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火車
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火車の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.95pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全532件 381~400 20/27ページ
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| 読む価値あり。10時間ぐらいで一気に読めました。 体調や環境を万全にして、できれば一日で読んでください。 間が開いてしまうと、どっちがどっちだかわからなくなると思います。 説明が長いという批判がありますが、そんな感じはしませんでした。 すべて理解に必要なものです。登場人物も多くありません。 ラストについては人によって好き嫌いが顕著に出るところだと思います。 個人的な感想としては、意外とあっさりと終局を迎えてしまい、 それまで徐々に高めてきた高揚感の始末に困る、といった読後感が残ってしまいました。 それを差し引いても読んでよかったと思えるすばらしい作品です。 ほんの厚さを見て二の足を踏んでいる方も居られると思いますが、 大丈夫です、勇気を持って第1ページを開いてみてください。 | ||||
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| 作者は社会的問題を犯罪に絡めて描き、現代社会への風刺を展開するというパターンを確立してから、飛躍的に作品の内容が向上した。本作品ではカード破産と"なりすまし"である。テーマ設定とストーリー展開は、多少の冗長さを我慢すれば良い出来と言える。 だが、私は作者が「良い人に見られたい」症候群に掛かっているのではないかと思うのである。本作にしても、「理由」にしても犯人が善人に描かれ過ぎている。本作でも作者は弁護士の口を借りて、犯人は弱い立場にあった(誰が客観的に判断するのだろう ?)ので止むを得ず犯罪に走った。悪いのは社会システムの方だという趣旨の事を述べている。この優しさが、作者が一般読者受けする要因になっていると思われるが、同時に危険思想である。それこそ一所懸命コツコツと働いている弱者に対する愚弄であろう。更に言うと、作者の作品に今一つインパクトが欠けるのは悪人が描けていないせいだと思う。 当時の社会状況なども書き込んであるので、後々参考になる作品かもしれない。善意の人の善意のストーリーがお好きな方にはお勧めの作品。 | ||||
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| この作品は十年以上前に書かれたものですが、ここで暴かれている事実は現代でもさほど変わっていません。ここでは主にクレジット破産を扱っていますが、現代でも消費者金融やヤミ金融で身を滅ぼす人は大勢いるからです。日本は平和な国だなと漠然と思っている人には是非読んでほしい小説です。頭に冷水を浴びせられた気分になります。 展開手法としては、主人公が被害者や容疑者の知り合いに接触してその人の情報を得ていくわけですが、これがなかなか面白かったです。二人が働いていた時期や職場によって周りの評価もそれぞれ異なっていて、そうした断片的な情報をパズルのように組み合わせることで彼らの実像が浮かび上がってきます。この手法は興味深かったです。しかし難を言えば、固有名詞が多くて頭の中で整理するのが大変でした。 ラストについては賛否が分かれるかと思いますが、独特の余韻が残っていて私は好きでした。そもそもこの作品は犯人を捕まえることよりも、被害者や容疑者の過去を通して現代社会の裏側を垣間見ることに重きが置かれています。ですからそれが読み取れれば最後のくだりもそれ程違和感がないと思います。 | ||||
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| クレジットカードや自己破産をテーマにした、サスペンス小説です。 宮部みゆきさんは、法律事務所に勤めていらっしゃったということですが、 そのときの知識が、本作を執筆する上で十分に発揮されたのだと思います。 ある人物が、ある人物を亡きものにして、入れ替わり、 別の人生を歩むことが、現代では可能であるほど個人というものが希薄になってしまったということを思った時に、空恐ろしさを感じました。 現代の人々が、見栄のために一戸建てを目指したり、 また、自分が人並みであると安心するために必要なアイテムを手にしようとするところから、 自己破産は起こるのだなと、ストーリーを追ううちに感じました。 つまり、そういったステータスを追い求める現代の人々は、滑稽だなと思いました。 本書は、社会風刺にも優れた、質の高い小説です。 | ||||
