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眼の壁
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【この小説が収録されている参考書籍】
眼の壁の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.83pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全30件 21~30 2/2ページ
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一流企業でさえ手を焼く手形詐欺師集団が相手です。 それに挑むのは素人の会社員です。 清張作品を読みなれている読者には、この主人公がいつ闇組織に 消されてしまうのだろうと不安に駆られる場面が続きます。 そして、けものみちのような日本の暗部に踏み入るような展開になると思いきや、 後半からは美しい南アルプスが舞台になります。 何を言ってるのか解らないかと思いますが、 旅情とか電車ダイヤのトリックとかチャチなもんじゃ断じてありません。 もっと恐ろしい清張さんの懐の深さの片鱗を味わってください。 残念な点もあります。 金融業者、詐欺集団、国会議員、右翼、在日団体、医療法人などの怪しいキーワードが チラチラと現れますが、結局は一人の男の行き過ぎた野望ということで片づけられてしまってます。 | ||||
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一流企業でさえ手を焼く手形詐欺師集団が相手です。 それに挑むのは素人の会社員です。 清張作品を読みなれている読者には、この主人公がいつ闇組織に 消されてしまうのだろうと不安に駆られる場面が続きます。 そして、けものみちのような日本の暗部に踏み入るような展開になると思いきや、 後半からは美しい南アルプスが舞台になります。 何を言ってるのか解らないかと思いますが、 旅情とか電車ダイヤのトリックとかチャチなもんじゃ断じてありません。 もっと恐ろしい清張さんの懐の深さの片鱗を味わってください。 残念な点もあります。 金融業者、詐欺集団、国会議員、右翼、在日団体、医療法人などの怪しいキーワードが チラチラと現れますが、結局は一人の男の行き過ぎた野望ということで片づけられてしまってます。 | ||||
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社会のゆがみと人間の思いが絡み合ってストーリーとなる。これが松本清張の真骨頂である。 手形詐欺で多額の損失を出し、責めを負って自殺した関野課長。彼を慕っていた部下の萩崎竜雄は事件の真相を求めて休職する。右翼のボス、事件記者、貧しい農村から出てきた青年たち、ミステリアスな美女などが入り乱れてストーリーは展開する。 背景となる風景も信州の山や三重県の田舎町などが描かれており、電車の時刻表も巧妙に組み込まれている。映画の原作としての良い条件も揃っている。 事件の真相が気になって一気に読んでしまった。 もしこの作品に欠点があるとすれば、あまりに盛り沢山の内容が文庫で400ページ程度の活字量では描ききれないということかもしれない。 例えば関野課長が巧妙な詐欺にあう場面などはページ数を十分に使っているので臨場感があり、登場人物の不安が追体験できるくらいだ。それに比べると、事件を起こした犯人たちは十分には描かれていない。松本清張は貧困などで社会的ハンディを負った者たちを描くときに筆が冴えるはずなので、残念である。 日本の小説は全般的にページ数が押さえられる。スティーブン・キングくらいの枚数が与えれたらこの作品はもっと精密で密度が濃いものになっただろう。ただしその場合には負担が大きくなるから読者は減ったかもしれない。 | ||||
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社会のゆがみと人間の思いが絡み合ってストーリーとなる。これが松本清張の真骨頂である。 手形詐欺で多額の損失を出し、責めを負って自殺した関野課長。彼を慕っていた部下の萩崎竜雄は事件の真相を求めて休職する。右翼のボス、事件記者、貧しい農村から出てきた青年たち、ミステリアスな美女などが入り乱れてストーリーは展開する。 背景となる風景も信州の山や三重県の田舎町などが描かれており、電車の時刻表も巧妙に組み込まれている。映画の原作としての良い条件も揃っている。 事件の真相が気になって一気に読んでしまった。 もしこの作品に欠点があるとすれば、あまりに盛り沢山の内容が文庫で400ページ程度の活字量では描ききれないということかもしれない。 例えば関野課長が巧妙な詐欺にあう場面などはページ数を十分に使っているので臨場感があり、登場人物の不安が追体験できるくらいだ。それに比べると、事件を起こした犯人たちは十分には描かれていない。松本清張は貧困などで社会的ハンディを負った者たちを描くときに筆が冴えるはずなので、残念である。 日本の小説は全般的にページ数が押さえられる。スティーブン・キングくらいの枚数が与えれたらこの作品はもっと精密で密度が濃いものになっただろう。ただしその場合には負担が大きくなるから読者は減ったかもしれない。 | ||||
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松本清張も混乱することがあるようだ。 この「眼の壁」なんなんだろう? 犯人捜しというわけでもない。友情復讐物語でもない。 トリック暴きでもない。社会派小説でもない。 下書きではないのか、プロットが長くなってしまって、それを編集者が間違えてもって行ってしまったのではないか? そんなことを考えるような、消化不良を起こしそうな小説だ。 しかしまた料理しがいのある材料という見方もできる。 もしぼくがこれをリライトするのなら、犯人を含めた全登場人物を悪者にせず、世の中は誰も悪くないのに確実に被害を被るときがあるのだということをテーマに、それぞれの人物を描いてみたいと思うのだった。 | ||||
