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レプリカたちの夜
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レプリカたちの夜の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.21pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全33件 21~33 2/2ページ
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難しいです。 かといって、理解不能とまではいえないのがこの作品の何とも妙なところ。 随所随所で繰り出される動物や自我についての哲学や思索は、頭の悪い自分にも手が届くように思わせてくれるほど説得力に長け、何かに指先はかすっているけどそれが何かは説明できないという絶妙な曖昧さで、何らかの真実が脳を横切っていきます。レビューもどんどん曖昧な表現になってしまうほど、この作品はつかめない。 これは自分含め凡人にとって理解に苦しむ書であることは間違いないが、理解できた人にはたまらない稲妻になる気がします。 伊坂先生は稲妻を浴びたのでしょう。 再読して、少しでもその魅力の核へ近づけたらと思います。 未来でこの本が伝説と持て囃されている光景は容易に想像がつくのですが、未来で自分もその輪に加わっているのかどうか、そこは今の自分にはわからないとしか言えない今日でした。 | ||||
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神林長平が好きな人は好きかも、というレビューを見かけたので購入。好きな世界観で、どちらかと言えば北野勇作な世界観に近かった。後書きでも取り上げられていた。此方も随分とぐちゃぐちゃしていると言うか ... ブラックユーモアを煮詰めてジャムにした様なねっとり感が強い。記憶と記録については神林長平を思い出させる。こんな作家さんが登場してくれて嬉しい。一絛次郎、しっかり名前を覚えました。他作も読みます。 | ||||
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奇想天外な物語で登場人物の行動も理解に苦しむ点が多々ありました。荒唐無稽なお話、そう思えば良いかもしれませんが、理解不能でした。 | ||||
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おてて絵本ってわかりますか?NHKの児童向け番組の1コーナーで幼稚園児がおててを開いて創作童話を作るやつです。 9割型支離滅裂なお話が出来上がって終わるんですけど本作はそれを大人がやってる印象が強いです。 主人公・往本が不可解な出来事に巻き込まれる話なのですが色々と断片的で話に追いつくのに手こずりました。(それでも読ませる文章なのでそこら辺は流石作家だなと) ちなみにオチは読んでる途中で予想がつきますが大凡予想通りの結果に落ち着きます。捻りがない。 あと読んでて伏線かな?って思わせる物が散見されますが最後まで一切回収しません。 作者の持ってる知識、思想をただ書き出して後はうまーく編集して読みやすくしたのかな?って印象です。 (逆にこれを意図して全編書いてるとしたら本物の頭がヤバイ人だと思います。) 正直読んでる途中で気分が悪くなったのですがそれでも最後まで読ませてくるので中々の作品だと思います。 | ||||
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一條次郎『レプリカたちの夜』(新潮文庫、2018年)は混沌と理不尽の世界を描く小説である。主人公の往本は、動物のレプリカを製造する工場に勤めている。残業中の深夜に動くシロクマを目撃する。前半は意味不明な工場の指示に振り回される。何のためか説明されない。後半になると世界そのものが崩壊する。私はカフカの作品を連想した。台詞の中に自我や実存についての哲学的な主張が出てくる。 新潮ミステリー大賞受賞作であるが、近未来SF作品である。空想世界の話として読むならば良いとして、前半の意味不明な仕事内容が現実の労働経験から来ているとしたら、深刻である。大きな組織の歯車であったとしても、自分の仕事が組織にどのように寄与しているか私は理解して働いているつもりである。それがなくなれば労働は苦痛になる。SFでは管理社会のディストピアが描かれるが、ガチガチに管理しなくても、仕事の意味を教えなければ人間が疎外されたディストリアの支配体制が作れることを示した。 これが日本の労働の多くの現実ならば、うつ病や過労死が多いことも納得である。トップがビジョンやミッションを共有せずに生産性が上がるとは思えない。だから昭和的な体質の日本組織は低迷するのだろう。上の顔色をうかがう忖度ばかりの公務員組織は、本書のような感覚かもしれない。その場しのぎの説明や約束で、後から変遷させる公務員組織の不誠実は、このようなところにあるのではないか。 面白い点は主人公が電話を信用できなくなっていることである。「電話なんてなんの意味があるのだろう。ただの音声。ただの合成シミュレーション」(231頁)。電話よりもメールを優れたコミュニケーション手段と考えている人々は自分の要求を一方的に押し付けたいだけではないか。 | ||||
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これはエンターテイメントだと思いました。 現実と虚構が相まみえる世界は、多分に面白みがあります。 サイバーパンクとはまたちょっと違ったSFだと思いました。 | ||||
