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忘れられた巨人
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忘れられた巨人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.88pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全139件 81~100 5/7ページ
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以前私は、作者を誤解していた。 映画の「Never let me go」だけを見て、なんだか恋愛ものを書く人なのだと。 それが数か月前、今度は「the remain of the day」をたまたま観賞し、印象がガラッと変わった。 興味が湧き、この最新作を読んでみようかと思っていたところで、ノーベル文学賞受賞のニュースを聞いた。 注文してから届く迄の間にNHKで、作者が2015年に来日講演した際の映像を流してくれた。 ほぼ同じ年齢。 どんな人物か興味深々で見たのだが、人間の「記憶」に関する考察を実に的確に語っていた。 文庫版が届くなり、すぐに読み始め、私としては慎重に数日かけて読んだ。 舞台設定からファンタジー小説のような印象を受けるが、本質はそこでは無い。 人は不条理の中に生き、時として失った方が良い記憶もある、ということだ。 主人公の老夫婦は過去の記憶を取り戻していくにつれ、むしろ苦悩に苛まれていく。 還暦も過ぎた今、この夫婦のありようが、私の胸に迫ってきた。 結末も、イシグロ氏らしくハッピーエンドではない。 しかし、それがまた読者の想像を掻き立てるのだ、と私は思う。 | ||||
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ただ言えるのはこの作品は単なるファンタジー小説ではないです。現代の人にも当てはまります。この手法は見事だと思います。 アーサー王とか竜とか出てくるけど敬遠せず読んでみたほうがいいです。特に私を離さないでを読んで気に入った人は、この作品の方が意味するものは深いと思います。 | ||||
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独特の雰囲気を持った文章で、一気に読了した。登場人物が多彩で、ファンタジーが膨らむ。 | ||||
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歴史や過去を覚えていることの功罪を考えさせてくれる作品。 特に戦争は被害者であり加害者になる側面がある。負の歴史をいかに克服するか問いかけられたと思う。 | ||||
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「日の名残り」、「わたしを離さないで」、「忘れられた巨人」の3作しか読んでいませんが、最新作である本作はもっとも単なるファンタジーと捉えられかねない描かれ方。いささか筋や設定にも無理があります。彼を初めて読む、象徴する作なら、まず、「わたしを離さないで」(never let me go)をおすすめします。翻訳も原文のニュアンスが出ていて、巧み。名訳です。「日の名残り」は、英国貴族につかえる執事の話で、英国の歴史のにおいがしてきます。 | ||||
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読みにくくて途中で断念しました。たぶん、自分に合っていないのでしょう。本には申し訳ないkれど。 | ||||
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昨年原書を読み不思議な世界に浸ったのですが、結末部分がわかりずらかったので、確認しようと本書を読んでみました。 「なぜ船頭が夫婦の人生を左右するほどの大きな役割を持っているのか。」「ベアトリスが島に渡った後、本当に船頭はアクセルのために戻ってくるのか。」 この二点を確かめたかったのですが、翻訳本でもやはりわからず仕舞い。やはり謎のままです。結局、謎は謎のままにしておこうと開き直ることにしました。これがこの作品なんだ。これがカズオ・イシグロなんだと。 翻訳の土屋氏は、これまでもほとんどのイシグロ作品翻訳を手掛けてきた最大の理解者のひとりです。本書でもその手腕を発揮して、イシグロワールドへ導いてくれました。しかし数か所理解に苦しむ訳も存在します。アクセルの住居の描写に「ベッドに並んで横たわり、屋根に当たる雨の音を聞いていた。」