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エクソダス症候群
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エクソダス症候群の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.07pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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科学的な知見を土台に作家が自身の想像力を駆使し、異なる時間や世界を描くことで現在の人類に警鐘を鳴らすことがSFの役目のひとつであるならば、火星を舞台に精神医療を描く本書はその役目を十二分に果たしている。 火星に暮らす人類がエクソダス症候群なる謎の精神疾患を発症し、本書の主人公である精神科医カズキ・クロネンバーグが疾患と格闘するという設定も新鮮で、ミステリ的な要素もあるストーリー展開は一気に読ませるし、作中で語られる精神医学史は、ペダントリーを好む読者なら退屈しない。 また本書の主な舞台となるゾネンシュタイン病院は、ユダヤ神秘主義の生命の樹を模した構造をしており、宗教やカルトを組み込み破綻させない作者の力量はさすが。 ただ欲を言わせてもらえば、主人公の出自や主人公の恋人、さらには主人公の父親世代の物語までもが盛り込まれてしまうと、あまりにも盛り沢山で、読者はどこに焦点を当てて読んだらいいのか戸惑うかもしれず、結果、その戸惑いは本書の力を弱めてしまう恐れがある。 魅力がありそうな登場人物たちの彫りが浅く感じられてしまうのも、およそ270頁の本書に盛り込まれたテーマが多岐に渡ることが原因のひとつではないだろうか。 とはいえ、アイデアとストーリーが一級品である作品に変わりはない。 | ||||
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