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日本アパッチ族
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【この小説が収録されている参考書籍】
日本アパッチ族の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.47pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全31件 21~31 2/2ページ
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学生の頃、売り出し中の小松左京のこの本を読んで印象に残り、最近再読しようと思いましたが書店では全く売っていません。 Amazonで発見して早速購入、再読しました。 いつまでも色褪せない名作だと思います。 | ||||
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小松左京さんの長編デヴュー作です。私は確か中学生の時、親父のカッパ・ノベルスを盗み読みしました。それ以来ですから、およそ50年ぶりの再読です。 物語は一種のパラレル・ワールドもので、1960年代の別の日本が舞台になっています。そして、主人公の木田福一の手記という体裁をとっています。その頃、日本では死刑が廃止され、その代わり悪質な犯罪者は何ヶ所か定められた地に追放されることになっています。当然再軍備されて、原爆を持った軍隊が存在します。木田は会社を首になり3ヶ月間以内に再就職先を見つけられなかったため、大阪砲兵工廠(軍需工場です)跡に設けられた地に追放されます。そこは荒れ放題のまま放置されている場所で、当然、食料、水、などはありません。野犬がうろついていて、あわや野犬に食べられそうになったとき、政治犯で追放された山田捻に助けられます。そして2人でこの地からの脱出をはかりますが、寸前のところで、山田は憤死、1人遺された木田は、アパッチたちに助けられます。このアパッチ族は、官憲に討伐されたくず鉄拾いが生き延び、ふとしたことで、鉄を常食とするようになり、常人よりはるかに強くなった人たち?です。このアパッチ族は、くず鉄を朝鮮人のスクラップ業者に売って生計を立てていましたが、ある日、その業者たちが一斉に連行され、遂にアパッチ族壊滅作戦が実施されようとしていました。それに対し、アパッチの酋長、二毛次朗(ジェロニモ)が敢然と立ち上がりました・・・ アパッチ族は本当にいました(ただし鉄は食いませんが)。場所は私のオフィスの近くで、荒れたまま放置されていた砲兵工廠のくず鉄、スクラップを盗んで、運河を渡り、その売買で生計を立てていました。砲兵工廠跡は今では再開発され、大阪ビジネス・パークになっています。アパッチたちのいた場所も綺麗になり昔の面影は全くなくなりました。小松さんは、このアパッチたちのバイタリティーにヒントを得て、本作を物にされたのだと思います。木田福一、山田捻は、各々、小松さんの盟友、福田紀一(高校時代個人的に歴史を教わりました)、山田稔のもじりであることは、言うまでもありません。蛇足ですが、アパッチ族を題材にした日本三文オペラ、新なにわ金融道・・どちらも秀作です・・があることを付け加えておきます。 | ||||
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巨匠・小松左京の処女長編SF。縁がなくて読んでいなかったのだが、たまたまハルキ文庫で平積みされているのが目に付いて購入。小松左京といえば「日本沈没」だの「復活の日」だのが出目な印象だが、こんなのが処女長編というのがなかなかびっくりである。 内容はというと、SFとはいっても、話のベースになる荒唐無稽なところがサイエンスというよりファンタジーなので、そこのところでかなり引っかかった。登場人物のセリフがこてこての大阪弁なのも最初のうちちょっと読みづらい。しかしこれを読み進めていくと、人類がなぞの進化(?)を遂げたり、ローカルな社会組織や外部交易あたりのちまちま物語から一気に舞台が転換し、政治、産業、はたまた国家を巻き込んだ大掛かりなストーリへと変貌するのだ。きわめて小松左京的といえばそれまでだが、いったいこの話はどこまでいってしまうのか、心配で心配でついページを繰ってしまう。 事実上すでに古典になりつつあることもあり、まぁ一度は読んでおくべきだろうか。 | ||||
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表題の二毛次郎は日本アパッチ族の大酋長の名前です。 2012年1月20日に刊行された梅棹忠夫の「人類の未来」で加藤秀俊が1963年から1964年にかけて 米国に居たために帰国後、日本の事情に疎くなり知友の誰彼を捕まえては、いったい何を読むべきか訪ねてまわった。 すると多田道太郎、山田稔、それにあの謹厳な高橋和己までが異口同音に、必読の書は小松左京という人物の 「日本アパッチ族」であるという。という文章を読み、初めて本作品で小松左京を読みました。 推理小説やSF小説に全く興味がなかった私は若い頃は松本清張と小松左京の区別がつきませんでした。 驚きました。 60年代はこんなに勢いのあるストレートで元気な小説があったのですね。 大人の寓話です。 スタートは大阪が舞台なので大阪弁で語られ、地方の登場人物はその地の方言で語ります。 死刑制度が廃止され、大阪城近くに「追放区」が設置され、そこに追放された主人公木田福一の手記の形をとります。 更に100年後に歴史を見直すために史料編纂部「木田手記」発行小委員会が刊行したと言う設定です。 前半は抱腹絶倒後半は変調しシリアスに展開します。 全てのセンテンスが二重の意味を持ち、筋立ても歴史と政治を徹底的に皮肉っています。 前半に主人公ががれきの山を這い上がり逃避するシーンがあります。 ここで一言主人公はつぶやきます。 「この登攀には新聞社の後援があるわけではない。」 前後して小松と親交を結ぶことになる梅棹忠夫が全精力を費やしたマナスル遠征をもしっかり捻っています。 私は図書館で借りましたが、再版して欲しい本の一つです。 | ||||