とありますが、はて、ふたりの住まいは丘の斜面に深い横穴を掘って住んでいたはず。屋根はあったのだろうかと原書で確かめると、’...listening to the rain beating agaist their shelter. ’とあります。shelter を屋根と誤訳したものと思われます。 さらにガウェイン卿と兵士が決闘を始めようという場面。決闘を思いとどまるよう説得するベアトリスに向かって兵士は言う。「ですがおれはいまはおセンチになっているときじゃないんで。」おセンチ…?今時、こんな言葉使うでしょうか。ちなみに原書ではこう書かれています。’But this is no time for me to soften my heart with such thoughts.' soften をおセンチと訳して良いものだろうか。ましてや決闘が始まろうというこの時に。翻訳に関して疑問の残るか所でした。 ちなみに原書はそう難しいものではなく、高校レベルの英語力があれば、読むことができます。だたし本来あるべき関係代名詞が欠落している文がそこかしこ点在します。あるインタビューによると、これはイシグロ氏が意識的に書いたとのこと。そうした不思議な英文を探しながら不思議な世界に迷い込むのも、楽しいかもしれません。 | ||||
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竜の息のせいで記憶をとどめておけない世界のお話。 竜の息で記憶を失ってしまうことが、幸せな思い出をとどめておけないと初めはネガティブなこととして描かれるが、実際は過去の諍いの記憶など対立の原因になる憎しみを忘れさせ結果として平和が保たれているということに気づかされる。 話自体はファンタジーの形式をとっているが、本質的には過去数年、連鎖的に起こる革命や過激派のテロの原因を暗示させるように感じました。 インターネットの発達によって、宗教対立やお互いに対する不寛容さが瞬間的に世界中に広がることで、以前は「知る」ことがなかった人までその影響を受けることになり、対立や憎しみがあっというまに増幅されていく現代社会。これまでは、気づかない、知らない、ことが世界のバランスを取っていたけど、インターネットというイノベーションによって「竜の息」が取り去られてしまった今の世界、これからどうなるのかといろいろ考えさせれました。 | ||||
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一見ドラゴンや魔法などが出てくるファンタジーな世界観ですが、深いメッセージ性のある作品でした。読み終えたあと、本当の平和って何なのだろうかと考えさせられました。 あと、アーサー王物語が好きな人は是非読んでください!ガウェイン卿がまた切なくて、カッコイイ!オススメです^ ^ | ||||
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Take me to the another world... カズオイシグロの本を読むたびにそう感じるけれど、今回ほどそれを強く感じたことはなかった。 「忘れられた巨人」は10年ぶりのカズオイシグロの長編小説だ。 発売されてすぐ買ったのに、1年半も寝かしてた。だって持ち歩きにくいんだもん(笑) カズオイシグロという作家はそっと読者を物語のなかに誘うストーリーテラー。一つの薄暗い部屋に入ると奥のドアが開いていて、その光に導かれて次の部屋に入る、次の部屋にもまた開いたドアがある、そんな風に物語は進んでいく。 たくさんのメタファー、たくさんの謎に包まれて、何かが分かり、分からないままどんどん物語が私を運んで行く。 たくさんの出来事が起きるのに、語り尽くされることなく、しかし確かな何かを受け取って私は最後まで読み進む。 あとちょっとで最後ってところで自宅の駅に着いたけど、どうしても読まずにいられなくて、駅の改札を出て立ったまま読了した(笑) 私はカズオイシグロのような作家と同時代を生きて、死ぬまで彼の作品を読むことができて幸せだと心底思う。 まだ初期の作品で読んでない物があるから、悔いの残らないように死ぬまでに全部読まねばならないと強く感じた秋の夜であった。 | ||||
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6世紀ごろ、アーサー王の頃のお話っていうだけで、相当しんどくなるけど、読み進めるにつれ、やはり、なかなかつらいものがある。とはいっても、読んでしまう。で、最後の最後に、これってどう考える?って、最後のセンテンスに読者が試される!って感じになっている。 途中で投げ出さずに我慢強く読み続けてきた者だけが到達できる究極のラスト・シーン! | ||||