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松本清張も混乱することがあるようだ。 この「眼の壁」なんなんだろう? 犯人捜しというわけでもない。友情復讐物語でもない。 トリック暴きでもない。社会派小説でもない。 下書きではないのか、プロットが長くなってしまって、それを編集者が間違えてもって行ってしまったのではないか? そんなことを考えるような、消化不良を起こしそうな小説だ。 しかしまた料理しがいのある材料という見方もできる。 もしぼくがこれをリライトするのなら、犯人を含めた全登場人物を悪者にせず、世の中は誰も悪くないのに確実に被害を被るときがあるのだということをテーマに、それぞれの人物を描いてみたいと思うのだった。 | ||||
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手形詐欺に遭って自殺した上司の無念を晴らすために、詐欺事件を調べていく主人公・萩崎竜雄(はぎざき たつお)。事件に関わりがありそうな右翼のボスの動向を探り始めた辺りから、組織的な犯行の黒い闇が立ち現れてくるサスペンス小説。 事件の舞台に信州が選ばれていること、ひとりの民間人が組織的な謀略に負けずに事件を調査していくこと、事件に関わる美しい謎の女を主人公がかばうこと、こうしたところに、本作品のおよそ二年後に執筆される『影の地帯』との共通点を感じました。話に引きずり込まれるスリリングな迫力、犯罪の奥にひそむ闇の深さという点では、後年の『影の地帯』のほうが優っていた気がします。 リアルな描写に引き込まれた場面は、冒頭、会社の会計課長が三千万円の手形詐欺に遭い、責任を一身に背負って自殺するまでの件り。実際に現場に立ち会っているかのような臨場感がありましたね。読み手を話の中に引き込む作品のつかみの部分が、松本清張は実に巧い。本書でも、ぐいっと気持ちをつかまれました。 もう一点、印象に残ったのは、作品の重要人物が●●風呂に浸かって×××場面。かなり凄惨なこの件りを読みながら、江戸川乱歩あるいは山田風太郎の怪談色の濃い作品を思い浮かべました。清張先生、一体どんな顔してこのシーン(417頁・右側)を書いたんだろう。 1957年(昭和32年)、『点と線』と並行して執筆、連載された作品。 | ||||
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手形詐欺に遭って自殺した上司の無念を晴らすために、詐欺事件を調べていく主人公・萩崎竜雄(はぎざき たつお)。事件に関わりがありそうな右翼のボスの動向を探り始めた辺りから、組織的な犯行の黒い闇が立ち現れてくるサスペンス小説。 事件の舞台に信州が選ばれていること、ひとりの民間人が組織的な謀略に負けずに事件を調査していくこと、事件に関わる美しい謎の女を主人公がかばうこと、こうしたところに、本作品のおよそ二年後に執筆される『影の地帯』との共通点を感じました。話に引きずり込まれるスリリングな迫力、犯罪の奥にひそむ闇の深さという点では、後年の『影の地帯』のほうが優っていた気がします。 リアルな描写に引き込まれた場面は、冒頭、会社の会計課長が三千万円の手形詐欺に遭い、責任を一身に背負って自殺するまでの件り。実際に現場に立ち会っているかのような臨場感がありましたね。読み手を話の中に引き込む作品のつかみの部分が、松本清張は実に巧い。本書でも、ぐいっと気持ちをつかまれました。 もう一点、印象に残ったのは、作品の重要人物が●●風呂に浸かって×××場面。かなり凄惨なこの件りを読みながら、江戸川乱歩あるいは山田風太郎の怪談色の濃い作品を思い浮かべました。清張先生、一体どんな顔してこのシーン(417頁・右側)を書いたんだろう。 1957年(昭和32年)、『点と線』と並行して執筆、連載された作品。 | ||||
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現在、テレビドラマから火がついて「清張ブーム」が起こっているようだが、昭和30年代に初めて湧出した「清張ブーム」は今の比ではなかった。いわゆる本格的な「社会派推理もの」の登場! そのブームを起こしたふたつの長編が「点と線」であり、続く「眼の壁」であった。パクリ屋と呼ばれる犯罪者にだまされ、責めを負って自殺した上司から遺書として送られてきた書簡。それを手がかりに、義憤をおさえきれない主人公が、素人ながらも事件の本質をさぐり始める。おもに舞台は、岐阜県東部と長野県の木曾、ちょうど名古屋から走る中央線(鉄道)沿いの地方。パクリ屋、右翼、精神病院、政治家、いろんな絡みがあり、終末に至る描写は、まさに巻おくあたわざる面白さ。清張の最高傑作とはいえないけれども、清張作品を体験するに不可避の名作。 | ||||
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現在、テレビドラマから火がついて「清張ブーム」が起こっているようだが、昭和30年代に初めて湧出した「清張ブーム」は今の比ではなかった。いわゆる本格的な「社会派推理もの」の登場! そのブームを起こしたふたつの長編が「点と線」であり、続く「眼の壁」であった。パクリ屋と呼ばれる犯罪者にだまされ、責めを負って自殺した上司から遺書として送られてきた書簡。それを手がかりに、義憤をおさえきれない主人公が、素人ながらも事件の本質をさぐり始める。おもに舞台は、岐阜県東部と長野県の木曾、ちょうど名古屋から走る中央線(鉄道)沿いの地方。パクリ屋、右翼、精神病院、政治家、いろんな絡みがあり、終末に至る描写は、まさに巻おくあたわざる面白さ。清張の最高傑作とはいえないけれども、清張作品を体験するに不可避の名作。 | ||||
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