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| 幸せになりたかった。 この台詞が重くのしかかってくる。 この作品が出版されたにはバブル末期。日本中の若者が物欲に振り回され、己を見失っていた時代だった。 道徳観が欠落し、拝金主義がまかり通り、国民総ほりえもん状態の狂気のお祭り。それがバブルだったような気がする。 この時代に失ったものは多く、現代の世相を大きく変えたと思う。 祭りに乗り遅れないように!焦りが人を犯罪へと誘い、身の丈に合わない物欲が人格をも破壊しつくす。 この物語の世界は、まさにバブルの葬送曲になっているように思う | ||||
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| この作品の時代背景は平成初期だが、クレジットに関する本質的な内容は現代も同様だ。 展開は大変面白いが、背景の説明が詳細過ぎて、物語の進行が遅く感じる。 その分、クレジットなどに関する、含蓄のある話を知る事が出来る。 この様な、説明調の作品は、平成初期前後には多かった。 つまり、当時の風味を味わう事が出来る作品だ。 加えて、旅情もたっぷりだ。 本書の骨格は二つだ。 ・カード破産 ・他人になりすます 展開の面白さには魅了される。 カード破産の実態と心理に加えて、何と、赤の他人になりすますという筋書き。 これは、ある意味、人生のリセットと言える。 それを、どの様にして行ったのか? 終盤は強い緊張感を伴う。 しかも、方法はなかなかリアルだ。 しかし、違法行為は御法度だ。 | ||||
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| この小説は辛い時代を過ごした女性が「幸せになりたいとい」と言う思いから、人生をやり直す過程を主人公が紐解いていく物語です。 不可抗力で不幸せになった彼女。幸せになる為に他人に成りすますという選択をします。しかしその道のりは壮絶な人生に始まりに過ぎませんでした。 もし自分も彼女と同じ目にあったら、同じ事をしていたかもしれないと思いました。 生きて行くために必要な糧の用い方を考える良い機会になると思います。 バイトを始めた学生や社会人なり立ての人たちに是非読んでいただきたい1冊です。 | ||||
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| 宮部の本はたいてい読んできた。「外れ」のない著者で、 人物造形も抜群。日本でも数少ないストーリテラーであることは 多くの人が認めるところだろう。 だが、まだ初期の頃、本来ならこれで直木賞を取るはずだった本書が 結局はいちばんだと、読み返してみて改めて思う。 生活に苦しんでいる人などはちょっとシンクロできない面もあるが、 彼女の作品は切なさだけでなくと優しさを常に内包しているので 読後感があまり重くないのだ。 | ||||
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| 宮部みゆきを読むのははじめてです。 氏の他の作品と比較はできないので、この作品のみのレビューができることはうれしいことだと思ってます。 登場する人物には悪いやつはいません。かといって、人の心象や背景についてとても深く描かれているわけではなくそれに多少不満を持ちながらも、一方ミステリーとしてはどんどん引き込まれていきます。 自己破産や借金地獄、ひとつ間違えば誰にでも起こることなのでしょう。 自分の収入や生活はミギカタアガリで成長していくのだという思い込みや前提はそういった悲惨な状況に陥るひとつのきっかけでもあったりします。 殺人やその他のことで他人を不幸にしてまで、他人になりすまして自分が幸せになる、そのエネルギーはなんなのでしょうか。 私には理解できません。 理解できないのは、そういった状況に陥って突きつけられた経験がないからだと思います。 そういった点では、このミステリーは、自分ごととしては共感できない、でもきっかけさえあれば誰でも陥る可能性があることは理解できる。そういうちょっと距離のある、でも面白い作品でした。 | ||||
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| 小さな事件をきっかけに、他人の人生に足を踏み入れた主人公が、彼女の足取りを追いながら、社会の裏側、そこから逃れようと必死に生きる人々の姿を目の当たりにする過程を通して、社会の暗黒部分を描写した一作。ちょっとした失踪事件と思いきや、大きな渦の存在を突き止める羽目に陥った主人公と同様、読者も事件に引き込まれること受け合いだ。また、そこかしこに散りばめられた人間ドラマも楽しめる。 カード破産に巻き込まれていく過程を説明する際に、硬い説明文が続く箇所がある。その手の文が苦手な人は、読み飛ばしても問題なし。ただし、個人的には、そういう部分の説明を充実させ、社会に対する警告・啓発的な部分をうまく取り入れている点で、本書を高く評価している。 | ||||
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| 10数年前の話題作。 テーマやストーリー展開は面白いと思うのですが、説明が嫌というほど長くてくどい。 登場人物も多く、出しっぱなしでフェードアウトになっています。引っ張るだけ引っ張ったのにオチがなく、ガッカリな結末でした。 現在の宮部氏の作品がとても面白いので尚更そう思うのかもしれませんが。 | ||||
