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忘れられた巨人



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【この小説が収録されている参考書籍】
忘れられた巨人
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)

忘れられた巨人の評価: 3.88/5点 レビュー 139件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.88pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全139件 21~40 2/7ページ
No.119:
(2pt)

物語は完結しない

読み終えても、結局、最後どうなったかがわかりません。
そういう終わり方が好きな方や、受け入れられる方は良いかもしれません。私はそういうのは受け入れられず、心の霧は残ったままです。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.118:
(3pt)

忘却の意味

題名で買ったので石黒さんとはしりませんでしたが、こんな本を書く人だったかな。
最後までどうしたいのか謎でしたが。イシグロさん日本人だということを
忘れたかったんでしょうね、最後の最後にそう思いました。アーサー王の時代とは違うような
気がしましたが真実を知る人はいませんしね。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.117:
(5pt)

よかった

オーディオブックで聞きました。
自分では読みきれないほどの本も
聞くことができてよかったです。朗読者は一人なのに
人物の声を見事に使い分けていて感心しました。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.116:
(4pt)

霧が晴れぬまま余韻を残して終わった作品

読後に余韻の残る秀作だと感じるが、その解釈は難しい。所々矛盾した場面もあるし、象徴的で、どうとでも捉えることのできる表現もある。霧に包まれたような作品である。クライマックスの終盤は、どのような結末を迎えるのか、最期の最期まで分からず、結局、読者の想像に委ねる終わり方であった。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.115:
(5pt)

There is the berried giant beyond in our imaginations , not in the book.

英語版を先に読んでから、図書館で日本語版を読んで、やはり原書とは物語のニュアンスが僅かに違いますね。ただ、作者のインタビューも見ましたが、結局過去の世界的悲劇を投影している、そして、見える巨人(列強国アメリカなど)とそれを生み出した根源(忘れられた巨人)は終わらない憎悪を本書で描いていると思います。つまり、各々のキャラクターを深く考えず、KAZUO ISHIGUROの投影したい全体像を意識して読めば、霧は晴れていくと思います。良作でした!
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4151200916
No.114:
(5pt)

記憶、忘却の意味

カズオ・イシグロの本にはそれぞれ大きなテーマが設定されている。今回は、記憶と忘却。
亡くなった人の思い出や、悲しい事件や戦争など。その記憶をいつまでも心にとどめることが、
反省や救いにつながるが、一方で、忘れることによって平和や調和がもたらされ、前に進めることもある。
この作品のモチーフは旧ユーゴスラビア紛争のようだが、読み進めるうちに、ナチスドイツによるホロコースト、日中関係、日韓関係、原爆、そして身の回りで起きた些細な事柄、恨む気持ち、許す気持ちなど、記憶にまつわるさまざまなテーマに思いを巡らせた。ファンタジックな物語に引き込みながら、深く重いテーマを読者に考えさせる技法はやはり秀逸だと感じた。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.113:
(5pt)

『忘れられた巨人』で、カズオ・イシグロは何を訴えたかったのか

寡作で知られ、一作ごとに新たな作風に果敢に挑戦することを自分に課しているカズオ・イシグロという作家は、文学界の修行僧を思わせる。『忘れられた巨人』(カズオ・イシグロ著、土屋政雄訳、ハヤカワepi文庫)では、ファンタジー的要素を存分に取り込んでいる。

5~6世紀に、ブリテン島(グレイト・ブリテン島)に住むケルト系のブリトン人を率いて、侵略してきたゲルマン系のサクソン人を撃退したとされる伝説上の人物・アーサー王の死後間もなくという時代に舞台が設定されている。

ブリトン人のアクセルとベアトリスという老夫婦は、記憶がもう一つ定かではないのだが、自分たちの下を去った息子に会うため、長年暮らした村を後にする。ブリトン人が後ろ盾としている雌竜・クエリグを殺すことを自分たちの王から命じられているサクソン人の勇敢な若い戦士・ウェスタン、悪鬼に噛まれた者はいずれ悪鬼になるという迷信から、ブリトン人たちに迫害され、ウェスタンに助け出されたサクソン人の少年・エドウィン、雌竜を守ることを自らの使命と考えている、アーサー王の甥の老騎士・ガウェイン卿、サクソン人と戦うため修道院に集う大勢のブリトン人修道僧たち、不思議な船頭、悪鬼、薄気味わるい妖精、人々の記憶を奪う息を吐き続ける雌竜などとの――その旅の途上における、さまざまな出会いが描かれていく。

