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傷だらけのカミーユ
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傷だらけのカミーユの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.30pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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イライラしかない。イレーヌ、アレックスと読み、今作。このシリーズは毎度中盤までがダラダラ進み、非常にイラつかされるのだが、前2作は事件の核心に迫るにつれ、どんどん面白さが増すのに対し、今作は終始ダレっぱなしだった。 まずアンヌ。アレックスではすでに登場していたのに、今作では出会いの時期も出会い方も全く変わったものになっている。訳者が追記しているが、そんな高尚なものではなく、単にアレックス時点では脇役だったアンヌを、3作目の構想を練るときに急遽メインキャラに引き上げたためだろうと思う。 イレーヌでもアレックスでもそうだが、いつも細かいところの爪が甘く、設定が雑になるのを、大筋の面白さで誤魔化すのがルメートル流だが、今回はちょっといただけない。 カミーユに対してイライラしっぱなしで、もはやカミーユに正義の鉄槌がくだらないことにフラストレーションがたまるほどだ。男性作家の描く男性刑事物の多くに見られる傾向だが、読者は刑事小説ではなく、主人公の刑事の「男のロマン小説」につきあわされる羽目になる。愛と孤独と哀しみがこのシリーズのテーマだが、乱暴な言い方になるがイレーヌが殺されたのはカミーユのせいだし、今作でカミーユが全てを失うのもカミーユのせいだ。マレヴァルはクズだが、カミーユが警察に偽名を名乗り、職権濫用して捜査を掻き乱さなければ、ルイあたりが早々にアンヌを不審に思い、もっと早くにマレヴァルに到達していた気がする。 作者はこのシリーズで何を描きたかったのだろう。ラストシーンは確かにもの悲しく、哀愁と切なさの余韻を残す名シーンではあるが、結局カミーユはイレーヌやアンヌよりも母親の愛しか求めていない子供だったにすぎないのではないかとも感じた。アンヌが最後あっさり姿を消したのも、多少の肩透かし感は否めない。まあ仕方ないですよね…だってアンヌはカミーユのことなんてちっとも愛してないもん…。嫌いじゃないし、情はあるってだけで…。 まあひとつ腑に落ちたのは、カミーユがなぜ身長145㎝の小男として描かれたのかということ。低身長というコンプレックスの塊だったからこそ、なんでも自分が解決しないと気が済まない、独善的で、現実に目を背けがちな職権濫用刑事が誕生したのだろう。やはりコンプレックスは身を破滅させる。いい教訓になった。哀れ過ぎるラストだが、全てが自業自得すぎて何も可哀想と思えない。一番の被害者はカミーユのコンプレックスに付き合わされて、子供諸共無惨に命を奪われたイレーヌです。合掌。 | ||||
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「その女アレックス」も「悲しみのイレーヌ」も本作も、とにかく女性に対する暴力的描写が多いと感じる。「その女アレックス」は構成の妙もあって、前半で描かれたことが後半鮮やかに反転するカタルシスに目を奪われて、さほど女性に対する暴力描写にひっかかりを感じることはなかったが、イレーヌ、本書と続けて読むと、そこまで女性に残虐なことをしなくてもいいのでは?と感じるようになった。目を引くストーリーにするためなら、女性を暴力の対象にすることに何のためらいも感じないようだ。女性を暴力の対象とした事件を扱い、そうした犯人に猛然と立ち向かう…というストリー展開(例えばスティーグ・ラーソン「ミレニアム」シリーズ)ならまだしも、ただストーリー展開のために女性が暴力を受けるという感じがぬぐえず、読んで不愉快な印象を受ける。読後感がよくない一作だった。 | ||||
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