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カズオ・イシグロの10年振りの長編は、記憶と忘却をテーマにしている。例えば「東京物語」の老夫婦が家族の思い出を語り合うように、そもそも誰かが何かを憶えていなければ物語は始まらないのだが、アクセルとベアトリスは大事なことを忘れてしまっている。自分たちの息子がどこにいるのかも覚束ない。 大事なことを忘れているところからスタートする。この設定をクリアするために、筆者は「私を離さないで」に続いてファンタジーの採用に踏み切ったのだろう。「人の心には竜が棲んでいる」といえば隠喩にすぎないが、竜を物語の中に登場させればそれも隠喩なのだけどファンタジーになる。そのファンタジーが違和感なく受け止められるための仕掛け、それがアーサー王伝説だろうか。 ゲルマン系サクソン人がケルト系ブリトン人の土地に侵攻していた時代、侵略者に颯爽と立ち向かったのがアーサー王である。しかしローマ人がブリタニアを放棄した後のことでもあり、残念ながら史書にその記録は残されていない。アーサーはそもそも敗者の側であり忘れられていたのに、後世思い出されて英雄になった。それはキリスト教化していたブリトン人と未改宗のサクソン人という構図、つまり宗教戦争の英雄と位置づけられたからだ。歴史は時に勝者に都合の良いことのみを語り平然としているが、神話であればなおさら恥じる必要はない。アーサーだけでなく当時の西欧各地のローマ側の将軍たちは数に勝るゲルマン人を何度となく包囲殲滅しているが、やがて防御網を分断され敗れていった。ブリトン人もそうだったのだとすると、そこにどのような感情があったのか、神話に書かれていないけれども想像することはできる。 こうして、「記憶と忘却」「神話の中の宗教戦争」「民族間の憎悪」という道具立てが整った。ボスニア・ヘルツェゴビナの惨事を記憶に留めようとするのであれば、現地を取材してドキュメンタリーとして書き上げることもできたはず。しかしそれでは彼の壮大な想像力は現実の凄惨さの前に色あせてしまうかもしれない。彼が想像力を駆使する舞台に選んだのは、イギリスの古い血塗られた記憶、アーサー王の時代だった。 そもそも、人間は都合の悪いことを忘れたり、政治的な必要性から記憶を留めようとしたりする動物である。日本人は被爆の記憶を留めようと原爆記念公園を作り、そこに70年の間に記憶の薄れた敵方の大統領が訪問したと喜ぶが、一方で慰安婦像をソウルに建てて忘れまいとする人々には眉を顰める。竜の息は過去を正当化する悪なのか、人々が平和に暮らすための正義なのか。正義と悪だけでなく記憶と忘却も相対化してしまったところに、私は筆者の思考力の凄さを感じた。 | ||||
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おとぎ話を舞台設定にして、民族の対立や家族愛を物語っています。 個人的に、児童文学はレベルの高いジャンルだと考えているもので、「これこそ子どもたちに積極的に読んでほしい」と声を大にして言いたい。 竜をほろぼし、記憶を取り戻すことで、「わすれられた巨人」である人々の憎しみも動き出す……。 暴力の未来を予感させながらも、「ブリテン人を憎む」ことを約束した少年はブリテン人の老夫婦と友人だったことは忘れないと誓う。この不幸の予感の中に一点の光明の描き方もすばらしい。 小学校高学年あたりから、読ませてみてはいかがでしょう? | ||||
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この著者の作品は初めて読みました。 多忙な中、時間を捻出して細切れに読んでいきましたが、かえってそれが物語のテンポに合ったようです。 登場人物の会話や行動が本を閉じている時間によく思い出されて、背景や意味するところ、言い回しや雰囲気等を味わいながら、物語の展開を楽しみに読み進みました。 とはいえ、この作品から受けとるものが多く、また、大きな余韻が残る終わり方だったので、たった1回読んだだけでは咀嚼しきれず、とても満足できたものではありせんでした。 年齢や人生経験によって、受けとったものへの解釈や思いがきっと変わるんだろうな…。 というわけで、何年経っても飽きずに何度でも読み返していく予感がしています。 それもこれもファンタジー形式でかなり昔の時代のこととして書かれているからだと思います。 | ||||