繰り返される民族間の対立・抗争を終わらせるにはどうすればいいのか、自分の過去を知ることが幸せなのか、知らないままのほうが幸せなのか、相手の不倫も寛容に許すのが愛なのか――民族間の対立、記憶、愛について、君は真剣に考えたことがあるのかと、イシグロは問い掛けているのだろう。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.112:
(3pt)

テーマはともかく、読んでいてほとんど楽しめない小説。

私もカズオ・イシグロ氏が2017年のノーベル文学賞を受賞した日系英国人ということでその名前を知り読み始めた人間です。
カズオ・イシグロという作家はかなり寡作で、現時点での公式なアナウンスでは「長編小説7作品」と「短編集」ですから、彼の年齢を考えてもやはり相当に寡作でるのは事実でしょう。
この『忘れられた巨人』は完成するまでに10年かかったそうですが、その長い執筆期間は本作にとってあまりいい影響を与えてはいないようにも感じてしまいました。
私はこの小説を読みすすめるのが大変でしたし、おそらく多くの読者が似たような思いをしながら読んでいたのではないかと思います。
この小説は「寓話」や「神話」の形式をベースにして、スムーズでリズムのいい展開にはなっていません。
むしろ大仰で不自然な語り口と、かなり退屈なストーリーというのが正直なもので、難解な小説だといっていいでしょう。
ただ「文章」はむしろ平易ですが、非常にコンセプチャルな作品で、読む楽しみよりは作者の意図の表現という意味あいの方が圧倒的強いという難儀な作品です。

原題は『The Buried Giant』ですから「埋葬された巨人」が直訳になるでしょう。
本書の詳細までは書きませんが、大きなテーマは「記憶」で「人種間の問題」などは「大きな記憶」として、それぞれの個人的な人間関係における色々な出来事の記憶は「小さな記憶」としてあり、「大きな記憶」というのはなかなか消し去ることは難しくいつまでも深く残り続けるのに対して、「小さな記憶」というのはそれぞれの個人レベルでのことなので「ゆるし(許し・赦し)」というものは納得できればすぐにでもおこりえます。
イシグロ氏はこの二種類の「記憶」を対比することでこの作品のテーマにしているようです。

私もこうしたテーマについて読後に理解してからは「なるほど」とは思いましたが、それでもそうしたテーマと小説としての出来に大きな隔たりを感じてしかたがありません。
そういうテーマを読み取って考えることは大変重要なことだと理解は出来ますが、ほぼそのためだけに延々と綴られた
長い文章を何度見直しても、これは小説として重要な要素が完全に欠落しているのではないかという不満は解消されませんでした。
もちろんたかだか私ごときの感想ですからこれが正しいとは言えません。
本作の英語圏での一般評価が気になったので「amazon.com」で検索してみたところ、英語圏でも本作の評価は辛いものでした。
3.7★(1,049 customer reviews)です。
ちなみにamazon.comでのカズオ・イシグロ氏の最高評価作品は『日の名残り』で4.4★でした。
英語圏の読者にとっても「読みにくい作品」という感想は多かったので、これはことさら邦訳の問題だとは思えまん。
頁も終わりのほうになって色々なことが明らかになっていきますが、それらとの話上のつながりがとても悪いです。
とってつけたようなそれぞれのエピソード展開と結末が余計に読後感を削いでいるように思えてなりませんでした・・・。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.111:
(2pt)

忘れられた巨人

奇妙な霧に覆われた世界を、アクセルとベアトリスの老夫婦は遠い地で暮らす息子との再会を信じてさまよう。旅するふたりを待つものとは……。
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4151200916
No.110:
(5pt)

知る事が幸せか、知らないままの方が幸せか

最初は話が漠然としていてわかりづらいので、辛いかもしれませんが、あまり気にせず頑張って読んで見てください。
途中から話の筋が見えてきて一気に読み進めれると思います。
また、ファンタジーな話か勘違いされそうな内容ですが、全くそういう物ではなく、かなり人生に造詣が深い内容です。
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4151200916
No.109:
(1pt)

本当につまらない 空前のテンポの悪さと退屈

英語の物語だから、文章のニュアンスが馴染まないなどあるのかもしれないが、読み進めるのが苦痛なほどに文章のテンポが悪く、登場人物の発言や感情表現まで一向に興味がわかない。
こんなに本をゴミ箱に投げ捨てたくなったのが初めてでたまらずレビューを書いた。

