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ペテロの葬列
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ペテロの葬列の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.29pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全207件 181~200 10/11ページ
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読み終えた私の顔を見て、いつもは細かなことを気にしない妻が「何かしんどい事あった?」と真顔で聞きました。物語を読んで、これほど落ち込んだのは久しぶり、いや初めてかもしれません。 これじゃ「お嬢様のわがままに振り回され、自分の人生を狂わされたお人よし男」の物語じゃないですか! ミステリー部分はなるほど、と読まされました。途中に挟まれる描写から、何らかの形で現状が変わるだろうな―とは思ってましたが、この変わり方はあんまりじゃないですかね?家族を愛する一人のおじさんとして、主人公はこんな仕打ちを受けなきゃ先に行けないの?と深く思いました。 妻、義父の上から目線がとっても後味悪いです。何が「これまでのことは無駄ではなかった」だ!あんたらには無駄じゃなかったかもしれないけど、主人公はどうなるんだよ!続編の「挫折を乗り越える再生物語」を強調するために、わざとひどい落ち込みを作ったんですかね? ま、これくらいの反感は著者には想定内でしょうけど。普通のおじさんの感情を、これほどまでにかき乱す物語を生み出す筆力には脱帽です。 | ||||
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「火車」でカードローン地獄を描いた作者が 今回は連鎖商法について描いています。 バスジャックに遭遇した杉村三郎。 本当の事件はその後に。。。 被害者が加害者でもある連鎖商法。 「悪」がどんどんと連覇していき 人間関係が壊れていく・・・ 悪徳商法についての現実を思うと そのあたりの描写は、やさしすぎると思います。 知り合いの顔が「お金」にしか見えなくなる仕事は 絶対に人生を狂わせてしまいます。 そういった落とし穴にはまった人を 救い出すのは本当に難しい。 それでも 市井の人々がはまってしまう「悪」について はまってしまう人はかならずしも「弱い」からでは ないんだという視点は 作者がこれまでえがいてきた世界観そのままです。 ラストについて 確かに私も納得してはいません。 でも、杉村三郎さんが新しい人生へ踏み出すために 必要だったのかな・・と思っていました。 男性のレビューを読むと 私以上に厳しい意見があって、ビックリ。 有責配偶者からの離婚の申し出だから??? ウムムムムム。 確かに、菜穂子さんがそんな事をするとは!!と 私も驚きましたが 悪徳商法や霊感商法、あやしげな宗教にはまってしまう人と同じように 人生に「ポッコリ」と空いていた落とし穴に はまってしまっただけではないでしょうか? 作者には是非とも続編を書いて欲しいと思います。 | ||||
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名も無き毒を読んで、三作目は別れを描くんだろうなと思ってました。杉村と菜穂子の価値観が違いすぎるから。でも桃子もいるのにどう展開するんだろうって思ってたら…こーでしたか。 桜が一本ぽつんと立ってる下りでは涙が出てきました。あーやっぱり離れて行くんやなって。 今までの宮部作品の読後感を期待してると後味は確かに良くはないです。 でも悪い作品だとは決して思いません。 私は好きです。 続編は書かずにこのまま完結して欲しいと思いました。 | ||||
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桃子は橋本の娘だった 菜穂子は杉村と出逢う前から橋本と交際していた 会長もそれを知っていた 会長は橋本との結婚は二人の息子たちの手前賛成できるものではなかった そこで橋本と菜穂子との交際を認めつつも他に婿(お守り役)を見つけようとした それが杉村だった と考えると橋本が桃子の文化祭にやって来たのもわかるし最後の会長との会話にも納得がいく て言うかそう思い込まないと不快感が消えない 菜穂子との会話はすべて橋本が考えて杉村に伝えるように指示したものだ 橋本はトラブルシューターだ 相手を納得させることも傷つけることも簡単にできるだろう 会話で人をコントロールするというのはバスジャックの事件で証明している | ||||
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「誰か」「名もなき毒」と続いてようやく杉村が探偵稼業へ踏み出すところへ辿りつきました。このシリーズは人が持つ「悪意」を活写して容赦がありませんが本作もほのぼのとした描写から一転、読者を憂鬱へ落としてくれます。ラストに怒りを覚えているレビュアーの方が多いようですが伏線は見えていたのでそんなでもないかな?杉村をしがらみから解き放つにはこの手しかないでしょう(自分の我儘を通すキャラじゃないし)。「名もなき毒」では家族が弱点となっていたし、今多の肩書や宮仕えも足枷になっていたといえます。杉村三郎を解き放つための作品で「マスオ探偵」「退屈社員探偵」から毛色が変わってくるのは確実で次作が楽しみです。 | ||||
