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ジェリーフィッシュは凍らない
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ジェリーフィッシュは凍らないの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.58pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全53件 41~53 3/3ページ
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航空機の歴史を変えた、小型飛行船<ジェリーフィッシュ>。 その新型機のテスト飛行が行われていた。 搭乗者は、6人。 飛行中に、このうちのひとりが毒殺されてしまう。 やがて船は、航行不能となり、奥深い雪山に不時着。 この閉ざされた状態で、さらに殺人が…。 数日後、ジェリーフィッシュが、不時着しているとの通報を受けて、警察が駆けつけると、そこには、6名の遺体があった。 しかも、全員が他殺。犯人はどこへ消えたのか? 第26回鮎川哲也賞を受賞した本作品は、宣伝文にもあるとおり、正に21世紀の「そして誰もいなくなった」と呼べる佳作。 閉ざされた船内で、搭乗者が次々と殺されていき、「そして誰もいなくなった」のですから。 本編は、船内で連続殺人が起きていく様子が語られる章と、事件後、二人の刑事がこの不可解な状況を捜査する章が交互に、描写されていきます。 さらに、インタールードという、物語とどう繋がるのか不明な、伏線のような章も、ところどころに差し挟まれています。 船内の描写については、どんどん人が殺されていくことが分かっていても、どこかに解決のヒントはないか、と注意深く読みたくなってしまいますし、捜査視点の章では、二人の刑事が個性的で、飽きることなく読ませる工夫がされています。 また、本作品に深みを与えているのは、架空の飛行船<ジェリーフィッシュ>の存在で、航空機全体からすると、前近代的な代物が、未来型として、新技術で甦っているという設定がとてもユニークです。 しかし、何と言っても圧巻は、全員他殺の船内から、どうやって犯人は姿を消したか、という不可能犯罪的な大きな謎の解明でしょう。 このトリック、なかなか複雑ではありますが、説得力があります。 本格ミステリとして、大きな収穫と言える本作品、新人でこれだけの高品質な作品が書けるのですから、次回作にも大いに期待しています。 | ||||
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初めての作家の初めての作品です。このミステリーはスゴイですね。密室殺人事件の要素ありで、トリックの複雑さもありで。この作品は、 島田荘司の『占星術殺人事件』を読み終わったときのようなスッキリ感です。殺人に至る動機が弱い印象は否めないですが。 | ||||
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芦辺拓の「ダブル・ミステリ」を先に読んでいたのですが、同じ時期に同じようなアイデアの作品を読んだというのが正直な感想。 しかし、この世界観は好きです。 特に探偵役の刑事二人組が良い。 この感じで次回作を期待してしまう。 お勧めです。 | ||||
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パラレルワールドらしいSF的な世界と、カタカナの外国人ネームばかりという設定に、最初やや読みにくさを感じたが、徐々に作品世界に感情移入ができてくると、しっかりとディテールまで配慮し、架空の世界を説得力をもって描出している新人らしからぬ力量に、むしろ感嘆。単調に警察の捜査を追うのではなく、別の思惑をもつ軍部と対峙させることで、展開に起伏をもたせたりしているのも上手いもの。 ミステリとしても、とりわけ目新しい発想のトリックなどはないにも拘わらず、不可能性と意外性の両翼をたくみに演出し、スリリングに読者の興味をあおってゆく見せ方の手際に秀逸なものがあった。終章の謎解きで、少し動機が弱いかなと思ったが、それも欣快であざやかなラストに吹き飛ばされた。「また会おう、明智クン!」二十面相か―、怪盗キッドか―。このラストシーン、筆者は大変お気に入り。えっ、リアリティがないって、そのかわり、ロマンがあるじゃないですか…。 新人作家の力こぶの入った熱い気概が、作品の細部にまで詰め込まれた、完成度のたかい雄篇である。 | ||||