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| クレジットカードのブラックリストに載っていたことが発覚して姿を消した女の後を追うと、同じ名前の別の女の存在が浮かび上がる・・・。 知能犯のわずかな痕跡を頼りに、推理に推理を重ねついに発見するまでの、たたみかける展開は飽きさせず読み疲れさせない。 さすが宮部というか登場人物が数多いものの一人一人の描かれ方に薄っぺらさがなくドラマ性も十分で泣かせる場面もあり。 彼女の作品の中で一番読み応えがあるし、アイフルや自己破産など昨今の金融問題もからめて今読むのがおすすめ。なぜこの本が映画・ドラマ化されないのかと不思議でならない。 | ||||
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| 社会派ミステリには2つの要素がある。 一つは純粋にミステリとしての謎解きの面白さ。 そしてもう一つは社会の影を映し出す鏡の役割。 宮部みゆきはこの二つの要素を兼ね備えた秀作を 世に多く送り出してきている現代を代表する作家だが、 僕は彼女の作品の中でも「火車」が一番だと思っている。 物語は一人の女性の謎めいた失踪から始まる。 そしてそれを追う主人公は彼女の過去を探るうちに、 一つの信じられないような真実に辿り着く。 カード破産、戸籍、家族の形・・・ いくつものテーマが織り込まれながら、 謎解きに向かって進むストーリー。 必読の一言に尽きる。 | ||||
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| 婚約者の失踪を追いかけていくうちに 次々と明らかになるその婚約者の正体と過去。 暴いていく過程にぐいぐい引き込まれました。 いやー借金ってこわいですね。勉強になりました。 これは受賞しただけあって実に社会派サスペンスです。 やっぱ利率高すぎですよ。 借金苦がいかに悲惨なもので、 個人の問題では済まされないものだと思い知らされました。 結末がまた別の意味で衝撃的でしたけど、 実に面白かったです。ミステリー好きならぜひ。 | ||||
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| 宮部ミステリーの良さは、「量は重いけど苦にならず、読んだ後に充実感がある」ところにあり、本作品もその一つ。「借金」から逃げる為、「別人」になることを決意した犯人の人物像を、本人を最後まで登場させずに描ききるあたりはさすが宮部みゆきといった感じ。おすすめ。 | ||||
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| 犯人は最後にしか登場しませんが、彼女が断片的にしか見えないからこそ、彼女の悲惨な境遇や、彼女の強さが魅力的に伝わってきます。登場しないからこそ、伝わってくる犯人の魅力が、この本を面白くさせているのだと思います。人生はサバイバルです。 | ||||
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| 読み終えた直後は、「それはないやろー」とおもわず絶叫してしまいました。 でも宮部みゆきは主人公が女を追っていく過程を通してサラ金問題を読者に考えてほしかっただけなのかもしれない。 そう考えるとこれは絶妙の締めでした。 この作品は90年代初期を舞台設定としているのですが、この時からすで に金利のグレーゾーン問題があったことなど今と全然変わらないサラ金 問題があったのだと驚きました。 | ||||
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| この小説では借金地獄に苦しんだ2人の女性が出てきます。 その内の1人が主役の刑事の甥と婚約中に失踪したことで 事件へと発展します。 家計は火の車になってでも、 贅沢をしたい女性達の心理や、サラ金地獄の実態などを垣間見ること ができますが、そら恐ろしいです。 | ||||
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| ぐいぐい魅き込まれる。 怖い。哀しい。 多重債務や破産に詳しい者にとっては、 イロイロと意見・指摘があるところなのは間違いない。 しかし、多重債務や破産を知らない者にとっては、 あまりに現実的であり、哀しく、そして恐ろしい。 「火車」を読んで、法律を勉強し始めた人も少なくないだろう。 | ||||
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| 宮部みゆき氏、初読です。ミステリーでありながら、経済小説でもあり、さらに心理描写も細やかで楽しめました。 綿密な調査の上に立ち書かれたものは、とかく理屈っぽかったり、わかりにくかったり、ストーリーとしてはいまひとつだったりするのですが、たいへんよくこなれています。専門家には物足りないのかもしれませんが、小説を楽しむ人にとってはこのくらいすっきりさせてくれた方が読みやすいと思います。 ただ、ラストが私としては中途半端な気がしました。 | ||||
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