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宮部作品に共通している普通の人がそれでも幸せになるために歯を食いしばり笑って生きていく。人の強さと弱さに対する優しい視点が感じられない。これは序章なんだろうと思いますし、ほかの方も書かれていますように探偵杉村になるためには菜穂子との別離は必要だと思います。でも女母はここまで愚かでもわがままでもないと思います。菜穂子の生まれならさらにです。今後菜穂子との新しい関係も出てくると思いますが菜穂子に対しての嫌悪感は続くと思います。残念な作品でした。 | ||||
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『誰か』、『名もなき毒』と順に読んだほうが人物が解りやすいかも・・・ 主人公の杉村三郎一家の描写が好きだったのですが残念です。 | ||||
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出だしは、引き込まれました。職業的な天賦の才! さすがにうまいです。 でも、、ですね。中盤以降、???。皆さんが、 評されているので割愛します。 このシリーズの設定で、この主人公と奥様に、 「火宅」というドンデン返しは違和感を覚えます。 ただ、これも計算のうち、、なのでしょうか?。 周到にシリーズ続行のための舞台の変更も企図されているのでは、、? 次作は、会長が亡くなり、奥様がコンツェルンの支柱になり、 企業の諸事難題を別れた探偵の「彼」が影で支える、、、 でないと、サラリーマンが、そんなに事件に遭遇するのは、 無理がある。 ついつい、お正月くらい時を忘れる肩のこらないものを、、と 本屋で探していたら、題名の重さと装丁の軽さの妙に惹かれて手に取って しまった。出版社のうまさに乗せられたような感じが正直します。 | ||||
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これまでの宮部作品同様、次々にページをめくりたくなる展開ではあるが、この最後はひどい。杉村が探偵業に専念するための設定なのだと理解は出来ても、この後味の悪さは最悪。 | ||||
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最初にこの作品を読んだときは、力作だと思うのとともに多くの方も書かれている読後感のために何とも言えない気持ちにもなりましたが、これを読んだ後にもう一度名もなき毒を読み返すと、非常に優れた連作であることがわかります。ペテロの葬列の読後感も違ってきました。 | ||||
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これだけの長編、これだけのプロット、これだけの人物像。参りました。宮部みゆきのキャパシティの大きさに。 ただし、力一杯読み通すのを覚悟せずして、いい加減に取りかかっては、その壮大なドラマが読み取れないと思う。 じっくり読み込んでいくと、重厚、良質な英米文学にも劣らない物語世界が広がってくる。 宮部みゆきの著書はほぼすべて持っているが、上位にランクする作品である。 この作品に先行する「誰か」と「名もない毒」を引っ張り出して、読みかえそうと思っている。 | ||||
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1作目から読んでいて感じた違和感が氷解した作品です。 いわゆる探偵物はいきなり名うての探偵として登場するものです 得てしてほろ苦い過去があり作中に少しずつ明かされていくという手法を取るものなんですが 本シリーズではなんと、そのほろ苦い過去から物語が始まって おそらく様々な苦悩や葛藤失敗を経て 一人前の名のしれた探偵となったところで完結する物語とみました。 主人公がこれからどういった探偵となっていくのか 楽しみたいと思います。 | ||||
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「火車」で衝撃を受けて以来ずっとファンです。レビューをみると他の方の評価があまり高くないので迷いましたが、やはり買ってよかったと思います。さすが宮部みゆき!という感じで、ぐいぐい物語の中に引き込んでくれました。たしかにラスト近くであのような展開が用意されているとは思わず、「うっそー!」と言ってしまいましたが。たまたまですが、これが発売される前に、私にとって人生の大きな節目となる出来事があり、精神的にキツイ日々を送っていました。現実逃避のようにこの本を読んでいたのですが、縁について主人公が語る部分で、ガチガチになっていた私の気持ちがまるで魔法のように溶けたことが自分でも衝撃でした。わずか2行の文章なのですが。やはり宮部みゆきは天才だと思います。 | ||||
