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ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女
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ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.93pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全123件 121~123 7/7ページ
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ミレニアムシリーズのファンなので、続編の『ミレニアム4』を楽しみにしていました。 しかし、『ミレニアム4』には、スティーグ・ラーソンのミレニアムシリーズの重厚感がありません。「あのミレニアムの続編」を期待すると裏切られるかもしれませんが、『ミレニアム4』は、エンターテインメントとしてそこそこで楽しめます。ただ、NSA(アメリカ国家安全保障局)が登場してきたり、ミカエルやリスベットの性格や人間関係が変わってしまったのには少々がっかりしました。ミカエルとエリカの関係をエリカの夫が公認して公認の三者の関係になりましたし、冒頭にミカエルの娘が出てきて、旧作にミカエルの娘が出てきた印象が薄かったので、やや唐突な感じを受けました。また、ネタバレになるので詳しくは書けませんが、メインの登場人物に、敵側の肉親がいたという設定も「またか」と感じました。 それに、ストーリーも、NSAと国際産業スパイ、ハッカーの攻防や、サヴァン症候群の少年の目撃者など、サスペンス物におなじみの設定で意外性に欠け、ラーソンの精緻な世界観と比べると、どうしても陳腐な印象は否めません。また、本作は、羽根由さんとヘレンハルメ美穂さんの共訳なので、ミレニアム1~3とは訳文の文体も変わっています。 読みやすい訳ですが、特に会話がくだけすぎている印象を受けます。当方はスウェーデン語がわからないので、文体の変化が、原書の文体が変わったためか、訳者の変更のためかはわかりませんが、ミレニアム1~3の文体のほうがよかったです。 本書がダヴィド・ラーゲルクランツの単著で、スティーグ・ラーソンの名前が入っていないので、ラーソンの遺稿とは別の独立した作品のようです。本作は、ハリウッド版の映画「ドラドンタトゥーの女」の続編として映画化されることが既に決まっており、『ミレニアム4』の続編のミレニアム5,6まで映像化が決定しているようです。本作にNSAが出てくるのは、ハリウッドのお膝元のアメリカの読者のウケをねらったものと思われます。本作が、「ミカエルやリスベットが登場するハリウッド発のアクション映画」という雰囲気があるのに合点がいきました。 追記:コメントを付けてくださった方が教えてくださいましたが、やはり、ラーソンの遺稿とはまったく別に書かれたもののようです。 | ||||
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とてもおもしろかった。おもしろすぎて夜更かししてしまった。 他のレビューがあまりにひどいので書くが、むしろミカエルやリスベットをはじめとした旧キャラクター陣の設定は愚直なまでに前3作に忠実だと思う。文体や物語の展開もできる限り前3作に合わせようとしているのがわかる。そのため、あれほどのボリュームが有った「2」「3」の連作と比較すると多少トーンダウンした部分もあるが、むしろこれから「5」「6」を書いていく上で最高のスタートを切ったと言える。 盛り込まれたテーマも秀逸だ。ネタバレになるので伏せるが(気になる人は他の人のレビューなんて気にせずさっさと読んで!)、シリーズを通して描かれた女性蔑視、そして力を持たないものへの迫害は今まで同様盛り込まれている。そこは今回の執筆者であるダヴィド・ラーゲルクランツが事件記者の経験のあるジャーナリストであることが大きい。ちなみにラーゲルクランツは現時点では次々作までの執筆も決定してるとのこと。「5」は2017年、「6」は2019年に刊行される。 原作者であるスティーグ・ラーソンは亡くなった。そして彼のパートナーであったエヴァ・ガブリエルは数百ページに及ぶ未完の原稿を持っていると言われている。