が低い作品であったことも確かです。 クックの全ての作品がそうであるように、はかない人の気持ちを寂しく感じる後味を残した作品でした。 | ||||
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クックの作品は、ミステリーとしての骨組みはあくまでも人を描くための道具であり、本当に伝えたいことは人の心なのだと感じます。 本作品についても他の作品と同様、ある出来事がひとつの家族のつながりと信頼、家族であることの確かさをあやうくしていきます。 家族はたまたまある運命により形成されており、とはいえその状態は血縁や契約により成立されている前提の元に、信頼や愛情、そして甘えや勘違いが常におきていると思います。 でも、他人であれば勘違いや甘えが許されない世界においても、家族であればそのまま生きていくことも可能です。 そんな穏やかな生活がある出来事によって、主人公にとっては信頼できず基盤として硬いものではなくなっていきます。 愛する人を信じればこそ、人生は豊かになっていくのにと、哀愁を感じる作品でした。 ただ、今回の主人公は家族がどう感じているか、どう思っているかを深く考えることなく、自分なりの表現と解釈が多いこともあり、また男性であり父親でもあるといった設定もあり、私にとっては共感性が低い作品であったことも確かです。 クックの全ての作品がそうであるように、はかない人の気持ちを寂しく感じる後味を残した作品でした。 | ||||
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