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最初は面白かったんですが 事件の深層があきらかになるにつけ いくつか釈然としない部分が気になりました。 暮木老人が自分のしてきたことを悔いているらしいけれど それほど切実さがこっちに迫ってこない。 悪の大元の片棒を担いだ割には 小物三人を告発するという行為はなんかみみっちく感じるし 大学生のお兄ちゃんの変わり様がちょっと不自然だし。 最後の、妻の浮気はまあ、一番手軽な話の落とし方かな。 体が弱くて・・・てな割にまあ想像ではありますが そういう健康状態で肉体関係を伴う浮気にのめり込むんだ・・と感心しました。 喰い足りないというのか、全体に釈然としない展開でした。 | ||||
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この『ペテロの葬列』の評判があまりよろしくない!のは、最後の最後で挿入された主人公の杉村三郎とその妻菜穂子のやりとりに大きな理由がある!と思います。 ボク個人は、『誰か』『名もなき毒』と読んできて、菜穂子のキャラがあまり好きではない感性の持ち主なので、本書の読後感は非常に後味の悪い!ものでした。それで、当初は、この杉村夫妻のやりとりの挿入は蛇足ではないか?と考えていました。 しかし、本書402頁の「真実はけっして美しくはない。この世でもっとも美しいものは、真実ではない。終わらない嘘の方だ。」という記述が、本書の中で宮部先生がいちばん言いたい事ではないか?と仮説してみて、もう一度杉村夫妻のやりとりの挿入の理由を考えてみました。ただし、自信は全然ありません! ひとつは、この杉村三郎シリーズを続けていくには、主人公の杉村を今多グループから引き離す!ほうが、宮部先生にとって都合がよかった!のではないか?と思います。 もうひとつは、こっちの理由の方が重要なのですが、杉村の人質仲間である坂本君が「この世からマルチ商法や霊感商法をはじめとするすべての悪徳商法を無くしてしまうんや!」と考えて、アホな行動にうって出ますが、宮部先生が杉村夫妻のやりとりを挿入した理由は、この坂本君のアホな行動と関係している!ような気がします。 つまり、もしも、坂本君の意図した通りに悪意に満ちた嘘が存在しない真実だけの社会になった!としたら、なるほど悪徳商法はこの世から無くなる!かもしれない。しかし、そうなったらそうなったで必ず悪徳商法に代わる何らかの不都合が社会に生じる!のではないか? こう考えて、杉村夫妻のやりとりや森閣下の心中事件を挿入した!のではないか?と思います。ただし、自信は全然ありません! ただ、宮部先生自身は、真実をベースにした社会のほうが良い!と考えていると思います。主人公の杉村を今多グループから引き離しましたから、、、、、。 また、ボク個人も、基本的に真実をベースにするが、例外的に健全なというか健康的な嘘が機能する社会のほうがうまくいく!のではないか?と考えています。 | ||||
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宮部さんの作品は殆ど読破していますが、杉村三郎シリーズは地味で「誰か」「名もなき毒」ともに小説としては小物臭の漂う悪を描く作品でした。それでも二作ともに宮部さんの筆力の高さで読ませる作品になっていました。本作も地味に話が進み、そこまで必要かという人物描写を重ね、700頁弱の大作に仕上がっていますが地味すぎるドラマの最後に大きな展開があります。しかし、あっと驚くわけでもなく、余韻が残るわけでもなく、私はその人物に対して怒りを覚えるのみでした。本作は杉村三郎が活躍する前日譚として描くべき作品だったような気がします。ただただ残念。 | ||||
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私も男ですが、男の目線から見ると納得しがたいラストであろうと思います。厳しい感想を書いておられる方も男性が多いかも知れません。以下、ネタバレを含みます。 バスジャックに遭遇する前半から犯人の素性を探るところまではぐいぐいと引き込まれ、いつもながら上手いなぁと感じました。問題はこの物語のラストです。「誰か」、「名もなき毒」と続くうちに杉村と義父である今多嘉親の関係に微妙な変化が生じますが、今作ではさらに親密なというか、お互いの理解が進んだ関係になっていきます。そうした関係性の変化や前半部分の描写から、杉村が本格的に探偵業にたずさわるのではないかと推測していたのですが、そうすると杉村は今多グループからは離れなければなりません。杉村の境遇から考えて、今多グループから離れると言うことは菜穂子や桃子との離別を意味します。杉村が自らそのような選択をするとは思えませんでした。しかし、作者は思いがけない形で杉村を今多グループから引き離します。 私自身はこの離別(の理由)に納得いきませんし、多くの男性もそう感じるでしょう。しかし、女性としてはごく自然な成り行きなのかも知れません。男性から見た場合、菜穂子が語る理由は自分勝手でわがままで、それにもかかわらず相手(杉村)のためを思っているというような言い訳をしている点で受け入れがたいものなのですが、このあたりが男と女の考え方の違いなのでしょう。こうした女性心理は男性作家には書けないものだと思います。 しかし、菜穂子の告白を受けたときの杉村の反応が、男としてはどうにも納得できません。こんな理由で別れを切り出されて、あんなに素直に受け入れる男はまずいないでしょう。この点では作者が女性であるということがマイナスに作用しているのではないかと思います。