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色々な事を考えさせられます。 現代顕在化している、介護、痴呆、愛の形、家族、民族間紛争、言われなき差別などなどの問題をストレイトに小説にするのではなく、アーサー王時代の英国を舞台にしたファンタジーという形で著したカズオ・イシグロにただただ感心です。 上記の問題を身近に感じている人や当事者には胸に迫るものがあります。 翻訳も抜群に良くてスラスラ読めます。 | ||||
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霧に覆われたイングランド、記憶に霧がかかったような人たち、伝説のドラゴンと騎士、老夫婦の旅の仲間や旅の目的を邪魔する次々と現れる試練、秘められた過去・・・。 当時のイングランド人のサクソン人に対する気持ちなどは解かりようはないのだが、老夫婦の愛情、民族同士の軋轢やドラゴンに対する恐れ、騎士の使命感などイングランド人の心の深いところを掴むような内容が評価されたことを伺わせる。 入れ替わり立ち替わりする登場人物の長いモノローグで構成される、霧の中でそこだけスポットライトが当たる舞台演出のように思える。ドラゴンクエストの冒険譚でもあり、老夫婦の愛情物語でもある内容だが、数多くの戦闘のシーンがあるにも関わらず、見通しが効かず、静謐が支配する物語だ。 | ||||
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女性の視点からですが、いったいイシグロさんの奥様はこれを読んでどう思ったんだろう、とずっと考えながら読んでいました。騎士道やカトリック教会の闇など、イギリス古来の文化に触れながらも、根底には(読んでいてときどき恥ずかしくなるほど)えんえんと妻に対する愛が語られています。 イシグロさんも60歳になり、奥様と別々の「舟」で「向こう側の島」に行くことに恐怖を感じていたのでしょうか。最後の章では、胸が張り裂けそうになり号泣してしまいました。イシグロさん、来るべき日がきたら「向こう側の島」で家族と再会できるといいですね…。 こうもセンチメンタルな話を書くには、童話のような設定はぴったりだと思いました。 キリッとした本当に美しい英語を書く人。読める人は英語版がおすすめ。 | ||||
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アーサー王よりすこし後の、物語。 アクセルとベアトリスの老夫婦は、自分達の息子に会うために、 旅にでる。 竜の息のために、記憶は曖昧で、老夫婦は、 どうして息子がいなくなったのか、、、など、大事な事も思い出せない。 認知症なのかと思ったが、世の中のヒト全ての記憶が曖昧である。 二人の道行きには、鬼や、妖精、竜がでてきたり。 部族間の深刻な対立が暗示されたり。 鳥葬を暗示するような、狂った宗教感がでてきたり。 なかなか、順調には、息子の村にはたどり着かない。 作者自身は、本質的には、老夫婦のラブストーリーなんだ、、そうだが、 私には、”忘却する事”の大事さ、 他人への恨みつらみを、忘れる事の意義を示したかったようにみえてならない。 竜の息は、途切れなくてよかった、、、と思えた。 翻訳もよいのだろうけれど、 平易な文章であるが、 とても、”忘れるという事”について、考えさせられ、 繰り返し、戻り、帰り、読んだ。 他者を許すには、忘れる事も、過程として必要だろうと思った。 | ||||
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50〜60代くらいの人が昔使ってた若者言葉みたいなのが時々出てきて、小説の時代に合わない。ノリも軽い。内容と訳のテンポが一致しなくて途中で投げ出した | ||||
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この作品はある程度の「予備知識」が必要になっています。 そしてそれは「普通の日本人」にはまずないものでやはり イギリス(およびその周辺、もしくは嗜好者)向けの作品と言えるでしょう。 加えて情報の小出しや未出等も散見されるため物語にすんなりと入り込めません。 通常この手の作品は種明かしの段階でカタルシスを得られるのが醍醐味ですが、 本作品にはそういった楽しみは望むべくもない。 タイトルの意味も抽象的なものであり言葉通りの「巨人」でないことに肩透かしを食らいました。 テーマや作風も全体的に暗く日本人には受けが良くないでしょうね。 と言うかテーマが定まらない印象が強く読後感はスッキリしません。 結局オチも投げっぱなしな終わり方となっています。 例え暇でも読むことはお薦めしません。 ガッカリするだけでしょう。 | ||||
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