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「ほんまに、日本てええ国やったなあ。 わいかて好きやった。 ちっこうて、かわいいて、やさしいて・・・ずっと昔、飛田で買うた、初見世の女郎みたいやった・・・」 日本も世界も宇宙も、何度となく滅ぼしてきた小松左京だが、結局、この処女長編が最高傑作ということになるのではないか。 憲法改正下でセミファシズム化した近未来(といっても1963年当時から見て)日本を舞台に出現した食鉄人の物語は、徹底的にリアルに、精密に描かれながら、たとえば咀嚼や消化についてなど重要な説明をスコーンと省いていることによって、異様な幻想性を帯び、読み出したら止めらない面白さである。 冷然たるエピローグもすばらしい。 | ||||
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というと言い過ぎでありましょうが、そう評したい。 舞台は1960年代の日本で、史実とは違う社会体制が舞台。権利が抑圧され再軍備がされている。すなわち、「帝国」陸海空軍がいるのである。 主人公は、会社をクビになり、一定期間内に再就職できなかった罪で砲兵工廠跡地に追放。 飢えで死にそうなところを、謎の男たちに救われる。彼らこそ、アパッチ族。突然変異か何の力がはたらいたのか、鉄を食う。とうぜん通常の人間より強い腕力を発揮。二毛次郎(ジェロニモ)大酋長の下で団結し、権力に対する反抗を始める。ここらはアメリカに対する揶揄か? 主人公もアパッチに入団。ところが、ある日アパッチの交易相手の朝鮮人のスクラップ業者が警察に逮捕される。それを機に国家がアパッチ殲滅作戦に着手。 大阪アパッチと軍の対峙。その後、同じ環境条件を持つ各地の工業地帯にも同じ体質の人間が次々と出現。全国全共闘的な連携が始まる。いっぽう、軍部はクーデターで権力を掌握。アパッチ対軍。この国家を巻き込む対立軸のゆくえは?..... 傑作であります。 | ||||
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荒唐無稽、壮大で収拾のつかない物語世界、焼け跡、大阪、哀愁、作中メディア(新聞)、語り部と作品の二重構造...と、小松<長編>作品の特徴がよくあらわれている処女長編、傑作です。「復活の日」などにも出てくる廃墟からの再生というモチーフが、もの悲しさを秘めたスラップスティックとして語られます。 1964年3月の書き下ろしです。安保闘争が一段落して燻りとなり、東京オリンピック開幕の準備が着々と進むこの年に、小松先生の胸には、自分を生み、育てた廃墟への渇望があったのだろうと思われます。渇きがエネルギーとなり、のちに膨大な作品を記すことになるわけですが、その切実さにおいて、この「日本アパッチ族」は、以後のどの小松作品とも違った力をもっているように僕には思えます。 ほぼ同い年、同じ大阪出身の開高健に、やはり廃墟を虚構化した傑作「日本三文オペラ」があります。あわせて読むと味わい深いものがあります。 | ||||
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小松左京の初の書き下ろし長編として、たしかカッパブックスで出たと思います。 イラストは伊坂ヨシタラだった(名前うろ覚え)この初版持っていたんだけど、今ならかなりの値がつくのでしょうね。 とにかく作家にとって最初の作品はその作家のすべてを含んでいるという普遍的な真理?がありますが、小松左京も、初の長編小説が、彼の最高傑作でしょうね。 おそらく・・・彼の作品を全部読んでいるわけじゃないから断言はできませんが。 少なくとも日本沈没のような駄作とはレベルが違います。 この作品を読まないと小松左京という作家はわかりません、とだけは言えます。 あまり参考にならない書評でごめんなさい。 | ||||
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この本を最初に読んだのは確か30年ぐらい前だったと記憶している。 当時、新進気鋭の作家、小松 左京氏がデビュー作として発表し話題になった本だ。 鉄を食う人間「アパッチ」が突如誕生し革命が勃発・・・そのような感じのストーリーだったと思う。 またこの時代は全学連が全盛の時代でもあり、当時の時代背景とクロスオーバーする感があった。 | ||||
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いわずと知れた古典的名作。 SFとはいえ60年代の匂いがするのが面白かった。 どんな形であれ、理想というものが真剣に考えられてた時代があったのだ。 レトロなイラストも、慣れると味がある。 | ||||
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「日本沈没」「果てしなき流れの果に(このタイトルはわざとだろうけどヘンだな)」その他、壮大なスケールで始まるわりに、結局は竜頭蛇尾、アレヨアレヨと尻すぼまりか、バレバレの予定調和で、小松左京も「終わりなき負債」とか短編は凄いけど長編はどうもねぇと思っているあなたにお勧めする、左京版「吉里吉里人」(って、若い人は井上ひさしのこれすら知らないか?)。 飢えのあまり鉄を食べて次第に身体が鉄になっていく人々、この原型は戦後の混乱期、物資とりわけ食糧難に苦しんだ大阪に実在した鉄屑商人の一群へのオマージュとなっています。で、妄想はSFすれすれのアンチユートピア小説として奇妙な美しさと完成度で迫ってきます。初期の最高傑作で、たぶんもっとも左京自身が実際に体験した史実に基づく、左京が戦後焼け跡世代であることを感じる作品でしょう(だからどの作品よりもリアルなのかも知れない)。 左京作品は「沈没」以外にも「エスパイ」「さよならジュピター」といかにもカドカワ映画のタイアップ商売に揺れた日本映画(監督)界のダメダメ差を象徴する二度とみたくないB級映画のラインナップがそろっていますが、どうせ映像化するなら、徹底的に忠実かつ鉄を食べる特殊効果コッテリの不思議な美しい映像(「泥の河」ばりにモノクロでもいいですね)か、未来にぶっ飛んで第3次大戦後の食糧難に苦しむ東京に舞台を置き換えてやってみたいですね(こりゃ「アキラ」だなぁ)。 | ||||
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