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榎本武揚



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【この小説が収録されている参考書籍】
榎本武揚 (中公文庫)

榎本武揚の評価: 4.10/5点 レビュー 10件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.10pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(2pt)

まあ失敗作だな・・・

私は安部公房を評価しないのだが、これを読んでもその評価しなさは変わらなかった。しかしまあ失敗作と言えるだろう。要するに転向とかそういうことを書こうとしたのが、戊辰戦争の裏(戊辰戦争自体が裏っぽいのだが)歴史みたいなものをだらだら書いただけで終わってしまった。1988年に大江健三郎が『新潮』の座談会で、榎本武揚をやろうかとなどと言っていたのは意外だったが、これなどいわば『万延元年のフットボール』の前に出た失敗版と言えるかもしれない。
榎本武揚 (中公文庫)Amazon書評・レビュー:榎本武揚 (中公文庫)より
4122016843
No.1:
(1pt)

榎本武揚は名前が用いられただけ、作者の狙いは別のところ

私は1973年6月の中公文庫創刊時に購入した。高校生になったばかりの自分には全く歯が立たなかった。それは当然で、タイトルの「榎本武揚」自身についてドラマが展開されるわけではなく、元憲兵だった福地さん、榎本暗殺を狙うもと新撰組隊士浅野十三郎という、時代に翻弄された恨みを抱いて生きてきた人物のこだわり、わだかまりの由来を解明することが主題になっている。文中に用いられた多数の資料??には作者が捏造したようなものも多く含まれ、ようするに、明治維新、大戦後という、大きな時代の転換点で結果として時代に振り回された側のうっぷん(安部作品についてよく言われる言葉で言えば不条理というやつだろう)をベースにしてドラマ、戯曲を創作したものである。

原著が書かれた1965年時点では榎本自身に関する参考資料も不十分で、太平洋戦争の尻尾を引きずっている時代だった。当時は司馬遼太郎の「竜馬が行く」が評判となり、明治維新に対する関心や再評価が熱を持っていた時期だったように思われる。文庫版解説はこのほど帰化されたドナルド・キーン氏だが、この当時でさえ「榎本は謎に包まれた人物である」と評しているから、情報は依然乏しく、「この作品は歴史小説ではない」と明言している。

今日では、明治維新の一編のドラマとして、榎本武揚は坂本竜馬に劣らない豊穣な人物的魅力とエピソードを持っていた人物であることが判っている。例えば北海道出身の佐々木譲の「武揚伝」を含む一連の維新前後の小説を読んだ後にこの本を読み直すと、安部さん、これは腕づくで書いた本だね、ちょっとつらいよね、という感想になってしまう。
榎本武揚 (中公文庫)Amazon書評・レビュー:榎本武揚 (中公文庫)より
4122016843

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