■スポンサードリンク
エクソダス症候群
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
エクソダス症候群の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.07pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全15件 1~15 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
精神医学の専門書で通るような濃い内容ですが、あくまで小説なので歴史的経緯はある程度断定口調で書かれており、学術書より読みやすいです。分厚い専門書で書かれているような精神医学史の光と闇、そして未来が書かれています。現在の多剤投与に偏重した精神医学に対して、原始的で野蛮な昔の医療を「病を知ろうと努力していた」と評価している点も興味深いです。 狂言回しの役割を担うチャーリーは患者であると同時に医者でもある矛盾した存在で、精神医学の光と闇をその身で体現した人物でもあります。SFならではの過激な発想や理論がある一方、結論が常識的なところに落ち着くのは小説としても学術書としても納得がいきました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
まず、とても読みやすいです。 改行の仕方や小難しい言い回しをしないところが、客観的な世界観を与えていると思います。SFと言えばSFですが、そこまで異世界感はありません。どちらかと言えばテクノロジーより人間の心理や、人間社会にフォーカスしています。精神医学史の勉強になるし、書き方が上手なので難しいといった感じはないです。物語のキーとなるエクソダス症候群ですが、現代でも誰もがエクソダス症候群なのではないかと思いました。映画で見てみたい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
火星を舞台にした物語をSF作家が書く場合、重力差を無視して良いものだろうか。 地球の1/3しか重力が無いのは無視? まずはそこをきちんとしてくれないと、自分は読み手として物語に入っていけない。 文字面で舞台に火星を選んだようにしか思えないのだ...もしかして、 同じく精神医療を扱った「ドグラマグラ」夢野久作の「火星の女」に対するオマージュ的な何かなのだろうか。 精神医療についてはたいへん興味深く読ませていただいた。 戦争を行うにもPTSDをはじめとする各種ケアが必須とされる昨今、また、薬の飛躍的な進歩。 そうした知識のアップデートだけでもこの本には価値があると思う。 架空の病気である「エクソダス症候群」にリアリティを付加できたのは、人類が地球上で版図を広げる 原動力にもなった云々の設定だろうか。 ロマンを感じる。 が、やはりドーム状の閉鎖空間で生活を強いられている件についても もう少し言及した方が良かったのではないだろうか。 ところで、馬車で移動する表現があるが、もしかして、やはりスペオペだという事か。 どう考えても地球から火星に何か月もかけて馬を運ぶメリットが感じられない。 ところで中高年男性が孤独になりがちなのは、洋の東西や年代を問わずと思われる。 親子関係の縦軸よりも、そちらで膨らませることができれば、 この小説に更なる一般性が付与されたろうにとお節介なことを考えてしまった。 チャーリー氏の悪役っぷりは合格点だが、主人公の生き別れの妹であるハルカのラインは弱い。 また、医療施設がセフィロトの樹を模している設定も、効果的とは到底思えない。 主人公にとって大事なもの・かけがえのないものが弱いせいかストーリーの起伏が弱い。 ただ、あまりそこで起承転結のメリハリを付けてしまうとハリウッド的味わいのガッカリ作となってしまうが。 「盤上の夜」「超動く家」「彼女がエスパーだったころ」はたいへん素晴らしかった。 無理に長編を書く必要は無いのではないかと思った。 いや、氏の短編は必ず手に取るようにしたい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