かわいさ余って憎さ百倍という言葉がありますが、自分の全てを犠牲(親兄弟ともほとんど没交渉になっているのですからそう言っても過言ではないと思います)にして妻と家族を愛してきた男が、妻に裏切られたと知ったときにあのような態度を取るなど不自然すぎます。いくらフィクションだとしても、同じ男としてみた場合にリアリティがないと思いました。このために、この作品は(どんなひどい理由であっても)綺麗に別れてくれる女性にとって理想の男性を描いたファンタジーになってしまったように思います。 作者は、「杉村はそういう男ではない」とおっしゃるかも知れませんが、あのような状況でいつもと同じような反応になるはずがない。最愛の妻であるからこそ怒りや憎しみが爆発するであろうし、最愛の娘と離れないために最後まであがくと思います。それが人間ではないでしょうか。そこまで書いてくれたなら5点を付けたかも知れません。 ところで、通常このようなケースでは妻側が慰謝料を支払ってしかるべきだと思いますが、どうなったんでしょうね?作者が描く杉村なら、かっこよく慰謝料は辞退しそうですが、そうするとますます浮き世離れしてきますね。菜穂子の非道さも強調されそうですし。 杉村と今多嘉親の関係はディック・フランシスのシッド・ハレーものにおける、主人公シッドと義父(後に元義父)のロランド卿のそれに似通ってきたように思います。ただ、シッドとロランド卿以上に杉村と今多嘉親の立場の差が大きすぎるので、仮に続編があったとしてもこちらの元義父の登場はそれほど多くならないでしょうね。今多氏が一線を引けば話は別でしょうけど。 被害者と加害者の境界にいるものについては、作者が率直に感じたことなのだろうと思います。ただ、羽田が改心した理由は少し弱い気がしましたが。 最後に、このシリーズは是非とも続けて欲しいと思います。作者が杉村をどうするのか見てみたい。このままでは、いささか問題があるせよ愚直に妻と子供を愛してきた杉村だけがバカを見る話になってしまいますから。 評価ですが、中盤までは素直に楽しめたものの、最後の最後で納得いかない点が多々あるので1点マイナスして、4点とします。 | ||||
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本作は杉村三郎シリーズの3作目ですが、私の予想では3部作の最終作ですね。続編は無いと思います。 自身の内面には葛藤を抱えていながらも、外面上は「良い人」である主人公が、周囲の理解者の協力を得て職域・職権を超えて事件の謎を解いていく物語。冒頭で登場した犯罪者の動機を探る旅は、社会問題を絡めて展開していきます。 謎解きがあるので推理小説のようですが、そんなにロジカルではなく、読者は自らが頭を使うというよりも、作者が用意したアトラクションを楽しむ感覚ですね。 それにしてもシリーズ1作目、2作目を読んできた私には、ラストは衝撃でした。 こんなに精神的に努力してきた主人公であっても、お嬢様との生活は身分不相応ということなんでしょうか。 何だか納得できません。だって、事件は主人公が引き起こしたものでないですよね。 多くの読者の感想を聞かせてほしいです。繰り返しますが、私は納得できません。これで続編は有り得ないでしょう。 | ||||
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おもしろくなかった。ラストもとってつけた感がある。社会派ミステリーを書きたかったのだろうが、マルチ商法についての描写もありきたりな内容で、取材の浅さを感じた。700ページ近くを読むのがきつかった。 | ||||
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『誰か』『名も無き毒』に続く、杉村三郎シリーズの第三弾。 小説としての完成度も高く、ドラマ化等によって知名度もぐっと上がった 前作『名もなき毒』に続く一編であるだけに、ハードルの高いところから 読まれる作品だと思います。 序盤、バスジャック事件の鬼気迫る描写は、さすがの宮部節。 強く引き込まれ、ひたすら読まされました。犯人の造形は、作者初期の傑作 『魔術はささやく』を彷彿とさせます。犯人の生業がひとつのキー・ポイント ですが、ここに目をつけたのは非常に宮部氏らしく、ミステリ作家として の嗅覚は未だ健在といった感があり。さすがの読み応えでした。 そして、読後の「後味の悪さ」について。たしかに初読時においては それは否めず、このシリーズのファンであれば、それはより顕著かも しれません。絶句、というのがぴったりかも。 しかし、この杉村シリーズが、今後も確実に続くことを念頭に置くとすれば この展開は避けては通れない、必要不可欠なものであるようにも思えます。 作中に『指輪物語』が出てきますが、この長編にたとえるならば、 おそらく杉村シリーズはこの『ペテロの葬列』によって、 ようやく前日譚である『ホビットの冒険』が終わったあたりではないかと。 (杉村さんはビルボ・バギンスに相似してる点がありますしね) これから続く長い旅への、重く苦い布石ではないかと思います。 (というか、そうでなければつらすぎる展開です…) あと一つ、辛口に書かせていただくならば、菜穂子さんの心理については もう少し繊細で丁寧な描写が欲しかったです。物語を前へ進めることを 優先した、強引な書き方が後半目立ってしまいました。そこが特に残念。 続編への期待を込めて、☆4つで。 | ||||
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