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楽園



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【この小説が収録されている参考書籍】
楽園〈上〉
楽園 下
楽園 上 (文春文庫)
楽園 下 (文春文庫)

楽園の評価: 3.80/5点 レビュー 232件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.80pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全232件 201~220 11/12ページ
No.32:
(4pt)

作者の想いが伝わってくる!

事故死した少年が遺した絵に描かれていたのは、16年前の
事件だった。床下で眠り続けた少女の遺体が発見されたとき、
すでに描かれていた絵・・・。その謎が解けたとき、悲しい
親子の姿が見えてきた。
とてもいい作品だと思った。事の始まりが少年の持つ特殊能力と
いう特異な設定でこれに違和感を感じる人もいると思うが、それが
きっかけで16年前の事件の真相に迫る過程は見事としか言いようが
ない。作者の筆力を改めて感じた。事故死した息子の生きた軌跡を
たどろうとする母、わが娘を手にかけてしまった夫婦と殺された娘の
妹の家族3人の関係、過去の事件で受けた心の傷が癒えないフリー
ライター。登場人物たちもしっかりと描かれている。この作品は
ミステリーではない。事件によって引き起こされる悲劇をじっくりと
描いた作品だと思う。そういう意味では、フリーライターの前畑滋子が
関わり心に傷を負った事件が「模倣犯」ではなくていいと思う。むしろ
そうでない方が望ましい。まったく別ものとして捉えた方が、作品に
対する印象も変わるのではないだろうか。「模倣犯」の延長上にある
作品と見られることが、この作品のマイナスになっている気がして
残念だ。
楽園〈上〉Amazon書評・レビュー:楽園〈上〉より
4163262407
No.31:
(4pt)

作者の想いが伝わってくる!

事故死した少年が遺した絵に描かれていたのは、16年前の
事件だった。床下で眠り続けた少女の遺体が発見されたとき、
すでに描かれていた絵・・・。その謎が解けたとき、悲しい
親子の姿が見えてきた。

とてもいい作品だと思った。事の始まりが少年の持つ特殊能力と
いう特異な設定でこれに違和感を感じる人もいると思うが、それが
きっかけで16年前の事件の真相に迫る過程は見事としか言いようが
ない。作者の筆力を改めて感じた。事故死した息子の生きた軌跡を
たどろうとする母、わが娘を手にかけてしまった夫婦と殺された娘の
妹の家族3人の関係、過去の事件で受けた心の傷が癒えないフリー
ライター。登場人物たちもしっかりと描かれている。この作品は
ミステリーではない。事件によって引き起こされる悲劇をじっくりと
描いた作品だと思う。そういう意味では、フリーライターの前畑滋子が
関わり心に傷を負った事件が「模倣犯」ではなくていいと思う。むしろ
そうでない方が望ましい。まったく別ものとして捉えた方が、作品に
対する印象も変わるのではないだろうか。「模倣犯」の延長上にある
作品と見られることが、この作品のマイナスになっている気がして
残念だ。
楽園 上 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:楽園 上 (文春文庫)より
4167549077
No.30:
(3pt)

模倣犯ほどには・・・

私も『模倣犯の興奮をもう1度!』と期待して読んだので、今回はちょっとがっかりかなあ。真実に届きそうになるたびに進んでいいのかどうか迷ってしまうような誠実さとか、そういう登場人物を丁寧に描写してるところなんかはやっぱり宮部みゆきだなあ、人に優しくて好きだなあ、とは思いました。ただ、構成が散漫かなあ、って気はしましたよね。いくらなんでも渾身の作を多産しすぎたのでは?
楽園 下Amazon書評・レビュー:楽園 下より
4163263608
No.29:
(5pt)

ご家族に本格的にグレタ子供がいたとか、いるとかいう方は、読まないほうがいいです

模倣犯を読んでいないと、つらい部分が多いと思います。

特に「上」はそうかな?

