■スポンサードリンク
11/22/63
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
11/22/63の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.08pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全77件 41~60 3/4ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
キングは素晴らしい!! 読後、久しぶりに涙を隠せませんでした。泣いたのはリーシーの物語以来です。 初期のデッドゾーンを彷彿させる、キングには珍しい直球ラブロマンスです! 人気作家になり、名声を得て以降、キングのこの手の作品は主に内面志向になり、 初期のあの瑞々しさを失っていた傾向にありました。でもこの作品はキングが老境にさしかかり 上記の若くして名声を得たころの純文学に対するプライド?(というより見栄かな。直木賞をとったら芥川賞へ挑戦!みたいな) をいつしかぬぐいさり、素敵な初期の作品に戻ったようなそんな変化が見られます。 ケネディもオズワルドもジョージとセイディーの愛の前には霞みがちです。 この小説にはとっても重要な場面が3回、いや4回登場します。 それはグレン・ミラーの「イン・ザ・ムード」とスウイングダンスの一種、リンディホップです。 主に上巻に出てくるのですが、あなたがそのシーンに差し掛かったら、 ぜひ「lindy hop」と「in the mood」をググって動画を見てください。同時に検索ウインドに入れても構いません。 そして本書の最後はin the moodを聞きながら読むことをおすすめします。 ダンスは人生だよ by George T. Amberson | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
アメリカ史上最大の謎と言われるケネディ暗殺事件を題材にした長編大作。 緻密なフィールドワーク、文献調査を基にキングが満を持して放つ野心作だ。 最初に書き始めたのが1972年というから、キングがいかにこのテーマを 長く大事にしてきたか、その意気込みが窺える。 物語はタイムパラドックスを軸としながら緊張感溢れる内容で展開していく。 また、昔のハイスクールやダンスパーティーをはじめ、車やファッションなど 1960年代へのオマージュが込められ、ネットや携帯電話がなかった在りし 日、アメリカの古き良き時代を偲ばせる。 だが、やはり主人公ジェイク(ジョージ)とセイディーの時代を超えたラヴ ストーリーが本書の一番の読みどころだろう。ここまでラヴストーリーに率直 にこだわるキングに出会ったのは初めてだ。 『不眠症』のラルフとロイスも然り、とても悲しく切ない二人だが、爽やかな 余韻を残して終わる素晴らしいエンディングに涙が止まらなかった。 本当に心にしみる感動的な物語だ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
アメリカ史上最大の謎と言われるケネディ暗殺事件を題材にした長編大作。 緻密なフィールドワーク、文献調査を基にキングが満を持して放つ野心作だ。 最初に書き始めたのが1972年というから、キングがいかにこのテーマを 長く大事にしてきたか、その意気込みが窺える。 物語はタイムパラドックスを軸としながら緊張感溢れる内容で展開していく。 また、昔のハイスクールやダンスパーティーをはじめ、車やファッションなど 1960年代へのオマージュが込められ、ネットや携帯電話がなかった在りし 日、アメリカの古き良き時代を偲ばせる。 だが、やはり主人公ジェイク(ジョージ)とセイディーの時代を超えたラヴ ストーリーが本書の一番の読みどころだろう。ここまでラヴストーリーに率直 にこだわるキングに出会ったのは初めてだ。 『不眠症』のラルフとロイスも然り、とても悲しく切ない二人だが、爽やかな 余韻を残して終わる素晴らしいエンディングに涙が止まらなかった。 本当に心にしみる感動的な物語だ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
面白い、まだ半分しか読んでないけど、下巻も購入しようと思っている。さすが書店店員が推薦してくれたことだけはある。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
上巻は『…ん…』と微妙な感じですが… 下巻、ラストに向かって、『切ない』です。 デッドゾーンまではいかないまでも、後ろ髪を引かれるような切なさです。 キングの傑作の一つだと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