SFが好き(だった)で今も年間数十冊購入するが実際読むのは数冊に満たない。 ほとんどが、本棚に積まれるだけになっている。 どういうわけだろう。 30年ほど前に卒業したはずだが、購入は続けているのだ。 で、本書。 内容はひたすらSFではない。 読んでて楽しいか? 暗い、つらい、もちろん楽しくない。 じゃあ、面白くはないか? うん、まあ、いいと思う。 魅力はあるのだ。 文庫版の装丁は、なかなかいい。 こうじゃないと買っていなかったかも。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ネットで評判を見て気になった本は「ほしいものリスト」に突っ込んで、その後ランダムにまとめ買いをするので、 買う時点では「この本、なんて紹介されていたんだっけ」という部分をすっかり忘れていることが多いのですが、 ゆえにまさか「普通にSFだろう」と思ったこの本が、結構ガチで精神医学史をテーマにしていたとは思わず、新鮮に興味深かったです。 住む場所をどれだけ変えても、星に移住しても、人間は精神の檻から逃げられないのか、というテーマ。 初期の開拓者は「火星の人」のように、国家事業として、精神的にも安定した人選がされるでしょうが、 移住が恒常化したらこの小説ような自体はある意味リアルに起こりうるのだろうなと思われます。 設定と展開は素敵でしたが、落ちは少々拍子抜けでした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
面白い。歳を喰って昔のように本に熱中することもなくなったが、子供のころ神林長平氏の作品を夢中になって読み漁ったときのように、久々に本の世界に没頭した。膨大な文献に裏打ちされた知識を、ごく平易な言葉で語ってくれる。非常に頭のいい人なのだろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
暗くて複雑な話ですが、精神病院の事が色々と書いてあって、興味深かったです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
精神医療史と言う重く今日的なテーマに取り組んだ力作で、とても読み応えがあった。地球の病院を追われ、生まれ故郷である開拓地火星の精神病院に赴任した医師と言う設定が秀逸で、彼が過去の精神医療を振り返るような体験を可能にしている。目を背けたくなるよう前時代の精神医療の暗部や、それがナチスドイツのユダヤ人虐殺にも繋がった歴史など、読んでいて決して楽しくはない。 今日的なテーマと書いたが、例えば私個人の家族親族でも統合失調症や認知症などで精神医療を受けている人間は数多く、薬の投与と副作用の問題など他人事では読めなかった。精神医療を受ける事に心理的障壁は少なくなって機会も増えている今日、本書のテーマに取り組んだ事自体高く評価したい。 初の長編と言う事でやや未整理かなと思われる点があるのは確かだが、それをもって減点する気はない。比較的サラッと書かれているが、テーマが重いだけに読むのが辛い人もいると思う。一応触れておく。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
現物、対応とも問題ありません。機会があればまたお願いします。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「盤上の夜」と「ヨハネスブルグの天使たち」で秀逸なSF短編を披露した作者初の書きおろし長編。 両作ともただの短編集では終わらせない仕掛けがあるとはいえ、「早く宮内氏の長編が読んでみたい!」と思っていた方も多いのではないでしょうか? 私もそんな一人で、文庫版が出るまで待とうとは思っていたのですが、我慢できずに購入しました。 そんな本作ですが、果たしてその読後感はというと、 「何だか作者も悩んでいるっぽいぞ?」ということ。 ここで言う悩みとは、物語としての完成度とテーマに対する作者の問い及びこたえ。 正直なところ、物語としての完成度は今までの宮内氏の短編と比べると見劣りする部分があるように思います。 中盤までは魅力的に描かれていたある人物が、終盤になってその行動と動機で陳腐に映ってしまったり、伏線はとりあえず全部回収はしているものの、一部で見受けられる少しとって付けたような設定やご都合主義的な展開も気になってしまいました。 ネタバレになるので詳細は省きますが・・・。 ただ、これらの物語としての完成度がテーマに対する作者の懊悩の結果だとすれば納得できる部分があると思うのです。 本作のテーマを何と捉えるかは人によるとは思いますが、私は大きく二つ、 「正気と狂気の差とは?」 「人は社会との摩擦を科学で克服することができるのか?」 だと感じました。 これらのテーマに対する問いは、主人公が赴任した火星の病院で出会う『医師でもあり患者でもある』人物との問答や、地球-火星が発達-未開に対応する対比構造、突発性希死念慮(ISI)やエクソダス症候群といった作中の道具立てから読み取ることができます。 しかし、これらの問いに対する作者のこたえは何だか判然としません。 もっと言ってしまえば、作中で登場人物の心情吐露よりも読者への情報提供に近い文章が多かったり、やたらと章や段落の区切りが疑問形で終わることが多いおかげ(所為?)で「自分で考えろ!」と言われたような気分にさえなります。 ただ、そのような気分になるのも、本作が主人公カズキの一人称で書かれていることと、後半で明かされるカズキの出生と境遇を考えると作者がわざとやっていることなのだと思えてきます。