「下」になると、読んでない方でも、ぐいぐいと引っ張られるように、

読み進められると思います。

で、感想というか、忠告というか。

もし、ご家族に本格的にグレタ子供がいたとか、いるとかいう方は、読まないほうがいいです。

身につまされすぎて、具合悪くなります。

ちょっと煙草とか、酒とか、夜遊びとか、万引きとかのたぐいは、本格的にぐれたとはいいませんので、念のため。

しかし、さすが宮部さん。ここまで、人の気持ちを引っ掻き回すの、お上手ですねえ。

たぶんわたし、しばらく精神状態不安定になりそうです。
楽園 上 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:楽園 上 (文春文庫)より
4167549077
No.28:
(3pt)

シリーズは??

宮部みゆきの書くものなので面白いことは間違いないが、上巻ははっきり言ってだらだらとしていていまいちでした。後半からは一気に読めましたが、模倣犯はそのままで終わっていたほうがよかったのではないかと思いました。読み終わってもすっきりしない感じです。もう、これ以上シリーズ化されることはないと思いますが・・・。☆3つです。
楽園〈上〉Amazon書評・レビュー:楽園〈上〉より
4163262407
No.27:
(5pt)

ご家族に本格的にグレタ子供がいたとか、いるとかいう方は、読まないほうがいいです

模倣犯を読んでいないと、つらい部分が多いと思います。
特に「上」はそうかな?
「下」になると、読んでない方でも、ぐいぐいと引っ張られるように、
読み進められると思います。
で、感想というか、忠告というか。
もし、ご家族に本格的にグレタ子供がいたとか、いるとかいう方は、読まないほうがいいです。
身につまされすぎて、具合悪くなります。
ちょっと煙草とか、酒とか、夜遊びとか、万引きとかのたぐいは、本格的にぐれたとはいいませんので、念のため。
しかし、さすが宮部さん。ここまで、人の気持ちを引っ掻き回すの、お上手ですねえ。
たぶんわたし、しばらく精神状態不安定になりそうです。
楽園〈上〉Amazon書評・レビュー:楽園〈上〉より
4163262407
No.26:
(3pt)

宮部みゆき復活

『模倣犯』で深く傷を負った前畑が向き合わざるをえない過去に向き合う姿は、宮部みゆき本人にも重なる。
『誰か』『名もなき毒』と、気の抜けたような作品が続いたせいで、彼女は『模倣犯』で燃え尽きたのではと思っていたが、この本には魂が入っていた。行間からにじみ出る気迫といおうか、作者の気力が充実しているのが良くわかる。宮部みゆきは復活したのだ。
ただ一つ断っておくが、火車や模倣犯を超えるものではないとだけいっておく。それを期待してこの作品を読むのはさすがに酷である。(私は個人的には宮部は『火車』を超える作品はないと思っているので)この本は一つの作品としてしっかりと描きこまれているので、それを楽しんでもらいたい。
久々に読んでいてぞくぞくする小説を読んだ。全盛期の宮部みゆきが帰ってきた気がして嬉しかった。
楽園 下Amazon書評・レビュー:楽園 下より
4163263608
No.25:
(3pt)

シリーズは??

宮部みゆきの書くものなので面白いことは間違いないが、上巻ははっきり言ってだらだらとしていていまいちでした。後半からは一気に読めましたが、模倣犯はそのままで終わっていたほうがよかったのではないかと思いました。読み終わってもすっきりしない感じです。もう、これ以上シリーズ化されることはないと思いますが・・・。☆3つです。
楽園 上 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:楽園 上 (文春文庫)より
4167549077
No.24:
(5pt)

牽引力

この引っ張る力はどうだろうか?一度捕まれたら疾風怒濤のように読み進めてしまう。気がついたら下巻に入っていた。見えざる力と見えなかったものが、どんどん形になってくる。心の動きや新たな疑問はどんどん大きな流れに向かっていく。この描き方は見事だ。
等君、君には何が見えていたんだい?
楽園 上 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:楽園 上 (文春文庫)より
4167549077
No.23:
(5pt)

牽引力

この引っ張る力はどうだろうか?一度捕まれたら疾風怒濤のように読み進めてしまう。気がついたら下巻に入っていた。見えざる力と見えなかったものが、どんどん形になってくる。心の動きや新たな疑問はどんどん大きな流れに向かっていく。この描き方は見事だ。
等君、君には何が見えていたんだい?
楽園〈上〉Amazon書評・レビュー:楽園〈上〉より
4163262407
No.22:
(3pt)