読み終わったあと、しばらく涙が止まりませんでした…爽やかでいながら切なく胸が痛い。 久々に長編キングの大傑作だとおもう。 デッドゾーンで心震えた人なら必ず素晴らしいと思えるはず。 上巻でとある作品の登場人物が出てきた時には、それだけで泣いてしまいました…大好きなあの人達です。人物描写は相も変わらず卓越していて、目に浮かぶようです。 いつもの「長編キング節」とも言えかねない下品な言葉の羅列(私は平気です(笑)が殆どない、珍しい作品かもしれません。なので、初心者の方にも受け入れられやすいかな…。 文庫になったら、買って一生手元に置くつもりです。ハードカバーは重くて手首が痛い(笑) | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
こんな大御所に今更なんですが。 作家としても技量がハンパないっす。 だって、タイムトンネルで過去に行ってケネディーを救う〜、なんて粗筋だけにしたら中学生でも恥ずかしくて書かないレベルでしょう。 この陳腐極まりない設定を、(量だけでなく)もの凄〜い描きこみで、読者に感情移入させるんですから。 参りました。 あー、面白かった。 途中からジェイクとセイディーとの恋の行方が気になってケネディーの暗殺阻止なんてどーでもよくね?と思ってたら……あらあら、そーゆーお話でしたか。 英語版、Wikiには出版されなかったエンディングの説明あり。 息子さんからのアドバイス、出版バージョンのほうが全然いいよ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
素晴らしい作品に出会えた!キングの作品はほとんど読んでいるが間違いなく最高傑作! 死ぬまでに一度読んでみて下さい! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
****************** 主人公は2011年の高校教師。 そして、よく昼食に利用するダイナーの主人「アル」から 秘密をうちあけられます。 それはダイナーの中に「過去へ通じる穴」があり それを通ると1958年9月19日正午2分前に通じる穴。 過去から戻ると、過去で何年すごそうが 2011年の世界は2分しか経過していない。 ガンに侵されれ余命いくばくもない「アル」は主人公に 「1963年11月23日の大統領暗殺を阻止してほしい」と 願いを主人公に託します。 はたして、主人公は5年間もの時間を過去ですごして 大統領の暗殺を防ぐことができるのか???? ********************* 1960年代のアメリカ合衆国の生活が ある種のノスタリジーと そして人種差別、性差別を含めて嫌悪をもって 主人公の目を通して描かれています。 改めて、アメリカ人にとって「1963年11月22日、テキサスのダラス」 が、どういった意味を持つのか?を考えさせられました。 今の日本だったら・・・・ 2011年3月11日までに福島第一原発に 津波対策をさせる・・・ことでしょうか? あるいは、1945年8月6日以前に連合国への無条件降伏を 受け入れさせる・・・ことでしょうか? どちらも、1人の人間の力にはできそうもありません。 しかしながら 大統領暗殺が単独犯だとしたら 誰が引き金を引くかを事前に解ってさえいたら その暗殺を阻止することができるかもしれない。。。 そんな夢想を描くことは可能かもしれません。 力作です! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
昨今、日本の作家の本は、どれも不作続きで、もっぱら海外の翻訳本を中心にミステリーは読んでおります。 キングは、約30年前に「 IT 」を読んで以来、遠ざかっておりましたが、この本が出て、評判が良かったので、とりあえず、 上巻のみ購入し、読み始めました。 ありふれたタイムトラベルのストーリーをキングがどのように料理するかが読みどころです。 さすが、稀代のストーリー・テラーです。あっという間に上巻を読み、下巻もアマゾンで購入しました。 物語に出てくる共鳴現象というのが、今一つ、分かりにくく、効果的ではなかったと思います。 しかしながら久々にわくわくしながら読ませていただきました。お勧めします。次回作が楽しみになりました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
おそらく年配のアメリカ人には、あちこちにちりばめられた古き良きアメリカの 音楽やTV番組や人の名前が郷愁を感じさせるのでしょう。 同年代の日本人が昭和の庶民文化を懐かしむように。 また、さすがに下巻のクライマックスに向けての描写は、一気に読み進めさせられます。 そして、エピローグに相当する部分では、宮部みゆきの蒲生亭事件にも通じる、 えも言われぬ哀愁が漂います。 しかし、それにしても長い。長すぎる。 また、一か所、気になる点があります。 以下、ネタバレではないので、ご安心を。 エピローグに相当する部分で日本の大地震について触れた一節があるけれど、 これは3.11のことなのか? 本書の原書は2011年発行だが、著者が書き終えたのは2010年と記されている。 ということは、この日本の大地震は阪神淡路を指すのか? まさか、キングが前年に東日本大震災を予測していたのだとすると、 それこそ本当のミステリーです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