読書量はある方だと思っているけど、こんなに本の悪口を言いたくなったのは史上初。
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4151200916
No.108:
(2pt)

途中で読むのを止めようかな、一旦、・・・・と読者に内省を促す小説

3分の1くらいのところでレビューを書くのは不適当なことは知りつつも、ここで他の作品に移行しますので・・・・感想みたいなものを書いておきます。

  物語が平坦で冗長、これから人類が考えるべき何か、あるいは、私たちが答えを持たなければならない主題が明文化されていくのでしょうが・・・・それを待つほどには、今は忍耐がないようです。わたしは、東野圭吾の小説のように物理学者の准教授、―――「俺って、何でも知っているでしょ?!」、―――が解決するような事件を待っているわけではありませんが・・・・。
これまで読んだ、彼の優れた作品『わたしを離さないで』『日の名残り 』 とは十分違う印象です。

  後で、復活(わたしが)―――たぶん―――しますので、その時に、この続きを書きます。とにかく思わず一旦休みたくなるような様式・内容の小説です、so far. 疲れました。
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4151200916
No.107:
(4pt)

霧の中を共に歩んでいくこと

忘却の霧によって封印されたブリテン人とサクソン人の遺恨に、ブレグジットで揺れる英国や民族同士の抗争を重ね、現代世界の問題をアレゴリー的に読み解くことはむろんできる。忘却が望ましいのか、記憶こそ重要なのかという答えの出ない問いを考えるきっかけにもなる。

しかしそれ以上に、忘却の霧のなかで何もかもが霞む中をもがきつつ、恐れながらも過去を取り戻そうとする思いに突き動かされ、ひたすら歩み続ける老夫婦の足取りが、悲劇的でありながらも静謐で、印象に残る。
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4151200916
No.106:
(4pt)

ドラゴンクエスト 83作目

竜や鬼や妖精が棲むまさにドラゴンクエストのような世界が舞台である。あるミッションを達成するために荒野を旅する。途中で様々な仲間がパーティに加わる。しかし主人公は勇者ではなく老夫婦だ。山を登ると息が切れる。すぐに風邪をひく。そしてこれがただのRPGで終わらないのは、美しく礼儀正しく万物に気を遣ったイシグロの文章と、記憶、争いといったテーマがあるから。前半はだるいけど中盤から一気にページが進みます。

はじめはどんよりとしているのですがだんだんとクリアになってくる。そして、美しく、礼儀正しく、隅々にまで気を遣ったイシグロ節も健在だ。
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4151200916
No.105:
(4pt)

イギリス中世が舞台の長編小説

描かれる情景が終始霧深く、物語自体も曖昧模糊としていて、読み取るのが少々難解。アーサー王伝説に詳しければもっと楽しめたかもしれない。舞台が舞台なので、表現がいささか装飾的。日本語としての表現に違和感を感じ、何度か挫折しそうになったが、ラストに辿り着くと物語の奥行に触れる事ができる。人間の記憶というものについて考えさせられた。再読したいと思う。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.104:
(5pt)

深い愛情にきゅんとする

アーサー王亡き後のイギリスが舞台。老夫婦の穏やかな愛と、途切れ途切れの記憶を読み解く物語。
正しく理解できれば、この上ないパッピーエンドで終わります。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.103:
(2pt)

どこまでも焦点の合わない小説

ファンタジー要素を盛り込んだ意欲作なんでしょうが…この手の物語は設定をしっかりしないとただ荒唐無稽に堕するものですが、この作品は残念ながらその類と思いました。
戦士、騎士、竜、鬼、小妖精…いずれも唐突で初めの頃はなにかの比喩表現かと思いましたが、言葉通りであると分かれば陳腐の感を禁じえません。
うんざりするほど繰り返されるトンチンカンな会話といい、そもそもの動機の曖昧であることといい、主人公たち二人の人物像はどこまでもぼんやりと、それこそ霧に包まれたような具合です。
忘却がテーマのこの小説、あるいは認知症の疑似体験と思えば、よく出来ているのかもしれない。こんなにも取り留めのない読後感はなかなかにありませんから。
ただ、これが“あのカズオ・イシグロ”の小説でなく、無名の新人のデビュー作だとしたら、どこまでの評価を獲られるのやら甚だ疑問に思います。
総じて好みではありませんが、忘却の霧の根源とされてしまった雌竜の、実は弱々しく、山査子のみを友として生き永らえる運命の悲哀はさすがに上手いと思いました。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.102:
(4pt)