上巻までは面白いのですが

確かに火車や理由を期待すると肩すかしかも。上巻までは謎やひっかかりをちりばめ、期待たっぷりに下巻に進んだのですが。 ヤマが手紙なのはどうなんでしょう? それに、16年間黙っている理由と行動が、共感できません。超能力自体が結局?だし。山荘のボトルはどこで見たのか。模倣犯の第2弾にしてはもの足りません、正直。
楽園 下Amazon書評・レビュー:楽園 下より
4163263608
No.21:
(1pt)

全て消化不良

一度も出てこない人物を生き生きと表現できていたり、
じわじわと魅力が立ち上がる登場人物の性格描写の上手さは相変わらず。
少年の描き方の上手さも相変わらず。
しかし、そういう従来の要素が戻った!みたいな安心感だけで
作品自体は面白いとはとてもいえない。
それに超能力という昔の持ち駒を足して作品を作られても、
書きたくて書いたんじゃなくて、従来のものを出して書いてほしい
という要望があって書いたと言う感じがするだけでつらい。
前作の「孤宿の人」がよかっただけに落差が大きい。
模倣犯がトラウマになっているのはむしろ作者じゃないのかと思う。
宮部はもう時代についていけない。テクノロジーではなく、
彼女の作品世界の透明性が今の時代とそぐわなくなっている。
こういう風に簡単に「悪」は「悪」みたいな描き方は単純すぎて泣ける。
どういう風に締めるのかと思っていたら、模倣犯と同じでなんとなく
納得がいかない終わり方。伏線かと期待したものも生きていない。
人物の性格描写で救われているが、プロット自体は何もかも中途半端。
やはり、もう時代物で勝負してほしい。
時代物の中なら子供の性格描写の力量も生きる。
楽園 上 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:楽園 上 (文春文庫)より
4167549077
No.20:
(1pt)

全て消化不良

一度も出てこない人物を生き生きと表現できていたり、
じわじわと魅力が立ち上がる登場人物の性格描写の上手さは相変わらず。
少年の描き方の上手さも相変わらず。
しかし、そういう従来の要素が戻った!みたいな安心感だけで
作品自体は面白いとはとてもいえない。
それに超能力という昔の持ち駒を足して作品を作られても、
書きたくて書いたんじゃなくて、従来のものを出して書いてほしい
という要望があって書いたと言う感じがするだけでつらい。
前作の「孤宿の人」がよかっただけに落差が大きい。
模倣犯がトラウマになっているのはむしろ作者じゃないのかと思う。
宮部はもう時代についていけない。テクノロジーではなく、
彼女の作品世界の透明性が今の時代とそぐわなくなっている。
こういう風に簡単に「悪」は「悪」みたいな描き方は単純すぎて泣ける。
どういう風に締めるのかと思っていたら、模倣犯と同じでなんとなく
納得がいかない終わり方。伏線かと期待したものも生きていない。
人物の性格描写で救われているが、プロット自体は何もかも中途半端。
やはり、もう時代物で勝負してほしい。
時代物の中なら子供の性格描写の力量も生きる。
楽園〈上〉Amazon書評・レビュー:楽園〈上〉より
4163262407
No.19:
(3pt)

終章はいいが・・・

この作品で表現したかったであろう作者の思いは,最終章で痛いほど伝わってきます.様々な受け止め方があるでしょうね.自分自身,考えさせられました.
が,作品としては「尻すぼみ」な感じがどうしても否めません.
上巻読了時の期待感は,残念ながら満たされませんでした.等君の「能力」により解明される部分,ここにリアリティを感じられるか否かで作品の評価は大きく異なるでしょう.「模倣犯」と同じ設定である以上,論理的,心理的ロジックで全てが解明されると思っていたのですが,これは勝手な期待でした.
終章を表現する,他の手法はなかったのでしょうか.
楽園 下Amazon書評・レビュー:楽園 下より
4163263608
No.18:
(3pt)

