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琥珀のまたたき



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【この小説が収録されている参考書籍】
琥珀のまたたき

琥珀のまたたきの評価: 4.04/5点 レビュー 24件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.04pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全24件 21~24 2/2ページ
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No.4:
(5pt)

儚い美しい世界

綺麗な「蝿の王」みたいな作品。 著者は誰もが子供の頃持っていた限られた登場人物だけで完結した美しい世界を大事に守っていて、それを作品化したようです。 館の中という閉ざされた世界で子供たちは自分たちの遊びを際限なく深化させていきます。 閉ざされた空間であるにも関わらず子供たちの想像力は書斎の図鑑を通して時空の遥か彼方まで広がっていきます。 一応ストーリーやオチはありますが、それより想像力豊かな図鑑の解説文、やたら哲学的な子供たちのセリフを通して内的宇宙を楽しむ本です。
琥珀のまたたきAmazon書評・レビュー:琥珀のまたたきより
4062196654
No.3:
(4pt)

いい小説なのだが、苦さのようなものが残る

小説に何を求めるか――によって、この本の読み方はまったく違うと思う。
幼い子供たちの閉ざされた生活は、「楽しいかどうか」ということになると、
決して心地よいものではない。
怖さのようなものもある。

しかしエンターテインメントに重きを置かないのであれば、
この小説は、美しい。
まず、文章が技巧なくきらめいている。
ラストシーンの一節などは、「言葉」「文章」の可能性を見る思いだった。

「博士の愛した公式」のような、奇妙な明るさのようなものはないが、
細部を描く表現力は圧巻とも言える。
ストーリーを追う小説ではなく、文章を味わう小説とでも言えるだろうか。

もちろんこの作家ならではのイメージの飛翔は、しっかりある。
「好き嫌い」を考慮して★1つ減らしたが、いい本である。
琥珀のまたたきAmazon書評・レビュー:琥珀のまたたきより
4062196654
No.2:
(5pt)

儚く切ない小世界、その結晶した美しさ

この小説世界は、身近で小さな物によって構築しうる、最も切ない表現で満ち満ちている。 同じ作者の「ことり」という作品で、主人公が自分の勤める洋館で少女を歓待する場面(小説に描かれたもので、これほど明るい切なさと美しさにあふれた場面を私は知らない)と同じような表現が、世界全体に敷衍されてちりばめられている。 言葉で表現し難いものを小説世界に顕現させる、そのたぐい稀な才能を、作者はますます深化させているように思われる。
琥珀のまたたきAmazon書評・レビュー:琥珀のまたたきより
4062196654
No.1:
(5pt)

おとなのメルヘン

読後、不思議な世界を漂っている。過去、あまり接したことのない作品だから
である。ルイス・キャロルの「アリス」。不思議の国や鏡の国を往復した「アリス」
の冒険が浮かんでくる。閉鎖的な空間と現実の世界。また、宮沢賢治の《心象スケ
ッチ》のようなものかもしれない。『銀河鉄道の夜』のジョバンニが夢の中で、
死者たちと華やかな体験をし現実の世界に帰還する。作者は登場人物に心のスケッチ
を語らせている。

 二人は老人福祉施設のなかだろうか。「アンバー氏」と「私」の会話が、十一篇の
冒頭に描写される。登場人物の正式な名前はない。「私」は、曲がった指で施設の
ピアノを伴奏する女性である。アンバーは「琥珀」の英語名詞である。
四きょうだいの末娘が野良犬に舐められた結果死ぬ。医師は肺炎が原因だと云う。
母親は「魔犬」の仕業であると主張する。「魔犬」を避けるため父(正妻は別に
いた)の別荘で母親の「禁止事項」を忠実に守る生活がスタートする。父は、
「各種図鑑」の出版会社を経営していた。別荘には膨大な図鑑が残され三姉弟は
外の世界をそこで知る。ママの命令で、過去の名前を忘れるように図鑑からとる。
姉は「オパール」、弟「琥珀」、末弟「瑪瑙」である。別荘の「草刈り」をする
ロバは「ボイラー」、野良猫は「カエサル」、商売人の青年は「ジョー」である。
書棚に並べられた図鑑をめぐるママと姉弟の創造と想像の世界が拡がっていく。
琥珀の左目の「またたき」で記憶と想像(作者は地層と表現している)で物語
を紡ぎ、亡くなった妹の思い出や閉鎖的空間での体験を図鑑の空白部分に描いて
いく。「パラパラ漫画」ならぬ「パラパラスケッチ」になっていく。
 しかし、詳述は避けるが、外の世界から「使者」が図鑑の世界、閉鎖的空間に
入り込んでくる。「ジョー」「カエサル」「ボイラー」が三姉弟を現実世界に
引き戻す役割を果たす。

 非現実世界、非日常的世界と現実。閉鎖的空間、異空間と現実。その入れ替わり
を楽しみ、かれらの想像力の世界を楽しむ作品である。家庭愛、きょうだい愛とか
教訓的な読み方は必要ない。ひたすら小川ワールドに入り込めばよい。
中世の森深い古城にいる気分でもあるし、読者は夢空間でさまよい続けるだろう。
結末は、読者の想像力にお任せしよう。
琥珀のまたたきAmazon書評・レビュー:琥珀のまたたきより
4062196654

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