しかし「3」刊行から8年、いまだにそれが表に出る気配はない。権利的な問題もあると思う。それなら先日公開された「スターウォーズ/フォースの覚醒」のように、まったく別の人間が引き継ぐのも一つの手ではないだろうか。 確かにこのラーゲルクランツ版「4」は、本来のラーソン版「4」とは異なる。原作に忠実であるがゆえに、本来盛り込まれるであっただろう変化に欠けている。しかしそれはあくまでスティーグ・ラーソンが亡くなり、他の誰かが書かなくてはいけなくなったからこそ副産物にすぎない。むしろラーゲルクランツはこれ以上ないほどシリーズの再起動に成功した。 先の読めない展開、社会問題、絶対に伏せられるべきネタバレ、そして原作への愛しかない結末。リスベットとミカエルと再会できてよかった。心からそう思えた。 | ||||
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まずは上巻のみの感想。過去の三部作の内容や文体などをよく咀嚼しての作話と人物造型そして展開はまずは見事で、途中まではかったるい感じもしましたが210頁からは一気読みでした。尤も、ある一点の出来事を転機に物語がどんどん動き始め、面白さが加速するという展開は三部作と同様の手練ですが、正直かつ欲張りベースで云えば、三部作に比べるとコクと深味に欠けると云うか、三部作では綿密に張られていた伏線の妙が無かったり(物語が単線(直線)的で複線(多重)的なうねりに欠ける)、悪漢側の動静や心理描写が不十分で、かつ本作の舞台である(いやもうひとりの主人公であったと評してもよいかも知れない)ストックホルム市街の佇まいが視野に入っていないのではといった未充足感など、物足りなさも一方では感じてしまいました。もちろん、高水準作であることは確かなので★は5つではあります。 「確かに、ハッキングがかつての彼女にとって、ただの道具以上の意味をもっていたことは事実だ。子ども時代の最悪の時期、それは彼女なりの逃避の手段であり、息詰まるような生活を少しだけ楽にしてくれるものだった。コンピュータの力を借りれば、目の前に立ちはだかる壁もバリアも粉砕して、束の間の自由を味わうことができた。いまもそういう気持ちがまったくないとは言えない。それでも、一番の目的は追跡だ」(126頁)。 「たとえばサッカーボールなどの物体を目にするとき、われわれはそれを三次元の立体であると直接認識するわけではない。その物体が落とす影や、奥行き、色の濃淡などの細部を、脳がすばやく読みとって、その情報をたよりに物体の形を判断する。われわれはこれを無意識のうちに行なっている。目にした物体はボールであってただの円ではない、ということだけを理解するにも、実は細部を分析しているのだ。こうして判明した形を、脳は自ら再構成する。そうなるとわれわれには、はじめに見えていた細部が見えなくなってしまう。“森を見て木を見ず”の状態になるわけだ。・・・ 言い換えればナディアは、そのはじめの画像、脳が使っている原材料にアクセスすることができるのだ。脳によって処理される前の、無数の細部や影を見ることができる」(153~154頁、大森荘蔵の云う「一元論的構図」?)。 「悲しみという感情は、彼女には似合わない。少なくとも、ふつうの意味での悲しみは。だが、怒りならいくらでも湧いてくる。時限爆弾よろしく爆発の時を待つ、冷たい、激しい怒り」(236頁)。 「医者が言うには、われわれが神を信じることが重要なのではない。そんなことに神はこだわらない。重要なのは、人生の大切さ、豊かさを理解することだ。われわれは人生をありがたく享受すると同時に、この世界を良くする努力もしなければならない。そのふたつのバランスを見つけた者のそばに神は御座(おわ)します、と」(265~266頁)。 いつもはこのジャンルの本は文庫化を待ってから買うのですが、今回は一気読みの連続であった『ミレニアム』の続編第四部ということで、発刊とともに即買いしてしまいました。(スティーグ・ラーソンの手に成る続編が叶わぬ夢である以上、ファンの心の隙間を埋めるが如き本作の意義はそれなりのものがあると考えます。)何はともあれ、これから下巻です。楽しみ楽しみ・・・ | ||||
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