模倣犯とは切り離して読もう

広告やレビューを見ると「模倣犯」の続編か?と思ってしまいそうですが、全くの別物として読むほうが誤解がなくて良いと思います。
もちろん「模倣犯」を読んでいないと分からない部分もあり、登場人物もダブっているのですが、作品のタッチは全く別物だと思います。
正直に言って、へそ曲がりな私には読後感は今1つでした。
「模倣犯」を読んだときに、「ものすごく良くできた小説だけど、前畑滋子と昭二のくだりは不要だな。全体のトーンがゆるくなる。」と思ったので、元々私には不向きだったのかも知れませんが、上巻の2人の会話が続く場面など、もう少しで読むのを断念しようかと思いました。
そのあたりが気にならない方は、宮部みゆき作品ということで一定の満足感は得られると思います。良い作品だと思うのですが、私はどうしても前畑滋子・昭二コンビは苦手です。
楽園 下Amazon書評・レビュー:楽園 下より
4163263608
No.17:
(5pt)

徐々にエネルギーが充満してくる上巻

宮部みゆきが『模倣犯』の続きを書いたその事が、衝撃でもあり納得出来るものでもあった。
それは、あの作品が宮部みゆき作品として未完のように感じていたからだ。
だからこそこの本を逸る気持ちで手にとった。
主人公は『模倣犯』に出ていたフリーラーター前畑滋子にして、超能力者だったかもしれない事故で亡くなった12才の少年がキイワードになる。すでに亡くなった少年が残したものから真偽を調べることは、物語の展開で殺しとか犯人がリアルに動くものではない。
『模倣犯』で深く傷を負った前畑が向き合わざるをえない過去に向き合う姿は、宮部みゆきにも重なってもゆく。『誰か』『名もなき毒』を書いていたのは、この本を書くためのステップだったように思えるのは、作品の描き方が重なるからだ。だが、『誰か』『名もなき毒』で不完全だったものが、この本には宿っている。そういう力が充満してくる上巻に、すぐにも下巻が読みたくてたまらない。
楽園 上 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:楽園 上 (文春文庫)より
4167549077
No.16:
(5pt)

徐々にエネルギーが充満してくる上巻

宮部みゆきが『模倣犯』の続きを書いたその事が、衝撃でもあり納得出来るものでもあった。
それは、あの作品が宮部みゆき作品として未完のように感じていたからだ。
だからこそこの本を逸る気持ちで手にとった。
主人公は『模倣犯』に出ていたフリーラーター前畑滋子にして、超能力者だったかもしれない事故で亡くなった12才の少年がキイワードになる。すでに亡くなった少年が残したものから真偽を調べることは、物語の展開で殺しとか犯人がリアルに動くものではない。
『模倣犯』で深く傷を負った前畑が向き合わざるをえない過去に向き合う姿は、宮部みゆきにも重なってもゆく。『誰か』『名もなき毒』を書いていたのは、この本を書くためのステップだったように思えるのは、作品の描き方が重なるからだ。だが、『誰か』『名もなき毒』で不完全だったものが、この本には宿っている。そういう力が充満してくる上巻に、すぐにも下巻が読みたくてたまらない。
楽園〈上〉Amazon書評・レビュー:楽園〈上〉より
4163262407
No.15:
(5pt)

上巻は星5つつけたが・・・・・

9年前の事件−『模倣犯』−に関わったライター前畑滋子のもとに奇妙な依頼が持ち込まれる。12歳で事故死した少年・萩谷等に超能力があったのではないか。彼は隠蔽されてきた少女殺害事件を、発覚前に「絵」の形で予知していたという。彼は他にも多くの不思議な「絵」を残していた。彼の死後それに気づき驚いた母親・敏子が、息子の能力の真偽を調べてほしいと頼み込んできたのだ。