英国人にとっては違う印象なのだろうなー

テーマが著者のライフワークと言っている「記憶」についての話。
さすがと思わせる文章力だが、物語が動き出すと「え!アーサー王」、
「え!竜と魔法」と、つい安手の騎士物語を連想してしまうアイテムが
どんどん出て来るので途中からちょっと引いてしまいました。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.101:
(3pt)

完全なる誤読

読んでる最中はハラハラしながらすごく引き込まれてあっという間に読み終えたのだけれど、終わってみれば霧の中、結局何が言いたかったんだ?と、呆然、立ち尽くす、そんな読後感。
鬼、霧、赤い髪の女、夢、蝋燭、黒後家、兎、船頭、島、雌竜、戦士、山査子、全てが記号?でも一体何の?
もう、置いてかれ過ぎて、考えてもわからないから、ネット上の色々な方の書評や考察、また、作者ご本人のインタビュー内容で答え合わせ。
結果、全っ然違うこと考えて読んでたわ、自分。何故だろう、冒頭から一つの仮説に囚われ過ぎて、結局、物語終盤までその疑念が拭えなかった。
その仮説というのも、実はこの物語に登場する人物全員、本当は「霧」になんて全然影響されてなくて、皆んな忘れたフリをしてるだけ。都合の悪いことを作為的に忘れ、自分自身も騙してるんじゃないかとか、そんなこと。
だって、皆んな忘れているようで本質的なことは忘れてないように見えたし、「霧」の影響がすごく限定的に思えたから。アクセルも、ベアトリスも、お互い、ずっと何かを隠しているみたいな風に思えたから。息子について語る二人の会話が妙に白々しく思えたから。そして極め付けは、船頭とアクセルとの会話の中で明かされる息子の死が、突然でありながら、静かでさりげな過ぎたから。(でも読み返してみると…”爺さんはおれの足音を聞いて 、夢から覚めたような顔で振り向く 。夕方の光を浴びた顔には 、もう疑り深さはなく 、代わりに深い悲しみがある 。目には小さな涙もある 。”と、ここで思い出したのかなと読みとれますね。)
ていうか、その仮説でいくと、雌竜クエリグのくだりから辻褄合わなくなってくるんだけどね。うむ。ウスウスは矛盾に気づいてはいたんだけどね、ホントは、ね…いやはや、解釈はむつかし。
ポストアーサー王の時代設定プラス、ファンタジー要素により、作者のメッセージが見えにくくて、他の方のレビュー見ても、評価が二分してる。物語にメッセージ性を強く求める人たちには不評みたいだけど、イシグロ氏はアクティビストではなく文学者。敢えてこの設定にする事で、物語に普遍性を持たせようとしたのかな。時代を経ても語り継がれるアーサー王の伝説みたいに。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.100:
(3pt)

話の展開は面白い

戦争の後の和解と忘却を一つのモチーフとして、6世紀の英国を舞台にした物語です。妖精や亡霊が出てくるのでファンタジー的要素も取り込んでいます。話の展開はなかなかおもしろいです。例えば敵を塔におびき寄せて皆殺しという場面もあります。また霧の正体をはじめいろいろな謎が終盤になって解けていくのも快いです。しかし、この作品を読んで何か得られるものがあったかというとそういうわけでもなく、別に読まなくても良かったと思いました。ユーゴスラビア紛争を連想したものの、戦争と和解のテーマは文学でカバーするにはあまりに深刻で難しいのかもしれないと思いました。
 翻訳は、おおむね丁寧に訳されていますが、ところどころ気になるところがありましたので3例だけ記載します。第3章81頁14行目に「長屋」とありますが、これは原文はlonghouseで、サクソン人を含むゲルマン人固有の建築です。「ロングハウス」として注をつけて写真または絵を入れるべきでしょう。また、第5章164頁12行目で、「わし自身も何年か前、落馬のけがから回復するとき、修道院の痛み止めには大変世話になった。」と訳されていますが、原文は “And I myself, recovering some years ago from a fall, found much comfort in their balms.”ですが、fall を落馬と訳したのは特定しすぎであり、「わし自身も何年か前倒れた時に、回復するとき、修道院の膏薬には大変世話になった。」と訳せばよいと思います。第8章277頁の12行目で「足取りを緩めたのは、一番険しい坂を上るときだけだ。」とあります。しかし、原文は “slowing only for the steepest slopes”とslopesが複数形になっています。従って、「足取りを緩めたのは、険しい坂を上るときだけだ。」の方が正確と思います。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916

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