バッ‐ダッ‐ダッ・・・・・・バッ‐ダッ‐ダ‐ディーダン・・・・・・。 ラストは、本当に涙が落ちる。 何回も、何回も読んだ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ひさびさのスティーブンキング ケネディ暗殺の謎の、想像のもう一つの物語。読ませる技をもつキングはたいしたもの | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ひさびさのスティーブンキング ケネディ暗殺の謎の、想像のもう一つの物語。読ませる技をもつキングはたいしたもの | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本書にはいくつかの楽しみ方がある。 まずは、時間旅行をする楽しみだ。 時間旅行をテーマにしたSFはたくさんあるが、いつも同一の年月日時分秒の同一の場所に出るという発想はあまり聞かない。本書の主人公ジェイク・エピングは、何度か一九五八年九月九日の午前十一時五十八分のメイン州に出かけることになる。というよりは、本書で出現した時間の穴――ジェイクは兎の穴と呼ぶ――はそこにしかいけないのである。なんともユニークな時間旅行である。ユニークなのはそれだけではない。なんと、元の世界に戻ったときの経過時間は常に一定なのである。そこで何時間・何日間・何ヶ月間過ごそうが、それは元の世界での二分間に相当するということなのだ。 ジェイクは二〇一一年のある日、初めて扉をくぐった。そのときは三十代だった。そして、何度か兎の穴をくぐって、最後に二〇一一年に戻ったときは四十代前半になっていた。急に十年ほども老けこんだら周りの人が変に思うだろう。なにしろこちらでは一時間もたっていないのだから。高校で英語教師をしているジェイクもそれを心配して当然何らかの対処をする。それはここにはあえて書かないが。それはともかく、このようなきわめて限定的な時間旅行という設定は、主人公の行動の範囲を当然のことながらかなり制約する。それはかえって、読み手にとっては、思考対象の範囲をくっきりと限定してくれるものとなる。だからとても読みやすいし興味を抱きやすい。 ジェイクは一九五八年から一九六三年までのメイン州やテキサス州などで生活をするが、その時代の社会や文化の動きは我々がすでにある程度知っているものである。「最上の書物とは、読者のすでに知っていることを教えてくれるものなのだ」とジョージ・オーウェルは『一九八四年』で書いているが、まさに、ジェイクの目を通して眺めるその時代のアメリカは、我々日本人にとっても妙な懐かしさを覚える場所である。 次は、歴史を考える楽しみだ。 五十年代の終わりから六十年代の初めにかけての日本というと、高度経済成長、ミッチーブーム、東京タワー完成、所得倍増計画、鉄腕アトム、ビートルズ来日、東京オリンピック、「巨人・大鵬・卵焼き」、新幹線開業、カラーテレビ登場、などとやたらに明るい話題が多い。敗戦の痛手から立ち直り、力強く躍進していくイメージがある。GDPが世界第二位に躍りでるのも目前という時期である。しかしそれが、日米安全保障条約に守られ、ひたすら経済活動に専念できたという、かなり特異な状況が生みだした繁栄だということも見逃してはならない。日本に暮らしていると、世界のきな臭い動きに対して、どうしても鈍感になってしまう。だから、ケネディ大統領に対する我々のイメージは、日本が右肩上がりの成長を続けていた明るい時代に、華々しく就任した若くてハンサムな大統領であり、アポロで人類を月面に送ることを宣言するなど、檜舞台できらびやかに活躍する二枚目役者という感じしかないかもしれない。だから、そういった映画スターのような大統領を衝撃的な暗殺で失ったアメリカ人の心境を、ともすると我々はあの時代の日本の浮ついた空気の中に置いて見ることしかしないのかもしれない。 本書を読んで認識の変革を迫られたのはこういったことに対してであった。 それを一口に表現するとたぶんこういうことになるだろう。 日本人は一九四五年以後戦争を知らずに生きてきた。ところが、アメリカ人はこの間もほとんどずっと戦争を続けている。第二次世界大戦終結後の、アメリカの最初で最大でしかも長期にわたる戦争が「冷戦」であった。 冷戦についても、私は本書を読むまでよくわかっていなかった。核兵器の保有数を競い合いながらも、使用した結果の恐ろしさを考えて、お互いににらみ合っているだけの戦争。そんなイメージしかなかった。しかし、それは正しい認識ではなかった。 アメリカとソ連は本当に戦争していたのだ。いわゆる「代理戦争」という形で。直接戦ったら大変なことになるのはお互いによくわかっているから、それをできるだけ避けて、小さな国を戦場に、その国の共産主義陣営と資本主義陣営を、ソ連とアメリカがそれぞれ支援するという形で間接的に戦わせる。これが「代理戦争」だ。