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この物語の中には、真実と呼べるものはないけれど、真実らしきものはちらほら散見される。現実と呼べるものは結局のところ記憶でしかなくて、事実というものは主観によって変わる解釈でしかない。主人公を含む登場人物も一貫してつかみどころのない奇怪な人たちばかりで、繰り広げられる会話は何らかの問いと回答の繰り返しではあるものの、そこに必然性はなく、向かう方向も、向かうべき場所も、あまりあてにならない。何が確かなのか、ということの前提として、自分とは何なのか、自分は果たして自分なのか、という問題意識は一貫しているけれど、結局は答えを得られずに終わる。そしてよく歩く。物語は決して核心には迫らない。その周縁をただたださまようばかりだ。その体裁だけならば、カフカの『城』やブランショの『至高者』のようでもあるけれど、この作品はそのような晦渋をろ過した『ねじ式』のような夢だと思う。すべては何らかのモチーフではあるはずなのに、そこに迫ると消え失せてしまうような雲をつかむような小説。理路整然とした起承転結を好む読者には向かない。傑作というよりは、明らかに怪作。 | ||||
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『第二回新潮ミステリー大賞』の受賞作ですが,ミステリーではなくSF寄りの印象で, 広い意味で含むと判断されたのでしょうが,残念ながら自分には見つけることはできず, 帯や解説もそれを暗に認めているようで,期待とはだいぶ違っていたのは否めないところ. このほか,序盤からのおかしな状況に,普通の世界でないことは察せられるのですが, たびたび繰り返される不条理なやり取りや,自我についての長い台詞が挟まれる様子に, 著者の顔や思考のようなものが透けて見え,物語として今ひとつ楽しむことができません. この世界や自らに疑問を抱くも,いつも通り(のはず)の一日が過ぎていく最後も, どこか皮肉のようにも映りましたが,自我や曖昧な境界線という部分に珍しさはなく, 呑み込みきれなかったせいもありますが,特別な何かを感じるまではありませんでした. また,難しくない言葉がひらがなになっていることが多く,かなり読みづらかったです. | ||||
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まったく好みに合わない音楽を2時間聴き続けた感じです。 要は「人間だって物質じゃん」ということを、だらだらと複雑にお話ししているという作品です。 日本が舞台であるようなないような、固有名詞がありそうでなさそうな、現在のような未来のようなという作風は、椎名誠が昔書いていた「水域」「武装島田倉庫」「アドバード」等を連想させますが、さして新鮮ではありません。 ミステリーであるかないかはどうでもいいのですが、笑いどころがひとつもないのがつらかった。 | ||||
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伊坂幸太郎と阿部公房を足して、割って、うすめて、いろんなものを混ぜたSFですね。 ミステリーの枠にいれていいのか?という意見もありましたが、私は「ちゃんとミステリーの枠内だ」と思いました。 SFにはよくある設定だけど個人的は好きだし、「毛」の話がキーになるあたりも秀逸。 でも、登場人物たちのセリフに疲れてしまった。伊坂さんの作品はセリフを整理して磨いてあるので痛快なんですけど、これは大分違うなぁ。 記憶違い?がたくさん出てくる(伏線ですが)展開にも疲れてしまい、読むことが苦痛だったので星を少なくしました。 | ||||
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この小説のジャンルは「推理小説」である。 主人公は謎(トラブル)に巻き込まれ、追求し、その過程で殺人事件に巻き込まれる。 そしててんやわんやとすったもんだの末に真実を知る。そしてその真実はタイトルの通り。 あっけない、と読後に多くの人は思うかもしれない。だがそれと同じぐらい、作中において消化不良というより回収されていない伏線が多いことに気がつくはずだ。それらは伊坂幸太郎風の噛み合わない会話のユーモア、哲学的な考察含む登場人物のやりとり、超自然的な現象、それらに巧妙に紛れ気にならない位置に追いやられている。だが、この小説においておいてもっとも気にすべき謎は「登場人物が疑問にしない数々」だろう。 やけに多い小段落の移り変わり、登場人物が話す「記憶が生物を生物たらしめる」云々という諸説、双子、三つ子と増えていく隣人姉妹、噛み合わない3人の常識、そしてタイトル『レプリカたちの夜』。 この小説をしてエンタメ推理小説の枠で語るのは間違いではないだろう。だがその本質はポール・オースター「幽霊たち」側によっぽど近いのではないだろうか。造られた探偵が、そのように「創られた」謎を追跡する。映画「未来世紀ブラジル」でいうところの何時から「夢」が始まったのかを探す行為――これは主人公には出来ず、我々視聴者(=読者)にしか出来ない行為なのだ。ある種の信用できない語り手の構造を秘めたまま、明確な言葉に表すことなく、そのままにして終える。前衛さを騙し絵じみたポップさで隠し、とっつきやすくデコレートされている、珍しい推理小説として読ませてもらった。 ※ なにをして「非常に性質が悪い」のかといえば、これが天然でそうなったのか、計算づくの産物なのか、そもそもこのサジェスチョンを投げかけることさえ合っているのか、そういった判別が付きにくい点にある。一言で言ってしまうと粒山にでもなったような気分だ。 | ||||
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ミステリというよりこれはSF小説。 すこしふしぎ系の。 あらすじだけでもわくわくする小説は久しぶりだった。 | ||||
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現実的な設定の、刑事ものとか、殺人鬼ものとかの、ミステリーなどとは違います。 自分の呼吸を意識して読まないと、私はゆらゆらしました。 とても引きこまれました。 前半で登場人物が好きになり、後半は結末が気になって一気に読みました。 登場人物のセリフが光ってました。 個人的にノートに書き出したいセリフが何個かありました。 謎解きを楽しむのではなく、この作品の持つ哀愁を愉しむ。 雰囲気や、流れる音楽に委ねる、その世界に浸る。 なかなかそんな風にたのしめる作品って、ないと思います。 デビュー作とは思えないですね。 伊坂幸太郎さん大絶賛!も頷けました。 | ||||
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