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受賞作ということと、あらすじを読んで衝動買いした一冊。 舞台設定が好いですね、クローズドサークル系ではありますが、 伏線、トリック等も安定していて大変面白く拝読。 少し死体関連で、「まァそれもありなのかなァ。。」と疑問に思ってしまった点もありましたけれども、 全体を通じて、物語に引き込まれる内容・構成であったことから 文句なしの☆5評価といたしました。 | ||||
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これだけ奇麗に本格の型をおさえた作品は意外と少ないのではないだろうか。 読み進めるたびに展開にニヤニヤしてしまうが、その一方でテンプレではなく、 作者のオリジナルや書きたい要素を入れ込んできて、それらが破たんなくミステリとして構成されているので、より美しい。 惜しむらくは主人公?の探偵役のキャラクターだろうか。 | ||||
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今年の鮎川哲也賞受賞作。これはなかなかの出来です。 ジェリーフィッシュ(クラゲ)と呼ばれる新型飛行船の機内というCC(クローズド・サークル) で繰り広げられる不可能殺人を描いた作品。 「本格推理」としてのロジックも完璧だし、事故当事者 (飛行船乗組員)、捜査担当者、関係者の過去という3つのシーンをかき分けているのも効果的。また、 今時のミステリーでは重視される「キャラ立ち」も、捜査担当の二人に関しては良く出来ていて魅力的。 CCとして飛行船を使った例としては、過去、光文社が主催した「カッパ・ワン」シリーズの第一回 受賞作「見えない精霊」があるが、これはそれとはまったく違った構成。 この作者は東大出らしいが、工学や化学に関する知識が豊富なようで、メカニズムや製造方法などの 説明も緻密でリアリティがある。ただ、この「真空気嚢」を使った飛行船の原理は昔からあるものの、 いまだ実現はしていない。なのに設定は1980年代だから、「近過去SF」としての一面もある。 あえてその時代に設定したのは、携帯電話やパソコンがまだあまり普及しておらず、今は誰でも聞 きなじんでいるい軍事上/医療上の技術(ネタバレになるので敢えて明記しない)がまだ確立してい なかった時代が好都合だったからだろう。 本格推理の世界では、最近はキャラ立ちばかり目立つライトなミステリーが多いのだが、この作品 は、大人も充分楽しめる。 今回で26回を数える鮎川哲也賞の受賞作の中でも、トップクラスの出来と言って良いだろう。 | ||||
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最先端の技術でできた乗り物でふわふわと移動する様子と密室でのサスペンスの両方が楽しめます。 新人賞の受賞作品なので気になるところもありますが、間違いなく楽しめます。賞への応募上、どうしてもインパクト重視になってしまいます。 選評者が問題があるとしていたのは、おそらく研究ノートが送られてプレゼントされたところでしょう。はっきりと書いていませんが。研究者の大切な研究ノートがあの時期にあの人に贈られるというのは、作者も作品中で言い訳しているように不可解です。しかも、これは必ず必要なものですし。 どう変えたらよいのか私も考えてみましたが、いいアイデアは浮かびませんでした。 | ||||
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鮎川哲也賞受賞作。変則パターンの「雪の山荘」モノ?であります。 SFといおうか、レトロでいてオーバーテクノロジーな空想科学冒険小説テイストな設定が、奇妙な閉鎖状況を構築する以上には意味が薄かったように思えてしまうのがいささか残念。航空機の歴史を変える画期的な発明、との触れ込みの「ジェリーフィッシュ」もどこが凄いのかピンとこないというのが正直な感想。いっそヴェルヌやウェルズの古典SF風味にしてしまってもよろしかったのでは。 メイントリックもすっかりスレたミステリ読者には状況設定だけで「ああ、あのパターンなのね」と予想したらその通りだったり、伏線がストレート過ぎるきらいがあったり。大がかりなトリックよりもむしろ意外な犯人像に驚嘆。探偵役のマリアさんと犯人がいよいよ対決という場面でのあるセリフにはすっかりヤラれてしまいましたよ。 劇中でもマリアさんが悲鳴を上げたように序盤の化学系解説は意識が朦朧となるところですが、ここを乗り越えたなら、クラシックでいてストレートなクローズド・サークルの本格ミステリが堪能できます。 | ||||