冷戦時代はいくつかの「代理戦争」が長期にわたって繰り広げられた、本物の戦争の時代だったのだ。この頃日本では、『戦争を知らない子どもたち』という歌が流行った。私は第二次世界大戦を経験していない世代が多くなってきたことを歌にしたのだと思ったが、冷戦の本当の意味がわかり、日本人は冷戦で戦うことがなかったことを思うと、『戦争を知らない子どもたち』という歌に込められたメッセージが今にしてやっとわかったという気がする。 ところで、冷戦を理解する時には、「ドミノ理論」というキーワードを押さえるとよいと思う。それなので、少し余計な話にはなるが、若干その説明をしてみたい。 第二次世界大戦が終わると、それまで日本が領有あるいは影響力を有し、そして放棄させられてきた地域をめぐって、米ソを中心に争奪戦が繰り広げられるようになった。アメリカとしては、その広大な地域が共産化することはなんとしても避けなければならないという気持ちがあった。一つの国が共産化すれば、ドミノ倒しのようにアジア諸国が次々に共産化してしまう、という恐れである。現に中国は共産化してしまい、朝鮮やベトナムもそうなりかかっている。これで朝鮮やベトナムが共産化してしまったら、アジア全域が共産化してしまうかもしれない。こうアメリカは心配したのだろう。だから、朝鮮半島を共産化させないために戦い、ベトナムを共産化させないために戦ったのである。 このように「ドミノ理論」は、アイゼンハワーを初めとして、冷戦期の大統領が非常に重視した外交政策上の方針なのだ。そして、ケネディはそういう状況の中で、アイゼンハワーの後継者として大統領に選出されたのである。 私などはケネディ大統領に颯爽としたイメージしか持っていなかったが、ベトナム問題やキューバ危機など難題が多くて実際は大変だったようだ。キューバ危機では一歩間違えば第三次世界大戦が勃発していたかもしれなかったのだ。しかも核戦争である。そのことに当時の日本人は気付いていただろうか。その頃まだ生まれていなかった私にはそれはわからない。しかし、巨人の王が一本足打法でホームランを連発し始め、ビートルズがデビューし、中尾ミエが『可愛いベイビー』を歌い、キングコングがゴジラと戦っていた当時の日本で日々の生活を送っていた人々の多くが、世界の危機的な状況に対する切迫感を肌で感じていたとは思いがたい。少なくとも同じ時にアメリカでケネディのテレビ演説を聞いたアメリカ人と同じものではありえないだろう。この時のアメリカ人の緊張度はものすごかったらしい。その臨場感は、『11/22/63』に詳しく描かれている。核弾頭が今すぐに飛んでくると思って恋人に別れの電話をした人が、本書には登場する。その人物の対応は決して大げさなものではなく、現実にそうなる可能性はかなり高かったのだ。 つまり、アメリカ人と日本人の歴史認識は全く違うのだ。ケネディ観もしかりである。 本書では、主人公がケネディ暗殺を阻止しようと奮闘する。私は、ケネディがアメリカ人にとって愛すべき大統領だったから、変えたい歴史があるのだったら、まず何よりもこの暗殺を阻止しようと考えるのだと思ったが、本書を読むとそれだけではないということにすぐ気付いた。アメリカ人にとっては、ベトナム戦争失敗の傷跡は我々日本人が想像するより大きいらしい。ベトナム戦争はアメリカ人に多数の犠牲者を出した。その実感は身近なところであったようだ。現に本書でケネディ暗殺を阻止したいと思った登場人物は、ケネディが生きていれば、ジョンソン大統領のように大規模な派兵は行わずに、アメリカ人の犠牲者はかなり少なくて済んだだろうと考えていた。 こういった歴史的背景を頭に置くと、本書がより興味深いものになると思われるので、冷戦やベトナム戦争について少し調べてから読むことをお薦めしたい。 さて、歴史についての記述がかなり長くなってしまったが、これはこの辺にして、本書のもう一つの楽しみに話題を転じたい。 それは、本書が恋愛小説としても非常に優れているということだ。しかし、だいぶ長くなってしまったので、そのことについては、下巻のレビューに記したいと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
上巻のレビューでは歴史を考える面白さについて記したが、下巻のレビューでは恋愛小説としての面白さについて若干記したい。 上巻の後半部にならないと判明しないことなので、上巻をまだ全部読んでいないという人は、私の文章をこれ以上読まない方がいいと思うが、実はジェイクはセイディーという女性と付き合う。このふたりの関係がとても素晴らしい。私が今まで読んだ小説の中で、このふたりに似ていると思ったのは、ヘミングウェイ『武器よさらば』のフレデリックとキャサリンだ。第一次世界大戦時のイタリアでふたりは出逢った。戦況は混迷を極め、フレデリックは無実の罪で処刑されるところを危うく逃れ、キャサリンを連れてスイスに逃亡する。この逃避行の緊張感とふたりの愛に満ちた生活が、まさにジェイクとセイディーの緊迫しながらもとびきり幸せな日々と呼応する。この時のフレデリックとキャサリンの会話がとてもよい。 