9年前の事件で大きなダメージを受けた前畑の再起、等の超能力の謎、息子を失い大きな悲しみを背負った敏子の「喪の仕事」、そして少女殺害の真相・・・などの要素が絡む。

(以下、内容にふれています)
上巻は、まるまる一冊等の「絵」、能力の謎に費やされるから驚く。宮部作品にはすでに超能力を扱った著作があるが(『龍は眠る』『クロスファイア』など)、超能力の検証にここまでページを割くような作品ではない。『模倣犯』での暴走を悔いる前畑の慎重ぶりが伝わり、徐々に謎に迫っていく過程にぞくぞくさせられ怖いような迫力があった。特殊能力を持つ人間(しかももう彼はこの世にはいない・・・)の悲哀が溢れ、前半のクライマックスとしてずっしり重い。だが少女殺害事件に重きを置いて読むならば、とんでもないスロースタートだ。
少女殺害事件の核心になかなか近づかないのは、前畑と敏子の心の機微、敏子の家の歴史などもかなり突っ込んで書かれているせいもある。なんとまあ今回も丁寧すぎる程に細かいことを書き込んでいているなあ、と感じる。このあたりは好みが分かれるだろうが、後でじわじわ効いてくるのでこらえて読んでいただくとよいと思う。・・・とは書いたものの、事件の方がぼやけてしまった感はあり、なんだかもやもやするんだなあ・・・(下巻のレビューに書きます)
楽園 上 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:楽園 上 (文春文庫)より
4167549077
No.14:
(3pt)

コンスタントな実力はあるが

誤解無く断っておくと、私は宮部みゆきファンである。ほとんどの作品はよんでいる。これについては連載中は読んでないからわからにけど、これは冗長すぎる。火車・理由・模倣犯のときの絶頂感、期待感をもつと残念となる。どうしようもないものを抱えて人は生きている。それを語らせるとうまいけれど、名も無き毒あたりから少しパターン化してないか?SFあり、推理あり、時代物あり、平成の松本清張と言わしめて異論はないと思っていた。おつきの編集者さんしっかりね。
多くのコメントにあるように模倣犯を読まないと少しピンぼけになります。
思わず買いましたが、きっと宮部さんのことだから文庫にもなるだろうけど、
ブックオフにも宮部さんの本が105円で並んでいることはまずない。
そういう読者の期待感を、抱かせているのに、今回は斜陽感がいなめなかった。
楽園 上 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:楽園 上 (文春文庫)より
4167549077
No.13:
(5pt)

上巻は星5つつけたが・・・・・

9年前の事件−『模倣犯』−に関わったライター前畑滋子のもとに奇妙な依頼が持ち込まれる。12歳で事故死した少年・萩谷等に超能力があったのではないか。彼は隠蔽されてきた少女殺害事件を、発覚前に「絵」の形で予知していたという。彼は他にも多くの不思議な「絵」を残していた。彼の死後それに気づき驚いた母親・敏子が、息子の能力の真偽を調べてほしいと頼み込んできたのだ。
9年前の事件で大きなダメージを受けた前畑の再起、等の超能力の謎、息子を失い大きな悲しみを背負った敏子の「喪の仕事」、そして少女殺害の真相・・・などの要素が絡む。
(以下、内容にふれています)
上巻は、まるまる一冊等の「絵」、能力の謎に費やされるから驚く。宮部作品にはすでに超能力を扱った著作があるが(『龍は眠る』『クロスファイア』など)、超能力の検証にここまでページを割くような作品ではない。『模倣犯』での暴走を悔いる前畑の慎重ぶりが伝わり、徐々に謎に迫っていく過程にぞくぞくさせられ怖いような迫力があった。特殊能力を持つ人間(しかももう彼はこの世にはいない・・・)の悲哀が溢れ、前半のクライマックスとしてずっしり重い。だが少女殺害事件に重きを置いて読むならば、とんでもないスロースタートだ。
少女殺害事件の核心になかなか近づかないのは、前畑と敏子の心の機微、敏子の家の歴史などもかなり突っ込んで書かれているせいもある。なんとまあ今回も丁寧すぎる程に細かいことを書き込んでいているなあ、と感じる。このあたりは好みが分かれるだろうが、後でじわじわ効いてくるのでこらえて読んでいただくとよいと思う。・・・とは書いたものの、事件の方がぼやけてしまった感はあり、なんだかもやもやするんだなあ・・・(下巻のレビューに書きます)
楽園〈上〉Amazon書評・レビュー:楽園〈上〉より
4163262407

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