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一気読みの面白さでした。状況をまず開陳し、そのプロセスを描き、捜査の進行も同時に描き、どのようにしてその犯罪は行うことが可能だったのか?を問いかけるさまは、21世紀の「そして誰もいなくなった」であると同時に21世紀の「毒入りチョコレート事件」でもあると思います。 「探偵」役コンビのふたりがやや戯画的にすぎる気がしますが、それでも私はトリックだけでなく、このストーリー自体に強く惹かれます。 そしてラストシーン、本格ミステリですのでネタバレになりますから詳しくは書けませんが、このストーリーを象徴する映像のような幕切れで哀しみに溢れています。 漣&マリアの次の事件を待っています。 | ||||
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個人的な好みではど真ん中のストライクです 久しぶりに好きな本格ミステリを読む事ができました そして誰もいなくなったを読んで読書が好きになり、十角館の殺人に出会い衝撃を受けた人間にとっては帯の言葉の「21世紀のそして誰もいなくなった」からして歓喜ものでした 読んでいる間は至福の時でした 色々な欠点もありますが、真相には「ああ、こうきたか」と感嘆しました 再読必至ですね 探偵役の刑事コンビのキャラも楽しかった 本格ミステリが好きな人は読んで損はしませんよ 早くも次作が待ち遠しいですね | ||||
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架空の乗り物内でおこる連続殺人と、地上での事件捜査が交互に描かれる。外界から孤立した状況で乗員が一人ひとり殺されていき、最後には誰もいなくなってしまう。その一方で読者には検死結果がすべて他殺であることが明かされる。作中でも触れられる通り、解決は二通りしかない。 1) 犯人は死者の中にいる 2) 犯人は死者の中にいない しかし1)だと検死結果に矛盾するし、2)なら犯人がどこから来て、どこに消えたのかが説明できない。 本作ではかなり大胆なアイデアによってこの謎を解決していて、なるほど、こういう方法があったのかと感心させられた。ただし、大胆なトリックであるがゆえに、成立させるために相当な無理をしている。作者は架空世界の話にすることでなんとか辻褄を合わせようとしているのだが、それでもあちこち弱いところがあってまとめるのに苦労している。犯人の動機となる隠されたエピソードも、現実世界ならちょっとありえないような話。選評に動機が弱いかもしれないという指摘があったが、個人の心ひとつでどうとでもなる動機より、背景エピソードのありえなさのほうが気になった。 人物にはあまり特徴がなく心理描写も少なめ。とくに殺されていく乗員たちは印象に残らない。誰が犯人で誰が次の被害者なのかという緊張感が味わえるのは終盤になってからで、「そして誰もいなくなった」のような読書体験を期待していると肩透かしかもしれない。 否定的なことも書いたが、多数の謎が提出され、その解答が少しずつ明らかにされていくプロセスはスリリングで、飽きずに読めた。逆に言えば、そういう部分に興味を持てない人にはつまらないかもしれない。謎とその解決に焦点を当てたアイデア重視の本格ものが読みたい人に読んで欲しい作品。 | ||||
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「~は、なぜだろう?」という形で、明確に謎が提示されている(しかも、不可能趣味に満ちた、魅力的な謎!)。ゆえに、読者は、小説の方向性をつかむことが出来、リーダビリティにつながっている。「嵐の山荘」に集まっている人たちが、みな、過去のある事件の関係者らしいという方向になって来て、ものすごい既視感、手垢まみれ、猛烈がっかりとなりそうになったが、その後も、謎が次々と提示され、大丈夫。(若干、繰返し見られ、くどい感じもあったが)5分の4辺りで、本作のトリックの2つが、披露される。独創的であり、すごい! と、手を打つ。その後、辻褄合わせの、言い訳めいた説明が、結構、長々と続く。ラストは、余韻があり、OK。鮎川賞の中では、文句なく、ベストでしょう。登場人物が、記号でしかないため、せっかくの、過去の事件からの、感情の動きめいたものも、それほど印象に残らない。でも、これは、新本格は、すべてそう。つまり、新本格優先の鮎川賞としては、文句なく100点です。人間が書けていた方が嬉しいので、好みの問題で、マイナス1の星4つ。 | ||||
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