(叙述トリックのような大げさなものではないですが) そうなると、ある程度物語の完成度を犠牲にしてでも問いをくっきりとさせざるを得なかったのかなと。 (この両者を両立させるだけの期待を宮内氏には抱いてしまいますが、それは今後の楽しみということで) 果たして作者の主張はカズキのものに近いのか、それとも精神医療の終焉を望むある人物のそれに近いのか、それとも読者に委ねられているのか。 きっとそのどれもなのでしょうけど、私はカズキの"人間味"に可能性を見出してしまいます。 問いかけが回収されない(もしくはその回収がわかりづらい)ものが『小説』として苦手な人はあまり楽しめないかもしれませんが、私が今まで読んできたSFでは作者の考え(問いに対するこたえ)が物語の結末ともリンクして明確なものが多かったので、これはこれで新鮮でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
精神医学をテーマとした小説らしいが、物語の体を成していない未熟な作品。PTSD患者に対する薬の過剰投与や外科的手術に関する警鐘を鳴らしている様にも見えるが、なにせ物語の体を成していないので、作者の意匠は不明である。 何故、地球からの移民が可能となった近未来の火星を舞台にしているのか(ワザワザSF的設定にしているのか)皆目不明だし、読んでいて、物語の方向性が分からず、当然ながら求心力も皆無である。作者の経歴を見て、「盤上の夜」の作者だという事を思い出したが、あの作品も神秘的思想とAIとが混淆した様な一人よがりの作品であった。本作は長編だけに作者の作家としての未熟さがより際立っている。 最後まで読み通すのが困難だったくらいに退屈な作品。もっと作家としての技量を磨いてから作品を発表して欲しいものだとつくづく思った。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
科学的な知見を土台に作家が自身の想像力を駆使し、異なる時間や世界を描くことで現在の人類に警鐘を鳴らすことがSFの役目のひとつであるならば、火星を舞台に精神医療を描く本書はその役目を十二分に果たしている。 火星に暮らす人類がエクソダス症候群なる謎の精神疾患を発症し、本書の主人公である精神科医カズキ・クロネンバーグが疾患と格闘するという設定も新鮮で、ミステリ的な要素もあるストーリー展開は一気に読ませるし、作中で語られる精神医学史は、ペダントリーを好む読者なら退屈しない。 また本書の主な舞台となるゾネンシュタイン病院は、ユダヤ神秘主義の生命の樹を模した構造をしており、宗教やカルトを組み込み破綻させない作者の力量はさすが。 ただ欲を言わせてもらえば、主人公の出自や主人公の恋人、さらには主人公の父親世代の物語までもが盛り込まれてしまうと、あまりにも盛り沢山で、読者はどこに焦点を当てて読んだらいいのか戸惑うかもしれず、結果、その戸惑いは本書の力を弱めてしまう恐れがある。 魅力がありそうな登場人物たちの彫りが浅く感じられてしまうのも、およそ270頁の本書に盛り込まれたテーマが多岐に渡ることが原因のひとつではないだろうか。 とはいえ、アイデアとストーリーが一級品である作品に変わりはない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
前作二作が直木賞ノミネートされた期待の作家宮内悠介氏の初の書き下ろし長編。 おそらくこの作品もノミネートされるのでは。 どこかノスタルジックな火星の描写がとてもツボでした。 精神史とSFの絡め方がわたし的には丁度よかった。 ついついディープで闇展開にしてしまいがちな素材をアッサリめに抑えて料理している所に好感が持てる。とゆうか、むしろそこがこの作品の素晴らしい所だと思うのですが。 そしてこの作品はあくまでもSFで精神史はその題材なのだから、専門家のような知識や理解を求めるのは御門違いのような気がする。そういうものを求める方はガチの専門書をよめばいいのでは? もっともっと評価される事を切に願う作品です。 余談ですが、宮内氏のスペース金融道シリーズもかなりオススメですので未読の方は是非。アンソロNOVA等で読めます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
精神医療をモチーフとしたユニークな視点が新鮮。 ストーリーも楽しめました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
精神医学の本は相当読んだらしいが、 勉強の末たどり着くのはここではないだろう。 宇宙精神医学という設定に私は、はまりきれません。 火星へ移住したもののPTSDというのが 全然飛んでいない気がするのである。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!