「狐みたいな尻尾があったら、面白いと思わないか?」「服を着るとき邪魔だと思うけど」「邪魔にならない服をつくるんだよ。じゃなかったら、どんな服を着ても後ろ指をさされない土地に住めばいい」 「二人だけでしたことを、ほかの女の人たちとしないでね。わたしに言ってくれたことを、言ったりしないでね」 ジェイクとセイディーの会話もとてもよいものが多くて、ここに記したい気がするが、それは控えておきたい。 そしてジェイクとセイディーの感動のラストシーン。 ここを読んでいると、それまでのさまざまなふたりの出来事が胸に去来する。この後のふたりがどうなるかを想像し、いろいろな展開を考えてしまう。 それにしてもラストシーンのジェイクとセイディーの状況は、かなり特異な状況だ。こういう恋愛小説はあまりなかったような気がする。私が今まで読んだ小説の中で一番近いのは、小松左京『果てしなき流れの果に』の野々村と佐世子である。このふたりのラストシーンもジーンとくるものがあった。 そう言えば、本書は小松左京の『日本沈没』と重なる部分もあった。キングは小松左京を読んでいるのかもしれない。 本書には他にも面白いところがたくさんある。一九六〇年頃のアメリカの文化に郷愁をそそられるところなど。 しかし、上巻に対するレビューも合わせるとあまりにも長くなりすぎたので、本レビューはこの辺で終わりにしたい。 ただ一つだけここにどうしてもつけ加えておきたいことがある。それは、キングの『IT』を是非読んでみてほしいということだ。本書に登場するデリーという町は、もちろん『IT』の舞台であるデリーである。『IT』の登場人物も何人か出てくる。ただし、『IT』は文庫本にして全四巻の大作なので、本書と両方読むとしばらくの間はキング漬けになってしまうが。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
面白いのですが、かなり長いです。タイムトラベルに絞れば、かなり短くできるのでしょうが。 ラストは上手くまとめていると思いますが、その少し前の所がやや不満です。どんな描写になるのか期待していたのですが。 著者の他の作品も読んでみようとは思いませんでした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
考えてみたらスティーヴン・キングをちゃんと読んだことってあったかしら? 「スタンド・バイ・ミー」は読んだが、彼の本来のホラーってほとんど読んでいない。 映像化されたのは見ても、原作は手に取っていなかったなあ。 どうもあまりにも売れすぎている作家って、つい馬鹿にしちゃうんだよなあ。 私はそんな大衆文学なんて読むタイプじゃないぞって、気取っちゃうんだよね。 こちらの新作はえらく評判がいいみたいなので、せっかくだから読んでみようかと手にとってみました。 ディーライフで放送された、「アンダー・ザ・ドーム」が面白かったというのもあるし。 いやあやはりすごい。 読ませますね~。 たった2日で読了。 この人の持ち味って田舎の古きよきアメリカの描写力なんでしょうね。 50年代、60年代のアメリカだから、日本人であまりその時代に詳しくない人間が読むとよく分からない固有名詞がいっぱいでてくる。 アメリカ人が読むと懐かしい気持ちにひたれるんだろうなあ。 でもよく知らなくても、ちゃんとその時代のノスタルジーを感じ取れます。 せっかく過去にタイムスリップできるのに、自分のために行動しない主人公というのも不思議! 金儲けに走ることもせずに、ひたすら他人のために走り回る真面目な人物だなあ。 まあその前提でなくては、お話がすすまないけどもね。 私だったら、歴史を変えるために努力をするなんて思いも付かないだろうなあ。 小説の主人公は、メチャクチャモラルのある人格の持ち主でなくてはつとまりませんな。 下巻も早速読もう! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
タイムトラベルものは、ケン・グリムウッドの「リプレイ」や高橋克彦の「霊の柩」が好きで、この作品も同じテイストを味わえる傑作だと思います。主人公を通して、現代人が過去の生活に溶け込み、古き良き時代の豊かさや不便さを追体験できる面白さがあります。リー・オズワルドを監視するあたりで多少ストーリーがだらだらした感もありましたが、作品の質を損なうほどではないと思います。読書中は、過去を振り返る時に、すりガラスのようなフィルター越しにしか見えない世界を鮮明に見た気がしました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
なかなかケネディ大統領までたどり着けません。 校務員の街に来た場面で読むのを止めようかと思ったのですが、そこを過ぎるともう面白くて止められなくなりました。 しかし、上巻を読み終えたところで大統領にたどり着けていません。大統領は助かるのでしょうか。気になります。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!