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夜愁
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夜愁の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.58pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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読後の感想は一言「それがどうした」だった。 あらすじは上記の通りもしくは他の方が仔細に述べてるので割愛するが、第一次大戦後間もないロンドンを舞台に様々な男女の人生模様が交錯する話である。 作中で扱われる堕胎の描写に嫌悪感をもった。 否、嫌悪感を持ったのは手術そのものよりそれを巡る当事者達の感情。 主要人物の一人が望まぬ妊娠をするのだが、「診察台で下半身裸にされるなんてみじめな私!」とヒステリックな自己憐憫にはひたっても、命を摘む行為に対し自己嫌悪やら罪悪感やらを覚えてる節が皆無で、同性としてひたすら不愉快。 輪をかけて最低なのはその恋人で、自分が避妊を怠り妊娠させたのを棚に上げ 「で、腹の中のそいつを引っ張り出すのにはいくらかかるんだ?」 とかのたまう無神経男。 女も女で「おなかの中に彼の顔をしたでっかい芋虫がいるなんて考えただけで気持ち悪くなる」とか平気で言う。 じゃあとっとと別れろよ。 話は一巡して再び現在にもどるのかと思ったら過去に遡ったまま切れてしまい半端な感がいなめない。けれども「あれ、これで終わり?」と思いはしても「こんな所で終わりかよ!!」と激怒にまで至らなかったのは、描写が淡々としすぎて続きを読みたい欲求がおきなかったせい。作者の試みは買うが、時系列の並び替えによる効果が成功してるとは言いがたく、綺麗に環が閉じず宙ぶらりんに放り出された感じがする。 登場人物達の過去も肩透かし。 戦争という外的要因を取り込んで悲劇性を高めても、登場人物たちを襲う事件はあくまで惚れた腫れた孕んだ振った振られたという卑近な事情に尽きる。 それらの卑近な事情を色彩鮮やかに描く作家もいるのだが、今回作者がとった手法はお世辞にも成功してるとは言い難く、特に現在パートの唐突な幕切れは単に投げっぱなしの印象を受ける。 次作は期待してます。 | ||||
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サラ・ウォーターズは、『荊の城』で娯楽性の高い、ハラハラするミステリを描いたが、本書に同種の面白さを求めると期待を裏切られる。 1947年、44年、41年と時代をさかのぼり、登場人物たちの背負う過去が明らかにされていく、という構成は新鮮ではある。 しかし、その過去はいかにも陰惨で、人物同士の関係はじっとりと重苦しく、そんな過去は別に知りたくもないのだった。 作者の、牽引力や、文章の歯切れのよさは健在だが、読み進めるにつれ、気が滅入る。 後のほうを読むと、本の先の方(後の時代)に登場する物事のあれやこれやが、どのような過去や因果関係を持つかが分かる仕組みにもなっているが、再読する気にはなれない。 | ||||
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